らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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2年生編最終章 思い出の温泉旅行編
思い出作りの旋律~箱根温泉旅行初日~


それぞれの1年を振り返り、そして、みんなとの絆を再確認し、2年生最後の春休みへと突入した俺達。

 

その初日に、当初から予定を立てていた映画館への映画鑑賞を実行する。

 

いろいろな事があった映画館での出来事を終えて1日空けた後、いよいよ温泉旅行の前日となった。

 

パティと共に明日の準備をしつつ、部屋で持ち物の確認等をやっていたが、そこにパティがやってきて

 

「ケイイチ、イチオウのジュンビはカンリョウしましたが、ゲーム等のモチコミはカノウですカ?」

 

そう聞いてくるパティに俺は頷いて

 

「その位なら大丈夫だろ?ゲームの持ちこみをしてはいけません、なんて場所はそうそうないだろうからな。それに、どの道こなたも持ってくる事は予想してる事だからなあ・・・。」

 

そう言うとパティは俺に

 

「コナタとコウはありそうですネ。ケイイチもタシカPSPはモッテいませんでしたカ?」

 

その言葉に俺は頷きつつ

 

「一応は俺もこなたに付き合う事もあったから買いはしたけど、その実、こなた達と遊ぶ以外はあまりやってなかったな。」

 

俺の言葉にパティは首を振りつつ

 

「それはザンネンですネ。せっかくのPSPなのにモッタイナイですヨ。ケイイチ、コンドワタシがオシえますからイッショにプレイしまショウ。」

 

そんなパティに俺は苦笑しながらも

 

「ああ。そうだな。その時にはパティにでも色々と教わるとするか。」

 

俺がそう言うとパティは嬉しそうな顔で

 

「フッフッフ・・・カクゴしてもらいますヨ?ケイイチ。」

 

そんなパティに俺は首をすくめて、やれやれというジェスチャーをするのだった。

 

そうやってパティと話をしているうちに、家の呼び鈴が鳴ったので俺はパティに

 

「パティ、お客さんみたいだ。ちょっと玄関行ってくるからお前はキッチンで待ってろ。お客さんの相手が済んだら飯作るから。」

 

そう言うとパティは頷いて

 

「ワカリマシタ。キョウのディナーもキタイしてますヨ?」

 

にっこり笑いながら言うパティに俺はまたもプレッシャーを感じつつも頷いて玄関へと向かった。

 

「はいはい、どちら様ですか?」

 

そう言って玄関を開けると俺はそこに立っている奴に絶句した。

 

「やふー、慶一君。来たよー?」

 

のん気な声で俺に挨拶してきたのは、大きな荷物を抱えたこなただった。

 

「・・・あー・・・こなた、何でお前、ここにいるんだ?」

 

少し呆れつつもこなたがここにいる事情を尋ねると

 

「んー?明日は集合場所に遅れたくないから、慶一君の家に泊めてもらって明日一緒に行こうかなー、って思ってさー。」

 

そのこなたの言葉に脱力しつつ

 

「あのなあ・・・お前、前に2度それでかがみに怒られていたよな?また繰り返す気か?」

 

俺がそう言うとこなたは親指をびしっと立てて

 

「だいじょーぶなのだよ。かがみにはすでに事情を話してあるからねー。集合時間に遅れない為だと言ったらあっさり納得してくれたよー?」

 

そのこなたの言葉に俺は軽いため息をつきつつ

 

「なあ、こなた?お前、それで納得されるとか、普段どんだけ信用されてないんだよ・・・。」

 

俺がそう突っ込んでやるとこなたは、ない胸を張って

 

「ふふん。結果さえよければいいのだよ。そこに今までの事など関係ナッシングってねー。」

 

そう自信満々に言うこなたに俺は、再度呆れたのだった。

 

俺はそんなこなたを見て、かがみとは連絡とってあるなら良いかな?と思い

 

「・・・はあ、まあいいか。こなた、上がれよ。ちょうど今夕飯作る所だったんだよ。」

 

俺がそう言うとこなたは

 

「ありがとー慶一君。これから夕食だったんだね?なら、私が今日は頑張ろうか?また押しかけでお世話になる訳だしね。」

 

そう言ってくれたので、俺は少し考えてから

 

「なら、頼めるか?こなた。パティもいるから3人分の用意だな。」

 

そう言うと、こなたも頷いて

 

「りょうかーい。ならいつもの部屋に荷物置いたらすぐやるねー?」

 

その言葉に俺も頷くと

 

「うん。よろしく頼むな?それと、こなた。」

 

俺がこなたに声をかけるとこなたは俺に振り返って

 

「んー?なにー?」

 

俺はそんなこなたに満面の笑顔を向けて

 

「今回は前のとは違ってなんのしがらみもない旅行だからさ。3日間楽しんでいこうな。」

 

そう言うと、こなたも同じように満面の笑みで

 

「もっちろん!あ!慶一君!」

 

俺に何かに気付いたように声をかけてくるこなたに俺は

 

「ん?どうした、こなた。」

 

そう聞き返すとこなたは嬉しそうに

 

「君の言ったとおりになったねー。『俺達が望むなら出来る』ってさ。楽しい事望んだら、今回の旅行だもんね。君の言ったことに嘘はない、改めて分かった気がするよ。」

 

俺はそんなこなたの言葉に驚きつつ

 

「はは。そうだな。その通りになったよな。うん、これからも俺達はそういう事を望んでいこう。そうすればまた、俺達なら・・・」

 

こなたも俺の言葉に頷きながら

 

「そうだよ。私たちなら・・・願いを、祈りを現実に変えることもできるよね。」

 

そんなこなたの言葉に俺も力強く頷くと、こなたは笑顔のまま俺に、やはり同じように力強く頷いてくれた。

 

そして、部屋に走っていくこなたを見送って俺は、パティの待つキッチンへと足を向けるのだった。

 

キッチンに顔を出すとパティが

 

「おかえりデスケイイチ。オキャクサンのおアイテはスミましたカ?」

 

そう聞いてきたので俺は頷いて

 

「ああ。お客はこなただったよ。何でも集合時間に遅れたくないから家に泊まるって言っててな。」

 

俺の言葉にパティはパアッと笑顔になって

 

「オウ!コナタがキタのですカ?まさかのライキャクですネ。コナタがいるならまたカタリあえます!けど、わざわざこのホームにクルホドにコナタはマチアワセにジシンないのでしょうかネ?」

 

その言葉に俺は、苦笑してパティに返事を返そうと声を出そうとしたのだが、そこに丁度夕食の支度をしようとやって来たこなたが

 

「んー・・・それも少しあるけど、こういう時の突発イベントはお約束じゃん?」

 

と、いきなり声をかけてきたので俺は「うぉっ!びっくりした・・・」と言うと、パティもこなたの言った事に反応して

 

「フフフ。サスガコナタはワカっていますネ。」

 

そう返して、こなたもまたニヤリと笑いつつ、パティに親指をびしっと立てて応えていた。

 

俺はそんな2人を見ながら苦笑していたが、こなたが自分のすべき事を思い出して

 

「おっと、いけないいけない、私のやるべき事を忘れる所だったよ。慶一君、パティ、メインの方は私がやるから、食器出しとかお願いー。」

 

そう言いながらエプロンを締めてキッチンに向かうこなたに俺達も

 

「わかった。やるぞ?パティ。」

 

そう声をかけると、パティも頷いて

 

「リョウカイです。ケイイチ。」

 

そう言って、人数分の食器出しや、サイドのメニューの調理をするのだった。

 

それらを済ませて3人でテーブルにつくと

 

「「「いただき(イタダキ)まーす(マース)」」」

 

と言う掛け声と共に食事を始める俺達だった。

 

ちなみに、今日の夕食のメニューは、以前こなたが俺に作ってくれたチキンハンバーグだった。

 

俺はそれを口にしながら

 

「おお、これはあの時こなたが俺に作ってくれたチキンハンバーグじゃないか。やっぱり俺の好みだな、これは。」

 

俺がそう感想を言うと、パティもまた満面の笑顔で

 

「うーん、デリーシャスですネ、コナタ。とってもよくできてますヨ。」

 

そう感想を言うと、こなたは照れながら

 

「いやー、そう言って貰えると作った甲斐もあるよねー。それに、パティにも受けてよかったかな?」

 

そんなこなたに俺達は笑いながら頷きつつ、食事を済ませた。

 

そして、こなたとパティを先に風呂に入れて、俺は2人が上がった頃に風呂へと向かった。

 

無論、2人に風呂への乱入禁止を言い渡して、だが。

 

しかし、その忠告も空しく、よりにもよって、2人で風呂場になだれ込んできたのだった。

 

「やほー。慶一君。背中流してあげるよー?」

「これもまたおヤクソクのテンカイネ!」

 

そんなパティに、無駄だとは思いつつも

 

「だから、誰とした約束だっての!!はあ・・・もういい・・・好きにしてくれ・・・」

 

そう言って諦める俺に、2人とも喜々とした表情で俺の背中を流し始めた。

 

もう、この2人が揃っている時の風呂には海パンはかかせないものだと改めて考えると、俺はただただ大きなため息をついて情けなく思いつつも、2人の好きにさせていたのだった。

 

そして、そんな中で思っていたのは、こなたは家に泊まりにくる時には必ずスク水を持ってきてるんだなあ、というしょうもない事だったのだが。

 

風呂を上がった後は2人ともゲームをしたり、アニメDVDとかを見ていたのだが、ほおっておくと徹夜しそうな勢いだった為、2人にきつく言って早めに就寝させた。

 

そして、俺も部屋へと戻ると、明日の準備の最終確認をしてから布団へ入った。

 

それから、俺はいつもの時間に起床すると、朝御飯の準備をするため着替えたり顔を洗ったり等をしていたのだが、それらを済ませてからこなた達が起きてくるのを待ってみた。

 

しかし、2人とも結局は時間通りに起きてきてくれなかったのと、起こしに行っても素直に起きなかった為、俺特性の目覚ましを2人にお見舞いして2人を起こすと、少し呆れつつも2人に出発準備をさせて朝食を摂ってしっかりと戸締りを済ませて家を出た。

 

ちなみに、今回はみきさんが猫の世話を引き受けてくれる、との事なので任せてきたのだった。

 

そして、待ち合わせ場所に着くと、やはりトップで来ていたのは龍兄だった。

 

「おはよう、龍兄。相変わらず早いね。」

「おはようございます龍也さん。今日から3日間よろしくお願いします。」

「グッモーニン、タツヤ。おセワになりますヨ?」

 

俺達が龍兄に挨拶をすると、龍兄も笑いながら

 

「おう。お前も結構時間には律儀な所あるよな。それにこなたちゃん、パティもおはよう。今日から3日間だが、楽しんでくれよ?」

 

そう挨拶を返してくれたのだった。

 

そして、そのすぐ後にかがみ達がやってきた。

 

「おはよう、慶一くん。相変わらず時間には正確ね。あら?こなた、パトリシアさんもおはよう。慶一くんに任せるとやっぱり遅れて来なくて済みそうね。こなたに許可だして正解だったかも。」

「おはよう~。けいちゃん、こなちゃん、パトリシアさん、それに龍也さんも。今日からよろしくね~?」

「おはよー。龍也さん、森村君、こなたちゃんにパトリシアさんも。飛び入リで悪いけどお世話になるわねー?」

「おはよう、龍也さん、森村君。それと泉さんとパトリシアさんよね?私も飛び入リだけど、よろしくね?」

 

上から順にかがみ、つかさ、まつりさん、いのりさんの4人だ。

 

俺は4人にそれぞれに

 

「おはようございます。かがみ、つかさ、まつりさん、いのりさん。今日から3日ですが、是非楽しんで下さいね。」

 

そう挨拶すると、こなたとパティも

 

「かがみん、つかさ、まつりさんにいのりさんもおはようー。今日から楽しんでいこうね?」

「カガミ、ツカサ、マツリ、イノリ、3カカンよろしくデス。」

 

そう返すと、かがみ達もこなた達に挨拶を返していたのだが、ふと、かがみがこなたとパティの額が赤い事に気付いて

 

「ん?こなた、パトリシアさん。額少し赤くなってない?何かあったの?」

 

そう聞くと、2人はバツの悪そうな顔になり、そんな2人に代わって俺が

 

「ああ、あれは2人に対する俺の目覚ましの結果ってやつだよ。こう、ビシッとね。」

 

そう言いながらデコピンの指の形を作ると、かがみは呆れたような顔になって

 

「なるほどね、結局慶一くんの手を煩わせた、って事か。まあ、自業自得かしらね。これに懲りたら少しはまともに起きてみなさいよ?」

 

と、2人に言うと、2人は面白くなさそうに

 

「ぶー!そんな風に言われなくたってわかってるよー。かがみの意地悪ー。」

「ワタシもスキでネボウしたわけではないですヨ。そこのトコロはワカッテほしかったですネ。」

 

そんな風に言いながら言い合いをしていると、他のメンバーもぞろぞろと集まってきた。

 

まずやってきたのはみゆき。

 

「皆さん、おはようございます。今日から3日間お世話になりますね?」

 

そう言って挨拶してくるみゆきに、皆もそれぞれに挨拶を返していると、次に現れたのはゆたか達だった。

 

「おはようございます。先輩、それに皆さんも。今日からお世話になりますね?」

「・・・おはようございます・・・今日からよろしくお願いしますね・・・?」

「おはようございまっス。小早川さん達同様、お世話になります。」

 

と言いながら合流してきた。

 

そして次にやってきたのは、みさおとあやのだった。

 

「おはようー。慶一、みんなー。ちょっと遅れちゃったけど、時間にはまだ余裕あるよな?」

「もう、みさちゃんは・・・起こすの苦労したんだからね?遅れなくてよかったけどもっとちゃんとしてよね?・・・あ、ご、ごめんなさい。おはよう、みんな。みさちゃん起こすのに手間取って少し遅れちゃったわ。今日から3日間、よろしくね?」

 

そんな2人に俺達も苦笑しつつも挨拶を返していると、最後のメンバーがやってきた。

 

「もう!こう!あなた、どうしてこういう時にもう少し早く起きれないの?間に合ったからいいけど、そうじゃなかったら私たちだけ置いてきぼりだったとこなのよ?少しは反省しなさいよ!?」

「ご、ごめん、ってやまとー。アラームのセット時間少し間違えちゃったのはこっちのミスだからそれは謝るからさー・・・」

 

そう言いあいながらも、とりあえず俺達の方へやって来た2人は、俺と皆に挨拶をする。

 

「遅れてしまってごめんなさい。こうもいつもよりは早かったんだけど、それでも結構ぎりぎりになってしまったわ。ともあれ、これから3日、お世話になるわね?先輩、皆さん。」

「今度こそ遅れないように来るつもりだったのに失敗してしまいました。皆さん、ご迷惑をおかけしてすいません。今日から3日間、お世話になります。」

 

そんな2人に俺は笑って頷きながら

 

「ああ。今回は何のしがらみもない旅行でもあるし、皆で楽しんでいこう。さて、そろそろ出発と行こうか。みんな、行くぞー?」

 

俺がそう声をかけると皆も「「「「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」」」」と言っていよいよ旅のスタートとなった。

 

今回の旅の目的地は箱根の温泉だ。

 

なので、移動は電車を利用する事になる。

 

俺達は電車に乗り込み、一路、箱根を目指すのだった。

 

上野からの電車の乗り換え後は、ゆったりと席に座っての移動となったのだが、今回もまた、俺の隣と近くの席の争奪戦が俺の知らない所で起きていた。

 

今回は俺の隣も含めて獲得できる席は3っつ。

 

そして、今回は俺の隣にみゆき、前2つにかがみとつかさ。俺の後ろにこなた、みさお、あやの、こう、そして、ゆたかたちと固まってやまとが席に着いていた。

 

龍兄の側は言わずもがなな、まつりさんといのりさん。

 

しかも、2人は横並び席で中央に龍兄、左右にまつりさんといのりさんという配置になった。

 

俺の隣に座って上機嫌なみゆきが俺に

 

「慶一さん。今回の温泉旅行ですが、今回宿泊する場所は慶一さんはご存じなのですか?」

 

そう聞くと、俺の前に座るかがみも

 

「そういえば、泊まる場所に関しては詳しい事聞いてなかった気がするわね。どうなの?慶一くん。」

 

興味津々にそう聞いてきたので、俺は2人に頷きつつ

 

「うん。俺もよく知ってる所だよ。なにせそこは龍兄のおじさんの経営する旅館だからね。」

 

そう答えると、2人だけでなく後ろの席のこなた達も

 

「え?そうなんですか?それは驚きですね。」

「前の合宿所といい、あんたの所って結構手広く色々な事やってるのねえ・・・。」

「ねえ、ねえ、慶一君。その旅館の名前ってなんていうの?」

「わたしも知りたいな~。」

 

そう言いながら質問攻めをしてくる皆に答えたのは龍兄だった。

 

「それは俺から教えるよ。旅館の名前は草薙亭、というのさ。俺の叔父である草薙聡(くさなぎさとる)が経営してるんだ。」

 

その答えにみゆきが首を小さく傾げつつ

 

「草薙、ですか?聞いた事がある気がしますね。とはいえ、1つ気になった事があるのですが、龍也さんの名字は龍神、なのですよね?その叔父の名字が草薙、これはどういう事なのですか?」

 

龍兄の答えに疑問を持ったみゆきがそう訪ねると、龍兄は軽く笑いながら

 

「はは。さすがにいい所に気付いたね。そうだなあ・・・かがみちゃんとつかさちゃんには俺が龍神家の息子ではあるが、俺もまた龍神家とは血のつながりのない養子だという事は話したよね?」

 

龍兄は2人にそう言うと、2人は頷いて。

 

「はい。龍也さんと初めて会ったときにその事を聞かせてもらいました。」

「2人とも龍神さんの息子さんなのに2人して血のつながりがないって事を聞いた時にはショックでした。」

 

そんな2人の言葉に頷いて

 

「龍神家の分家、そして、俺の本当の両親の名字は草薙、と言うんだよ。草薙たつみ。それが俺の親父の名前なのさ。そして、その親父と一応の血のつながりがあったのが叔父の聡なんだ。家とは従兄弟の間柄でね、けど、家のように武術はやってはいなかった。それとは切り離された世界で叔父達は生きてきたって事だね。でも、そんな叔父達であっても俺とも血は繋がっている人だから、ある意味もう1人の父って呼べるかもしれないな。」

 

そう説明すると、みんなもその話を聞きながら、ほーっ、と感心しているようだった。

 

「まあ、そういう場所だから、俺も結構連れてきてもらった事もあってな。それに、結構いい所でもあるから皆も連れて行ってやりたかったんだよな。」

 

そんな皆に俺は、今回の温泉旅行を計画した経緯を話すと、みんなも嬉しそうな笑顔を向けてくれたのだった。

 

その一方でこの話を聞いていたまつりさんといのりさんは

 

「龍也さんの叔父さんであり、もう一人のお父さん、か・・・これは私もちゃんとご挨拶しておいた方がいいかも・・・」

 

と言うと、いのりさんも負けじと

 

「ちょっと、まつり?抜け駆けは許さないと言ったわよね?悪いけどあんたの好き勝手にはさせないわよ?」

 

と龍兄をはさんでの火花の散らしあいが始まり、龍兄はもとより、俺達もその光景を見ながら苦笑していたのだった。

 

その後は車内でトランプをしたりしつつ、目的地までは楽しく過ごした。

 

そうこうしているうちに、箱根駅に辿り着いた俺達を待っていたのは、旅館への送迎バスだった。

 

そのバスに乗り込み、俺達は一路旅館を目指す。

 

それから30分程車に揺られて俺達は、目的地の旅館へと辿り着いたのだった。

 

「みんなー、着いたぞー。さあさ、降りた降りた。」

 

そう言いながら皆をバスから下ろして、旅館のロビーへと向かう。

 

「おおー。ここが龍也さんの叔父さんの旅館なんだね?」

「へえ?中々いい所じゃない。近くに富士山も見えるのね。」

「景色最高だね~。でも、まだこの時期だから寒いね~。」

「でもその分空気が澄んでいて気持がいいです。」

「建物も結構立派じゃん?こりゃー今回も期待できそうだよなー。」

「そうね。楽しんだり、のんびりとできそうよね。」

 

そして、こうとやまとも

 

「他にもお客さんもいて中々活気がありますねー。」

「意外と広い敷地だし、暇潰しの散歩もいいかもしれないわね。」

 

そう言って、ゆたかたちも

 

「わあー。すごく素敵な雰囲気です。今回も来れてよかったですよ。」

「・・・今回も先輩のお心遣いに感謝、ですね・・・。」

「いやー、都会の喧騒を離れてのんびりするのもいいかもしれませんよね。」

「ヒイラギ家でミたジンジャもナカナカのフンイキありましたが、こちらもナカナカヨイですネ。」

 

そう言うと、まつりさんといのりさんも感心しつつ

 

「これはますます狙って行きたいわね・・・。」

「まつり、そう簡単には譲るつもりはないからね?」

 

そう言いながらまたも火花を散らす2人に、俺達は軽いため息をついていた。

 

そこへ、この旅館のご主人である聡さんがやってきて

 

「やあやあ。遠い所からわざわざいらっしゃい。私がこの旅館の主人の草薙聡といいます。いつも皆さんには龍也や慶一がお世話になっていると聞いていますよ。こんなひなびた旅館ですが、存分に楽しんでいってください。」

 

その叔父さんに俺と龍兄は

 

「お久しぶりです、叔父さん。今日から3日ほどお世話になります。」

「元気みたいで何よりだよ、叔父さん。まあ、そんな訳だからよろしくな?」

 

そう言い、他の皆も「「「「「「「「「「「「「お世話になりまーす」」」」」」」」」」」」」と挨拶をしていた。

 

そんな俺達に叔父さんもにこにこしながら

 

「それではお部屋へとご案内しましょう。みなさん、こちらへどうぞ。」

 

そう言うと、みんなと共に俺達も叔父さんの案内の元、自分たちの部屋へと案内してもらった。

 

ちなみに、部屋割りは

 

俺と龍兄

 

こなた、かがみ、つかさ、みゆき、みさお、あやのの6人部屋。

 

ゆたか、みなみ、ひより、パティの4人部屋。

 

こう、やまと、まつりさん、いのりさんの4人部屋。

 

と言う風になった。

 

夕食時まではまだまだ時間もあるので、各自それまでの間、自由時間となった。

 

俺は1人、久しぶりに来る旅館を散策して歩いていたが、そんな俺を見つけたゆたかが俺の側に走ってやってきた。

 

「慶一先輩、お1人ですか?」

 

と言うゆたかに俺は頷いて

 

「うん。久しぶりに来たからね。昔に浸りつつ館内を散策してた所さ。ゆたかは何をしてたんだ?それに、みなみ達は?」

 

俺の質問にゆたかは

 

「私はちょっとお手洗いに行っていたんですよ。みなみちゃん達はロビー横にあるお土産コーナーでお土産を見ていますよ?あ、そうだ、先輩。私、先輩に報告があるんです。」

 

そんなゆたかに俺は

 

「報告?何だか良く分からないけど聞こうじゃないか。」

 

そう言うとゆたかは満面の笑みを見せながら

 

「先輩、新学期が始まり、始業式が済んだら星桜の樹の所に来てもらえますか?」

 

その言葉に、俺はゆたかの言いたいことを理解して

 

「そうか・・・おめでとう、ゆたか。」

 

そう言うと、ゆたかは嬉しそうに笑いながら

 

「ありがとうございます!先輩。でも、私だけじゃないんですよ?みなみちゃんも田村さんもちゃんと合格できました。これも先輩のおかげですね。」

 

そう言ってくれるゆたかに俺は照れながら

 

「俺は別に何もしちゃいないさ。陵桜に合格できたのもお前達の頑張りがあったからだよ。俺はそんなお前らの軽いサポートをしたにすぎないさ。」

 

そう言うと、ゆたかは首を振って

 

「いいえ、先輩。それだけでも私達にとってはとても心強いものになったんですよ?だから、私は心から先輩にお礼を言います。ありがとうございました、先輩。」

 

そんなゆたかの頭をぽんぽんと軽く叩きながら、俺もまた嬉しそうな笑みをゆたかに向けていた。

 

そして、ゆたかはみなみ達を待たせているからと言って、小走りでみなみ達の待つ土産物屋へと走っていった。

 

それを見送ってから俺はこれからの事を考えつつ、ゆたかたちが陵桜に来れる事になった事を喜びながら、夕食の後、皆で温泉に行ってのんびりして(無論、男女別々の温泉だが。)明日以降の計画を練りつつ体を休めたのだった。

 

今日からの3日、俺は楽しい思い出を作っていこうと心に決めて、夢の世界へと旅立っていくのだった。

 


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