らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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さらに加わる旋律〜前編〜

クラス割を確認後、こなたがきっかけを作ってくれて、残りの四重奏とも友達になり、始業式を終えて教室に戻った俺はHRの終わった後の休み時間にかがみと談笑していた。

 

「でさー、臭いのよねー。」

「へえ?そんななのか?」

 

と、たわいのない話をかがみとしていると、そこに2人の女生徒がこちらへと近寄って来てかがみに声をかけるのを見ていた。

 

「よう、柊ーおはようー。なあ、そいつ誰だ?」

 

そう言って俺の方を一瞥しつつ声をかけてきたのは、ショーカットに八重歯が似合う、少し舌足らずなしゃべり方だがかなり元気な女の子だ。

 

そしてその隣にもう一人いた女の子も穏やかな微笑みを浮かべながらかがみに

 

「柊ちゃん、よかったら私達にも紹介して欲しいんだけど?」

 

そう言っていた女の子は、長い髪だが前髪部分をカチューシャで押さえ露出しているおでこが特徴的で、どこか落ち着いた感じの子だった。

 

その2人に声をかけられたかがみは俺の方に視線を向けて

 

「ああ。この人は今年からうちのクラスになった森村慶一くんよ。1年の時はクラスも違っていたんだけど、この前私が携帯電話を無くして困ってたときにクラスも違う私のことを助けてくれた人なのよ。」

 

そう言って俺を紹介してくれた。

 

それを聞いた2人は俺の方に寄って来て、片方は輝くような笑顔で、もう一人は柔らかく微笑みながら俺に声をかけてきた。

 

「へえ、そうだったんだ?森村、うちの柊が世話になったな。私は日下部みさお、よろしくな。」

 

いきなり”うちの”とかいうその女生徒に驚く俺だったが同時に自己紹介もしてもらった。

 

更にもう1人の子も

 

「柊ちゃんを助けてくれたのね?私もお礼を言うわ。私は峰岸あやの。よろしくね、森村くん。」

 

そう言って2人が自己紹介してくれたので、俺も2人に自己紹介を返す事にした。

 

「森村慶一だ。日下部さんに峰岸さん、2人ともよろしく。俺の事は呼びやすいように呼んでくれ。」

 

俺がそう言うと2人も

 

「ああ、私のことも”みさお”でいいぞ?私もお前の事は慶一と呼ばせてもらうから。」

 

日下部さんがそう言い、峰岸さんも

 

「私の事もあやのでいいわ。私は慶ちゃんと呼ばせてもらうわね?」

 

そう呼んだ峰岸さんに少し驚いた俺は、苦笑を浮かべつつ思わず聞き返していた。

 

「け、慶ちゃん?それはまた懐かしい呼ばれ方だな・・・。」

 

俺が苦笑しながらそう答えると、峰岸さんはそんな俺の言葉に首を傾げつつ

 

「そうなの?私ついちゃん付けで呼んでしまうんだけど、そんな風に呼ばれていた事があったのね?」

 

そう言って来たので俺はその言葉に頷きながら

 

「ああ、小学生の頃だったけどな。最近はそう呼ばれなくなってたし、柄じゃないしな。すっかり忘れてたよ。」

 

と、少し照れたように答える俺にあやのは微笑みながら

 

「嫌だったら呼び方変えるけど、どうする?」

 

と聞いてきたが俺はその言葉に少し考える素振りをしたが

 

「別に構わないさ。ちょっと驚いただけだしな。」

 

と返事をしたのだった。

 

それを聞いていたかがみと日下部さんは何故か必死に笑いをこらえていた。

 

いや、日下部さんはすでにお腹を抱えて笑っていた。

 

「け、慶ちゃん。なんかかわいいわね。」

 

そう言いつつ笑いをこらえるかがみ。

 

日下部さんは遠慮なくは大笑いしながら

 

「あははは。慶ちゃん、なんかかわいいんじゃねーの?」

 

と、俺を指差しつつそう言っていた。

 

そんな2人の態度を見て思わず顔を赤くして黙る俺。

 

俺のそんな様子を見たあやのはなんか申し訳なさそうに俺に

 

「ごめんね?なんか私のせいかな?」

 

と言って謝ってきたので俺はその言葉を否定するように手を振って

 

「あやのの所為じゃないよ。まあ、なんというか・・・昔を思い出してちょっとだけ恥ずかしかっただけだからさ。」

 

と、そう言うとあやのは苦笑して笑いつづける日下部さんの元へ行き

 

「みさちゃん?そろそろいい加減に笑うのやめないと・・・怒るわよ?」

 

さっき聞いたよりも少し低めの声は、何故か迫力があり、俺から見てもなんだか恐ろしげなオーラを峰岸さんの姿に垣間見たような気がしたが、そんな峰岸さんの声を聞いた時、日下部さんもそれに気がついたらしくビクッとなって日下部さんは峰岸さんに慌てて謝っていた。

 

「わ、悪かったよあやのー。だからそんなに怒らないでくれよー。」

 

そう言って日下部さんは慌てて峰岸さんに謝っていたが、峰岸さんは俺の方を指差して

 

「謝るのは私じゃないでしょ?慶ちゃんにちゃんと謝って?」

 

峰岸さんがそう言うと日下部さんは峰岸さんに怯えつつも俺の方へやって来て

 

「ごめんな?慶一、悪かった。」

 

しゅんとして俺に謝ってきたので俺は日下部さんの頭をぽんと軽く叩いて

 

「気にするな、俺も気にしちゃいないから。」

 

俺がそう言うと日下部さんはほっとしたような顔になって

 

「許してくれるのか?慶一、いいやつだなー。」

 

と、喜びながらそう言っていた。

 

俺はそんな日下部さんに苦笑しながら

 

「お前にもなかなかにしっかりした友達がいるんだな。付き合いも長いんじゃないのか?」

 

何となく感じていた2人の雰囲気が気になった俺は、日下部さんにそう尋ねてみた。

 

すると、日下部さんはさも当然とでも言うかのように

 

「ああ、私とあやのは幼馴染だからな。小さい頃から一緒だゼ?」

 

そう言って自慢気な日下部さんの答えにああ、なるほど、と納得する俺。

 

俺は両腕を組みつつ

 

「なるほどな、そう言う関係だったのか。何となく納得だな。」

 

と、俺がそう言うと日下部さんは満足気な顔でさらに

 

「あやのとも付き合い長いけど、柊とも中学2年の頃からずっと同じクラスだったんだゼ?」

 

と、付け加えてきた。

 

それを聞いた峰岸さんもその頃の事を思い浮かべているようで

 

「そうよね?柊ちゃんとはずっと一緒だったわね。」

 

と、柔らかく微笑みながら話すあやのの言葉を聞いていたかがみは軽くため息をついて

 

「ただの腐れ縁よ。たいした事じゃないわ。」

 

と言ってはいたが、その腐れ縁を特に嫌がってる感じではないようだった。

 

俺は、その腐れ縁と言う言葉に俺の中学時代の頃を思い出して

 

「腐れ縁といえば俺にもそういうやついたな。最もかがみ達に比べたら付き合いは短いけどな。」

 

と、言うと、その言葉に興味を持った3人が俺に質問してきた。

 

「え?それってどういう関係なの?」

 

かがみが身を乗り出して聞いてくると、日下部さんも同じように身を乗り出しながら

 

「へえー、それって男なのか?女なのか?」

 

と、同じようにやや興奮気味に尋ねてきた。

 

峰岸さんもまた、俺の言葉に興味深々といった様子で

 

「どういう経緯でそうなったの?」

 

と、三者三様の聞き方で来たので、俺は少し考え込みはしたものの、話しても特に構わないだろうと判断した俺は3人に教える事にした。

 

中学時代に出会った後輩である事、2人とも女の子であった事、2人のケンカを治めたのが縁のきっかけになった事を話した。

 

3人はそれを聞いてなるほど、と言う顔をしつつ、それぞれに自分の思った事を口にした。

 

「へえ?後輩の子なんだ・・・でも、腐れ縁て程にはちょっと付き合う時間が短い感じね?」

 

とかがみ。

 

そして間髪いれずに日下部さんも

 

「女なのか?慶一も結構モテるのか?」

 

そう言ってニヤニヤと俺をからかう日下部さん。

 

峰岸さんもまた、ケンカの仲裁、という部分に反応して

 

「ケンカの仲裁か。上手くまとめられたのなら、慶ちゃんなかなかやるのね。」

 

そう言っていたのだった。

 

俺は3人の言葉に苦笑しつつも答えた。

 

「腐れ縁て言ったのはその後輩の一人がこの学校に来るからだよ。結局ここでも3年顔をつき合わせるんだろうしな。それに女の子だけどどちらかと言うと妹ないし友達ってな感じなだけさ。ケンカの仲裁に関しては俺がたまたまその場に居合わせたからってことだな。」

 

そう一息で言い終えて最後に一言付け加えた

 

「友達同士がケンカするところを見ているのは嫌だったってのも仲裁をやろうと思ったきっかけさ。お前らも仲のいい友達とはケンカなんてしたくないだろ?」

 

俺がそう言うと3人ともそういうケースを三者三様に想像したのか

 

「まあ、確かにそうよね。なんか、嫌だわ・・・。」

 

表情を曇らせながらかがみがそう言い、日下部さんも心持暗い顔で峰岸さんやかがみの顔を見て

 

「私も柊やあやのに嫌われたらやだな・・・。」

 

そう呟く日下部さんを見ながら峰岸さんも困惑した顔つきで

 

「私もみさちゃんや柊ちゃん、それに慶ちゃんとケンカするのはいやよ?」

 

そう言いつつもさり気なくみ根岸さんが最後に俺の名前を付け加えてくれた。

 

俺はそんな峰岸さんの言葉に少し嬉しい気持ちになった。

 

俺は少し照れながらも

 

「まあ、もしケンカになるような事があったら言って来い。俺が、俺に出来る事ならなんとかしてやるさ」

 

そう3人に言うと3人とも少し頬を赤らめて

 

「ま、まあそうならないとは思うけど、その時は頼らせてもらうわよ?」

 

と、少し期待するような眼差しを向けてくるかがみ。

 

日下部さんも腕組みしながら俺を見て

 

「なら、そうなった時にはお前の腕前を拝見てとこだなー。」

 

と、興味深そうに俺の実力を推し量るかのように俺を見つめ、峰岸さんもフルフルと首を左右に振って

 

「なるべくならそうならないようにしたいわ。」

 

と、3人がそう答えたのを見て俺は

 

「そうならない事が一番いいんだし、これからも仲良くやろう。」

 

俺がそう言うと3人はそれぞれに頷きながら「私も気をつけるわ。」「そんな風になるのはつまんねえし、私も気をつけるゼ。」「私も、かな?ともかく、これからもよろしくね?慶ちゃん。」と言って同意してくれた。

 

そんな風に3人と話しをしていると俺のところにクラスメートがやって来て

 

「森村、お前を呼んで欲しいっていう女生徒がきてるぞ?」

 

そう言われて俺は、教室の外に目を向けつつクラスメートに

 

「ありがとう。わざわざ悪いな。」

 

と、そう答えると、クラスメートは俺に背を向けつつ片腕を上げて自分の席へと戻って行くのを俺は見送る。

 

そして、改めて教室の外を見た時、そこには俺の見知った顔がいたのだった。

 

次話に続く

 

 


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