らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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働く旋律達~パティのバイト確定と、慶一達の再びのバイト~

後輩達の校内案内と共に、俺達在校生組も学校の施設の再確認をするべく、施設を見て回った。

 

その中で、色々と俺達が知らなかった所も再確認ができたので、俺達は改めて俺達の通う学校の事を知ったのだった。

 

そして、その帰り道にパティが俺に言ったのは、お金が入用だという事で、アルバイトをしたいという事だった。

 

俺はそんなパティの頼みを聞いて、とある場所へのアルバイトを思いつく。

 

そして、その場所に連絡をしてみた所、一発で採用が決定し、面接という名の、契約をしに行く為に店長との約束をしたのだった。

 

そして、その日の朝・・・・・・。

 

「グッモーニン、ケイイチ。キョウのホウカゴはアルバイトサキへのアンナイをよろしくデスヨ?」

 

そう言ってくるパティに俺も頷きながら

 

「うん。とりあえず、俺も一緒に行って場所を教えなきゃいけない関係もあるしな。今日の帰りは校門前で待ち合わせようか。」

 

そう言うと、パティもいつもの笑顔で頷きながら

 

「リョウカイです。ホームルームがスんだらコウモンマエでマってますカラ。」

 

そう答えるパティに俺は

 

「ああ。よろしく頼む。終わり次第すぐ向かうからな。」

 

そう言う俺にパティも「ハイ!」と元気よく答えるのを見て俺も笑顔で応えたのだった。

 

そして、いつものように合流して俺達は学校へと辿り着く。

 

再度、パティと放課後の件の念押しをして、俺達はそれぞれの教室へと向かうのだった。

 

そして、その日の朝のHRでの事。

 

「あー・・・みんなも分かってると思うけどなー、そろそろ本格的に進路の事について考えていかなあかん。これから進路希望の用紙を配るから、よく考えて書き込むようになー。」

 

と言う黒井先生の言葉と共に進路希望用紙が配られ、俺達はそれを受け取って今後の進路について話す。

 

「うーん・・・進路かー・・・私まだどうするか考えてないやー・・・進学、するのかなあ?」

「・・・あんたは・・・もう3年生なんだからちゃんと進路考えないと駄目じゃない、まったく・・・。」

「わたしもどうしようかなあ・・・前にけいちゃんに貰ったアドバイスを参考にしてみようかなあ・・・。」

 

というつかさの言葉にかがみが

 

「ん?つかさ、慶一くんからどんなアドバイス貰ったのよ?」

 

と尋ねると、つかさは照れながら

 

「うん。実は私、お料理とか好きでしょ?だからそう言う方面で考えてみたらどうか、って言ってくれたんだよね~。」

 

そう答えるつかさにかがみとみゆきは

 

「へえ?確かにあんたにはそういうのって合うかもしれないわね。と、なると、調理師とかの学校に行くのもありじゃない?」

「家事が得意なつかささんらしい進路ですね。なるほど、慶一さんのアドバイスも中々良い所をついていますね。」

 

そう言うと、つかさも赤くなりながら「えへへ~。」と笑っていた。

 

そんなやり取りを見ながら俺はかがみとみゆきに

 

「かがみとみゆきはどうするか決めているのか?」

 

と尋ねると、2人とも頷いて

 

「うん。私は弁護士を目指そうと思ってるから法学部に進学希望かしらね。」

「私は医者にを目指したいので医学部希望ですね。」

 

そう言っていた。

 

俺はそんな2人の進路に感心しながら

 

「かがみ、弁護士とは中々かっこよさそうだな。みゆきもまさか医者希望とは思わなかったけど、それもお前らしいかもしれないな。」

 

そう言うと、2人とも顔を赤らめつつ照れながら

 

「・・・あはは、かっこいい、か。そんな弁護士になれるかな?」

「私らしい、ですか。そう言っていただけるのは嬉しいですね。」

 

と言う2人に俺は頷いて

 

「かがみならなれると思うよ。みゆきの白衣姿も見てみたい気もするな。」

 

そう言うと、ますます顔を赤くして照れていた。

 

そんな2人を見て微笑んでから俺は、さらに、あやのとみさおにも進路の事を聞いてみた。

 

「あやのとみさおはどうなんだ?具体的な進路って決まってるのか?」

 

そう尋ねてみると、その質問にまずみさおが答えた。

 

「私は走るのが好きだし、陸上をこれからも続けて行きたいって思ってっから、スポーツ推進の学校でもいいかなって思ってるゼ?」

 

そして、その後にあやのが答えようとしたのだが、みさおはあやのの代わりに

 

「あやのはお嫁さんだもんな。こんなかじゃすでに大体の進路が決まってるってなもんだゼ?」

 

そう答えると、あやのは途端に顔を真っ赤にして

 

「み、みさちゃんたら・・・もう、恥ずかしいじゃない・・・。」

 

かなり困ったような顔でそう言うあやのに他の皆が

 

「峰岸さんて乙女だねえ。」

「ちょっと、峰岸。あんたも大分夢見る人になってない?」

「でも、あこがれちゃうよね~。」

「私達にもいつかそういう日が来るのでしょうか・・・。」

 

そう言い、最後のみゆきの言葉にみさおが

 

「あやのの場合はかなり具体的な話だゼ?」

 

そう言うと、4人は一斉にあやのに詰めよって

 

「「「「そこのところを詳しく!!」」」」

 

と言うこなた達に苦笑を浮かべていた。

 

結局その時に、あやのがみさおのお兄さんと付き合っている事がばれる事となり、こなた達から羨望の眼差しで見られていた。

 

さらに、追記するならば、その後、勝手にその事をばらしてしまったみさおに、きついお仕置きがなされたとか・・・。

 

その後、数日はあやのを見るたびびくつくみさおを見ることになった。

 

そんな後日談はさておき、今度は俺がこなたに質問される事となった。

 

「うーん・・・かがみ達の事はわかったけどさ。慶一君はどうなの?進路って決まってる?」

 

そんなこなたの質問を皮切りに俺に注目する皆。

 

けれど、俺はまだこの時点では具体的な進路が決まっていなかった事もあり、皆に

 

「俺も、まだはっきりとは決まってないんだよな、けど、ここで見つけられないなら、大学行ってその中でやりたい事を探すのもいいかな?と思ってたりもするよ。」

 

俺の言葉に、皆はそれぞれ考えるような仕草になって

 

「慶一君も具体的にはまだ決めてないのかー・・・うーん・・・慶一君の言うように私も大学行ってやりたい事見つけるのがいいかな?今から焦ってもいいもの見つかりそうにないしねえ・・・。」

「一種の逃げ、みたいにも聞こえなくもないけど、でも、それもまた道かしらね?」

「焦らずにじっくりと、か~・・・。それも選択肢に入れてもいいかもしれないね~。」

「そうですね、私やかがみさんみたいに決まってないのだとしたら、それは1つの方法でもありますね。焦ればいい進路が見つかるかといえば、必ずしもそうとは言い切れませんね。」

「私は結婚が進路とは言ったけど、大学は行きたいなって思っているのよね。あの人も私が大学出るまで待ってくれるとも言ってくれたから・・・。」

「私ももう少し学生はやりてえかなー・・・。なんだか、まだまだ学ぶ事がありそうな気がすんだよな。」

 

そんな皆に俺は

 

「進路を決めるのも目標を定めるのも人それぞれかもだな。それと、かがみ。お前の言う事も否定はしないよ。結局は今の段階で俺自身がやりたい事が見つかってないのは事実だしな。」

 

そう言う俺に、かがみは複雑そうな表情を見せて、それ以外のメンバーは、人それぞれという俺の言葉に頷いていた。

 

とりあえずは、進路の提出期限はまだまだあるので、じっくり考えてみよう、という事で落ち着いたのだった。

 

そして、その日の昼休みの事。

 

今日からは俺達の中に若瀬さんも加わってのお昼となった。

 

昨日の俺の言葉を聞いて考えてくれた若瀬さんは、思い切って俺達の中に飛び込んでみようと思ったらしい。

 

そんな若瀬さんをからかうこなたにツッコミを入れるかがみの姿を皆で苦笑しつつ見ていたが、ふいにこなたが俺に

 

「あ、そうだ。ねえ、慶一君。今日は放課後暇かな?」

 

そう聞いて来たので、俺はこなたに

 

「ん?突然どうした?こなた。」

 

そう聞くと、こなたは

 

「今日暇だったら遊びに行こうよ、って思ってさ。ここの所遊びに行ったりしてないじゃん?」

 

そう言ってくるこなたに俺は、すまなそうな表情を向けて

 

「そういやそうだな・・・でも、すまん、こなた。今日はちょっと用事があってな。」

 

そう言うと、さらにそれに補足するようにパティも

 

「そうなのデス。キョウはワタシのバイトサキのメンセツのタメにケイイチにはミチアンナイをタノムのですヨ。」

 

そう説明すると、こなたは興味深そうな顔で

 

「そうなのかー・・・でも、パティ、バイトするんだ?それってどこでやるの?」

 

そう尋ねるこなたに俺は笑いながら

 

「はは。俺達もバイトした事のある場所で、だよ。昨日店長に連絡取ってみたら引き受けてくれるとの事だからな。」

 

そう言うとこなたは

 

「なんと、あそこでバイトする事になるなんてね・・・という事は、あの店に行くんだね?だったら私も付き合うよ。面接の帰りにでもゲーセンとか寄って行こうよ。」

 

そう言うと、俺は少し複雑な表情で

 

「うーん・・・でも、いいのか?こなた。色々寄ったりは面接の後じゃないと無理だぞ?俺もパティを待っていてやらなきゃならないしな。」

 

そう言うと、こなたは自分の胸をぽんと叩いて

 

「大丈夫だよ。その間はその店で色々時間つぶししてればいいんだしさー。だから、私もついていってもいいよね?」

 

というこなたに俺も軽いため息を1つつくと

 

「まあ、こなたがそれでいいと言うのなら構わないけどさ。んじゃ、放課後にパティと待ち合わせるから一緒に行くとするか。」

 

そう言うと、こなたも

 

「おっけー。それじゃ放課後に、だね?」

 

そう言うこなたに俺も頷きで答える。

 

すると、そんな話を聞いていた他の皆も

 

「ねえ、慶一くん。あんた達だけで話進めてるみたいだけどさ、私たちの事忘れてんじゃないの?」

「けいちゃん達が遊びに行くのならわたしも行きたいな~。」

「私もご一緒したいですが、今日は委員会がありますし・・・残念です。」

「私も久々に店長さんにご挨拶してこようかしら?」

「去年は私ら、あそこで頑張ったもんなー。」

「そうですね。思い出してみても楽しいバイトでしたよ。あ、先輩。私も一緒に行ってもいいですか?」

「こう、あんたも行くつもり?しょうがないわね・・・先輩、私も一緒に行くわ。」

 

と言う皆に俺は

 

「行くつもりなら、俺は構わないけどな。みゆき、また予定が合う時には一緒に行こうか。」

 

そう言うと、行きたいメンバーの面々はうんうんと頷いていた。

 

そんな俺達の様子をみていたゆたか達が

 

「先輩、去年はアルバイトしてたんですか?」

「・・・あ・・・それじゃ、あの時のプレゼントは先輩がアルバイトして作ったお金で買ったのですか・・・?」

「先輩がそんな事をやっていたなんて気付きもしなかったっスね。なら、あの時貰ったプレゼントはますます大切にしないと・・・。」

「アルバイト、ですか・・・私も少し考えてみようかな・・・。」

 

そう言う後輩達の言葉に俺は照れながら

 

「まあ、そういう事かな。でも、俺がやりたくてやった事だし、プレゼントの事は気にしなくていいんだぞ?それと、若瀬さん。そこらへんの所はこれからゆっくり考えればいいと思うよ?まだまだ時間はあるんだしね。俺達と違ってさ。」

 

そう声をかけると、ゆたか達は嬉しそうな顔をして、若瀬さんも俺の言った事を反芻して考え込んでいるようだった。

 

結局あの後、ゆたか達も俺達のバイトした所を見てみたいとの事で、みんなして秋葉へと行く事になったのだった。

 

そして、放課後、俺達はパティとの約束どおりに校門前に集合していた。

 

「お待たせ、パティ。これで全員かな?それじゃ早速出発と行くか。」

 

そう言って、先に来ていたパティに声をかけると

 

「リョウカイデス。ケイイチ、しっかりとアンナイをよろしくデス。」

 

俺はそんなパティの言葉に頷くと皆にも

 

「おっし、それじゃみんな、早速行くとしよう。」

 

そう声をかけると、俺の言葉に皆も頷いて早速駅へと移動を開始する俺達だった。

 

そして、秋葉に向かう車内で俺達は軽くやり取りを交わした。

 

「そういえば慶一君のバイトのきっかけってなんだったんだっけ?」

 

そうこなたが訊ねて来たので、俺はそのきっかけを思い出しながら

 

「それは、去年の10月頃に俺にとっても皆にとってもちょっと嫌な事件があったよな?その時に皆に世話になって、そんな皆に何かお礼をしたかった俺が、お前らに色々奢ると言った事だな。あの時に相当散財しちゃってて、ちょっと苦しくなってたってのもある。後はまあ・・・クリスマスプレゼントを用意する為、かな?」

 

そう言うと、こなたもその時の事を思い出しながら

 

「そっかー・・・あの時からだったんだね・・・まあ、あの時は私達も結局君の好意に甘えちゃったもんね。」

 

そうこなたが言うと、かがみ達もまたその時を思い出しつつ

 

「そうね・・・考えてみたら、ケーキバイキングは私たちのせいかもしれないわよね・・・。」

「わたしはその時はもうけいちゃんに別のところで奢ってもらってたからいなかったんだっけ。」

「そういえばあの時は妹ちゃんの姿はなかったわね。」

「それに、その後は慶一の実家の方でもまた奢ってもらう事になっちゃったもんなー。」

「確かに、あの時は私達も結局先輩のご好意に甘えてしまいましたね。私達はそれが一回目ではありましたが、泉先輩達はあの時には2回目だったんですね?」

「なるほどね・・・それじゃ流石の先輩も財政難はまぬがれないわね・・・。」

「その事が分かってたら私も遠慮したかもしれないですね。」

「・・・先輩は、何も言わなかったから・・・私も先輩の好意を無にはできませんでしたし・・・。」

「そういう事っスか・・・これは私も先輩に何かお返しした方がいいのかもしれませんねえ・・・。」

「ケイイチはクロウしているのですネ・・・。」

「私は皆さんとは係わっていませんでしたが、そんな事があったんですね・・・。」

 

そう言っていたが、最後のひよりの言葉に俺は笑いながら

 

「ひより、それも俺がしたいと思ってやったことだ。お返しなんか考えなくてもいいよ。そうでなくても俺にはもう十分過ぎるほどの見返りはもらってるんだからな。」

 

その言葉にいまいち事情が飲み込めない若瀬さん以外は嬉しそうに笑ってくれた。

 

そして、そんな俺にこなたは

 

「まあ、そうでなくても私達も慶一君にはもうずいぶんと良くしてもらってるよね。私達の絆も仲間も慶一君がくれたようなもんだしね。」

 

そう言うと、みんなもまた、そのこなたの言葉に頷いてた。

 

俺はそんな皆の姿を嬉しそうな顔で見ていた。

 

そんな俺達に若瀬さんは

 

「・・・みなさん、本当にいい仲間なんですね。なんだか羨ましいですよ。」

 

そう言う若瀬さんに俺は笑いながら

 

「何言ってるんだよ。俺達と係わりを持ったなら、君だって俺達の仲間のようなものだぞ?それにここにいる皆も君の事は仲間だと認めてくれるはずさ。」

 

そんな俺の言葉に他の皆は、少し呆れるようなため息をつきつつも

 

「まあ、慶一君の言う通りだね。私達と係わったなら、もう仲間って言えるよ。」

「結局私達もそんな風にして集まったのよね。」

「そうだね~。もうわたし達はお友達だよ?」

「そうね。私も歓迎よ?人の輪が広がるのは嬉しい事だしね。」

「結局はあいつが引っ張って来たよな。まあ、悪くはねえけどな。」

「やっぱり先輩には人を惹きつける何かがある気がしますね。」

「別名、お人好しともいうけどね・・・。」

「あはは。でも、私もそのおかげでみなみちゃんや田村さんと会えたんだもんね。」

「・・・私も、ゆたかや田村さんに会えたのも先輩のおかげだと思います・・・。」

「私はこうちゃん先輩や山辺先輩、毒島先輩とも仲良くなれましたし、小早川さん達以外の人は私にとっても予想外の事でしたよ。」

「ワタシはケイイチのイエにキタヒからミンナとデアイましたネ。あっというマにフレンドがデキタのもケイイチのオカゲだとオモッテいますヨ?」

 

そして最後に俺が若瀬さんに

 

「・・・まあ、こういう訳さ。ちょっと照れくさいけどね。だから、君さえよければだけど、俺達の仲間になってみないか?」

 

そう薦めると、若瀬さんは俺達を見回して少し考えたあと

 

「・・・私なんかでよければよろしくお願いします。」

 

おずおずとそう言う若瀬さんに、俺達は満面の笑顔で頷くと

 

「ようこそ、若瀬さん。今日から君も俺達の仲間だ。」

 

そう言うと、若瀬さんも嬉しそうな笑顔で

 

「はい!これから色々あるかと思いますが、皆さんどうぞよろしくお願いします。」

 

そう言って頭を下げる若瀬さんに俺達は、にこにことしながら頷いたのだった。

 

そして、俺達は秋葉へと辿り着く。

 

早速、俺達は前にバイトをしたア○メ○トを目指した。

 

ぞろぞろと連れ立ってア○メ○トヘ向かう途中に、なんだかつかさに寄ってくる妙な連中がいた。

 

「あ、あの、1枚写真、いいですか?」

「まさかここで神○あ○りのコスプレに出会えるとは思ってなかったなー。」

「ひ、ひ○ゆきちゃんって言って見てください!」

 

最後の男の言葉に思わず声を発しそうになるつかさに、かがみが庇うように立ちはだかって

 

「なんなのよ!あんたたち!うちの妹は見世物じゃないわよ!あっちへ行きなさい!!」

 

そう言うのだが、男達はなおもしつこくつかさの写真を撮ろうと寄って来る。

 

そんな様子を、こなたと俺以外の面々ははらはらしながら見ていたが、こなたは俺に

 

「・・・慶一君、よろしくー。」

 

そう言って来たので、俺は軽いため息をつきながらも、つかさ達を守る為に連中の前へと歩いていった。

 

そして、連中の前に立ちはだかると、途端に正面から俺を見るものには恐怖を感じさせるほどのオーラを出して

 

「なあ、あの子も嫌がってるからさ、自重してくれないかな?俺も出来れば実力行使だけはしたくないからさあ。」

 

にこやかに、けれど、とてつもない恐怖を纏わせて俺は連中にそう話し掛けると、俺の気を浴びてすっかりすくみあがった連中が、ひたすら謝り倒しながら俺達の前から去って行った。

 

そして、危機が去った事を確認したかがみ達が俺に

 

「あ、ありがとう、慶一君。おかげで助かったわ。」

「ご、ごめんね?けいちゃん・・・それに、ありがとう。」

 

そう言う2人に俺もオーラを静めると、2人に向き直って

 

「この位は大した事ないさ。何にしても、無事でよかった。」

 

そう言うと、2人とも笑顔を見せて頷いてくれたのだった。

 

そして、かがみ達は少しだけ緊張の面持ちで、こなた達の方へ行って何事かを話していたのだった。

 

こなたside

 

つかさが厄介なカメラ小僧達に捕まってしまい、かがみもつかさを助けようとつかさを庇う為に向かったのだが、それでもひるまないカメラ小僧にいらついた私は、慶一君に2人を助けて来て欲しいと頼んだ。

 

そんな私の言葉に軽いため息を1つつきながらも、2人を助けに行く慶一君を見送ったのだけど、そこで慶一君がカメラ小僧に見せた物は、遠目から見ている私たちですら恐怖に飲み込まれるものだった。

 

慶一君はカメラ小僧の前に立つと、一言二言何かを言った後、それを感じるものが萎縮してしまうほどの殺意の篭ったオーラを発したのだった。

 

その状況に思わず言葉をなくす私達。

 

そして、カメラ小僧達もその殺気を感じて、慌ててその場から逃げ出してしまったのだった。

 

殺意のオーラを収めてかがみ達に声をかける慶一君を見て、私達も顔を見合わせて苦笑していた。

 

そして、かがみ達が私達の所へ戻って来ると、私はそんなかがみ達に声をかけたのだった。

 

「いやあ、災難だったね、かがみ、つかさ。」

「まったくよ・・・いきなり写真撮影されるとか驚いたわよ。」

「わたしもびっくりしたし、怖かったよ・・・。」

「でも、おかしな事にならなくてよかったわよね?柊ちゃん、妹ちゃん。」

 

その峰岸さんの言葉に2人とも苦笑しながら

 

「まあね・・・慶一くんのおかげで助かったわ。」

「あはは。どうなるかと思ったよ~。」

 

そして、そんな2人を見ながらみさきち達も

 

「柊はともかく、妹の方は、ああいう連中にもはっきりと嫌とは言えなさそうだもんなあ・・・。」

「まあ、どこにでもマナーのなってない奴はいるって事ですね。」

「こう?あなたは大丈夫なんでしょうね?」

「だ、大丈夫だよ、やまと。私はああいう連中は許せない性質だし。」

 

永森さんの言葉に慌てつつもそう言う八坂さん。

 

「この町には色々な人達がいるんだねー・・・。」

「・・・ゆたかも気をつけないとね・・・。」

「ゆーちゃんなら、みなりんがいるから大丈夫っスよ。」

「ミナミはユタカのガードですからネ!」

「確かに岩崎さんは小早川さんの事は大事に思っているみたいね。」

 

最後の若瀬さんの言葉に顔を赤くするみなみちゃんを見て私は、いまだ周囲を警戒している慶一君を見ながら皆に

 

「・・・それはともかく、皆。さっきの慶一君から発せられたオーラを感じたよね?」

 

その言葉にかがみ達はびくりとなりながら

 

「・・・真後ろにいたけど、感じたわ・・・。」

「あ、あはは・・・わたしも・・・。」

「・・・すごく、怖かったわね・・・。」

「・・・さっきのあいつの前に立ったら気絶できるんじゃねえか?」

「あんな殺気は・・・初めて感じましたねえ・・・。」

「あの気配が静まるまでは冷や汗が止まらなかったわ・・・。」

「私も震えがとまりませんでした・・・。」

「・・・私も、鳥肌が立っていました・・・。」

「あのオーラを見せられて正面に立つ勇気なんてないっスよ・・・。」

「ほぼマチガイなく、イシキはトブでショウ・・・。」

「・・・先輩って、凄いんですね・・・。」

 

最後の若瀬さんの台詞に頷きながら私は皆に

 

「今後は慶一君を本気で怒らせるのは自重しよう・・・。」

 

そう言うと、みんなもこくこくと激しく頷いていたのだった。

 

そんな事を話しているとも知らない慶一君は、周囲がもう安全だと分かると、私達の方へ戻ってきたので、私達は慶一君をぎこちない笑顔で迎えたのだった。

 

慶一side

 

つかさにちょっかいを出すカメラ小僧を追い払ってから、俺は周囲を警戒しつつ、こなた達の所へ戻ったのだが、何故かこなた達はぎこちない笑顔で俺を迎えてくれた。

 

俺は、そんなこなた達を頭にハテナマークを飛ばしながら首を傾げて見ていたのだった。

 

そして、再び合流した俺達はア○メ○トを目指す。

 

程なくして店に着いた俺達は、合流場所を決めておいて散開した。

 

俺とパティは店員さんにアルバイトの件で尋ねて来たことを伝えると、店員さんはすぐに店長を呼びに行ってくれた。

 

そして、物凄い勢いで俺達の前に現れる店長に俺は、久々の挨拶をするのだった。

 

「お久しぶりです。店長。今回は無理を聞いていただいてありがとうございます。」

 

そう挨拶をすると、店長も豪快な笑顔で

 

「おお!良く来てくれたな、伝説の少年Aよ。うむ、だいたいの話は聞いている。さあ、奥へと来るがいい!」

 

そう言う店長に俺達も頷いて、俺はパティを連れてスタッフ控え室へと赴いた。

 

そこで、俺の見守る中でパティの面接、という名の契約が始まったので俺はその様子を見ていた。

 

「君が伝説の少年Aの関係者であるパトリシア君だな?改めて聞こう。ここで働く気はあるかね?」

 

そう尋ねると、パティは満面の笑顔で店長に

 

「トウゼンですヨ!?そのタメにここにやってきまシタ!アニメテンチョウはワタシをヤトってクダサイますよネ!?」

 

そう言うと、店長は大きく頷いて

 

「うむ!君のやる気が気に入った!君をここで雇おうじゃないか!それでは、君の都合とシフトの話をするとしよう、まずは・・・・・・。」

 

そうやってパティの都合にあわせたシフトや時間帯が決められて行く。

 

パティも真剣にそれを決めていた。

 

そして、あらかた話しが終わった頃、店長は俺に

 

「うむ!この子は私が責任を持って預からせてもらおう!時に、少年Aよ!君は再びここでバイトをする気はないかね!?」

 

そう言ってくる店長に俺は

 

「声をかけて下さるのはありがたいですが、俺も今年は受験に備えなければなりませんからね。あまり時間も取れそうにはないですよ。」

 

そう言うと、店長は少し考えるような仕草を見せて

 

「なるほど、確かにそれは大事な事だな。君の事情は理解した。ならば、パティ君と同じように週3でどうかね?」

 

そう言う店長に俺は呆れつつ

 

「あの、さっきの俺の話を聞いていましたか?受験があるから時間は取れないと言いましたが。」

 

その言葉に店長は腕組みをしながら俺に

 

「その事情はわかっている。しかしだな、聞く所によれば、君はパティ君をホームステイとして預かっているそうじゃないか。週3のバイトとはいえ、彼女を1人きりでバイト先に行き来させるのはよくないのではないかね?もしも何かがあった場合、彼女1人きりではなにもできまい。だが、君がいるならば、もしもの時でも何らかの対処は可能なはずだ。彼女の身の安全の為にも一緒に行き来してやるのが、他人の娘さんを預かる君の責任であると思うがどうだ?」

 

そう言われてしまうと、俺には何も言えなかった。

 

確かにこのままパティ1人きりで通わせるというのは、やはり店長の言う通り少し心配だ。

 

俺は少し悩んでいたが、パティの事を考える為に

 

「・・・確かにその通りですね。わかりました。パティと同じシフトでならお受けします。」

 

そう言うと、パティも満面の笑顔になり、店長もまた満足そうにうんうんと頷いて

 

「サンキューネ!ケイイチ!ワタシのコトをシンパイしてくれるケイイチのキモチはアリガタイですヨ!?」

「よくぞ言った。それでこそ、男だ!よろしい。では来週より、パトリシア君と共に来てくれたまえ!」

 

そう言う2人に俺は照れながら

 

「まあ、俺もお前を預かる身であるからな。そうなった以上は俺にも責任があるという事だ。それと、店長。了解しました。来週からよろしくお願いします。」

 

そう言うと、俺もまた、バイトの契約書へとサインをするのだった。

 

そして、一通りの契約を済ませた俺達は、こなた達と合流する為に集合場所へと向かった。

 

その際に、(店長に上手く乗せられちゃったかな?でも、仕方ないか・・・。)そう考えつつ集合場所に行くと、用事を済ませた面々が俺達を待っていた。

 

「皆、お待たせ。とりあえず俺達の用は済んだぞ?」

 

そう言うと、みんなも「「「「「「「「「「「おかえりー」」」」」」」」」」」と言って俺達を出迎えてくれた。

 

そして、パティのバイト確定と共に俺もバイトをやる事になった事を皆に話すと、パティを含む1年生組以外は何事かを考え込んでいたようだったが、ふいに顔を上げると俺に

 

「慶一君、ちょっとここで待っててくれる?」

 

こなたがそう言うと共に店の奥へと走って行った。

 

それを見たかがみ達もまた、こなたの後を追って店の奥へと向かって行ったのだった。

 

結局、その後、皆も店長の所へ面接をしてもらいに行ったらしい。

 

皆の帰ってくるまでの間、俺達はとりあえず店を回っていたのだが、1年生組以外の全員の面接が終わるのを待っていたら、ゲーセンによる時間がなくなってしまった。

 

皆が戻って来た時にはみんなもまた満面の笑顔を向けて

 

「私達もバイトが決まったよー。また皆で楽しくやろうねー。」

「慶一くん達と同じく週3でやることにしたから、またよろしくね?」

「頑張っていくよ~。またみんなでね。」

「またここでバイトする事になるとは思わなかったけど、また楽しんでいけそうね。」

「おーし、いっちょやろうゼ?小遣い稼いでおけば後で便利だしなー。」

「今年は入用ですから、助かりましたよ。部の発展の為の資料もこれで買い込めますね。」

「今年は誕生日会でのプレゼントも多くなりそうだしね。ここで稼いでおくわ。」

 

そう言う皆に、俺は苦笑して、パティは満面の笑顔になって

 

「結局、こうなったか・・・まあ、仕方ないな。やるからには頑張ろう。」

「ミナさんはワタシのセンパイとなるワケですネ?イロイロごシドウをヨロシクデスヨ?」

 

そう言うと、みんなもまた気合を入れていたようだった。

 

そして、そんな俺達を見るゆたか達の顔は、なんだか羨ましそうに見えたのだった。

 

結局またやる事になってしまったバイト。

 

その後にこの話を知ったみゆきもまた、バイトの面接にやってきて俺達の仲間に加わる事になった。

 

俺は、やれやれと思いつつも、今しばらくはこの状況を楽しんでみるか、と思うのだった。

 


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