ジャック・ザ・リッパーになった僕の生き方   作:がさ丸

5 / 6
身体に慣れよう

映画を見た後のお昼ご飯、美味しかったです。玲奈の手作りは馬鹿に出来ないんだよ。行動はあれなんだけど...料理は素晴らしい。

 

という訳で、お昼ご飯を終えた僕と玲奈はこの近くで有名になっている無人街に来ている。

玲奈にこの事を話したら凄い輝いた目で「なにするの!?ナニするの!?」って聞いてきたけど「解体」の一言で黙らせた。だってうるさいもん。

 

何故、無人街に来ているのか。肝試しとかそんなんじゃない。僕の身体能力を確かめるためだ。それと、FGOと同じくスキル等が使えるかも確認する。まぁ...要は習うより慣れろ。ってやつだよね。ということで、幽霊とか出そうな雰囲気の無人街に来てるわけです。

 

目の前にあるのは人気の無い路地、死体が1体転がっててもおかしくない雰囲気。壁の至る所には落書きがしてあって、「俺、参上!」とか「僕に釣られてみる?」など、どこぞの赤鬼と青鬼のセリフと共に、チャーハンに旗を刺したお子様定食の様な、車掌さんの大好物の絵が描いてある。

これ描いた人...、かなりの列車好きなんだろうなぁ...。僕も好きだったけど。特に牙王の外見は好きだったよ。

 

それはさておき...。

 

「玲奈、ここまで来れば誰もいないよね?」

 

「いないと思うけど...、もしもの事を考えて動いてよ?見つかったら大変なことになるから」

 

「ん、分かった」

 

そして僕は腰の後ろに下げているナイフの鞘から二本のナイフを引き抜いて、コンバットナイフの様な形状のナイフを手に取る。この前確認した時点では、鉈の様な形状とコンバットナイフの様な形状の物しか確認出来ていない。

それらが二本ずつ鞘に納められている。

適当にそこらの道路標識を切ってみようと思う。犯罪なんだけどね...、バレなきゃ犯罪じゃないんだよ。

 

「さて...と」

 

目の前の『!』マークのついた標識を捉える。

そして、姿勢を低くして両足に力を込めて前に飛び出す!

スターティングブロックに足をかけずともこの加速。サーヴァントってすごい。

先程捉えた標識はもう目の前。片方の腕を突き出して標識のポールにナイフの刃を当てる。

すると豆腐を切るようにするっと切れた。これは病みつきになる感触...、もっと切りたい。

何か切れるものが無いか探す。目の前のポールはもうダメだ。新しい感触を求めて別のものが良い...。

そこに好都合と言うのか、薄汚れたくまのぬいぐるみが転がっていた。

僕の頭は『これを切ったらどれほど気持ちいいのだろうか』という考えに埋め尽くされた。

一気に近づいてくまのぬいぐるみを持ち上げる。まず腹を一突き。中から綿が溢れ出す。その綿を見ると『もっと切りたい』という衝動に駆られる。

そこからは何度も何度もぬいぐるみの腹を突いた。大量の綿が溢れ出して、見るも無残な姿になっていた。

その後も無人街を玲奈1人置き去りにして彷徨った。

 

『何か切れるものが欲しい。もっとあの感覚を味わいたい』

 

僕の頭はこの思考で一杯だった。

あのするりと切れる感覚、人工物は豆腐の様に切れ、ぬいぐるみは切ることにより謎の快感が得られた。

 

なら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人はどうなのだろうか。

 

人を切ったらどの様な気持ちがするのだろうか。

楽しいのか気持ちいいのか...、様々な考えが頭を巡った。

そこで‘‘私達’’は玲奈を置いてきた路地に戻った。

あそこなら、切ってもバレない。

 

 

 

 

─────────────玲奈side

 

ジャックちゃんの為にここまできたけど、当のジャックちゃんが暗い路地の奥に行っちゃった...。

はぁ、探しに行こうかな...、でも奥に幽霊がいるとか何とか噂聞くしなぁ...。どうしよう...。

 

今の私は幽霊>ジャックちゃんという思考なんだよ!幽霊が怖い!ジャックちゃんが戻るまで待つんだ!!

 

 

───────────数時間後

 

流石に長すぎません!?

陽が傾いてますよ!?お姉さん帰っちゃうよ!?

晩ご飯作りに帰っちゃいますよ!?

 

眠いし〜、立ってるの疲れるし〜...。

帰ろっかなぁ...

 

「ジャックちゃ〜ん!帰るよ〜!」

 

あの姿で優君って呼ぶのも嫌だし...、これで統一しよ。

ていうか...、呼んでも返事ない...。どこまで奥行ったの?

 

「ジャックちゃ〜ん!!」

 

「...なに、玲奈?」

 

「あ、おかえり...ほら、帰るよ?」

 

「うん」

 

すっごい心臓の鼓動が早いです。

名前呼んで背後から声した時は、本当にもう...終わったかと。

さて、ジャックちゃんも来たわけだし...帰ろっかな。

 

「ねぇ...、玲奈」

 

「ん?なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね」

 

瞬間、私の腹部に激痛が走った。

その痛みに耐えきれず、その場に倒れる。

赤黒い液体が段々と広がっていく...。

そこでやっと気付いた。

 

 

私は、ジャックちゃんに切られたんだ。と。

 

 

 

─────────────ジャックside

 

肉質のある物を切った瞬間、‘‘私達’’は何とも言えぬ快感に襲われた。

今までのものとは違う。これが『人を切った時の気持ち良さ』

そして‘‘私達’’はナイフを見る。

真っ赤に染まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ赤...、これは...血...?

 

 

 

 

 

 

 

誰の......?

 

 

 

 

 

 

 

そして足元を見る。

そこには荒い呼吸を繰り返す玲奈が倒れていた。

 

その瞬間‘‘僕’’は、とんでもない事をしてしまったと。遅れて気づいた。

 

 

「れな....、玲奈!」

 

「ジャ......ちゃ...ん.....」

 

「ごめん!ごめんね!今治すから!!」

 

出血は多いものの心臓に傷害は無い。

ならば、ジャックのスキル『外科治療』で何とかなるはずだ。これは‘‘僕’’の責任だ。きちんと、‘‘僕’’が治す。

 

「痛いけど...、我慢して...」

 

 

腹部の患部を見る。

このナイフで切り裂かれたのだろう。その時の記憶はまったくないが。

 

腰に下げてあるポーチから針と糸を取り出す。

このポーチの中身は外科治療に必要な道具が入っている。

なんとかこれで...やるしかない。

 

 

『治療中』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辛うじて、玲奈の腹部はつなぎ止めた。

止血もした。今‘‘僕’’が出来ること全てを玲奈に施した。

一命は取り留めた。生きている。そして、今...‘‘僕’’は玲奈に『情報抹消』を使い、‘‘ジャック’’という存在を頭の中から消した。

玲奈が寝ている間、‘‘僕’’は家まで玲奈を運んで、救急車を呼んでおいた。

これで、玲奈は僕の事を忘れて、いつもの日常に戻る。‘‘僕’’という存在が関わらない、日常に。

 

‘‘僕’’が関わると、また今回の様な事が起きかねない。その為の、最適な方法がこれだった。

 

そして‘‘僕’’は、玲奈の家に置いておいた黒布を持ち、身体に巻き付ける。

そのまま、闇夜に潜んで、玲奈の家を後にした。




はい、という訳で。今回から物語はガラッと変わって日常からかけ離れていきます。
シリアスも混ぜてきますよ。たまに。ほんとたまに。

今回の話には賛否両論あると思いますが、是非、暖かい目で読んでくださると嬉しいです。


タイトルも後に変えておきます。
これからどう話を展開していこうか考えておりますので。
どうかこれからも、この作品をお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。