初めましての方は初めまして。
2ヶ月ぶりの新作投稿で御座います。
別作品の方は、アイデアがまとまり次第投稿します。
それまでは、こちらの新作、お願いします。
...誰に話しているか分からないけど一応自己紹介しておこうかな。
僕の名前は高梨 優。高校生だ。高校は通信制なんだよね。ほら、中学の頃に嫌な思い出があってさ...。
それ以来、あんまり人と会ってない。
という訳なんだけど...、人に会いたくない僕がバスに乗っているんだ。
その行き先だけど...、東京のある場所。
日本の最先端が集う電気街、秋葉原!
そこに少し用があって人の目を避けつつバスに乗っている。(まぁ、電車乗るんだけどね)
その車内で僕はかなり有名なアプリ、Fate/Grand Orderをプレイしていた。中々★5鯖が出ないんだよね。今まで何個の石を砕いてきたことか。出たのと言えば玄奘三蔵さん位かな。
そして今、僕はラスト3個の金平糖(聖晶石)を使って単発を回そうとしている!
よし、いくぞー!
僕は『1回召喚』のボタンをタップした。
あ、ちなみにジャック・ザ・リッパーのピックアップだよ?
とか思ってるそばから始まってた。
お?おぉぉぉ!!!虹色!!確定演出!!
何来る!?何来る!?
アサシンの絵柄...てことは...?
『アサシン。ジャック・ザ・リッパー。よろしく、おかあさん』
いよっしゃぁぁぁぁ!!!
ジャックだ!フォォォォォ!!!
車内の最後部座席で密かにガッツポーズする。
大丈夫だよね?迷惑掛けてないよね?
そんなことを考えているといきなり浮遊感が体を襲った。
そしてバスは重力に従って下に落ちていった。
車内は悲鳴で満たされた。
その長さがかなり長く感じられた。
人間って死に直面すると倍の時間を体感するって...事実なんだなぁ...。
直後、頭部と全身に激しい衝撃を受けた。
最期に目に映ったものは、スマホの画面に表示されている、黒いローブを纏ったジャックだった。
────僕の意識はそこで途絶えた。
─────────────────────
「...........ぅ」
全身に痛みを感じながら身体を起こす。
確か...バスが落ちて...それで...、どうなった?
僕はゆっくりと辺りを見渡した。
ベコベコにへこんだバスと、辺りに散乱する人の一部だったモノ。
「うぇ.....」
腹から込み上げる嘔吐感を抑えて、よろよろと立ち上がる。
てか...ちょっと待て。目線低くない?それになんか...声高い?
「あー...あーあー......え?」
やっぱり...、声高い!なにこれ!声帯やられた?(ポジティブシンキング)
とにかく、声だけじゃあれだし...姿が見れれば良いんだけど...、っと...バスのサイドミラーがあるじゃないか。ボロボロだけど。
そして僕はバスのサイドミラーを覗き込んだ。
そこに映ったのは......
淡く銀色に輝く髪の毛、黒いローブを纏った幼げのある身体、そして顔にある独特な縫い目の様な跡。
あれ、これって.....
ジャック...?ジャック・ザ・リッパー?
えっと...転生?
憑依?
TS?←それだ!
TSでジャックになったってこと?
でもここって現実世界で...特異点とかじゃないよね?
てか家じゃないし...、事故現場だし...。もしかしてこの格好で帰れってこと?
見つかったら痴女と間違えられるよ!?まだ捕まりたくないよ!
おっと、あそこに転がっているのは...僕のスマホじゃないか!...って、どこも割れてない?あの衝撃だったら壊れる筈なんだけど...鯖パワー(?)だね!
さて、電話しよう。
え?誰に電話するのかって?そりゃあ...決まってるでしょ。幼 馴 染 み だ よ !
居ないと思ったんだよね?正直な所、ね?だよね?
幼馴染みの連絡先を選択して...、出れば良いんだけどなぁ...。こいつにFGOを勧められたんだっけ?...っと、出た。
「もしもし?」
相変わらずジャックと同じ声だ...。
確か声優は...ゲフンゲフン。言っちゃいけないね。
『ん?どちら様ですか?優くん?声高い?病気にかかったの?』
「いや...違うけど。あのさ、落ち着いて聞いて欲しいんだけど...」
『んー...、良いよー。赤裸々告白、又は黒歴史ならいくらでも受け入れるよー』
まぁそれに近いんだけど...
「ジャックになったんだけど...どうしよう?」
『.................』
あれ?返事がないただの(ry
「もしも〜し?」
『ハッ!...ごめんごめん、理解するのに数秒掛かった。それで、ジャックになっちゃったの?カリブ海にいる伝説の海賊?それともサイボーグの侍?』
「前者はジャックの部分だけ合ってるけど!後者は...サイボーグと侍を消せばそうなるかな?」
『サイボーグの侍じゃない...ジャック...ということは...人斬りの...ジャック・ザ・リッパー?』
「ん...たぶん、そうかも」
『....分かった今すぐ迎えに行くよ〜』
「迎えに来てとは一言も...!」
『自転車で良い?分かった、今すぐ行くね!』
あ...切られた...。僕が返答する前に自分の中で答え出したよ。というかまだ場所も教えてないのに...。
まぁ、良いかな。とにかく待ってみよう。
─────数時間後
「..........」
今、僕の目の前では鼻血を出しながらフリーズしてる玲奈がいます。
なんで鼻血を出しているのかは分からないけど、今1番聞きたいことが一つあった。
「何でここが分かった?」
玲奈には何処に行くとも伝えてない。
それなのに目の前には玲奈がいる。
犯罪に手を染めてなきゃ良いんだけど...
「何で分かったって...、幼馴染みの力ってやつかな!」
...とか言ってるけど簡単な事だ。
部屋に盗聴器でも仕掛けたんだろう。この前すごい聞き挙動不審だったし。
僕は確か部屋で秋葉原に行くって独り言を言ってた筈だ。それを聞いた玲奈はバスのルートを特定して、この事故現場を見つけて...僕を見つけたという訳だ。
犯罪だよね?盗聴って。
「玲奈、悪い事は言わないから自首しよう?今ならきっと軽い罰で済むよ」
「はぁうっ!!」
倒れた...、なんか言ったかな...。
自首の申し出しか言ってないんだけど...。
「そんな可愛い声で...、あぁ...可愛い.....ぎゅってしたい...」
なんか手が怖い動き方してる。
可愛い声って玲奈が言ってるけど、僕はジャック・ザ・リッパーになってる。
どういう経緯でなったかは分からないけど、ジャックになってる。
「僕はおと...」
すごい剣幕で睨まれた...。
男って言わせない気だな...!
「さて、こんな所でモタモタしてると警察の方が来たりしちゃうから...、後ろ乗って?」
「え...、自転車の?」
「それしかないでしょ?」
さいですか...じゃあ乗りますよ...。
えっと....、どうやって?
「わたし的に跨って乗ってくれた方がバランスとれて良いんだけどなぁ...」
「...分かった」
僕は言われるがまま自転車の荷台に跨った。
これで帰れる...とにかく引きこもろう。
高校は...どうにかなるだろ。
「そろそろ出るよ〜?」
「あ、うん」
僕の了承を得て玲奈は自転車のスタンドを上げて自転車を漕ぎ始めた。
お〜...風が心地いい.....。と思ってた矢先。
「段差くるから気をつけてね〜」
って声が聞こえた。
段差なんか気をつけることあるの?←(自転車2人乗り未経験)
そしてガタン!と自転車が揺れた。
「ひぁうっ!?」
突如として体全体に電気が走った感覚に襲われた。
なぜそうなったかはまったく理解していない。
というか、理解できない。
今の衝撃で思考が一気に低下して何も考えられなくなった。
おかしい...、男の時は1回もこんな事は無かったはずだ。なぜ今になって...。
「ちょっ...、止め...」
「ん?りょうかい」
荷台から降りて玲奈を睨みつける。
なんか、『あぁ、もっとその目で睨んで!』みたいな顔してるけどそんな事はどうでもいい。
「なんで...段差避けなかった...!」
「気をつけてね。って言ったよね?」
う...たしかそんな事を言われた気がする...けど!
「どう気をつければ良いの!?」
「体を浮かす」
すぱっと返された...。
駄目だ、反論できない...。僕の負けだ。
「ごめんなさい...」
何か起こると僕が下になってしまう。
今になってはジャックの体だ。そんなので、俯いて謝るとそこの変態(玲奈)がどう反応するか...。
謝った後に気づいた。そして顔を上げた。
そこには息を荒くして鼻血を垂らした変態がいた。
無理やり持ち上げられカゴに入れられる。
鯖の体だからといって痛覚がない訳じゃない。
痛い。凄く痛い。主に背中が。
と、自転車のスタンドが上がった。
手荒な真似はして欲しくないんだけどなぁ...。無理だろう。
既に自転車は物凄い速度で走っている。
顔にあたる風が痛い。
────────────数分後
僕は玲奈の部屋にあるベッドの上で横になっている。
あの速度で自転車漕いで帰ってきて地に足を付けた瞬間倒れた。
背中の痛みと精神的な疲れによってバタリと。
「ぅ...ぁ...?」
ゆっくり身体を起こす。
大きな鏡があったが見る気にもなれない。
まだジャックのままなのだろう。
微かに自分が発した声も高かった訳ですし。
「あ、起きた?」
部屋着の玲奈がこっちを振り向く。
こうしてれば可愛いんだけど...。
「さっきは倒れてびっくりしたよ!でも、その身体って軽いんだね〜。運びやすかったよ。それに比べて...」
「玲奈はふとっ...!?」
いつのまにか壁にカッターが2本刺さっていた。
こめかみ付近の壁に、サックリと刺さってました。
あれは明らかにヘッドショットを狙ってますね。
「ツギ、イッタラ.....イノチ、ナイ」
なんで片言なんだ!?それよりも謝らなければ...僕の命が危ない。
「...ごめんなさい」
「許す!」
と、まぁ...兎に角、こうも愉快で騒がしい...ジャック・ザ・リッパー(僕)と幼馴染みの生活が始まったわけです。
そうそう、FGOの復刻水着イベでランサー玉藻が二体出ました。