らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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3年生編 第1章 旋律達の出会い偏 第2部
新たな始まりの旋律達~始まる1年、加わる仲間達~


2年生最後の旅行を終えて、旅行中に起きたこなた達遭難事件の際に出会ったかなたさんへのお礼をするためにお墓参りをした俺達。

 

様々な思いを胸に、俺達はこの1年間を終えた。

 

そして、新たな思いと、これからの生活に思いを馳せて、俺は新たな1年の始まりの日を迎えたのだった。

 

パティには今日の日に寝坊されても困ると思った俺は、アニメやゲームは程々にしておけと釘をさしておいたのだが、なんだかそれでも不安になった俺は、一応パティを起こそうと思い、部屋へと訪れたのだった。

 

パティの部屋の前に着いた俺は、ドアをノックしながら声をかけてみる。

 

「おーい!パティ、そろそろ起きておかないと学校に間に合わないぞー!?」

 

そう言って少し様子を見るためにその場で待っていると、部屋のドアが開いてすでに着替えも済ませたパティが現れた。

 

「グッモーニン、ケイイチ!キョウからシンガッキですネ。アタラしいセイカツ、ガンバっていきまショウ!」

 

そう言って満面の笑顔を見せるパティを見て、俺も笑顔で返しつつ

 

「ん。初日にちゃんと起きれたならえらいぞ?パティ。そうだな。今日からまた新しい1年のスタートだな、もっとも、俺にとっては高校生としての最後の1年だけどな。」

 

そう言う俺に、パティは少しだけ寂しそうな表情を見せながら

 

「ケイイチにとってはそうなんでしたネ・・・。セッカクケイイチとデアって、ミンナともデアって、これからもっとタノシイコトしたいとオモイましたが、アトイチネンしかイッショにスゴせないのはスコしだけサビしいですネ・・・。」

 

そんなパティの頭に手をぽんと乗せると

 

「それも仕方のない事さ。俺の方がお前よりも少しだけ早く生まれたからこそこうなったんだ。これもまた運命という奴さ。でもな?確かに学校は後1年しか居られないが、俺達自身の付き合いはその後もずっと続いていく、そう思ってるからな。だから、寂しくなんかないさ。それともパティは俺達との付き合いを後1年で終わらせたいか?」

 

俺の言葉にパティは首を振って

 

「オワらせたくはアリマセンですヨ?そんなのはトーゼンデース!」

 

そう答えるパティに俺は頷いて

 

「なら、寂しいと思う必要はないよ。俺達ならずっと、固い絆で繋がっているんだからな。それがわかったなら、飯にしよう。」

 

そう言うと、パティも満面の笑みで頷いてくれたのだった。

 

そして、俺達は朝食を済ませて、余裕の時間をもって家を出る。

 

「いってきまーす!!」

「イッテキマース!!」

 

2人してそう言うと、俺達は意気揚揚と家を出たのだった。

 

そして、いつもの電車、いつもの時間でかがみとつかさ、こなたと合流する。

 

「おはよう、かがみ、つかさ、こなた。今日からまた新しい1年だな。今年も色々あると思うけど、よろしくな?」

「グッモーニン!カガミ、ツカサ、コナタ!キョウからヨロシクデス!!」

「おはようー。慶一君、かがみ、つかさ、パティ。今日からまた1年よろしくね?」

「おはよう、慶一くん、こなた、パトリシアさん。今日からよろしく。」

「おはよう~、けいちゃん、こなちゃん、パトリシアさん。わたしこそよろしくね~?」

 

そうやって挨拶を交わした俺達は、初日から雑談をしつつ、学校へと向かったのだった。

 

「おはようございます。慶一さん、泉さん、かがみさん、つかささん、パトリシアさん。今日からまた1年間よろしくお願いしますね?」

「おはよう、慶ちゃん、泉ちゃん、柊ちゃん、妹ちゃん、パトリシアさん。」

「おはよー、慶一、ちびっ子、柊、柊妹、パトリシア。」

「おはようございます、先輩達、それとパティ。」

「おはよう、先輩達、パトリシアさん。」

 

俺達を校門の前で待っていてくれた5人が俺達に挨拶をしてくれた。

 

俺はみゆき達に

 

「おはよう、みゆき、あやの、みさお、こう、やまと。今日からまたよろしくな?」

 

俺の挨拶を受けて笑顔で応える皆、その挨拶を皮切りに他の皆も挨拶を交わしていた。

 

そして、そんな様子を見ながら俺は桜の舞散る校庭に目をやった。

 

俺は1つ深呼吸をした後、ゆっくりとクラス分けの掲示板があるところへと歩き始める。

 

そして、そんな俺について来る皆を横目に見ながら俺は、1年前のあの日の事を思い出していた。

 

あの時の俺と今の俺とでは違う所がある。

 

1つは、あの時俺はクラス分けの掲示板を見に行った時1人きりだったが、今の俺には俺の周りを囲んで楽しく話しているこなた達が居る事。

 

そして、2つ目はあの時には本来ならこの学校に来るはずのなかったやまとが、今この場で皆と一緒にいるという事。

 

3つ目は、俺とこなた達の関係は、もう、知り合い程度の間柄ではなくなっていて、固い絆で繋がった仲間になっているという事。

 

そして、最後の1つは、期せずしてこの学校へと受験をする事になり、見事に合格を果たした新たな仲間達がこの学校へ来るという事、だった。

 

俺は、そんな1年前の事を懐かしく思いながら、そして、これから始まる新しい学校生活の事に思いを巡らせながら掲示板の近くまでやってきた。

 

そして、まずは俺自身が自分のクラスを確かめに行く。

 

クラスを確かめて見ると、俺は3年B組に在籍されていた。

 

俺が自分のクラスを確かめて戻って来ると、こなたが俺に

 

「ねえねえ、慶一くん。今年はクラスはどうだったの?」

 

そう訊ねて来たので、俺は今確かめてきたクラスをこなたに報告すると、こなたは

 

「そっかー・・・私も、今度は一緒のクラスになりたいよ。ちょっと私も確認しにいってみるね?」

 

そう言ってこなたは、自分のクラスを確認する為に掲示板の人だかりを掻き分けてクラス分けを見に行ったのだった。

 

そして、自分のクラスを確認し終わったこなたは俺達の所へ戻って来て

 

「やったー!今年は慶一君と一緒だよー!!今年は退屈しないで済みそうだよ!!」

 

少々興奮気味で言うこなたに俺は笑みを浮かべて

 

「そっか。それならよかったな。今年は一緒のクラスで頑張るか。」

 

そう言うと、こなたも満面の笑顔で頷いてくれた。

 

そして、それを聞いたと同時に俺は、(あの時に校長とした約束は一応果たされているみたいだな)と心の中で思っていた。

 

その後は、みゆきとつかさも自分のクラスを確認しに行って、戻ってきた2人はとても嬉しそうに

 

「今年はけいちゃんと一緒だね。なんだか嬉しいな~。」

「私も一緒のクラスでした。慶一さん、今年はよろしくお願いしますね?」

 

と言う2人に俺も笑顔で頷いて

 

「ああ、こちらこそよろしくな、2人とも。楽しい1年にしようぜ?」

 

そう言うと2人とも笑顔で頷いてくれた。

 

その後、みゆきが俺に小声で

 

『慶一さん、あの時の約束は一応果たされているみたいですね?』

 

そう囁きかけてきたので俺も小声で

 

『うん。今の所はそうみたいだ。だが、まだ結果の出ていない3人が残ってる。それを確認するまでは安心できないぞ?』

 

そう告げると、みゆきは少し不安げに、かがみとあやのとみさおの方を見ていたのだった。

 

そして、あやのとみさおもクラスの確認に行って来て、戻ってくるなり興奮気味に

 

「信じられない!私も慶ちゃん達と一緒のクラスだったわ!よかったー、本当に。」

「私も慶一やあやの達と一緒だ!すっげー!こんな偶然あるんだなあ!!」

 

という言葉を聞いて俺とみゆきは内心ほっとしつつ

 

「良かったな、2人とも。今年1年よろしく頼むぜ?」

「お2人とも、今年1年間よろしくお願いしますね。」

 

そう言うと、2人とも満面の笑顔で頷いてくれたのだった。

 

そして、俺は、掲示板の前にまだ行ってない奴が1人残っているのに気付いた。

 

俺はそいつの側に行って

 

「かがみ。後はお前だけだぞ?確認しなきゃならないのは。それと、覚えてるか?元旦に俺とした賭けの事をさ。」

 

そんな俺の言葉に俯きながらビクリと反応するかがみは

 

「・・・わ、わかってるわよ・・・い、今から確かめに行こうとしてるんだから、余計なプレッシャーかけないでよ・・・。」

 

少し弱気なかがみが俺にそう言うと俺は苦笑しながら

 

「はは、すまんすまん。でも、確認してこないといつまで経っても自分のクラスが分からずじまいだぞ?」

 

そう言う俺に、かがみはさらに不安を募らせたようで

 

「わ、わかってるってばっ!だから、プ、プレッシャーかけないでよ、お願いだから・・・。」

 

ますます弱気になるかがみに俺は、やれやれとジェスチャーをすると、かがみの動向を見守ったのだった。

 

そして、ようやく心を決めたのか、かがみはクラス分けの掲示板の所へと歩き始めた。

 

俺達は緊張の面持ちでその様子を伺う。

 

そして、覚悟を決めてかがみは掲示板を凝視したようだった。

 

かがみside

 

ついにやってきてしまったクラス分け発表の日。

 

慶一くんとの賭けの事も会ったのだけど、それ以上に自分が、今年は皆と一緒のクラスになれるのかどうか、その事が気になって仕方なかった。

 

私と、2年生組み以外の全員がクラス分けを確認し終わり、私以外の3年生組が同じクラスとなっていた。

 

残るは私1人、それを考えた時物凄いプレッシャーを感じていた。

 

そして、そんな私の心の葛藤に気付かない慶一くんは、私に賭けの事について確認をしてきたのを受けて、さらに緊張が高まってしまうのを感じていた。

 

私は心の中で

 

(うう・・・緊張してきた・・・もし・・・もし私だけ違うクラスだったらどうしよう・・・そんなの・・・嫌だな・・・私も皆と一緒がいいよ・・・怖い・・・見るのが怖いよ・・・神様、どうか・・・どうか私を皆と一緒のクラスに・・・お願いします・・・。)

 

そう神様に祈ると、私は意を決して掲示板を見に行くのだった。

 

そして、壊れそうなくらい大きく心臓がドキドキいう中で、私は掲示板を見上げて自分の名前を探した。

 

(A組にはなし、B組・・・・・・あっ!え!?見、見間違いじゃ、ないよね?もう1度・・・あ、ある・・・やっぱり、ある・・・間違いない・・・私も、私もB組だ・・・嘘じゃないよね・・・?夢じゃないよね・・・?)

 

そう考えた後私はおもむろに自分の頬をつねってみる。

 

「痛い!」

 

私に走る痛みがそれが嘘や冗談や夢じゃない事を物語っていた。

 

(夢じゃない!本当に・・・本当に私は・・・皆と・・・皆と同じクラスになれたのね・・・。)

 

クラスを確認した私は、半ば放心状態でみんなの元へと戻って行くのだった。

 

慶一side

 

クラスを確認するかがみが掲示板を見上げた後、自分の頬をつねっているのが見えた。

 

俺はその様子を見て、校長の約束がちゃんと果たされたのだという事を改めて思いながら、ほっと胸をなでおろしていた。

 

そして、少し放心状態ながらも俺達の側に戻ってきたかがみに俺は

 

「かがみ、結果はどうだったんだ?」

 

そう尋ねると、かがみはピクリと反応して俺の顔を見つめると、急に涙を流し始めて

 

「・・・ったの・・・私の名前が・・・うっく・・・B組に・・・ひっく・・・あったのよ・・・あったのー!!」

 

そう言った瞬間、かがみが俺の胸に飛び込んできて泣き始めたのだった。

 

俺は、おろおろとしつつもこの結果にほっとして、泣きじゃくるかがみを黙って受け止めつつ、みゆきと顔を見合わせて笑いあったのだった。

 

そして、そんなかがみの様子を見てこなた達も

 

「よかったねー、かがみん。今年は皆一緒だー。」

「おねえちゃん、よかったね。わたしも嬉しいよ~。」

「今年は皆と一緒に過ごせるのですね?私もとても嬉しいです。」

「皆一緒で過ごす1年、楽しくなりそうね。」

「これで今年はどうどうと柊をちびっ子に独占させずに過ごせそうだゼー!」

 

その言葉に鋭く反応したこなたは、みさおにくってかかっていた。

 

「おーっと、そうはいかないよ?みさきち。かがみはうちのだっていうのは変わってないからね?」

 

それに負けじとみさおも

 

「そう言っていられるのも今のうちだゼー?今年はチャンスは毎日あるようなものなんだかんな?ちびっ子の好きにはさせねえぞ?」

 

そして、そんな2人に何時の間にか復活したかがみが

 

「おまえらだまれ!私はおまえらの所有物じゃない!」

 

そうツッコミを入れると、2人とも凹んでいたのだった。

 

そして、ようやく落ち着いたらしいかがみが俺の方に向き直って

 

「さあ、慶一くん。賭けは私の勝ちよ?約束は約束よね?」

 

そう不敵な表情でいうかがみに俺は苦笑しつつも

 

「どうやらそうみたいだな。あーあ、負けた負けた。」

 

俺はそう言いつつも、この結果に喜んでいたのだった。

 

そんな俺の、あまり悔しそうじゃない態度に不信感を持ったかがみが

 

「慶一くん、あんた、賭けに負けたっていうのにあんまり残念そうじゃないわね?」

 

そんなかがみに俺は

 

「んー?そうか?まあ、いいじゃないか。確か、賭けに勝ったら映画に行こう、って事だったよな?予定組めたら連絡してくれよ。」

 

そんな俺の言葉に、あの時かがみ自身が俺に宣言のメールを送っていた事を思い出したのか、顔を真っ赤にしながら

 

「わ、わかったわよ。その代わり、代金はあんた持ちね?賭けに負けたんだからその位はしてもらわないとね。」

 

照れながらそう言うかがみに俺も頷いて

 

「そっちの方は請け負うよ。ともあれ、よかったな、かがみ。」

 

俺の言葉にかがみは、改めて同じクラスになれた事を実感したのか嬉しそうに

 

「うん。ありがとう。1年、2年とクラス違ったままだったから、やっぱり嬉しいかな。最後だけは一緒になれたら・・・一緒になりたいって思ってたから・・・。」

 

そう言うかがみに、皆もまた嬉しそうに笑っていた。

 

「んじゃ、そろそろ教室戻って始業式に備えるか。」

 

頃合が良さそうだったので俺はみんなにそう言うと、皆も頷いて

 

「うん、行こっかー。」

「そうね、それじゃいきましょ?」

「みんなで一緒に同じ教室へ~。」

「ふふ。楽しくなりそうです。」

「今年は楽しみね。」

「今年はもっと楽しむゼ?みんな一緒だもんな。」

 

そう言うと、みんなで教室に向かって歩き出したのだった。

 

教室に辿り着くと、さっそく示してある席順に俺達は荷物を置いていく。

 

そして、しばらく待つと、担任の先生がクラスへとやってきた。

 

うちのクラスの担任は黒井先生だった。

 

黒井先生も俺達の姿を見て驚いているようだったが、とりあえず、始業式兼入学式が始まるので、俺達は体育館へと移動した。

 

校長の長い話やら、校歌斉唱やら色々やって、面倒な式を終えた俺達は教室に戻り、HRをする。

 

そして、初日終了となり、俺達は揃って星桜の樹の所へと向かった。

 

その際にこうとやまと、毒島さん、山辺さんとも合流した俺達は、星桜の樹の下でしばしの間新しい仲間達が現れるのを待った。

 

しばらくすると、息を切らせてやってくる4人。

 

4人は俺達の前に立つと、俺達に笑顔を向けて

 

「えへへ。先輩、皆さん。約束、果たしましたよ?」

「・・・皆さんと、そしてみゆきさんと一緒に同じ学校で過ごせることが嬉しいです・・・。」

「これからは私たちも正式な仲間っス。皆さんよろしくお願いしますね?」

「ワタシもハイスクールセイカツをエンジョイしますヨ?アラタめてヨロシクデス。」

 

そう言ってくる4人に俺達は

 

「頑張ったな、みんな。みんなが一同にそろえた事が凄く嬉しいよ。俺達は後1年で卒業だけど、残りの時間、楽しくやっていこう。」

「まあ、ゆーちゃん達なら大丈夫って思ってたしね。改めて、ようこそ、陵桜へ。」

「学校生活はさらに賑やかになりそうね。ともあれ今日からよろしくね?」

「やっぱりみんながいるといいな、って思うよ~?今からわくわくしてるよ。」

「この先もっと充実した学園生活が送れそうなそんな予感ですね。」

「1年前まではつながりが無かったなんて、今考えたら不思議よね。でも楽しくなりそうだわ。」

「そうだよなあ・・・でも不思議なもんだよな。私らは小早川達が陵桜に来る前にすでに仲間になってたんだもんな。」

「私達もそうですよ。慶一先輩がいなかったら泉先輩達とすらも繋がっていたかどうかも怪しいですもん。」

「そうね。でも、こんなつながりも悪くないもんだわ。先輩に感謝しなきゃね。」

 

やまとの言葉に皆もまた、今のつながりというものを改めて考えさせられたようだった。

 

そして、そんな俺達を見ながら毒島さん達は

 

「そのつながりの中に私達もこれから加わっていけるんですよね?」

「そうですよ?ここまで来て仲間外れは勘弁ですからね?」

 

そんな2人に俺も笑って頷いて

 

「そんな事今更しても意味はないしする意味もないさ。それと、こう、やまと、毒島さん、山辺さん。ひよりとパティの2人をよろしく頼む。アニ研への入部、させてやってくれな?」

 

そう言うと、部長であるこうが

 

「任せて下さい!我が部の新たな戦力ですからね。きっちりと面倒見ますよ?」

 

その言葉を聞いて俺は安心する。

 

そして俺達は、その場でしばらくの談笑をした後、明日からの生活を楽しみにしつつ、この場を後にした。

 

その際に俺が一人になる頃を見計らい、こなたが俺の所にやってきた。

 

「ねえ、慶一君。ちょっと聞きたい事あるんだけど、いいかな?」

 

そう尋ねてくるこなたに俺は

 

「ん?なんだ?聞きたい事って。」

 

そう返すと、こなたは

 

「うん。さっきのクラス分けの掲示板の所での事なんだけどさ、慶一君、かがみが自分のクラスを確かめに行って、かがみの名前が同じクラスにある事を確認して戻って来た時、嬉しくて泣いているかがみを受け止めながらみゆきさんと2人で笑いあっていたよね?ひょっとして慶一君、今回の件に関して何か知ってるんじゃないの?」

 

そう聞いて来たので俺は内心ドキリとしながら

 

「何でそうだと思ったんだ?」

 

そう聞き返すと、こなたは

 

「根拠としては、かがみとの賭けをしていて結果的に負けだったにもかかわらず、残念がるどころか、少し嬉しそうだった事、そして、他の皆は何も知らなそうだったけど、何故か慶一君とみゆきさんの態度が、お互いに事情を知ってそうなそんなやり取りに見えたからだよ。」

 

そこまで見抜くこなたの洞察力に感心しつつ、俺は隠していても仕方ないかな?と思い

 

「こなた、ずいぶんと良く見てるな。そうなると、お前に隠し事はしていても仕方ないな・・・その通りだ、こなた。今回の件は俺もみゆきも知っている事だったんだよ。」

 

俺の答えにこなたは

 

「やっぱりそうだったんだ・・・ねえ、慶一君。よければ事情を知っていた理由を教えてくれないかな?」

 

そう聞いて来たので俺は1つ頷くと

 

「ああ、いいとも。今回の事のきっかけは文化祭の準備をやってた時に起きた不審者進入事件なんだ。」

 

俺の言葉にこなたは驚きつつ「えっ?あの時の?」と聞いて来たので俺は頷きつつ

 

「うん。あの時不審者を捕まえた際に、学校内のセキュリティに穴がある事が発覚してな。校長はそれを公に公表される事を恐れていた。だから、俺にその事を黙っていて欲しいと持ちかけてきたのさ。それで俺は、その要求をのむ事を条件に校長にある取引を持ちかけたんだ。」

 

俺の言葉にこなたも「取引?」と聞き返してきたので俺は頷いて

 

「そうさ。この事を黙っている代わりにこちらの我侭を聞いてもらおうと思ったんだ。それが、今年のクラス分けにおいて、俺達を同じクラスにする、そういう事だったんだ。」

 

その答えにこなたは驚いて

 

「じゃ、じゃあ、今私達が皆同じクラスになったのは、慶一君が影で努力してくれた結果、って事なんだね?」

 

こなたの言葉に黙って頷く俺。

 

そんな俺をこなたなじーっと見つめていたが、やがて嬉しそうに笑うと

 

「あはは。さっすが慶一君だね。まさかそんな事をやっていてくれてたなんて。まさに慶一君様様だね。あ、それと、不審者にもちょっとだけ感謝かな?」

 

そんな風にいうこなたに俺も苦笑しながら

 

「おいおい・・・まあ、確かにあのきっかけがなかったら難しい事だったろうけどな。あの日あの時に不審者がいた事もまた、1つの運命だったのかもしれないな。」

 

そんな俺の言葉にこなたも頷いたが、こなたは俺を見ながら

 

「でもさー、元旦でのあれも慶一君は賭けの結果は最初から分かってたんでしょ?それにもかかわらずあんな演出するんだから慶一君もたいしたタマだよね?」

 

笑いながらそう言うこなたに、俺も同じように笑いながら

 

「ははは。でも、盛り上がっただろ?案の定かがみは乗ってきたしな。」

 

俺の言葉にこなたも頷いて

 

「そうだねー。でも、改めてありがとう、慶一君。私達のために努力してくれた事、嬉しいよ。おかげで今年は去年以上に楽しくなりそうだよ。」

 

俺はそんなこなたの言葉に照れながら

 

「いいさ。皆の為に俺が出来ることがあるのなら、俺はその事に努力を惜しまない。皆で笑いたいからな、これからもさ。」

 

そう言うと、こなたも笑って頷いてくれたのだった。

 

「・・・さて、そろそろ行かないと皆が待ってるぞ?校門前まで競争だ、行くぞ?こなた。」

 

そう言って駆け出す俺にこなたも慌てて

 

「ちょ、慶一君。いきなりずるいよ!待ってよー。」

 

そう言うと同時に、俺の後ろをついて来るこなたを見て俺も笑っていたのだった。

 

校門前に辿り着く前に、こなたに今回の一件に関して黙っておくようにと言い置いて、皆と合流したのだけど、結局こなたは俺の密かな企みをばらしてしまい、皆にさらに感謝の言葉を言われて俺はそこでも顔を赤くして照れていた。

 

結果的に仕組まれていた事だから、という事でかがみとの賭けもなかったことになりかけたが、賭けが無効になる事を落ち込む姿を見ていたら、俺もそれを保護には出来なくなってしまったので、賭けの結果は結果として受け入れて、かがみに付き合うことになった。

 

そんな風に慌しい1日を終えて俺達がそれぞれに家に帰る。

 

俺はこれかも楽しいことがありそうだと思いながら、かがみとの予定の打ち合わせをするのだった。

 

今日からまた新たな1年が始まる。

 

この先に広がる未来に何が待つのか、今の俺達にはまだ見えないけれど、残りの学生生活を1日1日悔いのないように過ごして行こう、そう思うのだった。

 


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