GATE~ヴァンツァー、彼の地にて、斯く戦えり~   作:のんびり日和

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13話

猫をペルシアと名乗ったメイドに渡し、伊丹達の元へと戻って来たカズヤ。

 

「お、戻って来たかカズヤ」

 

城門上にいたパックは見下ろすようにそう言うとカズヤはえぇ。と言い手を挙げる。

 

「無事に飼い主を知っているメイドの人に渡しました」

 

そう言うと城門上にいた伊丹と倉田が物凄い勢いで見下ろしてきた。

 

「「メイドだと‼ 確かかカズヤッ(大尉っ)?」」

 

「うぇっ!? た、確かにメイド服の女性でしたよ」

 

そう言うと倉田はよぉっしゃーー!メイドさんが居る‼と高らかに拳を挙げた。

 

「……この二人は」

 

城門上にいた栗林は白い目を向けながら2人を眺めていた。

 

「えっと、それじゃあヴァンツァーの方起動しに行ってきますね」

 

そう言いカズヤはヴァンツァーの元に向かい、コックピットに乗り込み立ち上がった。

起動し立ち上がって南門の位置から見える穀倉地帯を見渡すと、奥の方に3人の馬に跨った兵士が見えた。

 

「伊丹さん、斥候だと思われる敵影を確認、送れ」

 

『了解。こっちからも見えてる。取り合えず監視のみで。向こうが手を出すまでは待機でよろしく』

 

「了解。レイブン指揮官out」

 

カズヤは報告を終え、斥候の敵影を監視続けた。城門上から斥候を確認した伊丹は隣にいたダンに話しかける。

 

「ダン中尉。敵さん、どう動くと思う?」

 

「ん? そうだなぁ。俺がもしあいつ等と同じ盗賊団だったら、一度負けた相手だとまた負ける可能性がある。だから南門に居る此処に攻めて来る可能性は低いだろうな。そうなると考えられる場所は、北側は川だから無いとすると東西の門のどちらかだな」

 

「だよなぁ。あの姫さん、俺達を囮に使って敵が攻め入って来たら奥の広場で叩くつもりでいるよなぁ多分」

 

「あぁ、伊丹の推測通りだろう。あの姫さん実戦経験が乏しすぎるだろ。敵の思惑にまんまと嵌ってやがる」

 

ダンは良くここまで持ち堪えたもんだ。と思いながら重い息を吐き、双眼鏡で斥候が居る場所から奥にある林を見る。其処には数千は居るであろう兵士達の姿が見て取れた。

 

「まぁ、万が一他の門が襲われたら俺達で救援に向かうか」

 

「……あの姫さん容認しますかねぇ」

 

そう言うとダンが呆れた目で伊丹を見る。

 

「伊丹、悪いが民間人が虐殺されそうになっているのを姫さんからの援軍要請を待つのは俺には出来ないからな。俺も、アイリッシュと同じ不条理な暴力に晒されそうになっている民間人を見過ごす事は出来ない」

 

そう言うと伊丹はそうですか。……はぁ。と息を吐き監視を続けた。

 

 

 

その頃、アルヌスの丘では多用途ヘリコプターUH-1Jヒューイ、対戦車ヘリAH-1Sコブラ、OH-1ニンジャが何時でも飛びたてる様ローターを回しながら待機していた。自衛隊のヘリなどが待機している隣では海兵隊のUH-1Yヴェノム、AH-1Zヴァイパーが自衛隊同様待機していた。

ヘリなどの他にも89式装甲戦闘車ライトタイガー、96式装輪装甲車クーガー、AAV7A1 RAM/RSアムトラック、LAV-25が待機していた。

待機している車両近くにあった格納庫内では第1機動戦闘団、第4戦闘強襲団、第2水陸戦闘団そして海兵隊達が居た。それぞれ緊張した面持ちでいた。

 

「現在第3合同偵察隊がいるイタリカの代表、ピニャ・コラーダ氏から救援要請が入った! 敵は先の陣地に攻撃をして、敗走した集団の一部だと考えられる! イタリカは既に多くの被害を受けており早急に救援に向かわねばならない‼」

 

狭間はそう言い集まった戦闘団の隊長を見渡す。すると第1戦闘団が前に出る。

 

「陸将、ぜひ我が第1機動戦闘団に出撃許可を!」

 

「いえ、我々第2水陸戦闘団に出撃許可を!」

 

そう言い互いに出撃許可を貰おうとすると

 

「ダメだ‼」

 

そう叫ぶ第4戦闘強襲団隊長健軍一等陸佐。

 

「お前達が地上をちんたら走って行っている間にイタリカは陥落しているかもしれん。陸将、我々第4戦闘強襲団が向かいます。我々でしたらスピードがありますので明日の夜明け頃には到着しております」

 

そう言われ陸将は健軍の言っている事に一理あると思い頷く。

 

「良し。イタリカには第4戦闘強襲団に行ってもらう。ディック中佐、健軍一等陸佐すぐさま出撃をするように」

 

「「はっ‼(イエッサー‼)」」

 

そう言い行こうとすると健軍は後ろにいた用賀2佐にある事を聞く。

 

「用賀、例の物は?」

 

「はっ! 大音量スピーカー、コンポ、並びにワグナーのCDは既に準備済みです!」

 

「パーフェクトだ、用賀2佐!」

 

「感謝の極み!」

 

そう言い健軍はディックの方へと目を向けると、ディックはやる気に満ちた笑顔を見せる。

 

「海兵隊がベトナムでどの様に戦ったか、とくとご覧に入れましょう‼」

 

そう言い3人は部下達と共にヘリへと搭乗しようと向かうと、レイブン隊所属のフレデリカ上級曹長、ガウェイン一等准尉が健軍の元へと行く。

 

「カーネル健軍‼ ぜひ我々もご一緒しても宜しいでしょうか?」

 

「先に陸将にも言った通り地上をちんたら「ご心配なく、既にヴァンツァー輸送用のヘリが到着。既にヴァンツァーを搭乗させ何時でも離陸可能です‼」良し、なら急いで行くぞ‼」

 

「「イエッサー‼」」

 

そう言いレイブン隊の2人も急ぎヴァンツァーを搭乗させたヘリに元に向かいヴァンツァーに搭乗する。

そして第4強襲戦闘団が飛び立っていくのを見送る狭間ははぁ~と息を吐き、目頭を押さえる。

 

「あいつ等、キルゴア中佐の霊にでも憑りつかれたのか? しかもあいつ等だけでも敵を殲滅できるのに、ヴァンツァー2機も同伴となったらもはやオーバーキルだと言うのに」

 

そう言い飛び立っていくヘリを見送る狭間




次回予告
夜が更け辺りが漆黒の闇に覆われた時刻に、イタリカは再度の攻撃を受けた。だが攻撃を受けたのはピニャの予想とは真逆の東門だった。南門に居た伊丹達は、悶え苦しむロゥリィをどうすべきだと相談しているとカズヤが指示を出した。
次回
エムロイの使徒

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