らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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始まりの5本の旋律

春休みの最中にこうとやまとの受験合格祝いに付き合って偶然にもそこで泉こなたと出会ったあの日、俺は四重奏の一人と友達になった。

 

そして、春休みも終了し新学期を迎えたその日、そこからが俺の”変わる日常”の始まりになるのだった。

 

桜舞散る校庭を俺はのんびりとした足取りでクラス分けの張り出されている掲示板のある場所へ向かっていた。

 

掲示板付近では同じクラスになれた事を喜ぶ者、一人だけ仲間と引き離され他の仲のいい友人に励まされている者、掲示板を一読してあまり興味ないような素振りをしてる者、色々な生徒達が密集して騒がしいクラス分け掲示板のある場所へ俺は、自分のクラスを確認するため人垣を掻き分けつつ掲示板の前へと移動した。

 

掲示板に書かれている俺の所属するクラスを確認すると”2年D組”と書かれているのが確認できた。

 

だが俺は、さらにその名前の一覧に四重奏の一人の名前を見つけたのだった。

 

俺は掲示板をチェックした後、少し離れた場所に移動して一休みしようとしていたのだが、そんな俺の近くで聞いた事のある声がしているのに気がついた。

 

(なんだろう?)と思いながら俺は、声のする方へと視線を巡らせる。

 

すると、そこには俺の知る四重奏が顔を突き合わせてなにやら話しをしている姿を見つけたのだった。

 

俺は少々緊張しつつもその様子をこっそりと伺う。

 

その姿はいつも見かける時と同様、何やら楽しげだった。

 

「いやー、かがみん。今年はクラスちがっちゃったねえ?」

 

と、ニマニマとした顔でこなたが言うと、その言葉に柊さん(姉)は

 

「うるさい!かがみんいうな!まあ、今年もあんたに宿題見せなくて済むんならせいせいするわよ!(何で私だけ、クラス違うんだろ・・・ああ、できれば同じクラスになりたかった・・・)」

 

そう声を荒げつつ、こなたに怒りをぶつけていた。

 

こなたはそんな柊さん(姉)の怒りなど堪えてもいない感じで

 

「ほんとにー?実は私達と同じクラスになれなくてがっかりしてるんじゃないのー?」

 

さらに柊さん(姉)をからかうようにこなたは柊さん(姉)の確信をつく台詞を言う。

 

そのこなたの台詞に慌てながら顔を赤くして

 

「そ、そんな訳ないわよ・・・寂しいなんて思ってはいないわよ・・・。」

 

そう言って必死に言い訳する柊さん(姉)に柊さん(妹)が天然の追い討ちかける。

 

「おねえちゃん、一緒のクラスになれるの楽しみにしてたのにね。」

 

柊さん(妹)が何気にそう言うとさらに柊さん(姉)は顔を赤らめて慌てて

 

「つ、つかさ!あんたは余計な事言わない!!」

 

と、声を荒げつつ柊さん(妹)の口を塞いでを黙らせようとする。

 

その様子を見逃さないこなたはさらに柊さん(姉)に追撃する。

 

「へえー?かがみんは私達と同じクラスになりたかったんだあ?」

 

そう突っ込まれるとさらに顔を赤らめて激昂して

 

「こ、こなたあー!あんたそこに直れ!!修正してやる!!!」

 

というが早いかこなたに拳骨を落とす柊さん(姉)。

 

そして、かなり痛そうな拳骨食らってこなたは頭を抱えてうずくまる。

 

俺は、そんな2人のやりとりに少し驚いていたが、こなたは頭を押さえながらも涙目になりつつ柊さん(姉)に顔をむけつつ

 

「うう、効いたあー・・・かがみってば力強すぎ・・・。」

 

と、情けない声を出しつつ呟くこなたのリアクションをみて柊さん(姉)は少し落ち着いたのか乱れた息を整えつつ

 

「あんたが悪いんでしょうが!まったく少しは自覚しなさいよ!!」

 

そんな風に怒る柊さん(姉)に高良さんが騒ぎを収めようと2人の間に入ってきた。

 

そして2人に柔らかい笑顔を向けながら

 

「まあまあ、かがみさん落ち着いて下さい。これから新学期が始まるわけですし、泉さんも悪気があった訳ではないんでしょうから。」

 

まるで聖人君子のようい微笑んで柊さん(姉)を諌める高良さんに柊さん(姉)はこなたを睨みつけながら

 

「みゆきは甘すぎるのよ!こいつにはこれくらいはやらなきゃいい薬にはならないわ!!」

 

と、声に厳しさを滲ませてそう言うのだった。

 

こなたはそんな柊さん(姉)の態度に腰を引かせつつも高良さんの影に逃げるように隠れつつ

 

「ぶー、かがみん凶暴ー。」

 

そう言って再度柊さん(姉)の神経を逆撫でする。

 

その学習能力のない言葉に再び怒り出す柊さん(姉)は再び声を荒げて

 

「こなた、かがみん言うなっていったでしょー!?」

 

こなたに対してそう叫ぶ柊さん(姉)。

 

側でその様子を見ていた柊さん(妹)は苦笑しながら

 

「あはは、どんだけ~・・・。」

 

と言いつつも騒ぎを止めれずにいるようだった。

 

そんな柊さん(妹)の言葉に苦笑する高良さんだったが、それでも諦めずになんとか騒ぎを収めなければと柊さん(妹)を説得しようと

 

「つかささん(汗)とりあえず2人を止めませんと・・・。」

 

そう言って柊さん(妹)に行動を促すのだが、柊さん(妹)はそんな高良さんの言葉にただおろおろとするのみだった。

 

そんなやり取りを噴出しそうになりながら見てた俺だったが、とりあえず騒ぎを止めようと4人の元に近づいていった。

 

4人のうちの一人、泉こなたに声をかける。

 

「おはよう、こなた。あまりからかってやるなよ?柊さん困ってるぞ?」

 

俺が声をかけると、その声に気がついたこなたは俺の方を見てこちらへ寄って来てそして、俺に片手を上げつつ

 

「あ、慶一君じゃん、おはよー。慶一君もクラス分け見てきたの?」

 

そう言って普通に俺に挨拶を返してるこなたを見て驚く3人。

 

俺はそんなこなたに頷いて

 

「ああ、一応な。今日から2年生だし自分のクラスぐらいは把握しとかなきゃな。」

 

そう答えると、こなたは俺の所属のクラスが気になったのか俺に結果をを聞いてきた。

 

「そっかー。で、慶一君は何組だった?私とつかさとみゆきさんはE組だったんだよ?」

 

と、自分のクラスを伝えてきたので

 

「俺はD組だったよ。今年はクラス違うようだな。」

 

そう言って俺は、見てきたままをこなたに伝えた。

 

俺のその言葉にこなたは少しがっかりしたような顔をして

 

「そっか、それじゃ仕方ないね。でもクラス違っても友達は変わらないからね?時々うちのクラスに遊びにきて欲しいな。私の友達とお昼一緒に食べようよ。」

 

と言うこなたの提案に俺は遠慮がちに聞き返す。

 

「いいのか?俺なんかが行ってもさ。」

 

俺がそう言うとこなたは満面の笑みを浮かべて

 

「当然だよ。だって友達じゃん?」

 

そう答えた後こなたはふと何かを思い出したように後ろを振り返り、3人の姿を確認して

 

「あ、そうだ。丁度ここに私の友達がいるから紹介するね?おーい、かがみー、つかさー、みゆきさんー。」

 

こなたが3人を呼ぶと3人とも少しおどおどとした感じで俺達のほうに来た。

 

そしてこなたが俺に一人一人を紹介してくれるのだった。

 

「まずはかがみん。」

 

こなたが再び柊さん(姉)を怒らせるニックネームで呼ぶと柊さん(姉)はこなたをキッと睨みつけて

 

「かがみん言うな!!あ、えと・・・おはよう、森村君。私は柊かがみ、よろしくね?前に携帯電話探すの付き合ってくれてありがとう。あの時は助かったわ。」

 

そう言って柊さん(姉)はにっこり笑って俺に挨拶してきた。

 

俺はその言葉を聞いてその時の事を思い出しながら

 

「ああ、あの時か。でも見つかってよかったな。あれから無くしたりはしてないか?」

 

俺がそういうと柊さん(姉)は少し頬を赤らめて照れたようになって

 

「流石に気をつけてるわよ。もうあんな間抜けな真似したくないしね。それに、こなた達にも笑われたし・・・。」

 

そう言ってそっぽを向いた。

 

それを見たこなたはかがみの方をみてニヤニヤとした視線を送っていたが、我に返ってさらに友達の一人を紹介してきた

 

「で、こっちのいかにもどじっこそうなおっとりした子がつかさ。つかさはかがみと双子の姉妹なんだよ?」

 

というこなたの紹介に柊さん(妹)は思わず反射的に

 

「こなちゃんのくせに~!」

 

と叫んでこなたをびっくりさせていたが、はっと我に返ると慌てて自分の自己紹介を始めた。

 

「え、えっと、柊つかさだよ。おねえちゃんとは双子の姉妹なんだ。森村君、この前は3回助けてもらったよね?私うれしかったよ?」

 

柊さん(妹)にそう言われ、俺は柊さんを助けた時の事を思い出しながら

 

「あれは俺がたまたま近くにいただけだよ。柊さんの運がよかったんだ。」

 

俺がそう微笑みながら答えると柊さんは柔らかく笑って

 

「えへへ、また会えたね、膝小僧の恩人さん。」

 

嬉しそうな顔をしている柊さん(妹)を見て(膝小僧の恩人さんか、俺はたいしたことはしてないけどな・・・)そう思ったのだが、柊さんの嬉しそうな顔をみてたら助けた事は間違いじゃないかもな、と思えた。

 

そんな俺の姿を見たこなたは少し表情を曇らせたようだったが友達の最後の一人を紹介すべく俺に声をかけた

 

「慶一君、次紹介するよ。最後に紹介するのは高良みゆきさん。1年の頃は一緒のクラスだったし、学級委員長もしてたから知ってるよね?」

 

そう紹介すると高良さんは俺の前に進み出て俺に笑いかけながら

 

「改めまして、高良みゆきです。森村さん、あの時は荷物を運んでいただいて本当に助かりました。またお会いできて嬉しいです。」

 

そう、にっこりと笑いながら挨拶してきた。

 

俺はその時の様子を思い出しながら

 

「まあ、流石に女の子が持つっていう大きさの荷物じゃなかったしな。それになんか危なっかしかったし。」

 

あの時に感じてた事を素直に高良さんに言うと高良さんは顔を赤くしてうつむいて

 

「す、すみません・・・。」

 

と、なんだか申し訳なさそうに返事を返してきたのを見て(しまった、からかいすぎたかな?)心の中で思いながらも俺は、高良さんにフォローを入れる事にした。

 

「ははは、まあ、あれじゃしょうがないし、別に責めてるわけじゃないさ。あれなら高良さんじゃなくても大変だったさ。」

 

俺は高良さんに心の中で謝罪をしつつ慌てて弁解するのだった。

 

そんな俺をみてこなたは

 

「うーん、まさか、慶一君が全員のフラグ立てていたとは思わなかったよ。」

 

と、何気に爆弾発言をしたので俺は慌てて

 

「フ、フラグなんて立てた覚えはないぞ?というか、なんでそうなるんだよ?」

 

と、俺がこなたに言うと、柊さん(姉)もこなたを睨みつけて

 

「そ、そうよ。そんなわけないじゃない。だいあたいあんたはその手のゲームやりすぎなのよ。まったく・・・ゲームとリアルをごっちゃにしないでほしいわ・・・。」

 

そう言って柊さん(姉)もこなたへ突っ込みをいれる。

 

そんな会話を耳にした柊さん(妹)と高良さんにいたっては

 

「ねえ、ゆきちゃん、フラグって何?」

 

と、柊さん(妹)に聞かれて高良さんも困った顔で考え込みながら

 

「さあ・・・?旗、でしょうか?」

 

と、見当違いの事を言っていた。

 

その時にこなた以外に俺と柊さん(姉)だけがその意味を分かったのだが、分かった瞬間2人して自分たちは普通の人とはちょっと違うのだろうか?と少し落ち込むのだった。

 

そしてこなたはそんな俺をニヤニヤとしながら見つつ

 

「えー?だって、私と友達になる前に、他のみんなとも知り合ってるじゃん?」

 

そう言うこなたに俺は呆れながらも

 

「それはそうだが、だからといって知り合った人間とそういう風になるとは限らんだろうに・・・」

 

そう言って話をそらそうとする俺にこなたはしたり顔になり

 

「えー?そういう風ってどんなのー?」

 

などと意地の悪そうな顔で言ってきた。

 

俺はそんなこなたの言葉に動揺しつつも

 

「え、えっと、だからだな・・・つまり・・・。」

 

しどろもどろになりながらも答えようとする俺だったが

 

「つまりー?」

 

そんな俺にさらに追い討ちをかける。

 

俺が言葉に詰まってあたふたしていると柊さん(姉)が助け舟を出してくれた。

 

言葉を発する前にこなたに拳骨を落とすと

 

「こなた、森村君が困ってるでしょ?いい加減にしないと殴るよ?」

 

殴られたこなたは再び涙目で柊さん(姉)を見て

 

「もう殴ってるよー・・・。」

 

と抗議の声を上げるのだった。

 

一騒動治まると柊さん(姉)が俺に改めて

 

「まあ、こなたが紹介してくれた通り私やつかさ、みゆきもこなたの友達だから。それと、森村君D組って言ってたよね?私もそうなんだけど、どうやら森村君は私と一緒のクラスみたいね。」

 

そう言って握手を求めてくるかがみに俺も手を差し出して

 

「そうだったのか、ならこれから1年間よろしくな、柊さん。」

 

柊さん(姉)に握手を返しながら言うと柊さん(姉)は俺を見ながら少し照れたように顔を赤らめて

 

「こなたと同じように、私のことも”かがみ”って呼んでくれて構わないわ。柊、じゃ妹も同じ性だし、紛らわしいでしょ?」

 

そう言ってくれたので俺もそれなら、と柊さん(姉)を名前で呼ぶ事にした。

 

「わかった。改めてよろしくな?かがみ。」

 

俺が、柊さん(姉)の名前を改めて呼ぶと、柊さん(姉)は再び顔を赤らめて少し照れながら

 

「う、うん、よろしくね。その代わり私も森村君の事慶一くんって呼ばせてもらうから。」

 

俺の事も名前で呼ばせて欲しいと言う柊さん(姉)に俺は頷きながら

 

「ああ、そう呼んでくれて構わないよ。」

 

俺はそう言うのだった。

 

そこに、慌てながらも柊さん(妹)と高良さんも寄って来て

 

「わたしやこなちゃん、ゆきちゃんとクラス違っちゃったけどわたしも”つかさ”って呼んで欲しいな。わたしも慶一くんって呼ばせてもらうね?」

 

柊さん(妹)も俺に名前で呼んで欲しいと言ってきて、なおかつ俺を名前で呼ぶからとそう言ってくる。

 

そんな柊さん(妹)に続いて高良さんも柔らかい微笑を俺に向けながら

 

「クラスは違いますがお友達になれて嬉しいです。私の事も”みゆき”って呼んでくださいね?私もあなたの事を慶一さんと呼ばせてもらいますから。」

 

高良さんも俺に名前で呼んで欲しいと言ってきた。

 

俺はそんな2人に笑顔を向けつつ

 

「ああ、つかさにみゆき、2人ともよろしくな。」

 

俺がそう応えると2人とも笑顔で「よろしくね。」「よろしくお願いしますね。」と言ってきた。

 

そして、更にこなたと柊さん(姉)にも俺は微笑みながら

 

「今年一年どうなるかは分からないが、皆楽しくやれたらいいな。」

 

俺がそう言うと4人ともそれぞれ頷きつつ

 

「私は今年は楽しくやれそうな、そんな気がするよー。」「ま、まあ、退屈はしなさそうね。」「えへへ。私もそんな気がするな~。」「私も楽しみです。」

 

と言う4人を見て、俺も自分の中で今年から何かが変わりそうだ、という予感を感じていた。

 

かくしてここに四重奏との交わりを見せる一本の旋律、その物語の始まりを告げる鐘の音とともに教室へと戻っていく5人であった。

 

 


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