時空管理局と化したEDF先輩   作:名無しの権左衛門

15 / 17
何時もの事乍ら、ネタに走っています。


α:もう一人の特異点

 

「おい、吉田とやったことあるか?」

「俺もやったことあるぞ。あいつぁ、インチキするからなぁ。な、吉田?」

「だからそれは、おじいちゃんがやったことで、僕は関係ないって言っているじゃないか!」

 

 

 おはようございます。

僕はエアレイダー8期卒業、ウルフ部隊に配属された吉田です。

今僕は何故かウルフ部隊で一番の下っ端です。

だからみんなにパシられます。

 

「今日の出撃はお前な。またMVP取って来いよ!」

「だから無理って」

「無理っていうのは、うそつきの言葉なんだよなぁ」

 

 

 くそっ、いつもこうやって無理難題を押し付けてくる。

それにこれはゲームじゃないんだぞ!?

正真正銘の命がかかった戦場だ。そんな気楽に戦功一番なんてできるわけがない!

 

 とにかく僕は宇宙転移前に、作戦会議室に集まる。

 

 その部屋には僕以外にも、いつもの顔ぶれがいた。

 

「さて……吉田を含む全兵士。知っていると思うが、私は中隊指揮官の梶岡貞道である。

これより当方の実験施設より逃げたフォーリナーを破壊、または捕獲し研究所に戻せ。

なお吉田だけはまだ我々の組織に入って一年にも満たないので、航空機などのマシン及び航空支援はできない。

よって、支援武器等で任務にあたってもらう」

 

 あーやっぱりかー。まだ入ったばかりだからなぁ。

 

「我、春日参上!」

「遅いぞ、伍長」

「それは失礼いたした! さてこれより、宇宙転移に入る!

だがその前に奴が行った世界の詳細を渡しておくので、転移前に目を通しておくといい。

またいつも通りだが、我々は『真理を超越する者』として他EDF隊員との接触は控えるように!」

「では、解散せよ」

 

 皆一斉に作戦会議室から出ていった。

 

 ここはEDF支部とは違うところにあって、主にフォーリナーの研究をしている実験場なんだ。

実体はその通りなんだけど、『真理を超越する者』というように普通のEDF員とは違う人を集めた檻というか監視場みたいなところ。

基本的な仕様はEDFと同じなんだけど、あまり故郷や実家に帰してもらえず一生をここで過ごす位過酷な状況。

 でも僕もそうであるように、僕らは全員に感染すれば大変な被害を及ぼす存在として世界的に認知されていないが、上層部からは白い目で見られている。

 だから僕らはEDFという恰好の組織を使った檻を使って、監視と共に色々と掌握されてる。

 まあ別にいいけどさ。

パシリがあってきついのはそうなんだけど、普通のEDF員のようにフォーリナーの版図を止めるんじゃなくて

研究材料を探す方面で出撃するから生存率自体高いよ。

しかも報酬もなかなかだし。

 やめても殺されるだけだし。だから僕はこのままでもいいかなって思ってる。

 でも身も心もこいつらに染まるのはいやだから、このままの状態を維持するのもいいかな?

 

 いや、でも、染まると後方支援をちゃんとしてくれるのはいいことだと思う。

そうなると犠牲になるのは、僕の人間性になるけど。

 

 まあそんなだから、僕の装備はすっごく貧弱。

基本的に僕はガンシップによる、近接支援しかしてくれない。

それでもこの近接支援は、今までの後方支援とは全く別の仕様でできている。

 最近この地球とは違う世界線の世界を、もう一つ見つけたらしくてそっちの武器を鹵獲し改良したと聞いた。

 

 基本的にエアレイダーの支援は、敵を撃破することにより溜まる功績ポイントがないと要請できない。

でもその世界線にある地球から受けた影響は、エアレイダー装備に革新をもたらせた。

そう、エアレイダーに秒数リロードが追加されたんだ。

しかもリロードが、別の武器に持ち替えている間にしてくれるという優れもの。

 

 まあこのリロードはガンシップの弾倉を、リロードしているからだとさ。

 だからそのリロードが終わると、すぐに射撃できる。

 

 非常に使いやすいと思うだろうが、最近のフォーリナーの数は尋常じゃない。

だから変にリロードものにするより、費用対効果が高い功績系支援装備を持った方がいい可能性がある。

もちろん敵が少なかったり功績ポイントが少ない雑魚が出現するのであれば、

戦場に宇宙転移してくる簡易基地にて、秒数リロード支援武器に換装するのも手だと思う。

 

「おい、吉田」

「は、はい!?」

 

 いきなり低い声で呼ばれて背筋が伸びた。

僕変な人の怒りでも呼び起こさせちゃった!?

まずい!

 

「お前はいい目をしている。この先何があってもあきらめるな」

 

 視線を向けるとごつい漆黒の装甲を着用したフェンサー達が、僕の隣を歩いて行った。

 

 これが僕と彼の初の邂逅だ。

 

 彼こそがこの『真理を超越する者』の筆頭、グリムリーパー隊隊長だ。

 

 もともとはEDFが関わるはずのなかった違う世界線の地球にいた。

そんな彼らをEDFはモンスターの討伐または鹵獲をしているとき、死の雰囲気を濃密に感じ取ったらしく拾ってきたらしい。

彼らは連隊規模で活動していて、数多のフォーリナーを相手に無双していたという。

活動理由は彼ら曰く、”死に場所を探している”らしい。

 

 そんな厳格な雰囲気を醸し出す彼らは、僕より先に宇宙転移していった。

 

 僕もそろそろ任務のために、宇宙転移をしなくちゃならない。

でもまだ武装を整えていないんだよね。

だからちょっと武器庫で装備を整えようかな。

武装は貧弱でも、種類は結構あったはずだから。

 

 LEDじゃなくて切れかけた蛍光灯が、長い通路を薄暗く照らす。

 この先に僕らの武器庫があるんだ。

表のEDF連中は自室を持っていて、その中に武器収納庫があったり支部または本部の隔離施設にて保存されている。

でも僕ら裏の連中は、それはもう厳重に集中管理されてる。

 

 なんせ僕らの武装は、最新鋭の武器または試作武器ばかりなんだから。

 表の奴らも試作武器を持たされているけど、完成度が8割超えてるだけだから。

僕らのはマスタリングがされていない、非公式な奴ばっかだからねー。

おかげで威力が高い武器があったりするんだけど、真理を超越した僕らは死んじゃうかもしんない。

 

 

「吉田!」

「はい!?」

 

 後ろから春日伍長が呼び掛けてきた。

 

「すぐに支度しろ!あと一分で作戦開始だ!」

「わ、わかりました!」

 

 僕はこの裏の世界の厳しさを肌で感じながら、戦場へのお供を選択した。

 

 そして選択した後は、極東支部が持つ航空基地へ連絡だ。

これをしないと座標確認だったり、誤射防止だったりできない。

それに武装の一部が第三者に任される物だから、攻撃手段がなくて絶命必至になっちゃう。

 

 

「―――というわけで、お願いします」

<了解、支援を行う>

 

 これで手配完了。

 

 

「遅いぞ、吉田!」

「すみません!」

 

 合流するころには、皆そこに集合していた。

そこというのは、この研究施設で使える特殊な宇宙転移広場の事。

一般的な宇宙転移は、一つの門につき一人から複数人が同じところに転移できる。

でもこいつの場合は、指定すれば門の範囲内にいる人全て、別々の世界へ転移することが可能だ。

 よって一般的な宇宙転移装置より、大きさや範囲が違う。

個室のような感じな一般的宇宙転移装置。

広場と言えるように広範囲の領域が、宇宙転移の門となっている研究施設専用の宇宙転移装置。

 

「さて……。皆、新たな戦闘服は慣れたか? 

これよりライフリンクを行う。ELP(EnterLifePass/EnergyLinesPointer)

を開始し、平均化せよ。そして一番スーツ耐久が高い者は、低い者へ強化点数を借用しろ」

 

 いきなり難しい言葉がいっぱいだぁ。

 

 えーと、今僕らが着用している戦闘服は、グリムリーパー達がいる世界から奪った技術を発展させたものになってる。

 ELP。

これが結構画期的で、敵が死んだときに発生させるF因子の電気を使って、僕らELPでつないだ皆の装甲を修復させるというもの。

しかも皆が着ている戦闘服は、敵が落としたF装甲を使って強化されてるその上昇分を、他の脆弱な新米隊員等に分配して、生存率を上昇させるという実績を持っている。

 更にマザーシップがハッキングによって乗っ取られたことがある前例のおかげで、

このELPはF因子から発せられる電気またはクイーン等から出てくる大容量の電池を取得した時にしか

効果を発揮しない。

この特性のおかげで僕らは奴らに、電流による集団的ハッキングを受けることはないんだ。

 

 でもヘルメットに外部衝撃の緩和や侵入防止効果があるから、敵のハック電流の意味はあんまりないんだよね。

 

 

「リンク完了。では全員、逃げたフォーリナーを壊すか、研究所に戻せ!!」

「「「ハッ!!」」」

 

 

 

 僕は武装を見ながら宇宙転移を開始した。

 

近況報告。U=装備中。AP:245

特殊兵器:

『試作型シーザー・ワイヤー―10』

『試作型デコイ〔ホワイト〕―5』

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。