遊戯王転生?(タイトル未定)   作:モフモフ好き

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難産でした。

そしてドラフト戦での指摘がありましたが、鈴音としては城之内さんの強化が目的ではあったので、4パック代分のお値段で5パックになっております。
遊戯、城之内、双六お爺さんの3人で、鈴音に合計で6000円払った形になります。


ペガサス島入島?

 皆さん、私は今、日本から遠く離れた地のお城にいます。

 遊戯さん、城之内さん、杏子さん、本田さん、あなた方は今どこで、何をしていますか?

 どうしてこうなったのか……。

 城の尖塔にある一室、その窓辺から見える景色を眺めていた。

 

「あ~、空と海が青いな~、白い雲、輝く太陽、カモメの鳴き声……」

 海の匂いとその風を感じていたかった……。

「なにやってんだ鈴音、とっとといくぜ!」

 これから一緒の部屋にいた木馬くんと、脱出します。

 ◯界村の姫じゃなく、キノコ王国の◯ーチ姫でしょうか?

 最近は自力で脱出しているような印象があります。

 むしろ、救出に行ってる場合すら、本当にどうしてこうなったのか……。

 

 

 

 

 遡ること一週間前、大会の翌日、エクゾディアさんからの追加報酬を試していた。

「えっと、確かこうしてこうすると……」

 エクゾディアさんからあの時提示された追加依頼の内容としてはご満足いただけたようで、ヘカ(魔力)の扱い方を教わりました。

 最初に依頼を受けたときから、千年眼に対抗する手段としてヘカの簡単な扱い方は習っていたのですが、そこから一歩踏み込んだ事を報酬として教えてもらいました。

 

 まず、実験として軽くヘカを練って、手順を踏んで精霊の媒体でもあるカードに注ぎ込む、すると……

「ウォン!」

「やった! できた!」

 精霊の実体化です、これでライコウを思いっきりモフれます。

 恐る恐る頭をなでてみると、そのまま体を擦り付けてくるライコウ……。

 癒される~、顎下なでたり頬をムニムニしたりしてるとペガサス会長に狙われているという恐怖も癒やされる……。

 

 そして数分堪能したら実体化が解けてしまいました。

「(´・ω・`)」

 項垂れるライコウが其処に……。

「込めたヘカが切れたんだろうな、今鈴音が込めた魔力だとそんなもんだな」

 ウォルフが解説してくれてるけど、もふもふタイム終了でちょっと残念。

「よし、今度はもっとヘカを込めて……」

「その前にやることがあるだろう?」

「そうでした」

 

 教えてもらったことを試すのもいいけど、やるべきことがあるならそちらを先にしないといけませんね……。

 

 そう、エクゾディアさんの根本的な依頼、海洋投棄事件を止めるために……。

 

 

 

 

 

 そして打てる手を幾つか用意、そして最終手段も考慮していざ亀のゲーム屋、双六お爺さんの元へ。

 

 

 

「こんにちわ~」

「おお、鈴音ちゃんよく来たのう、今日はカード買いに来たのかの?」

「はい、大会の賞金もでたので一箱行ってみようかと」

 

 そして箱で買ってからパックむきむき。

 他のお客さんもいないので双六お爺さんも一緒にパック開封です。

 私がここに入り浸るようになってから、椅子が置かれるようになったんですよね。

 さて、ここでなんで私がパックを箱買いしているかというと、エクゾディアさんに占ってもらったからです。

 具体的には、双六さんへの交渉材料になるカードを占ってもらいました。

 エクゾディアさんの依頼を達成する一番早い方法がトレードしてもらう、これが一番早いと思いました。

 そして、占ってもらった結果、亀のゲーム屋のパックにそれが入っていることがわかりました。

 いつ頃行けば良いかも占ってもらったから大丈夫なはず……、多分、きっと、問題は何のカードかまでは教えてもらえませんでした。

 

「しっかし、こうしてパック一箱むきむきしてても、前のブードラ戦のときみたいにレアなカード出ませんね~」

「あの時の箱がおかしかっただけじゃから、普通はこんなもんじゃよ」

「デーモンの召喚にブラック・マジシャン、あれどっちか売るだけでも追加でブードラ戦何回も行けるレベルでしたものね」

「まあ、カードがデュエリストを選ぶとも言うからの~」

「そうなると遊戯さんと城之内さんは選ばれてるんですね~」

「そうかもしれんな、お、これまた使いどきを選びそうなカードじゃな、左腕の代償(原作版)か」

「手札全部墓地に送って魔法サーチですか、コンボスタートに使えそうですね」

「じゃのう、それ以外にも死者蘇生をサーチして一発逆転もありえるのう」

「ですね、この手のサーチは強い魔法があると輝きますからね……なにこれ? 古の書物?」

「なに!?」

「効果は……微妙に使いづらいドローカード、墓地にカードを落とすために使うか、デッキに一時的に戻したいカードが有る時に使うカードかな?」

 あ、ライロだとウォルフとかライロの効果で墓地に落とす効果起動のカードと相性良さそう。

 古の書物をみた瞬間、ものすごく双六さんが動揺している。

 

「さて次は……、古の巨人!? パラレルレアカードで攻撃力は高いけど、デメリット持ち……」

 そして、巨人のカードを見た双六お爺ちゃんはついにチラッチラッと見るように。

 

「双六お爺ちゃん、どうしたんですか?」

「の、のう鈴音ちゃん、その古の巨人と古の書物、譲ってくれんかの?」

「トレードでしたら受け付けますよ」 

 

 そして交渉の火蓋は切って落とされた。

 

「さて、鈴音ちゃんは何がほしいかの?」

「そうですね~、ではここは大きくブルーアイズ」

「さすがにDA★MEじゃ、青眼の白龍はアーサーとの大事な絆じゃ、手放すことはできんのう」

「ですね、でなきゃあのDEATH-Tは何だったんだって事になりますからね」

「鈴音ちゃん、わかっていっておったじゃろう?」

「ふふ、最初はとりあえずダメ元で大きいところから狙ってみました」

「ふむ、となると本命はどこじゃ?」

「エクゾディアパーツ5枚なんてどうでしょう」

「む、エクゾディアが欲しいのか、鈴音ちゃんのデッキだと揃えるのが難しいと思うがの~」

「まあ、エクゾディアを使うなら専用構築したほうがいいでしょうからね、むしろ遊戯さんは専用構築無しで揃えたのがすごいですよね」

「確かにのう……」

 

 正直神引きというか、カードに愛されてるというか、デッキが答えているたと言うべきなんでしょうかね。

 

「しかしエクゾディアか、じゃがあれをトレードを出すとなるともう一枚なにかアレば考えんこともないんじゃがな~」

「あと一枚ですか、そういえばどうして古の巨人と書物が欲しいんですか?」

「う~ん、揃うまでは明かしたくないんじゃが、言ってしまえばロマンじゃな」

「ロマン、ですか?」

「そうじゃ、ロマンなんじゃよ、じゃがそのロマンにはまだカードが足りんのじゃ」

「カードが足りない、ですか」

「そう、足りないんじゃ……実のところどっちが先にそのロマンを揃えるかアーサーと勝負しておってな、残す所後3枚といった所なんじゃ」

 

 後3枚、つまりそのうちの一枚でもアレばトレードを考えると……。

 あ、そういえばまだパックが残ってたな、念のため剥き剥きしておこう。

 

「ちなみに足りないカードの名前はなんなんです? 流石にわかんないとトレードの仕様も、探し様もないですし」

「う~ん、そうじゃな、じゃがこれは遊戯たちには絶対秘密じゃぞ」

「はい!」

 そう言いながらパック剥き剥き、これが最後の一パック、あれ?これそう言えば前にも当ててましたね。

 

「カード名は、鈴音ちゃんが今持っておる古の書物と古の巨人、それに加えて古の扉と、石の巨人トークン2枚じゃな、あれがあれば最低限全部揃うんじゃが」

「え?」

 剥いたパックに視線を落して双六さんの顔を見てからもう一度パックに視線を落とした。

 エクゾディアさんの占いってよく当たるんですね……。

「鈴音ちゃんが交換してくれればあと3枚なんじゃが、残りがなかなか見つからんのじゃよ」

「あの双六お爺ちゃん……」

「ん? どうしたんじゃ鈴音ちゃん? 他に欲しいカードでも思いついたか?」

 そんな双六お爺ちゃんに、私が開けたパックのカードをオープンしてみせた。

 

「探してるカードって、これじゃないの? 石の巨人トークン」

 

 それを見せた瞬間、まるで時が止まったかのように双六お爺ちゃんは動かなくなった。

 

 だが、次の瞬間、静寂は打ち砕かれた

「爺ちゃんただいま~」

「それじゃあぁぁぁぁ!」

 

 遊戯さん帰宅と同時に止まった時は動き出した。

「ど、どうしたのじいちゃん! そんな大声出して」

 耳を抑えながら声をかける遊戯さん。

「おっとすまん遊戯、ちょっと鈴音ちゃんとトレードの話をしていてな、儂が探していたカードを鈴音ちゃんがもっていたのでついな」

「へぇ、どんなカード?」

 テーブルに出ていたカードを覗いてしまった遊戯さん。

 

「あ~、みちゃいかん!」

「古の書物、見たこと無いカードだね」

「しもうた、見られてしもうたか、じゃがキーカード自体は見られてないからまあよいか、ところで遊戯、ちょいとエクゾディア返してもらってもいいかの?」

「え? エクゾディアを?」

「そうじゃ、ちょいと鈴音ちゃんとトレードしようかと思案中でな」

「まあ、このデッキ自体が元々爺ちゃんのだからそれはいいんだけど、鈴音ちゃんはまたどうしてエクゾディアを?」

 遊戯さんからカバンからデッキを取り出し、エクゾディアをテーブルに並べた。

 

「え? えっと……それは~」

 流石に精霊に頼まれたとか言っても信じてもらえ……実体化すれば信じてもらえそうだけど、それは最終手段にしたいから……。

 

「それは、なんといいましょうか~……」

 やばい、とっさの言い訳が思いつかないです。

 だけどそんな時に、テーブルに並べられたエクゾディアから。

(声を聞きし少女よ、事情なら私から説明する、ここまでお膳立てしてもらったのなら大丈夫だろう)

(いいの?)

(別に後ろめたい事があるわけでもなかろう)

 

「説明するより、見せたほうが早いかな……」

 そして、込めたヘカをエクゾディアの頭のカードに注ぎ込む。

 

「え? これは!?」

「な、なんじゃ!?」

『突然の事、失礼する、我は……』

 

 

 そこからはエクゾディアさんの事情説明となりました……。

 

 

 そこから事情説明が終わり、遊戯さんからは

「鈴音ちゃん、いつから精霊が見えるようになったの?」

「えっと、モンスターワールドの闇のゲームが終わってしばらくしたら……ですね」

「あの時か、僕もあの後から偶にクリボーが見えるようになってたんだよね、危険がある時とか教えてくれてたんだ」

 なんでも、クリボー通せんぼした先では事件が起きてたそうです。

 銀行強盗とか、爆破事件とか、通り魔事件とか。

 クリボーのセンサーは優秀ですね。

 

「その後はそちらのエクゾディアさんに力の使い方を教わりまして、今に至ります」

「ちなみに力の使い方を教わったって言うけど、どんなことができるの?」

「えっと、多分一番使うのが……見せたほうが早いですね」

 ヘカを軽く込めてライコウのカードに注いで

「ウォン♪」

 ライコウを実体化させてみた。

「え、本物?」

 顎下を撫で始める遊戯さん、そして気持ちよさそうにするライコウ。

「こうやって精霊を実体化できるようになりました、短時間ですけどね」

 あ~、もふもふがきもちいい。

 

 

「で、話は戻しまして、双六お爺さん、どうします?」

「そうじゃのう……」

 少し考え込むお爺さん、そして遊戯さんはライコウのもふもふを堪能していた。

 

「う~ん、もう一枚なにかあれば交換するんじゃが、こうしてみてしまうとの~」

 実体化したエクゾディアを見つめる。

「こうして精霊がついていたと思うとの~」

 まあ、いろいろ考えますよね。

「私としては、最終的な目的は達せられたからいいんですけど……、後一枚、石の巨人トークンならありますよ」

「なに!?……、鈴音ちゃん、こっちとは別のエクゾディアでも構わんか?」

 少し悩んだ末、双六お爺さんは、なにやら本のようなものをとりだした。

 そこにはカードが挟んで有り、言ってしまえばバインダーである。

 

「儂はコレクターでもあったからな、集めてる内にかぶったのがあるんじゃ」

 そしてそこから5枚のパーツカードが出てきた。

 

「エクゾディアって、海馬社長が実在していたのかって言ってたけど、複数存在してたんだ……」

「まあかなりレアではあるが、おそらくそれはデュエル中に揃えたものがおらんかったからじゃのう」

「なるほど……、専用デッキ組めば割りと行けそうな気もするけど、そのまえのエクゾディア自体が揃えられないのか……」

 

 こうしてエクゾディアのトレードが完了したのだった。

 苦渋の決断あれば行けるかも?

 

 

 

 

 

 その後は城之内さん達もお店に来たり、小包が届いたりしました。

 大会で特別記念パックもらったので、せっかくなので一緒に開けようということに。

 

 

「さて、なにがはいっていますかね?」

「記念パックっていうぐらいだからいいのがはいってるんじゃないか?」

 大会記念パックは、優勝した私は6パック、3位の城之内さんは2パックもらえていました。

 前情報によると、いいカードが出やすいとか、試作品のカードがはいってるとか色々出てましたが真実はどうなっているやら。

 遊戯にも日頃の感謝を込めて2パックプレゼントしてからみんなで剥き剥きです。

 

「お! こいつは!?」

「あ、これってもしかして、杏子みてみて」

「え?どれどれ……これってあの?」

 

 遊戯さんたちは開けたパックのカードからいいのが出たようです。

 こっちのカードを覗いてみると、え? これ早くない? でも試作品の噂があったからもしかしてそういうカードなのかな?

 まだシンクロとか出る前の頃によく使ってたな~、かっこよかったから昔はよく使ってたっけ。

「速攻の黒い忍者、忍者マスターHANZO、忍法変化の術……」

 忍者系のカードが入ってるパックでした。

 速攻の黒い忍者は魂吸収と偵察機と合わせて回してましたね。

 だけど元のDDMはまだこの世に出てないよね? インダストリアルイリュージョン社にデータとかは送った後でペガサス会長が気まぐれにつくったのかな?

 一つ目のパックは見事に忍者関連のカードだった、超変化の術がないのは仕方ないよね。

 でも、2つめのパックもおんなじ忍者パックだったのは流石に……、いや、デッキが組みやすくなるからいいんですけどね。

 そして遊戯さんは魔法使い族系のパックで、マジシャンガールを引いたようです。

 城之内さんは城之内さんで、レッドアイズを引いてるし、これはすごいパックですわ。

 

 なお、残りのパックもいいのはいってましたけど、魔封じの芳香とダークシムルグ、神鳥シムルグって、アロマダムルグでも組めと?

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハロー、ナイス・トゥ・ミー・チュー、遊戯ボーイ!』

「こいつは!?」

「表彰式に来てたデュエルモンスターズの生みの親、ペガサス・J・クロフォード!?」

 

 あの後、小包の中にあったビデオレターを再生してしまった遊戯さん。

 ちょっとお手洗い借りてる間に再生してしまったようで、止められませんでした。

 

『これは親愛なる遊戯ボーイへのビデオレターです』

 

 

 そして其処からは原作同様、ビデオに録画されたペガサスさんと遊戯さんがデュエルすることに。

 

「よし! 僕はデビルドラゴンのカードで!」

『デビルドラゴンのカードですね』

 

「そんなばかな……!」

「画面の中の人間がどうしてカードが見えるんだ!」

 

 

 そして始まる闇のゲーム、原作の方では遊戯さん以外の時間が止まっていたけど、どうやら私と双六さんは動けるようです。

 だけど、なんでか城之内さんは目は動いているようで、見ることだけはできてるみたいです。

 さながらジョジョVSディオのよう……。

 

「これは、闇のゲーム!?」

「闇のゲームじゃと!?」

 

 闇のゲームに対してもう一人の遊戯さんに代わり、始まるデュエル、手札を読むペガサスに押される遊戯さん

 だけど、このデュエルはサブリミナルを利用した部分もあり、それに気付いた遊戯さんはデッキトップのモンスターを使うことで対抗、博打すぎませんかね?

 

 そこから状況は一転、ブラックマジシャンで押していく遊戯さん、だがそこに現れるは幻想師・ノーフェイス。

 そしてノーフェイスに幻惑の眼をつかった攻撃で一ターン操られ、ライフが逆転する。

 そして残り時間僅かになったところでデーモンの召喚で攻撃するがそこで時間切れとなった。

 

『YOUとはデュエリストキングダムで戦う予感がします』

「もし嫌だと行ったら?」

『チッチッチ、YOUは私から逃げることはできませ~ん』

「なっ!?」

 ペガサスが髪の毛で隠していた千年眼を見せながら

『私の力はミレニアムアイの闇の力です』

「ミレニアムアイ?」

『キングダムで会いましょう、YOUが大切なものを取り返したかったら……』

 

 そしてミレニアムアイから光が放たれた瞬間その直前に声が聞こえた。

(少女よすまん、ヘカとバーを借り受ける)

 

 そして、双六お爺ちゃんに向かっていた光をエクゾディアがガードした。

 

『ワッツ!? アリエマセーン! ミレニアムアイの力をはじくなどと!?』

 

 私は驚愕するペガサスの声を最後に、私の意識は途絶えました。

 

 

 そして目が覚めたらお昼になっていました。

 

「おお鈴音ちゃん、目が覚めたかの? どこか変なところはないか?」

「あれ? 確か遊戯さんがペガサスと闇のゲームをはじめてそれで……」

(そうだ、確かエクゾディアさんが声をかけてきて、それで……)

『其処からは我が説明しよう』

 

 そこから何が起こったのかエクゾディアさんが説明してくれた。

 ミレニアムアイの力で双六お爺ちゃんの魂を無理やり持っていこうとしたところをエクゾディアさんが私のバー(生命力)とヘカ(魔力)を私から持っていって、とっさに防壁を張ったようなのです。

 ですがミレニアムアイの力は強く、そのせいでほんの数秒防ぐだけで私のバーもヘカもかなりの量を使ってしまったために倒れてしまったそうです。

 命の危険レベルではないにしろ、急激な消耗に私は倒れてしまったようなのでした。

 

「すまんのう鈴音ちゃん、此奴が儂を助けるためとはいえ危険な目に合わせてしもうた」

「でも、お陰で双六お爺ちゃんが無事でよかったですよ、体はまだちょっとだるいですけど、こうして無事ですし……(ぐ~」

 そんなところに私のお腹は鳴ってしまった。

 よくよく考えたら私、昨日のお昼から何も食べてないことになるんですよね。

「よし、出前でも取るか! 遠慮せずバンバン注文して構わんぞ!」

「あ、では、お言葉に甘えて//////」

 

 

 お昼の後、もう一眠りさせてもらって夕方、遊戯さんたちも帰ってきたのですが、皆にかなり心配を掛けてしまったようです。

 

 そして、遊戯さんにはデュエルキングダムの招待状、そして原作と違い、城之内さんにも招待状と一通のビデオレターが届いていた。

 妹さんの、静香からのビデオレター。

 

 手術をするためには多額の費用がかかる、でも手術しなければ失明してしまう状況になり、城之内さんはデュエリストキングダムに参加することに。

 そして、遊戯さんも城之内さんの妹さんの為に参加することに。

 原作と違ってお爺さんが人質になっていないから、今のところ城之内さんの妹の為に参加する感じになってますね。

 

「城之内さん、私、この間の賞金殆ど残ってるよ、それで足りないかな? 足りなくても足しにはなるはずだよ」

 カードの箱買いしたり税金に持ってかれたりしたけど、それでもまだだいぶ残ってる。

「すまないな鈴音、だが俺だって静香に兄としていいところ見せてやりたいからな、どうしても、どうしても駄目だった時には俺から頼む」

「城之内さん……わかりました、がんばってください、応援してますから!」

「ああ……って、俺に招待状来たなら鈴音にだって招待状来るはずだろ? 確か表彰式にさんかしてもらうとかいってたじゃねぇか」

「あ、そういえばそんなこと行ってましたね……、どうしましょう? 正直アレを見た後だと……」

「確かに、鈴音ちゃんが出るにはちょっと危険過ぎるのぉ」

「興味はあったんですけどね……、城之内さんと遊戯さんのこと応援してます!」

 

 

 その後はデュエルしたり雑談した後家に帰宅。

 ちなみに精霊のウォルフからは滅茶苦茶心配されました。

 その夜寝たら寝たで夢にエクゾディアさんが来たり、それでウォルフがやや不機嫌だったり、それをなだめたり、エクゾディアさんから謝礼を渡されたりしましたけど、私の魂にくっついてきたカードを2~3枚生み出して

くれたんですが……なにが出てくるかわからなかったとは言え、このカードは駄目でしょ……まだ世に影も形もない上に召喚に必要なカードも無いですよこれ。

 もう一枚も、この世界に存在してない種族ですよ!

 色々まずいのでその事をエクゾディアさんに言ったら、ヘカを使った収納方法を教わりひとまずの安心? を得たところで目を覚ました。

 あと、エクゾディアさんから加護と、サブマスター的な扱いを受けることに。

 どうかイリアステルなんかに狙われませんように……。

 

 

 

 

 そして日課を片付け、私のところにも届いていた小包と招待状は、中身を見てから放置。

 防犯対策を考えながら、色々とお買い物。

 主にキャンプグッズとかを中心に野宿できるような代物を幾つか購入。

 かさ張らないようにバッグひとつに入りきる物を購入。

(確かデュエリストキングダムだと一日でスターチップ集め切らない限り野宿、食事も各自で用意だったはずだから選別に渡しておきたいよね、舞さんの事もあるから、お昼の一食分かな?)

 

 そして、買い物を終えてからは防犯用グッズを家に仕掛けたりした後、夕方は遊戯さんのところでキングダムに向けての特訓、デッキの組み換えしたり、デッキにおけるタイプを少し講義したりした。

 ビート、カウンタービート、パーミッション、コンボデッキなどの、それぞれ当たった時の注意点なんかを説明。

 カウンタービートの例として【外道ビート】を今あるカードで再現してみたら軽く引かれたけど、すぐにどうやって攻略するか考える遊戯さんたちを見て、やっぱりデュエリストはこうでないといけないなって思いました。

 ちなみにこの時使った魔導戦士ブレイカーは遊戯さんに選別として渡してみました。

 一枚当たっていたけど、私は今のところ使う予定がなかったので使ってくれる人のところへと。

 

「今の主流はビートがメインだけど、インセクター羽蛾みたいなカウンターコンボデッキもあるから、伏せカードがある状態で無警戒に攻撃するのはあまりおすすめしません。

 準決勝の羽蛾VS竜崎戦での竜崎みたいに攻撃力が低いと侮って攻撃して、罠で止められてカウンターのコンボ攻撃でワンキルされる事もあるから注意してね」

「鈴音とデュエルしてると、伏せカードがある時に迂闊な攻撃は危険って身にしみてるぜ、だけど時にブラフ伏せてることもあるから、踏み込まなきゃ勝てねぇ時もある、判断一つが難しいな」

「そこがデュエルの醍醐味でもあるんだよね、一瞬の判断が勝負を分け、一流のデュエリストはそこを嗅ぎ分けるんだって」

 

 キングダムへ向けての特訓も進み、概要見た限り無人島全域を使った戦いとなっていたので、念のため用意した簡単なキャンプグッズも渡しておきました。

 

 

 そして家に帰った途端、辺りが煙に包まれました。

「ゴホゴホっな、なに!?」

(鈴音、鈴音!くっそ、実体……する……力……が……足り……)

 心配するウォルフの声に、ヘカを込めようとするが、それよりも先に意識が途絶えてしまった。

 

 

 そして目が覚めたら、塔の上に幽閉されてました、これなんてラプンツェル? それともクラ◯ス?

 

「ここは一体……」

 あたりを見回すと見慣れない石造りの部屋、そして天井からモニターらしきものが降りてきた。

 

『ハロー、スズネガール、サプライズは気に入っていただけたかな?』

「ペガサス会長さんは、あんな突然眠らされて目が覚めたら全く知らないところに連れてかれて喜びますか?」

 ニコニコしながら皮肉を言ってみるが

『オ~ウ、それはもうしわけありませ~ん、確かにわたしもそのようなサプライズはごめんですね~』

「日本には自分がされて嫌なことは人にするなって言葉もありますよ」

『スズネガールは博識ですねー、とても勉強になりまーす。

 さて、本来であればスズネガールには大会に参加して貰う予定だったのですが急遽このような目に合わせてしまいモウシワケアリマセーン、ですがこちらも遊戯ボーイにはどうしても本気で来てもらわないとコマルノデース、ですからスズネガールには遊戯ボーイに対する人質になってイタダキマース。

 それに、スズネガールにはとても興味があります』

 

 それを聞いて思わず私は自分の体を抱きしめながら

「え!? ま、まさかペガサス会長はそのような趣味が……そういえばペガサス会長は孤児を集めているって噂を聞いていたけどまさか……」

 身の危険を感じ、震えながらそう言ってしまった。

 

「ち、ちがいまーす! それだけは断じて違いマース! 私はシンディア一筋です!

 決して幼女趣味とかではアリマセーン! 信じてくださーい!

 私が興味があるのはマインドスキャンが効かなかったことに対してデース!

 あの表彰式の時にスズネガールに使いましたが、スズネガールの心を読み取ることはできませんでした、故に私は、遊戯ボーイを打ち破った後はYOUを本国へ連れて帰るつもりです」

「国をまたいだ誘拐じゃないですか!」

「フフフ、遊戯ボーイが勝つことを祈ることデース、ですがデュエルモンスターズにおいて私が負ける訳ありませんが、ではそこでおとなしくしていてくださいね」

 

 そう言ってモニターが切れた、私これからどうなるんだろう? 人質としての価値は微妙な気もするんだけどな~、むしろ双六お爺さん以外だと杏子さんとか杏子さんとか大穴で本田さんとかいると思うんだけど。

 ペガサスさん、さらう人間違えてませんか?

 

 

 それから荷物の確認、どうやら鞄の中の財布やデッキは無事のようです。

 それからは布団に潜り込みながらカードにヘカを込めたりしながら一日ゆっくりしてました。

 あ、ベッドとご飯の質は結構良かったです。

 

 そうして過ごしてる間、実は精霊たちには現状の調査をお願いしていました。

 この間の限定パック開封とエクゾディアさんから貰ったカードにも精霊がいまして……。

 

(姫、周辺の調査終了したでござる)

(ピピッ、シロノシステムニハッキング、セイコウシマシタ、イツデモギゾウエイゾウニキリカエラレルヨ、ホメロ?)

 一人は頭全体を覆うマスクを付けた黒の忍者、もう一体はマスコット的な要素を持つ小型ロボット。 

(ありがとう二人共、後はタイミングをみて逃げましょう)

(承知つかまったでござる)

(ピピッ、リョウカイ、タイキモードニイコウスル)

 速攻の黒い忍者の精霊と、サイバース族のデジトロン、サイバース族は不味いよね。迂闊に人に見せられないよ。

 

 そして夕方になった時

(姫、誰かがこちらに近づいてきてるでござる)

(ねぇ黒い忍者さん、その姫ってのは……ちょっと……)

 なんで姫になってるんだろうか……。

 だがそんなことはお構いなしにと、扉の向こうから。

 

「はなせ!HA☆NA★SE!はなせ~!」

「ええい、おとなしくしろ!」

 聞いたことのある声がしたと思ったら、扉が開かれて部屋に人が放り込まれてきました。

 

「いって~! こら!だせ、だせ!ここからだせ~!」

 扉をドンドンっと叩く私と同年代ぐらいの少年、たしかあの子は……。

 

「えっと、モクバくん?」

「え? 鈴音!? なんでお前がここにいるんだよ!?」

「私はその……人質らしいよ? 遊戯さんに対しての」

 

 そこからはお互いに事情説明会。 

 どうやらモクバくんの方は、I2社にKCを乗っ取られそうになっているそうです。

 ビッグファイブはペガサス会長に株を譲る条件として、信用を落とした原因である遊戯さんを消すことで信用回復を狙っているみたいです。

 海馬さんはあのデュエルの後まだ完全に目覚めていないようで、モクバくんが語りかけると少し反応を示し、モクバくんの頭を撫でたりする程度で、車椅子に乗せられて介護されているようです。

 そしてさっきの話を立ち聞きしたモクバくんはビッグファイブに拉致され、ここに連れてこられたようです。

 

 私の方は、今北三行方式で説明してみた。

・遊戯お兄ちゃんを大会に引きずり出すためにお爺ちゃんを人質に狙ったよ!

・闇のゲーム挑んだけど、双六お爺ちゃんを人質にするのには失敗したよ!

・双六お爺ちゃんを人質にするのに失敗したから無理やり私をさらい、気がついたらここにいた、いまここです!

 

 そんな説明した後に「私さらうより、杏子さんとか大穴だけど本田さんとか、私より遊戯さんの人質に適してる人いると思うんだけどな」って言ったらモクバくんには呆れられました。

「まあ、杏子はわかるけど大穴でも本田は無いと思うぞ、むしろ鈴音のほうがさらいやすいぜ。

 両親他界、一人暮らしと、さらう条件としては杏子より上だ」

 そう言われると確かにさらいやすいんだよね……。

「あ、モクバくんは知ってたんだ……」

「そりゃ、遊戯絡みで関係者を調べたときにな……ごめん」

「いいよ、気にしないで」

 そう言ったところで、夕食が運ばれてきた。

 

「とりあえず、ご飯にしよ? 何をするにしても腹ごしらえしないと」

「そ、そうだな……」

 

 その後は私が先に食べてから、モクバくんも恐る恐る食べ始めてました。

 なお、時々デジトロンに偽造映像ながしてもらったりもしてました。

 

 その後夜にはモクバ君と話したりもしましたが、モクバ君、苦労しすぎじゃないかな~。

 いくらなんでもその年で会社回してって……。

 

 

 そして朝になって港から船の汽笛が目覚ましになりました。

 起きたら起きたでモクバ君はシーツを結んでロープを作ってるし。

「おはようモクバ君、そして何してるの?」

 一応、デジトロンにはモクバくんが何かしようとしてたら偽造映像に切り替えるように言っておいたけど、大丈夫かな?

 

「何って、逃げ出すに決まってるだろ? いつまでもこんなところにいられないぜ!」

 そして朝食は食べずにこのまま脱出する方向になり、冒頭へ戻ります。

 

 ベッドに結んだシーツロープで窓から脱出を実行。

 

「ねえモクバ君、このロープで足りるの?」

「多分な!」

 スルスル降りてるけど、多分足りないよね。

 

「ごめん、ロープの長さ、足りなかった」

 そして結び目が解け始める。

「あっ」

「それでは皆さん、また来世で~」

 結んだシーツが解け、私と木馬くんは塔の下の森に向かって真っ逆さまに落ちていきました。

 

 

 つづく

 

 




 ブラック忍者、作者も昔愛用してたカードです。
 最近になって速攻のブラック忍者を軸にしたデッキ組もうか考えてたりするこの頃。
 ちなみに鈴音には複数のデッキを使わせる予定です。

 そしてなんとなくで出してしまったデジトロン。
 でもリンク召喚は当面出す予定はありません。
 なお、ウォルフが実体化できなかったのは、鈴音のヘカとバーをエクゾディアに持って行かれた時、ウォルフが鈴音に自分のヘカとバーを分けていたという理由もあったりします。
 しかし、爺ちゃんをヒロインから外してしまってよかったのだろうか、そこだけが作者の唯一の不安点です。

 以下遊戯さんたちとデッキについて考察していた時の小話。

遊「そう言えば鈴音ちゃんがエクゾディアを使ったデッキを作るならどんな風に作るの?」
鈴「私が作ると、今の禁止制限だとこんな感じになりますね」
城「どれどれ?」
双「ほぉ、どんな感じになるのか興味あるの……」
 そして見せるのは今では決して許されない、エラッタ食らう前のカードで行われたエゲツない行為のデッキ。
鈴「ドロー加速の魔法はガン済みにして、左腕の代償、苦渋の選択、死者転生、補充部隊をいれて、モンスターはクリッター、黒き森のウィッチ、王立魔法図書館とかになりますね。
 そして初手で苦渋の選択があればほぼワンキル成立です、クリッターとウィッチ落してエクゾディアサーチしてフィニッシュです、場合によっては図書館サーチからの図書館エクゾに移行してもいいですし」

 そして静まる一同
遊・城・双「あかん、これはあかん鈴音!」
鈴「禁止制限が緩々な今だからこそ許されるデッキです。
 大会でこんなの使ったらいろんなカードが即禁止行きになりそうですけどね。
 後はこの、記念パックにはいってた究極封印神エクゾディオスを使った、エクゾディアで殴り勝つデッキとかもあるんですけど、まだ構想段階なんですよね」

城「おれ、デュエルはモンスターで殴り合うものだと思ってたんだが、鈴音の話聞いてると、別のゲームに聞こえてきた」
遊「うん、デュエルモンスターズは基本的にはLPを削るのが主流だけど、勝利条件には、デッキからカードが引けなくなった時点で敗北するってルールもあるから、偶に相手のデッキを削って勝つってのもあるみたいだよ。こういう勝ち方もあるんだけど、鈴音ちゃんのはぶっ飛び過ぎだよ」
双「鈴音ちゃん、そのエクゾディアデッキ、滅多なことで使ってはいかんぞ!」
鈴「先行ワンキルとか絶対に負けられない戦い以外じゃ使いませんよ
 正直、この状態のデッキに魂を込められるかと言われたら厳しいですし」
 先行ワンキルは使ってて楽しいわけじゃないですから。

 こんな話があったとか無かったとか。



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