ジャック・ザ・リッパーになった僕の生き方   作:がさ丸

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暗い路地それと出会い

玲奈の家を出てすぐ、‘‘私達’’は先ほどの無人街へ再びやって来た。夜の闇に染められた路地裏には人っ子一人寄り付かない。たまにこの路地から酔っ払いが出てくるのを何度か見たことがあるけど、なんであそこに行ってたんだろう。...まぁ、いいや。

 

路地裏を徘徊していると、赤黒い水たまりのような物を見つけた。そして脳裏にあの光景が浮かび上がる。

ダメだ...、玲奈は私達の事を忘れたんだ...。忘れなきゃ...。

そして、深い暗闇の中に「くぅ〜」という可愛らしい音が響いた。

 

「お腹、空いた...」

 

今まではちゃんとしたご飯が食べられたけど...、今は食べられない。そうしたら...、最後の手段として...、『魂食い』を行うしかない。

いつの間にか頭の中にあった知識。

心臓を食う。それだけ。

 

魔力に関しては魔術師を探せば良いだろうけど、このご時世魔術師なんて彷徨いてるはずないだろうし、人間しかいないのかな...。でも、人を切るなんて...。

 

『良いじゃん、お腹いっぱいになるよ?』

 

「...え?」

 

『それに、さっき一瞬しか味わえなかった気持ち良さ、沢山味わえるよ?』

 

「ぅ...」

 

自然とナイフの鞘に手が伸びる。そして一本のナイフを取り出す。

ふらふらとした足取りで路地裏を歩く。そして見つけた。唯一の獲物。覚束無い足取りで歩いている成人男性。

 

それを見た瞬間、私達の脳内は一つの言葉に埋め尽くされた。

 

『ご飯食べなきゃ』

 

音もなく男性に近寄る。

そして背後まで近づくと...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────男性side

 

ちっ、ついてねぇ...。会社では怒られてばっか、ヤケ酒した挙句終電に遅れる?

帰れねぇじゃねぇか。

どーすんだよ...ここどこだか分かんねぇし...。

まぁ、適当なとこで寝てりゃ良いだろ。

 

とにかく、寝れる場所探すかぁ?

 

「けっ...、イラつくことばっかだ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、楽になる?」

 

 

 

「は?」

 

 

 

──────────────ジャックside

 

振り向きそうになった瞬間に男性の心臓を一突きする。先程の気持ちよさが再度身体を襲う。

 

「...ふふ、美味しそうだね」

 

心臓を抉り取ろうとしたが、その前にやることがある。

まずは、解体しなければ。

 

 

 

「えっと...まずは腕から...」

 

ブチブチッと子気味いい音を立てて何かが切れる音がする。そして、骨の断面が綺麗に見える程まで腕を切る。

 

その後も別の部位に移っては切って切って切り続ける。

 

切って切って切って切って切って切って

 

 

切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って切って

 

 

気づけば男性は、原型すら留めていないモノへと変貌した。

ぐちゃぐちゃの肉塊の中から綺麗な心臓を取り出して、食べる。

瞬間、口の中に弾けんばかりの旨味が広がった。普通の料理より美味しく、世界の三代珍味をも凌駕するであろう旨味が口内を蹂躙する。

 

ふと横を見てみる。そこには割れたショーウィンドウがあり、そのウィンドウに写っていた少女は返り血で真っ赤に染まりつつも、蕩けた様な顔をしていた。

そこで気づく。

 

『自分はまだ満たされていない。もっと食べたい』

 

「まだ...食べたい」

 

 

思考の奥底に沈んでいる自我はそれを否定する。

だが、そんなもの届くはずが無い。

 

少女は立ち上がり、ふらふらと歩き出す。

 

『殺人鬼なんかになって良いの?』

 

「お腹、空いたし...」

 

『悲しむ人、いるでしょ?』

 

「...いない。もう、忘れてるよ」

 

『そう、なら自分の好きな道を歩いて』

 

それ以降頭の中で声が響くことは無かった。

そのこともあってか、正気を取り戻しつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────数時間後

 

 

 

 

「あ.....、私達は...何を...」

 

ふと自分の周りを見る。あの無人街だ。

それ以外に変わったことは無い。筈だった。

 

少し歩く。

 

『びちゃ』という気持ち悪い音が響く。

 

「...え?」

 

 

足元を見ればすぐに分かった。

そこらかしこに散らばる肉塊、広がりに広がった赤黒い水たまり。そして、身体の辺りに血が付着している少女がそこに立っていた。

 

不思議な事に、お腹は空いていなかった。ものすごく満たされている。一体何があったというのか...。まったく理解出来なかった。

 

すると、遠くからパトカーのサイレン音が聞こえてきた。

私達は驚いてその場から逃げようとした。だが、それは叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に、ウェディングドレスを着て角のような物を生やした少女が現れたからだ。




えー、急展開でございます。
流石に1人では可哀想だと思ったので、ロンドンでお世話になった子も出します。

この流れで電気王とか槍王とか出ない? と思っている方。その希望は捨てないで下さい。

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