らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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賑やかな旋律~ドタバタな雛祭り~

いつもよりも大人数での勉強会、そして、その最中に以前に秋葉で出会ったパティと、再びホームステイとして再会を果たす。

 

そして、そんなパティに翻弄される生活が始まって数日。

 

日付は2月を過ぎ、3月へと進んでいた。

 

3月ともなると、女の子にとっては雛祭り等のイベントもある。

 

そんなイベントに柊家からの招待を受ける事となったのだが、俺はパティに日本の伝統行事を見せるいいチャンスとも思ったのだけど、結局数人の女の子の中で俺1人という状況を考えた時、照れくささもあったので俺は、その招待に龍兄も巻き込む事にしたのだった。

 

「・・・・・・という訳なんだが、龍兄、柊家へ来れる?」

 

そう確認の為に龍兄に聞くと、俺の思惑を計るかのように

 

「・・・どうでもいいが、本当に柊家からの招待なんだろうな?また俺を巻き込もうとか考えてるんじゃないのか?」

 

龍兄の言葉に俺は

 

「疑うなら柊家に電話して聞いてみればいいよ。もっとも、俺が連絡を受けた時にまつりさんやいのりさんに龍兄に声かけてくれと言われたから俺は言う通りにしただけだし。」

 

その言葉に龍兄は疲れたような、呆れたような声を出して

 

「おまえな・・・それを真に受けて馬鹿正直に声かけるとかしてるのかよ・・・俺の都合はどうなるんだ?」

 

俺はそんな風に言う龍兄に

 

「まあ、龍兄にも色々都合があるって事はわかってるよ。だから、もし、都合が悪いとか言うのなら龍兄が直接連絡を入れて断りをいれたら?」

 

しれっとそう言うと龍兄は

 

「む・・・そうするしかないかな・・・。」

 

少し悩みながら言う龍兄に俺はわざとらしく

 

「まあ、それでいいんじゃない?でも、そうなると、まつりさん達がっかりするだろうなあ・・・でも仕方ないよな、龍兄にも都合って物があるんだしさー。」

 

俺の言葉に電話口の向こうで動揺する気配を見せる龍兄。

 

「・・・なあ、慶一、お前、それって卑怯じゃないか?」

 

俺はさらにとぼけた声で

 

「どうして?だって龍兄、用事あるんでしょ?なら仕方ないじゃないか。ま、ともかく、そういう事なんだし、まつりさん達には上手く言っておくよ。」

 

そう答えると、龍兄はしばし無言だったがやがて

 

「・・・慶一、後で覚えておけよ?修行、3倍にしてつけてやる。ともかく、明日、柊家だな?」

 

俺は修行3倍の言葉にびびりつつも

 

「そうだよ?って龍兄、来るの?」

 

とぼけてそう答えると龍兄は疲れたような声で

 

「それで行かないと言ったら、俺は最悪の悪者になるだろうが。ったく・・・で、詳しい時間は?」

 

まんまと龍兄を連れ出すことに成功した俺は、修行を覚悟しつつも龍兄に詳しい時間を伝えた。

 

「時間は・・・だよ。俺の方が先に着いてると思うけど、そういう事だから。」

 

そう話して俺は龍兄との電話を切る。

 

そして、3倍の修行に頭を痛めつつ、パティに声をかけるため、部屋へと赴く俺だった。

 

パティの部屋をノックして声をかける。

 

「パティ、俺だ。ちょっといいか?」

 

俺の言葉に部屋の中からパティが

 

「ケイイチ?ワタシにヨウジですカ?」

 

そう返事をしつつドアを開けてくれたので、俺は今回の事をパティに話す。

 

「ああ、実は明日、柊家で日本の伝統行事である雛祭りをやる事になってな。お前も日本の文化には興味もあるんだろうし、向こうからの希望もあったから、お前に伝えておこうと思ってな。」

 

そう説明するとパティは少し考える仕草を見せていたがやがて

 

「ヒナマツリ、デスか。タシカ、オンナノコのおマツリだとキいていますネ。二ポンのデントウテキなニンギョウをカザるとイウコトはシッテマスが、それをミられるのならワタシもイッテみたいデスね。」

 

そんなパティの言葉に俺も頷いて

 

「そっか、それじゃ、向こうには俺から連絡しておくからな。」

 

俺の言葉にパティも頷いて

 

「ワカリマシタ。アシタはタノしみにしてイマス。ケイイチ、これからジカンアリマスか?」

 

そう聞いてくるパティに俺は

 

「ん?連絡した後なら特に予定はないけど?」

 

そう答えるとパティは満面の笑みを浮かべながら

 

「ナラ、ケイイチ、ワタシとイッショにこれをミまショウ!」

 

そう言って俺に差し出したのは、パティのはまってるアニメのDVDだった。

 

「ケイイチにもこれのオモシロさをオシエテあげたいデスから。」

 

というパティの言葉に俺は軽いため息をつきつつ

 

「・・・しょうがないな・・・じゃあ、連絡したらリビングのでかいテレビで見るか。」

 

と言う俺の言葉にパティもうんうんと頷いて

 

「デハ、このDVDはリビングにモってイキマスね?ケイイチ、ちゃんとキテくれなきゃイヤですヨ?」

 

俺に念を押していくパティに俺も苦笑しながら頷いたのだった。

 

その後俺は柊家へ、明日の事についての連絡を済ませた後、パティの待つリビングへ行き、一緒にパティお勧めのDVDを5時間見させられる事となった。

 

そして、身も心も疲れ果てて俺は明日のこともあるので、その準備をして早めに休む事にしたのだった。

 

次の日の朝、俺はいつもの時間に起きて朝食の準備を済ませてパティを起こしに行く。

 

一応パティの部屋のドアをノックしてみるが、起きてくる気配はなさそうだったので、俺は部屋に入る旨を告げてから部屋に入っていくと、まだ寝息を立てているパティを見る。

 

「おーい、パティ、朝だぞ?飯も出来てるからそろそろ起きろー。」

 

と一応声をかけてみるが、パティは「うーん・・・」とうめくばかりであまり効果がなかったので俺は更にパティの体を揺すりつつ、もう1度声をかけながら起こそうと頑張ってみたが、起きてくれない。

 

仕方がないので、俺は最終手段に出る事にした。

 

パティの額に照準を合わせて指を一閃する。

 

その衝撃でパティは「アウチ!!」という声をあげながら目を覚ました後、額の痛みが襲ってきたのか額をさすりながら涙目になって

 

「アウ・・・イッタイナニゴトですカ・・・オデコがとてもイタイデス・・・」

 

と言うパティに俺は呆れつつ

 

「起きたか?パティ。中々起きないから目覚まし使わせてもらったぞ?」

 

俺がそう声をかけるとパティは少し寝ぼけた表情でこっちを見て

 

「ふあー・・・グッモーニン、ケイイチ・・・ところで、メザマシってナニをシタンデスか?」

 

そう言いながら俺に訊ねてくるパティに俺は、でこピンの形指で作って見せて

 

「こうやったんだよ。お前もこなた同様、中々起きないみたいだったからな。」

 

そんな俺を見てパティは呆れたように

 

「ムー・・・ヒドイデスケイイチ。これはリッパなDVですヨ」

 

とんでも発言をするパティに俺は慌てながら

 

「待て待て待て!それは夫婦の間で起きる暴力行為として使う言葉だろうが!俺はお前とそう言う関係になった覚えはないぞ!?と、言うか、使いどころ思いっきり間違ってるだろうが!」

 

俺がそうツッコミを入れると、パティは途端に泣きまねをしながら

 

「うう、ヒドイデスヨ、ケイイチ。あのヨルのコトはアソビだったのですネ?」

 

更にとんでも発言をするパティに俺は

 

「あの夜ってどの夜の事だっての!馬鹿言ってないでとっとと飯食う支度しろ!」

 

そう言ってツッコムとパティはつまらなそうに

 

「ぶー。ケイイチ、ノリがワルイですヨ。」

 

と言うパティに俺は呆れつつ

 

「何が悲しくて朝からお前と漫才などせねばならんのだ・・・とにかく、飯の準備はできてるから、用意できたら降りて来いよ?」

 

パティにそう言って部屋を出ようとする時パティは俺に

 

「ワカリマシタ!ケイイチのツクるゴハンはオイシイデスからネ。ケサもタノシミですヨ。」

 

そんなパティに俺は照れつつも

 

「褒めたって何もでないぞ?とはいえ、サンキューな、パティ。」

 

そう言って礼を言う俺に、パティも満面の笑みを向けてくれたのだった。

 

そして、2人で朝食を済ませて俺達は柊家へと赴く準備をして、俺とパティは自転車で向かう事にしたのだった。

 

俺の後ろに乗って俺にしがみつきながらパティは、しきりと自分のみゆき並みの胸を押し付けてきていたので俺はその行動に困惑と照れを感じつつ

 

「おい、パティ。あまり密着されると運転しずらいし照れくさいんだが?それに、当たってるんだけど・・・。」

 

そう言うと、パティはしれっとした顔で俺に

 

「アテてんのヨ!」

 

と言うパティに俺は重いため息をついたのだった。

 

そんな俺の様子を見てパティは

 

「これもまた、オヤクソクですネ。」

 

と言うパティに俺は思わず

 

「誰とした約束だよ、それは!」

 

と思わずツッコミをいれていたのだった。

 

そんな疲れる状態のまま、柊家に到着した俺は自転車をいつもの場所に止めて、パティと共に柊家の玄関へと向かう。

 

その際にパティは通りがかった神社を見て、感嘆の言葉を発していた。

 

「オウ!これはスゴイデスネ!まさに二ポンってイウカンジですヨ!スバラシイタテモノデス!」

 

そんなパティに俺も笑いながら

 

「結構すごいだろ?かがみの家は神社だからな。俺もこの神社を目にした時には驚いたもんさ。」

 

俺も初めてこの神社をまともに見た時の感想をパティに言うと、パティはまた変なキーワードに反応したようで

 

「ジンジャ、デスか。と、イウコトはひょっとしてミコがイルのデスか?ミコフク、ミタイデス!!」

 

妙に興奮しているパティに俺はやれやれと首を振りつつも

 

「社務所の方にでも後で行ってみればいいんじゃないか?それよりも俺達はかがみ達に呼ばれてここに来てること忘れるなよ?」

 

と、一応釘を刺しておくと、パティはその事を思い出し、少し残念そうな顔をしながら

 

「ソウでしタ・・・シカタないデスね。でも、ケイイチがツレてキテくれたおかげでバショがワカリマシタ。コンドはユックリキテミマスヨ。」

 

俺はそんなパティに(そこまでして見たいものか?)と心の中で思いつつ苦笑しながら

 

「行ってみたいなら自転車貸してやるから、お前の都合のいい時にでも行ってみろよ。けど、あまり無茶はするなよ?パティ。」

 

そう言うと、パティは嬉しそうに

 

「ホントですカ?サンキューデス、ケイイチ。でも、トキドキでいいデスからイッショニイキまショウ。ヒトリというのもツマラナイバアイもアリマスからネ。」

 

俺はそのパティの言葉に軽いため息をつきつつも

 

「まあ、時々はな。けど、その時には事前に言えよ?いきなりじゃ予定空いてない時もあるんだからな?」

 

俺の言葉にパティも頷いて「ワカッテマス」と言うと、俺も苦笑しながらも頷くのだった。

 

そして、柊家玄関の呼び鈴を鳴らす。

 

しばらく待つと、中から「はーい。」と言う声と共に玄関が開き、かがみが俺達を出迎えてくれた。

 

「いらっしゃい、慶一くん。パトリシアさん。今日は来てくれてありがとう。こなたや八坂さん達以外はすでに集まってるわ。後、龍也さんも来てるけど、姉さん達に捕まっていたわね。」

 

俺の方が先に着くだろうと思っていただけに、龍兄が先に着いていることに驚いた俺は

 

「え?龍兄、もう来てるの?俺の方が先に着くと思ってたんだけどな。そっか、2人にすでに拉致られたのか。それじゃ、俺達も行くか、パティ。かがみ、お邪魔するよ?」

 

俺がそう言うとパティも頷いて俺に着いてきて、かがみも「どうぞー」と言って俺達を誘導してくれた。

 

かがみの案内の元、雛人形の飾ってある部屋へと行くと、そこには立派な雛壇と人形、そして、2人に言い寄られている龍兄と先に来ていたみゆき達がいた。

 

「みんな、少し遅くなったかな?ともあれ、パティを連れて来たよ。」

 

そう言うと、俺に気付いた皆が

 

「いらっしゃい、けいちゃん。時間はほぼぴったりだし、遅れてないから大丈夫だよ~?」

「私達の方が少し早めに来ただけですから問題はありませんよ?」

「私達は慶ちゃん達より柊ちゃんの家に近いしね。」

「ま、慶一達がかかった時間は妥当だと思うゼ?」

「そうですよ。私達もそんなに待ってなかったですから。」

「・・・私達も結局早く来過ぎただけですから・・・」

「上手い具合に2人と一緒に合流できたっスよ。」

 

そう言い、そして、龍兄に絡んでいたまつりさんといのりさんも

 

「龍也さんが結局一番乗りだったもんね。」

「いきなり訪ねて来た時には驚いたけど、森村君、龍也さんに声かけてくれてありがとね?」

 

そう言ってくれたのだが、龍兄だけは何だか恨みがましい目で俺を見ていた。

 

そんな龍兄の視線を受けながら俺は、少し罪悪感を感じつつも、その視線に気付かない振りをしつつ

 

「それなら良かったよ。それと、俺はただまつりさん達に言われたとおりにしただけですからね。」

 

そう言ってとぼけるたのだった。

 

そんな最中、じっと雛人形を見つめるパティだったが、人形を見ながらまたとんでもない事を口にするのだった。

 

「ウーン・・・いまいちモエませんネ。ワタシがソウゾウしていたモノとはスコシチガウみたいデスネ。」

 

そのパティの呟きを耳にした俺は呆れながら

 

「あのな・・・パティ、お前何を考えてたんだ・・・確かに世の中にはそういう雛人形もあるかもだが、あれはあくまでもアレンジみたいなもんだぞ?本来の雛人形はこんな感じだよ。」

 

さり気に突っ込みつつそう言う俺にパティは

 

「ナルホド、そういうコトなんデスね?そういうメでミなければナカナカオモムキがありマスネ。」

 

そんなパティの言葉にかがみも感心して

 

「へえ?パトリシアさん、”趣”なんて中々難しい言葉知ってるのね。」

 

かがみのその言葉にパティは胸をはりつつ親指をびしっと立てながら

 

「二ポンのコトはかなりベンキョウしましたデスヨ!」

 

と、得意げに言うパティに俺は軽いため息をつきつつ

 

「その勉強の方向性にも少し問題ありそうな部分もあるみたいだがな・・・。」

 

そんな俺の言葉にパティは頬を膨らませつつ

 

「ケイイチ、ヒドイデス。ワタシだって二ポンのコト、シりたくてガンバリましたヨ?」

 

そう抗議するパティにかがみもパティを庇うように

 

「慶一くん、ちょっと言い過ぎな所、あると思うわよ?パトリシアさんだって日本になじみたくて頑張った部分もあるんだろうし、そこの所は認めてあげなくっちゃ。」

 

そう言うかがみに俺は

 

「わ、わかってるよ。悪かったなパティ。」

 

そう、パティに謝ると、かがみの後ろでこっそりと舌を出しているパティに気付き、俺は軽いため息を一つついたのだった。

 

そうこうしてるうちにこなたとこう達も到着した。

 

「やふー。ごめんねー、少し遅れちゃったよ。」

 

まずそう言いながらこなたがやって来て次に

 

「すいません先輩、忘れ物したら遅くなってしまいました。」

「・・・まったく、こうは・・・先輩、みなさん、ごめんなさい、迷惑かけちゃって・・・」

 

そんなこなたにとこう達に俺は

 

「そんなに遅いってわけじゃないけれど、いい加減時間を守る事を覚えないと社会にでてからもつらいぞ?」

 

その言葉にかがみややまとも

 

「そうよ?こなた。今は私達の間でだからいいけど、これからもっと重要な待ち合わせが起きる事だってあるんだからね?まだ間に合うんだからその癖なんとかしなさいよ。」

「こうもそうよ?こんな事ばっかりしてたら、今度は先輩達にだって愛想つかされかねないからね?そうなったら知らないわよ?」

 

という2人のおしかりにこなたとこうも今回は大分凹んでいた。

 

ともあれみんなが揃ったので、龍兄やまつりさん、いのりさん達を交えた雛祭りをしたのだった。

 

その中でやっぱり、こなた、こう、ひより、パティの4人は集まってオタク談義に花を咲かせていた。

 

「やっぱり、雛人形も萌えフィギュアで構成する物があってもいいよねー。」

「そういうのも新しい雛祭りのスタイルとして確立して欲しいとこですよね。そうしたら私も自分の趣味全開のフィギュアを雛人形に飾るんですけどね。」

「やっぱりここは、好きなキャラ同士のカップリングをさせるのが・・・」

「ヤッパリ、コナタ達はワカッテいマスね。コレカラいくスクールにドウシがいるのはウレシイコトデス!」

 

そんな話題で盛り上がる4人に俺達は、ただただ苦笑するのみだった。

 

そんな中で、パティとも友達になりたいと思ったゆたか達もパティ達の居るほうへといって、話しに紛れ込みつつ、楽しそうに笑っているのを俺達は微笑ましく見守っていた。

 

「あはは。わたしたちには分かりにくい事結構話してるけど、パトリシアさんも気の合いそうなお友達ができそうでよかったね、けいちゃん。」

「結局は類友でしょ?とはいえ、こなた達とも打ち解けられたならパトリシアさんも運がよかったのかもね。」

「奇妙な感じではありますけど、これもまた縁という事なんでしょうね。そういう意味で言うなら不思議なものです。」

「でも、私達とも仲良くできそうよね。私もパトリシアさんみたいな子は嫌いじゃないわ。」

「言ってる事はちびっ子達と同じで分かり難いけど、いい奴だってのはわかるな。」

 

みんながそれぞれ言う中俺も

 

「パティは悪い子じゃないよ。ちょっとだけずれてる所はあるけど、それだけは分かる。だから、俺達もあいつの友達になってやろうと思う。こうして出会ったんだしな。だからみんなもこれからもパティと仲良くしていこう。」

 

俺の言葉に、皆もにっこりと笑って頷いてくれたのだった。

 

その後は、雛あられを食べたり、ゲームを楽しんだりしてひとしきり騒いで、今日はお開きという事になった。

 

後でパティに聞いてみると、とても楽しかったと言ってくれたので、連れて行った甲斐もあったな、と心の中で思いつつ、今日を終えたのだった。

 

そして、次の日の朝、俺はいつものように朝食を作り、学校へ行く準備をしていると、今回はしっかりと起きてきたパティに声をかけられた。

 

「グッモーニン、ケイイチ。キョウはワタシもケイイチとイッショにスクールへとツいていきマスので、ヨロシクデス。」

 

と言うパティに俺は驚きつつ

 

「え?けど、お前の入学はまだ先だろ?それに俺は普通に授業だからな、お前を連れまわす訳にもいかないぞ?」

 

そう言うと、パティは

 

「キノウ、ワタシのケイタイにリョウオウハイスクールからレンラクがアリましタ。ワタシのセイフクとキョウカショがソロったとのコトなのデス。なので、それをトリにクルついでにスクールをケンガクしないかとイウ、ティーチャーからのオサソイがあったのですヨ。」

 

そう言う、パティの言葉に納得した俺は

 

「なんだ、そういう事だったのか。わかった。それじゃ出かけられる準備をして一緒に行こう。」

 

俺がそう言うと、パティも満面の笑みで頷いて

 

「ジュンビはバンタンですヨ。アトはケイイチのツクったオイシイブレックファーストをタベるだけデス!」

 

パティの言葉に俺も頷いて

 

「なら、食べてしまうか。それと学校に行く際に、バスの時間とか電車の時間も教えてやるからメモして忘れないようにしとけよ?」

 

そう言うと、パティも「ワカリマシタ。」と言ったので、その後、俺達は朝御飯を済ませて家を出た。

 

いく途中、途中でパティにバス時間や電車の時間を教えつつ、俺達はいつもかがみ達と合流する電車の乗車口で電車を待ち、いつものように乗り込んだ。

 

そして、かがみ達と会うと、俺とパティは2人に挨拶をするのだった。

 

「おはよう、かがみ、つかさ。」

「グッモーニン、カガミ、ツカサ。」

 

そんな俺達に気付いてかがみ達も挨拶を返す。

 

「おはよう、慶一くん、ってあら?」

「おはよう~けいちゃん、あれ?」

 

俺と一緒にいるパティに気付いた2人は、不思議そうな顔をこちらに向けて事情を聞いてきた。

 

「ねえ、慶一くん。どうしてパトリシアさんも一緒にいるの?」

「パトリシアさんもこの時間におでかけなの?」

 

と言う2人に俺は朝のパティから聞いた事を話すと2人とも納得して

 

「そういう事だったのね。パトリシアさん、うちの学校はかなり大きいから、迷子にならないように気をつけてね。」

「わたしでも時々迷子になりそうになるもんね。」

「それはあんたの学校内部の把握が甘いからでしょ?仮にも在校生なんだから恥ずかしい姿をパトリシアさんに晒さないように注意しなさいよ?」

「はうう・・・酷いよ、おねえちゃん・・・」

 

そんな2人の会話にパティも笑みを向けながら

 

「ツカサ、ドンマイデス。ワタシもハジメてデスからツカサのコトをどうこうイエマセンですヨ。デキルコトならケイイチ達がワタシをアンナイしてくれるのがウレシイデスが、ケイイチ達もジュギョウがありマスよネ?」

 

パティの言葉に俺は頷いて

 

「たぶん、その所為でお前の学校見学する時間には付き合えないだろうな。でも、いいじゃないか、パティ。学校に通うようになったらいつだって俺達が学校案内できるだろうからな。だから、焦る必要はないと思うぞ?」

 

俺の言葉にかがみやつかさも頷いて

 

「そうよね。パトリシアさんが入学してからでもチャンスはいくらでもあるんだし、その時には私も学校案内に付き合ってあげるわよ?もっとも、他の皆もそうしようとするかもだけどね。」

「パトリシアさんも、もうわたし達のお友達だもんね。そのお友達の力になれるなら、わたしも協力するよ?」

 

そんな2人の申し出にパティは嬉しそうに

 

「ワタシをフレンドとミトめてくれるのデスか?サンキューデス。カガミ、ツカサ。」

 

かがみ達に礼を言うパティに俺も

 

「よかったな、パティ。すぐに多くの友達ができるなんて恵まれてるぞ?そんな友人達をこれからも大事にしないとな。」

 

俺の言葉にパティも頷きながら

 

「ソウデスね。でも、こうしていいフレンドにメグリあえたのもケイイチとデアったからデスね。ケイイチにもカンシャデス。」

 

そんな風に言ってくれるパティに俺も照れながら

 

「俺は別に何もしちゃいないさ。それもパティの運だよ。俺がやったのはせいぜいきっかけを作っただけさ。」

 

そんな俺にパティはいきなり抱きついてきて

 

「ケイイチはケンソンしすぎですヨ?でも、そこもモエですネ。」

 

そう言うパティに俺は慌てつつ

 

「お、おい、パティ、やめろって、みんな見てるだろ?」

 

そう言って引き離そうとする俺を、かがみとつかさが呆然とした顔で見ていて、更にタイミングが悪い事にちょうどこなたの乗り込んでくる駅に着き、こなたが乗り込んだと同時にこの姿を見られてその日1日中、こなた達は不機嫌で、俺はそんなこなた達をなだめるのに一苦労する事となった。

 

その後は、学校見学をしてきたパティに家に戻ってから色々聞かれ、俺もまた学校の事についてパティに教えて、その日もまた疲れる1日を終えたのだった。

 

もうすぐ期末も終わり、2年生最後の春休みが迫っていた。

 

俺は、賑やかになった家の中を嬉しく思いながら、春休みの予定に思いを馳せつつ、パティを始めとするゆたか達もまた、無事に合格を果たして俺達と過ごす事が出来るように祈りをこめつつ、これからの時間も楽しく過ごしていけたらと願うのだった。

 


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