らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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加わる旋律~新たな家族、そして、これからの日々~

2年生最後のテスト勉強会。

 

それに参加するメンバーは後輩含めて計10人。

 

その中で、今回アニ研に入った毒島さんと山辺さんとも友達となった。

 

そんな最中に訪れるゆたか達。

 

ゆたか達は受験も済んでいたので、もてあましていた時間で俺達の勉強会を見に来た。

 

3人が陵桜のレベルにくじけそうになっていた時、俺に一本の電話が入る。

 

そして、それは、留学生のホームスティに関する連絡だった。

 

親父に事情を聞き、俺は留学生を受け入れる決意をする。

 

そしてやってきた子は、以前秋葉であったパティだった。

 

パティは俺との再会を喜び抱きついてくる。

 

俺は、そんなパティを困惑しながらも受け止めたのだった。

 

「お、おい、パティ、嬉しいのは分かったからそろそろ離れてくれないか?ちょっと照れくさいからさ。」

 

抱きついているパティにそう声をかけると

 

「フフフ・・・ケイイチはウブデスね。でも、アメリカではこれがフツウのアイサツですヨ?」

 

笑顔のままでそう答えるパティに俺は困惑しつつ

 

「それはわかるけど、人目もあるだろう?だから少し自重してくれよ。」

 

俺の言葉にパティはやれやれ、という感じで首を振ると俺を開放してくれた。

 

そんな俺達を見て苦笑を浮かべていた支援団体の人は俺に

 

「ははは・・・しかし、驚きました。まさかすでにお知り合いだったとは・・・それならなおの事安心してお任せできますね。これから1年の間、パティの事をよろしくお願いします。ほら、パティもちゃんとご挨拶して。」

 

パティにそう支援団体の人が言うと、パテイは改めて俺に向き直って

 

「フツツカものですが、イチネンカン、よろしくオネガイシマス。」

 

と言うパティの挨拶に俺は慌てながら

 

「おいおい・・・それは、何か違うんじゃないのか?まあ、いいか・・・こちらこそ、よろしくな、パティ。」

 

そう言って手を出すと、パティも俺の手を握り返して

 

「よろしくデス。」

 

そう言ってにっこりと笑うのだった。

 

「では、パティの荷物も明日中には届くと思いますので、今日は最低限の物だけもって来させましたから、今日はそれでお願いしますね。もし、何か不都合等ありましたら、先程の番号へおかけ下さい。」

 

と言う支援団体の人に俺も

 

「わかりました。それじゃ行くか、パティ。丁度皆も来てる事だし、お前を紹介するよ。」

 

俺の言葉にパティは首を傾げながら

 

「ミンナ?ミンナってダレのコトデスか?」

 

そう訊ねてくるパティに俺は笑いながら

 

「ははは。俺の友達、仲間の事さ。大丈夫、きっと皆も友達になってくれるはずさ。」

 

俺の言葉にまたもぱあっと笑顔になって

 

「オウ!ケイイチのフレンド、デスか。とてもタノしみデスネ。」

 

そんなパティに頷いて俺は玄関を開き、中に入ったのだが、すぐさま俺は凍りついた。

 

そこには、こっそりと俺達の話を盗み聞きしに来たこなた達が、黒いオーラを放ちながら仁王立ちしていたからだった。

 

こなたside

 

慶一君の家で皆で勉強会という事になり、みんなで勉強していたが、そこにゆーちゃん達がやってきたのを見て驚く私だったが、更に驚く事に、慶一君の家にホームスティにやってくる人がいるという事だった。

 

突然の電話に驚いていた慶一君だったけど、実家の方とのやり取りを経て、とりあえず納得の行く答えを向こうからもらい、改めて先程の電話の主に連絡している慶一君を見ていたが、話が終わってから30分後にその子がやってくるという事になった。

 

そして、その子を迎えに行く慶一君を見送った私だったが、どんな子がやってくるのかが気になった私はこっそりと話を盗み聞きしようと考えたのだった。

 

「・・・うーん・・・気になるね、ちょっとこっそり覗きに行って来ようかな?」

 

そんな私の呟きに気付いたかがみが私を止めようと

 

「別にそんな事しなくても、慶一くんの事だから私達に紹介してくれる為に連れて来るでしょ?余計な事はしないほうがいいんじゃない?」

 

そう指摘してきたが、私は好奇心を止められず

 

「なら、かがみはここで待ってればいいじゃん。私は行ってくるよ。面白そうでもあるしねー。」

 

そう言って部屋を出ようとする私を、もう一度かがみは止めようとしたが、言ってもきかなそうな様子だと分かると、私を止めることを諦めたらしい。

 

他の皆も苦笑しているようだったが、とりあえず私は玄関の方へとこっそり向かって行ったのだった。

 

そして、玄関側でこっそり聞き耳を立てていたのだが、ふと背後に人の気配を感じて振り向いてみると、そこには先程私を止めようとしていたかがみや、他のみんなだった。

 

私はニヤニヤとしながらかがみに

 

「あれー?かがみは来ないんじゃなかったの?さっきは私の事止めようとしてたのにさー?」

 

そう言うと、かがみは途端に慌てながら顔を赤らめつつ

 

「う、うるさい。別に私は気になったから来た訳じゃないわよ!あんたが変な事しないように監視に来ただけなんだからね!か、勘違いするんじゃないわよ!」

 

そう言いながらそっぽを向くかがみに、私はニヤニヤを崩さずに

 

「はいはい、そういう事にしておくよー。それと、かがみ、こっそり来てるんだからそんな大声出すと気付かれるよー?」

 

そう指摘するとかがみは”はっ”となって慌てて黙り込んだのだった。

 

それを確認した私は、こっそりと玄関を少し開いてその隙間から外の様子を伺うと、ちょうど慶一君が金髪の女の子に抱きつかれてる所だった。

 

私はその光景を見て、何となく面白くないなと心の中で思いつつ様子を伺っていると、話を終えた慶一君とその子が玄関に戻ってくるのを見て、とりあえずかがみたちの方へ戻って慶一君が玄関を開くのを待った。

 

そして玄関が開き、金髪の女の子を連れて入って来た慶一君に、私は黒い笑みを見せたのだった。

 

慶一side

 

この場所にこなたが達がいるという事は、ホームステイに来る子の事が気になって集まっているという事は容易に想像できたが、こなたの黒い笑みの意味がわからず、俺はおそるおそるこなたに尋ねてみたのだった。

 

「・・・こ・・・こな・・・た?えーっと・・・なんか笑みが怖いんだが・・・」

 

そう訊ねると、こなたは黒い笑みのまま俺に

 

「んー?そう?そんな事はないと思うけどねー。それにしても慶一君。その子がホームステイに来た子なのかな?ずいぶんと可愛い子だよねえ?」

 

そう言いつつ、黒い笑みのまま更に

 

「それにさっきはこっそり覗いてみたけど、何か抱き合っていたよねえ?白昼堂々とさ。」

 

そのこなたの言葉に、こなたの後方から更に黒い気配が増えたようだった。

 

「い、いや、それはだな、この子の国では普通の挨拶みたいなものなわけだし、俺としてはやましい事なんてこれっぽっちも・・・」

 

そう言うと、その後ろから

 

「ほんとかしらね・・・案外鼻の下伸ばしてたんじゃないの?先輩」

 

黒い気配と共に、きつい言葉の槍を飛ばしてくるやまとにたじたじとなりながら

 

「な、なんでだよ、俺はそんなにだらしないつもりはないぞ?」

 

そう反論すると、やまとはぷいとそっぽを向きながら

 

「どうかしらね、夏休みの海の時とかだってこうや高良先輩を見てだらしない顔してたんだから、あまり説得力ないわよ?」

 

そんなやまとに俺はただただ苦笑するしかなかったが

 

そこに更に黒いオーラのみゆきが

 

「・・・とりあえず、慶一さん。軽率な行動は極力控えるようにしてくださいね?」

 

物凄く怖い笑顔でそう言ってくるみゆきに、俺も思わずこくこくと頷いていたのだった。

 

そんな空気の中、俺達のやり取りを見ていたパティが

 

「ケイイチ、このヒトタチがケイイチのフレンドタチなのデスか?」

 

そう声をかけてきたので、俺はその言葉に”はっ”となって

 

「あ、ああ。そうだよ。そういえばすっかり紹介を忘れていたよ。皆、この子が今日から家にホームステイで来るパトリシア・マーティンだ。ほらパティ、自己紹介して。」

 

いい具合に話題がそれた事に内心ほっとしつつ、パティの紹介をする事にした。

 

「ハイ!ミナさんハジメまして。キョウからケイイチのイエでおセワになるパトリシア・マーティンといいマス。よろしくデス。」

 

その自己紹介に、黒いオーラを解除しつつ皆もパティに自己紹介をするのだった。

 

「泉こなただよ。よろしく、パトリシアさん。」

「柊かがみ、よろしくね。」

「柊つかさだよ。よろしく、パトリシアさん、でいいのかな?」

「高良みゆきといいます。どうぞよろしく。」

「峰岸あやの、よろしくね。」

「日下部みさおだ。私の事は呼びやすいように呼んでくれなー。」

「八坂こう、よろしくね。パトリシアさん。」

「永森やまと、よろしく。」

「毒島みくです。よろしく。」

「山辺たまきだよ。よろしくねー。」

「小早川ゆたかです。パトリシアさん、よろしくね。」

「・・・岩崎みなみ・・・よろしく・・・パトリシアさん・・・」

「田村ひよりっス。パトリシアさん、よろしく。」

 

と、皆それぞれに挨拶を交わして握手を返していた。

 

そして、そんな皆と俺を見てパティはとんでもない事を口にした。

 

「・・・フーム・・・ケイイチ・・・モノのミゴトなハーレムデスね。」

 

その言葉に俺は大慌てで

 

「パ、パティ、そんなんじゃないぞ?勘違いするなって。」

 

他の皆も苦笑するもの、困惑顔をするもの、何故か顔を赤らめる物、反応が様々だったが、その中で3名ほどパティのある言葉に反応する者がいてパティの所に行って

 

「パトリシアさん、ちょっといいかな?」

「ちょっと話聞きたいけどいい?」

「我々としてはなんとも共通のキーワードを聞いた気がするので話してみたいっスよ。パトリシアさん。」

 

そう声をかけていた。

 

その最中にかがみが俺の側に来て

 

「ねえ、慶一君。こなた達、なにやらパトリシアさんと話してるみたいだけど、さっきの発言といい、何だか私、あの子にこなたと同じような匂いを感じるんだけどさ・・・」

 

と言うかがみの言葉に俺は苦笑しながら頷いて

 

「かがみの思った通りだと思うよ。あの子はこなたやこうやひよりと同じさ。おそらく変な所で気が合う事だろうな・・・」

 

そう言うと、かがみは盛大にため息をついて

 

「・・・はあ・・・また頭痛の種が増えそうね・・・慶一君、ご愁傷様、かしらね?」

 

かがみのその言葉に俺もがっくりとうなだれつつ

 

「・・・そう言ってくれるなよ、かがみ・・・退屈はしないかもだけど、これから大変そうだな。」

 

そうかがみに言いつつ、俺はこれからの生活に予想すらつけられない状況に困惑していたのだった。

 

そして、俺達はそれぞれに自己紹介をすませ、やはり、話の合った4人はあの後もオタク談義に花を咲かせていて、その後は結局勉強会にならなくなり、今日の所はこれで解散と相成った。

 

そしてその日の夕食。

 

「大分みんなと打ち解けていたみたいだな、パティ。」

 

パティの希望の献立を用意しつつ、俺はパティにそう声をかけると、パティは笑顔で

 

「ハイ!ミンナいいヒトタチでした。ケイイチのフレンドはいいヒトがオオイのがいいデスね。」

 

俺はそんなパティの感想に笑いながら

 

「まあな。俺もいいやつらと仲間になれたな、って思ってるよ。そんな中でもやっぱりこなた達は特に意気投合していたようだったな。」

 

そう言うと、パティは大きく頷いて

 

「そうデスね。ケイイチがあのトキオシえてくれたトオリ、ハナシのワカルヒトタチでした。ケド、アトフタリ、ワタシとハナシのアうコがイマシタね。タシカ・・・ミク・ブスジマとタマキ・ヤマベ、このフタリデスね。」

 

そんなパティの言葉に俺も頷きつつ

 

「はは。それはそうだろうな。あの子達もこうと同じ、アニ研の所属だからな。パティ、お前も学校に来るようになったら、アニ研に入ってみたらどうだ?」

 

そう説明すると、パティは少し考える仕草をした後、俺に

 

「ケイイチ、アニケン、ってナンデスか?」

 

そう訊ねてきたので、俺はパティに概要を説明してやると、瞳を輝かせながら

 

「オウ!それはゼヒハイリたいデスヨ。コウにタノめばニュウブデキマスか?」

 

俺はその言葉に頷きながら

 

「ああ。こうに言えば喜んで迎えてくれると思うぞ。なんなら後で俺がこうにお前の事話しといてやるよ。」

 

そう言うとパティは満面の笑顔になってまたも俺に抱きついてきて

 

「サンキューデス!ケイイチ!これからのガクエンセイカツがタノしみになってキマシタ!」

 

そんな風に喜ぶパティを苦笑しながら引き離しつつ

 

「わかった、わかったからいちいち抱きつかないでくれって・・・俺が持たなくなるよ・・・」

 

力なくそうパティに反論するが、すでにアニ研入部に思いを飛ばしてしまっているパティの耳には入っていないようだった。

 

疲れる夕食を済ませた後、パティは持ってきたノートPCを使いたいとの事で、俺は、ネット環境は整えてあったので、無線式のアダプターを設置して、俺とは別に回線を使えるようにしたのだった。

 

その後、部屋に戻ったパティは、持ち込んだPCでアニメDVDを見たり、ネットに潜ったり等をやっていたようだったので、俺はそんなパティの様子を確認した後、こうにアニ研入部の件で連絡をつけた後、パティより先に風呂を済ませてしまおうと思い、パティに声をかけてから風呂へ向かう。

 

「おーい!パティ!俺、先に風呂に入ってしまうから、お前もきりのいい所で風呂にしちゃえよー!?」

 

部屋の外からそう声をかけるとパティも

 

「ワカリマシタ!ケイイチ、ごユックリどうぞデス!」

 

そう、返事を返してきたのを確認して、俺は風呂に行くのだった。

 

しかし、俺は失念していた。

 

パティはこなたやこうと同じ人種なのだという事を。

 

俺に声をかけられたパティが、俺に返事を返しながらほくそえんでいた事を・・・・・・

 

パティside

 

以前に慶一と秋葉で出会って、私はそれを運命と慶一に言いましたが、今日、ホームスティの家が決まったという事で、私はその家にやって来ました。

 

そして、その家の人を見た時、私はまさかもう一度再会出来るとは思ってなかったので、もう一度会えたた事に驚きと喜びを感じて、思わず慶一に抱きついてしまいました。

 

慶一が赤くなって照れていた姿には萌えましたね・・・・・・。

 

その後、慶一は私に慶一の友人を紹介してもらい、皆さんと仲良くなる事ができましたが、あの日、慶一が教えててくれたこなた、こう、ひよりともここで会う事がが出来たのでした。

 

慶一の言うとおり、私とその3人とは話も合った事もあり、すぐに仲良くなれました。

 

けれど、更にに後2人、私と話の合う子がいたので、その子達とも仲良くなれました。

 

私は慶一にこうの所属している部の事を聞きましたが、私がその部に入りたいと慶一に言うと、慶一はこうに私の入部を頼んでくれるとの事。

 

私はそんな慶一に感謝の気持で一杯でした。

 

なので、慶一がお風呂に向かったのを確認した私は、このシチュエーションで慶一に感謝する為に”アレ”をする為に準備をして慶一の居るお風呂へと向かったのでした。

 

そして、お風呂の入り口に鍵がかかっていない事を確認した私は早速、慶一へのお礼の実行の為にお風呂へと飛び込んだのでした。

 

「ケイイチ!キョウからオセワになるコトへのオレイです!ケイイチのセナカをナガシまショウ!!」

 

と言うと、慶一はしばしの間、固まっていました。

 

慶一side

 

「ケイイチ!キョウからオセワになるコトへのオレイです!ケイイチのセナカをナガシまショウ!!」

 

そう言いながら体にタオル1枚の格好で風呂場に飛び込んでくるパティの姿に俺は、虚を突かれる形となった。

 

俺は、パティがすっかりアニメのDVDやら何やらを見ているパティの姿を見て、大いに油断をしていた。

 

そしてその結果、いきなりそう言いながら風呂場に飛び込んできたパティにしばし呆然となり、頭はすっかりパニックになっていた。

 

そして、状況を確認した俺は、大慌てでタオルを腰に巻きながら

 

「パ、パティ!お前突然何してるんだよ!!お前確かさっきアニメに見入ってたはずだったよな!?」

 

そんな俺の指摘にパティは指を振って

 

「チッチッチッ、アマイですネ、ケイイチ。こういうトキにこんなオヤクソクのシチュをミノガシはシマセンヨ?こういうトキにゼンリョクでこのシチュをタノシンでこそ、オタクのダイゴミというものデース!」

 

パティのその言葉に俺はたじたじになりつつも

 

「だからって、今それを実行するなっての!!俺の立場はどうなるんだよ!?」

 

そんな俺にパティは首を傾げつつ

 

「デモ、オトコのヒトはこういうのはウレシイものじゃナイデスか?それをキョヒするのはオトコとしてはへタレというホカないデスネ。」

 

そう言うパティに俺は呆れつつ

 

「いや、むしろそう言う問題じゃないと思うんだが?」

 

なおもパティの攻勢をそらしていると、パティは突然涙目になって上目使いで俺を見て

 

「・・・ケイイチ、ひょっとしてワタシ、メイワクデシタか?ワタシはケイイチにホントウにカンシャしてるんデス!サイカイできたコトもウレシカッタデスし、ワタシのタメにイロイロしてくれたコトもアリガタくオモっているのデスヨ・・・だからこそ、ワタシにできるホウホウでケイイチにカンシャのキモチをツタエたい。そのキモチはウソじゃないデスヨ?それもケイイチにはメイワクデスか?」

 

そんなパティの気持とその顔を見せられたら、俺はパティを怒れなくなってしまった。

 

しばらく考え込んでいた俺だったが、仕方なく

 

「・・・わかったよ・・・お前の気持はよくわかった。今日はお前の気持に免じて許してやるからせめて、水着だけつけさせてくれよ・・・」

 

パティにそう言うと、パティは俺に

 

「ワカッてくれたのならそれでいいデス。ミズギをキてまたモドッてクダサイね?」

 

そう言うパティに俺も複雑な心境で頷いて

 

「あ、ああ。それじゃ少し待っていてくれ。」

 

そう言って風呂場の脱衣所に出ると、こなたやこうの時から念のため準備しておいた海パンを脱衣所の下着入れから取り出すと、それをはいて俺は風呂場へと戻る。

 

そして、風呂場に戻ってきた俺の姿を見るパティの顔を見た時、先程の涙目などどこへやらな様子のパティに俺は心の中で(・・・やられた・・・パティの奴、さっきのは演技か・・・はあ・・・仕方ないか・・・)と思いながら、風呂場で待っているパティに声をかけた。

 

「戻ったぞ、パティ。とりあえず、お前は俺の背中を流してくれるんだよな?」

 

パティに聞くと、パティは頷いて

 

「そうデスヨ?そのタメにここにキタんデスから。ささ、ケイイチはそこにスワッてクダサイ。」

 

と言うパティの言葉に従い、俺は洗い場の椅子に腰を降ろすと、俺の背中にスポンジに石鹸をつけたパティがにじりよってきて

 

「では、ナガシます。それにしてもケイイチのセナカはヒロくてタクマシイですネ。」

 

そんな感想を聞いて俺は照れながら

 

「はは、一応これでも武道家のはしくれだからね。親父に散々鍛えられたからな。」

 

そんな俺の言葉にパティは首を傾げながら

 

「ブドウカ、デスか?ケイイチはカラテでもやってイルのデスか?それに、ケイイチのファーザーもブドウカなのですネ?」

 

そんなパティの疑問に俺は

 

「まあ、そんなようなものさ。それに親父も、だな。パティ、お前が本当はホームステイするはずの家こそが俺の親父の家だったんだよ。」

 

その言葉にパティは驚きながら

 

「え?ワタシはサイショはリュウシン・タツカミのイエにホームステイするはずデシタ。で、では、ケイイチはリュウシンのムスコ、なのデスか?」

 

俺はパティの言葉に頷きながら

 

「そうさ。俺は龍神龍真の息子だよ。親父の方でお前を預かれなくなったから俺が親父の代わりに指名されたって訳だ。」

 

俺の言葉にパティは戸惑いながら

 

「そうイウコト、デシタか。けど、ケイイチのファミリーネームはモリムラ、リュウシンのファミリーネームはタツカミ、チガっているのはナゼなのデスか?」

 

そのパティの疑問に、俺は簡単に事情を説明してやるとパティは納得したようで

 

「・・・そうイウコト、デシタか。ケイイチもクロウしているのデスネ。サビシクないデスか?このイエでヒトリきり、とイウのは・・・」

 

そんな風にしんみりとした顔になるパティに俺は笑いながら

 

「確かに苦労はしたさ、それに、寂しくもあったけど、それでも今はみんなが居てくれる。そして、今日からはお前も1年だけだけど家に居てくれるんだろ?だから、寂しくはないさ。」

 

パティの頭をなでつつそう言うとパティはおもむろに俺の背中に抱きついてきて

 

「キョウからワタシもケイイチのファミリーデスから。ワタシがイルアイダはケイイチにサビシイオモイはさせませんデスヨ。だからケイイチもエンリョなくワタシにアマえてクダサイ。」

 

そんなパティに俺は顔を赤くしつつ

 

「・・・そうだな。これからしばらく、よろしくな?パティ。」

 

そう言うとパティも俺に満面の笑みで頷いてくれたのだった。

 

そんな慌しい風呂を終えた俺は、パティに風呂に入らせたまま、先に風呂場を後にして風呂上りの飲み物を準備してキッチンで待つとパティに告げて、俺は着替えを済ませてキッチンへと向かったのだった。

 

やがて、風呂から上がり、キッチンに来たパティとその日は遅くまでパティの事、俺の事を色々と話して過ごした。

 

そして次の日の朝、俺の布団に何時の間にか潜り込んでいたパティを叩き起こしてその日1日が始まりを告げる。

 

俺はこの先、退屈だけはしなさそうだが俺の身も持つだろうか、という不安に駆られつつも突然に増えた家族を歓迎したのだった。

 

パティを見ながら俺は、こいつも何故か旋律の一人なのだろう、と言う事に疑問をもたなかった。

 

パティの言う運命というものがあるならば、俺はまた、旋律と言う名の運命との出会いを果たしたのだろうと妙に納得が出来ていたという事も、その要因かもと思えていた。

 

新たな旋律はどんな音楽を奏でてくれるのか、それを期待する俺がそこに居た。

 

 


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