らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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さらに加わる旋律〜後編〜

俺は新たなクラスでかがみと談笑していたが、そこに新たにみさお、あやのと出会い、仲良くなった。

 

そして、3人を交えて再び談笑していたが、そこにクラスメートの一人がやってきて、俺を呼ぶ生徒がいると伝えにきてくれた。

 

俺はクラスメートに礼を言い、俺を呼んでいるというその生徒を確認するために教室の出口へと向かうのだった。

 

その際に俺は3人にちょっと行ってくると断って出口へと向かった。

 

3人は俺の言葉に「行ってらっしゃい。」と返して来たので、俺はそれに1つ頷いてから教室の出口付近を確認する。

 

その時、俺に用事があるという生徒が俺に近寄って来て声をかけてきたのだった。

 

「おはようございます先輩。このクラスにいたんですね?探しましたよ。」

 

その言葉と声を聞いた時、俺は反射的に声の方に顔を向けた。

 

そこには俺が見知った後輩の姿があり、俺はその姿を見た時に嬉しくなり

 

「こう、お前だったのか。」

 

と声をかけた。

 

こうは俺のその言葉に嬉しそうな表情を見せると

 

「はい。受験合格祝いの時以来でしたが、元気そうで安心しましたよー。」

 

と、そう言って来たこうに俺も無事にこの学校へと入学し、この学校の制服に身を包んだこうを見ながら

 

「まあ、あの時からそんなには時間は経ってはいないがとりあえずは元気だよ。それにしても、わざわざ来てくれたのか?それに対しては礼を言うよ、ありがとな。それと、入学おめでとうだな。こう、制服似あってるぞ?」

 

と、俺がそう言うとこうは少し照れた様子で

 

「おお!?まさか先輩がそんな事を言ってくれるなんて夢にも思いませんでしたよ。少し嬉しいかな?」

 

と、頬を少し赤くしてそう言うこうに俺はこうの頭をぽんぽんと叩いて

 

「俺は素直に自分の感想を言っただけだよ。」

 

と言うと、こうは嬉しそうな笑顔を俺に向けてきたがすぐ真剣な顔に変わり俺に

 

「先輩、ちょっと付き合って欲しい所があるんですが・・・。」

 

と神妙な面持ちで言ってきた。

 

俺は何事か?と思ったがとりあえずこうに付き合ってみる事にした。

 

「どこへ行くんだ?その様子だとなんだかただ事じゃない感じだが?」

 

俺がそう問い掛けるとこうは言いにくそうに俺を見て

 

「とにかくついて来てもらえれば分かりますよ。先輩、こっちへ・・・。」

 

こうはそう言うと俺の手を引いて移動を始めた。

 

その様子をこっそりと教室から見ている6つの視線に気がつかないままに俺はこうに連れられてこの学校の噂になっている星桜の樹の元へ連れていかれた。

 

樹の下に着くとこうは俺に

 

「ちょっと待っていてください。」

 

と言って樹の奥の方へと姿を消した。

 

しばらく待っているとこうが一人の女生徒を伴って現れた。

 

俺はその女生徒の姿を見るなり呆然と言葉を失った。

 

何故なら、そこにはここにいるはずのないもう1人の後輩の姿があったからだ。

 

「・・・・・・やまと・・・お前・・・こんな所で何をやってる・・・・・・?」

 

俺は呆然としながらも陵桜の制服に身を包んだやまとを見て何とか言葉をしぼりだした。

 

そんな俺を見てやまとも困惑とも苦悩とも取れる表情で

 

「・・・見ての、通りよ・・・。」

 

と、ばつが悪そうに応えた。

 

俺はこうの方へ向きなおると

 

「こう、これは一体どういう事なんだ?確かやまとは聖フィオリナ女学院へ行ったはずじゃなかったのか?」

 

そう問い掛けるとこうは複雑な表情をしながら

 

「最初は聖フィオリナへ行くつもりだったらしいです。けど何を思ったのか、やまとは急に自分の行くべき学校をここに変えたらしいんですよ。」

 

と、そう事情を説明してくれるこう。

 

俺は、まだ訳が分からないと言った感じでこうの説明を聞いていたのだが、こうはそんな俺の様子を見ながらもさらに言葉を続けて

 

「先輩、私も知らなかったんですが、やまとは聖フィオリナ女学院以外にもここも密かに受験をしていたらしいんです。私もやまとをここで見かけた時にはびっくりしましたよ。」

 

そう付け足した。

 

俺の頭の中は色々とまとまらない状態だったが、とりあえずやまとにどういう事なのか事情を聞いてみることにした。

 

「やまと、一体どういう事なのか説明して欲しいんだが?」

 

俺がそう言うと、やまとは俺の表情を伺いながらどう話すべきなのか迷ってる風だったがやがて意を決したのかぽつりぽつりと事情を話し始めた。

 

「最初は・・・私は聖フィオリナ女学院に行こうとしたわ。受験にも合格できてたしね。でもこっちも試しに受けてみたらこっちにも合格して・・・。」

 

やまとは一旦言葉を切って静かに瞳を閉じると

 

「・・・私は悩んだわ。私はフィオリナにも行けたけれどそこにはこうや先輩はいない。それを考えたら、私はフィオリナで一人きりでやっていけるかどうかがものすごく不安になった。でも私は先輩やこうにフィオリナに行くと言ってしまったから自分の決めた進路を簡単に覆す事は先輩やこうを裏切る行為になるのかも、と・・・。」

 

罪悪感とも取れる表情を見せながらさらに言葉を続けるやまと。

 

「だから、陵桜に合格していなかったらそのままフィオリナに行くつもりでいたの。でもフィオリナの合格通知が来た後に陵桜の合格通知が届いた。私は揺れたわ。どうしよう、どうするべきだろう、って。でも、いけるチャンスがあるのならばって思ったら気がついたら陵桜を選んでいたわ・・・。」

 

そう語ったやまとは泣きそうな顔で俺たちを見る。

 

そんなやまとの姿を見た俺は、やまとの苦悩を垣間見たような気がした。

 

俺はやまとに近づき優しくやまとを抱きしめ、出来る限りやまとを責めないように気を配りながらやまとに語りかけた。

 

「わかった。わかったからもういい。お前も悩んでいたんだな?気付いてやれなくてごめんな。」

 

そう言って語り掛ける俺の言葉を聞いたやまとは張り詰めていた緊張の糸が切れたのだろう、俺の胸の中で嗚咽を漏らし始めた。

 

俺はただ泣き止むまでやまとの頭をなでてやりながらそのままやまとを抱きしめていた。

 

そんな俺たちを見ていたこうも気がつくと涙を流してやまとの背中からやまとを抱きしめていた。

 

やまとを抱きしめながら俺は受験合格祝いの帰りにやまとがみせた複雑な表情と何かを言いかけて何も言わずに立ち去ったあの時のやまとの態度を思い出し、それが今回の一件だったのだと理解した。

 

それと同時にそんな風に悩んでいるやまとに気付きもいなかった自分に腹を立てる。

 

そうこうしているうちに、しばらくして泣き止んだやまとは俺から体を離して俺とこうを見つめて

 

「ごめんなさい。みっともない所をみせたわね・・・。」

 

と言って謝罪した。

 

それを見たこうもやまとに対しての罪悪感を感じたのか

 

「やまと、私もごめん。あんたの事悩んでいたって事に気付いてやれなかった。友達失格だね・・・。」

 

自嘲気味に笑いながらやまとに声をかけるこうそれに対してやまとはフルフルと首を振り

 

「いいのよ。結局相談できなかった私の弱さが原因なんだし・・・。」

 

やまとも心なしか落ち込みながらこうに言う。

 

俺はそんな2人にかけるべき言葉をかけなければと思い、2人を責めないように気を配って話し始めた。

 

「やまと、相談できなかった事を俺は責めるつもりはないよ。ともあれ、よかったじゃないか。また俺達は3人集まれたみたいだしな。こう、やまとが悩んでいた事に気づけなかったのは俺も同罪だ。お前ばかりを責められるもんじゃない。やまと、少し驚いたがそれがお前の選んだ道なら俺は何も言わないさ。」

 

俺は笑って2人に自分の今思っている気持ちを伝えると2人は俺の言葉に少し驚いているようだったがやまとはそんな俺におそるおそる問い掛けてきた。

 

「私はここにいても、いいの?」

 

そう言って、不安げな表情を俺に向けてくる。

 

俺はそんなやまとを責められるはずもなく

 

「いまさら別の学校へ行けなんていえるか!それに、お前がそれを望むのなら好きにすればいい。俺はお前の気持ちを尊重する。」 

 

俺がそういうとこうも安心したような表情で

 

「先輩、やまとを許してくれるの?」

 

と聞いてきたので、俺はこうを安心させるため

 

「許すも許さないもないさ。この件は俺にだって罪があるわけだしな。まあ、こうなったら開き直ってまた3年間楽しむとしよう。」

 

俺は笑顔で2人にそう答える。

 

俺のその言葉に2人とも笑顔になって

 

「改めてよろしく。先輩。」

「先輩、また私達一緒にいられますね。」

 

そう言ってきた。

 

俺はその笑顔に安堵しつつ

 

「はは、そうだな。まったく・・・本当に腐れ縁だな。でもこういうのも悪くないか・・・。」

 

と、答えるのだった。そして、俺は2人と話をしつつも俺達以外の3人の気配に気付いていたので

 

「おーい、後ろの3人、隠れて見てないで出てこいよ?」

 

そう言って俺が声をかける。

 

すると、近くの茂みが不自然に揺れるのを俺は苦笑しつつ見ていたのだった。

 

かがみside

 

慶一くんがクラスメートに呼び出されて慶一くんを呼んでいる生徒のいる方に私は少し気になって視線を向ける。

 

そして、私以外に峰岸と日下部もそっちを気にしていたようで、どうしても慶一くんの動向が気になった私達はこっそりと慶一くんの様子を伺ってみる事にしたのだった。

 

そして、こっそりと慶一くんの様子を教室の出口付近で伺って見ると、そこには親しそうに慶一くんを呼び出したらしい女生徒と話す慶一くんの姿を見たのだった。

 

更にそのまま様子を伺っていた私達だったが、ふいにその女生徒は慶一くんの手を引いて慶一くんをどこかへと連れ出した。

 

どうしてもその動向が気になる私達は、悪いと思いつつもこっそりと慶一くん達の後を追ったのだった。

 

やがて星桜の樹の下までやって来た慶一くん達だったが、樹の下に辿り着くと、女生徒は慶一くんをその場に残して桜の樹の奥へと姿を消した。

 

少し待っていると、その女生徒はもう1人の女生徒を伴って現れた。

 

慶一くんはそのもう1人の女生徒を見るなり、驚愕の表情を浮かべていたが、やがて3人はそれぞれに辛そうな表情を見せながら何事かを話し始めたようだった。

 

その際に慶一くんがその女生徒をふいに抱きしめたり、もう1人の女生徒が慶一くんが抱きしめていた女生徒を反対側から抱きしめて泣いていたりと、そういった状況を見ていたのだが、何だかその状況を見た私は少しだけ面白くない気持を持ったのだった。

 

そんな気持に私は戸惑いを覚えていたが、一端その事を置いておきつつ私達は一通り話しを終えた3人の様子をなおもこっそりと伺う。

 

そうこうしているうちに慶一くん達にうっかり近づきすぎた事に気付かなかった私達は慶一くんの「おーい、後ろの3人、隠れて見てないで出てこいよ?」という言葉に思わずびくりとして3人で顔を見合わせて焦っていた。

 

「やばい・・・ばれた。」

 

そう言って焦る私に日下部もおろおろとしながら

 

「どうする?柊ー?」

 

と、私に判断をしろとでもいわんばかりの表情を見せる。

 

そんな日下部の言葉に峰岸も苦笑しながら

 

「どうするって、素直に出て行くしかないでしょう?」

 

私と日下部に峰岸はそう言うと、私は2人の顔を交互に見ながら

 

「・・・仕方ないわ。覚悟を決めましょ?」

 

と、2人に言うと、2人も覚悟を決めたのか私の顔を見て頷くのを見て、私は慶一くんの言葉に素直にその場に姿を見せる事にしたのだった。

 

慶一side

 

俺は先ほどから感じていた気配に恐らくあの3人だろうと当たりをつけて声をかけてみたが、茂みから出てきたのはやはり俺の思った通りの3人だった。

 

俺は、バツの悪そうな表情を浮かべて俺達の前に姿を現した3人を見て苦笑を浮かべつつ

 

「おいおい、こっそりと覗きとはあんまりいい趣味じゃないな?なあ、3人共?」

 

とニヤニヤしながら3人を追い詰める。

 

すると3人は縮こまって

 

「ご、ごめんなさい・・・。」

 

そう言って申し訳なさそうに謝るかがみ。

 

みさおもまた、俺に対して怯えたような顔で

 

「慶一、ゆるして?」

 

と、謝ってくる。

 

あやのも反省の色を滲ませながら

 

「悪気はなかったのよ。ごめんなさい・・・。」

 

と言うのを見て十分反省したと判断した俺は3人にニッと笑顔を見せると

 

「まあ、反省してるようだし、もういいよ。」

 

と、そう言って3人を許す事にした。

 

そんな様子を見ていたこうとやまとは俺に

 

「先輩、その人達は?」

「先輩の知り合い?」

 

と、そう問い掛けてきたので俺はこの3人にこうとやまとを、そして、2人にはかがみとみさお、あやのを紹介する事にした。

 

「こう、やまと、この3人は俺のクラスメートでかがみとみさおとあやのだ。今日友達になった。」

 

俺が3人の紹介をするとこうは少し驚いたような表情で

 

「先輩と同じクラスって事はこの人達も先輩なんですね?」

 

こうがそう言うとやまとも少し呆れたような顔で

 

「・・・友達、ね、意外と女性の友達多いのね、この前の泉先輩といい・・・。」

 

と、何となく睨みつけるように俺に視線を飛ばしてきた。

 

俺は努めて冷静に

 

「縁だけはなぜかある気がするよ。お前らといいかがみ達といい、な。でも言っておくがたまたまだからな?たまたま。」

 

俺が言い訳めいた事を言っていると、そんな俺達を見たかがみたちもまた2人に自己紹介を始めた。

 

「慶一くん、その娘達が慶一くんの話していた後輩なのね?私は柊かがみ、慶一君とはクラスメートよ。よろしくね。」

 

と言ってこうとやまとに手を差し出す。

 

それに続いてみさおやあやのも

 

「私は日下部みさお、慶一とは今日知り合ったばかりだけど仲良くしてるゼ?よろしくな。」

 

みさおもそう言いながら2人に手を差し出し、あやのも微笑みながら

 

「初めまして、私は峰岸あやの。私もみさちゃんと同じで今日慶ちゃんと会って仲良くなったの。私も2人とは仲良くなりたいわ。よろしくね?」

 

と、言って、同じように手を差し出した。

 

そんな3人にこうとやまともそれに応じる。

 

「八坂こうです。私も先輩達と仲良くしたいですからこれからもよろしく。あ、私の事は名前で呼んでくださいね?」

 

そう言ってこうは3人と握手を交わした。

 

そしてやまとも

 

「永森やまと。私の事も好きに呼んでくれてかまわないわ。」

 

そう言って手を差し出し握手を交わした。

 

そうやって握手を交わす中で後輩2人とかがみとみさおはお互いに心の中で密かに火花を散らしているのだが、今の俺にはそんな4人の胸中は知るよしもなかった。

 

こうして俺と共にいた旋律の2人とこの学校に来て知り合った3人の旋律は邂逅を果たす。

 

本来ならば俺の隣のクラスにいる3人の旋律達と、自分のクラスに居る3人の旋律達。

 

その中に必然的に加わる旋律は一つのはずだった。

 

しかし俺というイレギュラー要因が重なり、この旋律の中にもう一つの旋律が加わる事になった。

 

まさにこの時からが俺の〜変わる日常〜の始まりなのだった。

 

俺はこの場で交流を深めあう5人の旋律達を見ながら、これからの事に思いを馳せるのだった・・・・・・


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