時空管理局と化したEDF先輩   作:名無しの権左衛門

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いやぁ、涼しくなりましたね~。


10:ハチさんのおうち

 

「主任、突然どうしたんですか?」

「うむ、貴殿に辞令が来たようでな。貴殿の担当惑星に緊急が来なければ、総合時間一週間分の休日が確約されたんだ」

「なるほど。では比較的時間進行が同等の世界へ赴いて親交を深めたり、いったことのない惑星へ赴き新たな友好者を

たててきます」

「うむ。では、行ってきなさい」

「はい」

 

 

 休日。

私には想像のできない事だ。

なにせ三か月は経過している中、いきなりの休日を組み込んできたのだ。

焦ることはしなかったけれども、なんというか驚愕した。

 

 そうだな……。

実家に帰っても邪魔扱いされそうだし、あの世界へ行ってみるとしよう。

あの世界は四季色めく花の庭園よりも、危険だと思っている。

 服装は戦闘服だ。何時何が起こるかわかったもんじゃない。

それに紋章があれば、基本的に戦闘区域から無意識に退散してくれる認識阻害効果もある。

だから気軽に戦闘服をかなぐり捨ててはいけない。

 

 私は倉庫へ向かう。

10個中6つが埋まっている武器格納庫。

こちらも功績で枠を広げなければ、あらゆる状況に対応できなくなる。

次はこちらの開放を狙ってみようか。

 

武器はゴリアスとライサンダー2。

 

 こいつらがあれば、大半のことに対して対処できるだろうと思ってる。

ただまだ戦闘能力を把握していないので、訓練場に向かおうとしたんだがあいにく貸し切られていた。

貸し切っている人の名前は、”飯綱”という人。

どこかで聞いたことがあるような……。

 

 

 私は宇宙転移広場にやってくる。

多くの隊員がここから出撃したり、帰還しに来たりしている。

 さらにたまにだがほかの世界で友好を結んだ人物を、こちらに連れてきていることも確認できる。

なんでもスカイガールズやストライクウィッチーズといった空戦部隊の機体を調べ上げ、

それらの長所をEDFの武器や装備に反映させようとしている、と技術技師さんが言っていた。

 

「そうなんですか」

「ああ。まだ我々は三次元飛行に関して無知だ。ゆえに、ほか世界から技術の輸入をしている。

如何に国家機密だろうが、我々には確固たる措置がある。

それ相応の対処を行う。それで、どこにいきたいんだ」

「はい、えーと……」

 

 

 私は技術技師さんに行きたい場所を伝えて、宇宙転移を行った。

 

 

 私が行くのは、久しぶりか?

まずいくべきはあの場所だろう。

 

 

 私の故郷と同じく、ベッドタウンとして栄え発展し続ける海鳴市にやってきた。

あの時からどのくらい経過しているのだろうか?

少なくとも10年ほど経過していないと確信できる。

理由は以前立ち寄ったマンション群が、すでに入居可能状態に移行していることから推察できる。

 

ただ一部頓挫しているのか、廃墟模様を呈している。

 

 そして決まっているのは、『翠屋』へ訪れることだ。

ここへ訪れれば、最初に行うのはシュークリームを購入しほおばること。

やはりここのはおいしい。

あっちのは普通のクリームで手軽な菓子だった。

しかしこちらのは、甘さ控えめでミルクといえるくらい濃厚な味わいを示している。

まさに高級な菓子といえよう。

 私はほかのものも注文する。

モンブランやショートケーキを、為替で功績を硬貨交換した『円』で購入した。

 

 

「あ、結城さん!」

 

 周囲から変な目で見られている中、明るい声が聞こえる。

聞き覚えがあるが、ユウキという名詞や固有名詞は多く存在している。

故に変に反応せずとも、私に用があるなら私の方へ来るだろう。

 

 そしてその人物は私の目の前に、姿を現す。

彼女はサイドアップツインテールを揺らしながら、快活な足取りで私の席に来る。

 

「お久しぶりです。あ、座ってもいいですか?」

「ああ、かまわないよ」

 

 手を使って座っても構わないように、対面の席へ促す。

 

「あれから何か月経過したんだ?」

「うーんとね、三か月ちょっとかな?」

 

 なるほどこちらよりも時の流れが早いな。

しかしあまり変化した感じは見受けられない。

 

「あの外来種は?」

「ユーノ君は野暮用。あ、そーだ!ジュエルシードが、やっと6つになったんだよ」

「ほほう、頑張ったんだな」

「うん!あーでもね、今目を付けてるやつがあるんだけど、厄介な人にわたっていてね……」

 

 話によると時空管理局・なのはさん・フェイトでもない一般人に、ジュエルシードが渡っていて

いろんな意味で取り返せない状況に追い込まれているとか。

まあ、記憶操作すれば記憶の欠如から、いろいろとまずい方向へ流れる可能性もあるしな。

そこはしょうがないか。

 

「ならば、排除しにいこうか」

「だめ、ダメだよ!」

「どうしてなんだ?」

「だって、人の恋路を邪魔しちゃ悪いもん!」

 

 嗚呼なるほどカップルが持っているのか。

あ?ちょっと待てよ?ジュエルシードは確か、持ち手の気持ちや思いに応えてやらかすんじゃなかったか?

 

「人の恋路以前に、未来に起こりうる最悪の可能性を考慮して動くべきだ。

たった二人の人間なんざ気にしていられない」

「わかってる。でも、ね?」

「知らぬ存ぜぬ。結局赤の他人だ」

 

 端の一席で物騒なことを話しているため、隣の席の人が早急に席を立って去った。

いや別に食い終わった可能性もあるが、隣の席の奴らは平和という甘美な砂糖水しか啜ったことのない学生だ。

だからこちらの血濡れを感じさせる何かを感じて、さっさと去ったんだろう。

 

「さて、なのはさんも何か食うかい?」

「いいの?」

「子供は年上に甘えときなさい」

「結城さんって、本当に12歳なの?」

「当然」

 

 ただ周囲に大人しかいないため、彼らに影響されてこうなるしかなかったと私は思う。

それに私はただの子供であることを捨てた。

いや今でも扶養を受けるべき子供だろう。

だが、この世界はこの世界であって、私は私の世界の都合がある。

 だからどんなに子供らしくしろとか、さっさと家に帰れとか言われても知らんとしか言いようがない。

あんたらの常識で価値観を測り、己のエゴを他者に押し付けんなと。

 

「お待たせ、なのはちゃん」

「ありがと、昌さん!」

 

 私は平和を享受する目の前の少女の姿を目に焼き付ける。

これがいつなくなるかわからないからだ。

 

くそっ。似すぎなんだよ、アイツと……。

 

「どしたの?」

「なんでもないさ」

「なんでもなくないでしょ?

ほら、結城さんが奢るんだから、試食は大丈夫だよ」

 

 スプーンとフォークが合わさったその銀の匙に、一口サイズのケーキが載せられている。

 

「はい、口開けて」

「赤ん坊じゃない。やめてくれ」

「えー」

「自分で食べるさ」

 

 私はEDFアーマーを着ているが、頭のヘルメットは脱いでいる。

長髪な奴は私しかいない。それで判断がついたのだろう。

ピンポイントだ、全く。

 

 私は匙を持つなのはさんの手を握って、そのケーキをもらう。

他者に食わせてもらうのは、自身の摂食能力がない時だけに限る。

 

「ん?やけにうれしそうだな」

「えへへ、間接キス」

 

 ほほを赤らめそのように言う9歳児。

もう恋愛か。早いな。

 

「結城さん、ソレ何?」

 

 私の隣を見るなのはさん。

私は壁に立てかけている武器を見る。

こいつに指を指し示すと、彼女はうなずく。

 

「『ライサンダー2』、スナイパーライフルだ」

「狙撃銃だよね」

「よく知っているな」

「お父さんたちがそういう仕事だから」

 

 そういえばエージェントだったな。

いろいろ緊急出動があったから、失念していたな。

 

「そういえば、結城さんはお父さんやお兄ちゃんに挨拶した?」

「いや、仕事でこっちに来たわけじゃない」

「仕事じゃないの?じゃあ、なんでこっちに?」

「休暇だ。暇だったから……」

 

 どういう言い訳にするか。

まあ気楽に行きたかったが、彼女も恋愛に興味があるようだ。

そこで返答を少々変えようと思う。

 女性は聡い。

ゆえに言動で相手の機敏を探るのは、容易だろうがほぼ無表情で自身を目的に来たといえばどうなるか。

試してやるか。

 

「まあ、『翠屋』でシュークリームを食いたかったのもあるし、

なによりなのはさんに逢いたかったからね」

「え」

「ん?なんだ。私がただの殺戮マシーンと思ったか」

「お、思ってない、思ってないよ。ただ、意外だなーって」

 

 意外か。なるほどな。そういう印象か。

現地民の印象を聞いておいてよかった。

親交をより深めるためには、おのれを少し壊してでもやらねばならぬことがある。

どこまで行っても、私はEDF隊員だからな。

 

「私は友人なぞいない。年の近い子供もいない。

そして平和な世界は、ここしかしらない。

だから、一番安心するなのはさんの世界にきて、逢いに来た。

これで十分か?」

「そこまで聞いてないよ!?

でも、うれしいな。私男の子の友達いないし」

 

 む、これまた意外だ。

快活で笑顔でありさらに容姿や性格が良ければ、人は自然に近づいてきて仲間を多く作ることできる。

そういう印象を抱いていたが、学校では……そういえば私立か。

ならば『良い子』という名の己を抑えている、抑圧社会に進出しているわけか。

 そうとなれば結構……将来的に大丈夫か?

まあいい。どうなろうが私には関係がない。

 

「それに……」

 

 私が思考しているとき、彼女はさらに続ける。

なにやら試案しているが、何か気を遣わせているのか?

ああ、社交辞令な感じにしてしまったから、それの返事か。

よかろう、聞いてやろうじゃないか。

 

「ああ、ううん、なんでもない!」

 

 なんか焦っているな。そんなことで情緒不安定になれば、戦場で身が持たんぞ?

私はなのはさんといろいろ談笑していると、いきなり彼女が表情と話題を変えてくる。

 

「結城さん、ホシが外にでた。ちょっと行ってくる」

「待て、私も行こう」

 

 すぐにヘルメットを着用し、支払いを済ませる。

なのはさんは店の外だ。

すでにレーダーに仲間の青点として表示されており、どこへ行こうがついていける。

なぜかわからないが、彼女は全力で走っている。

 む、私を拒否しているのか?

確かにEDFは当地の財産・文明を破壊する。

だからといって、結果論とすればフォーリナーの方が恒久的脅威になる。

そして私達と違って、生産性のある人間を殺してしまう。

 現場に存在する財産・文明と私達の介入によって救われる50年ほど生産性のある命。

どちらを選ぶか明白だろうに。

 

「どこへ行こうというのだね?」

「はやっ!?」

 

 たかが9歳。さらに肉体をそれほど鍛えていない。

いや、効率的な筋力をつけているようだが、まだまだ足りないな。

私は一瞬で2.5Mを緊急回避で移動することが可能だ。

というよりも、レンジャーならば普通にできる所業である。

 

 私達から離れたければ、50M走にて7秒でも出すんだな。

 

 私達が来たのは、商業地区だ。いや、ビジネス区と被っている高層ビル群の街といえる場所だ。

そして彼女は人目につかない場所に移動して、瞬時に変装する。

変身するらしいが変装じゃないのか?

 

「今から屋上に行きますけど、結城さんはいけますか?」

「ああ、私のことはかまわない。先に行っててくれ」

「はい、わかりました」

 

 

 なのはさんは先に、このビルの屋上に向かった。

もちろん裏路地からの侵入に他ならない。

私は近くにビルのつっぱりがあるか、いろいろ観察してみた。

一定の高さ毎に窓の先が出ている。

これはいけるか?

 

 EDF隊員は一般家庭の1.2階に、相当する跳躍力を持っている。

ビルだとしてもあまり変化はない。

いけないことはないか?

やってみるか。

 

 私はEDF隊員が絶対にできる空中制動を用いて、空中での姿勢を変更し真上にでっぱりがあったとしても、迂回してそのでっぱりに足をつけることができる。

これを利用すれば階段がなかろうと、屋上へ乗り込むことができる。

 

よっと。屋上にウェルカム。

 

「来たぞ」

「やっと来た。あれだよ」

 

 アレってなんだよ。

私は彼女が杖で差す方角を、ヘルメットの高倍率を利用してカップルと思われる組み合わせを探す。

そしたら青に輝く石を持つ男女の組み合わせを見つける。

 

「あの青いやつがそうか?」

「うん。ユーノ君が別のビルから監視しているけど、別に強い思いを抱くことはないみたい。

でも結城さんのいうとおり、被害が出る前に長距離砲撃で遠距離捕縛をやろうとおもってるんだ」

 

 よくわからないが長距離のアドバンテージを得ている今なら、それは可能なのかもしれない。

だがその砲撃に気づけば、どうなってしまうのか。

ちゃんと考えたうえで行動しているのか?

 一応人間だから、危機的感知をするはずだ。

だから何か攻撃をしかければ、すぐに命の危機を察知して何か思いを抱くだろう。

たとえば死にたくないとか。

 

 この願いだけでもジュエルシードとかいう遺物は、反応をおこしてしまう。

いやそれよりも、だ。何故士郎達を呼んで対処しなかった?

 

「なのはさん、士郎さん達に任せた方が確実じゃないか?」

「お父さんは外国だよ。お兄ちゃんたちも、今は学校」

「なるほど」

 

 隣で足元に魔法陣を展開させ、長距離砲撃の準備を行っている。

実に勇ましいことだ。

そして桃色の光線を放ち、彼らとその周辺を巻き込む。

 

結果、案の定のことが発生した。

 

<なのは!異常な魔力波を感知したよ!>

 

 なのはさんの隣に、緑色の光球が遠方から寄ってきてそこから声を発する。

この声はユーノのものだ。

そしてその異常な魔力波というものが発生したとき、私のすべての視界が真っ白に染まり切った。

 

 物理的なホワイトアウトを食らうが、一瞬でかいふくする。

私達EDF隊員が被るヘルメットは、異常な光量はすべてはじき出すか阻害するのだ。

さすがフォーリナーの技術を流用・改良した新型ヘルメット。

とまあこのように賛辞を贈るのだが、私の目の前遠方でひどい有様が巻き起こっている。

 わたしがいるのは、ビルの屋上。

そこから見えるのは、なかなか優美な景色……なわけがなく、非常にコンクリートジャングルだ。

だが確実にはっきりと見え、理解できる範疇で言葉にするならばまずいといえるだろう。

 

 遠方に見える山の山頂には、実に立派なインセクトヒルがみえる。

さらにそのインセクトヒルの小さな穴から、青い光が漏れ出しておりジュエルシードがそこにあるということを示している。

この光景は周囲の混乱を助長させた。

なにせインセクトヒルの出現のほかにも、このビル街で複数のビルがあのインセクトヒルと一直線上になるように

まっ平にされていたのだ。

 そして眼下に見える人だったものの残骸や瓦礫が数多、財産・命・文明・権力が一気に消滅した。

 この一瞬の出来事に、となりの人物は大きく狼狽えている。

 

 まあ狼狽えている暇なんざないがな。

 

 インセクトヒルは遠目に見えるが、そこから出てくる蜂の軍団は隠し切れないほど大量に出ているのがわかる。

ニュースでの速報が、一面を飾るだろう。

インセクトヒルから出現した蜂は、山の麓にある町を襲っているのがわかる。

執拗に針や噛みつき、連れ去りをおこなっている。

 

 私は『ライサンダー2―1』を構え、連れ去ろうと一定速度で安定した航行を行っている奴を狙撃する。

奴は絶命し、餌を落とす。

 

 蜂どもは私の銃声が聞こえたのか、こちらへ大勢立ち向かってくる。

『OゴリアスD2―1』を構えるのと同時に、インセクトヒルへ『ルールオブゴッド―5』で攻撃させる。

すると巣は土煙を上げながら少々傾く。

そして地上にいきなりポップする女王蜂と大量の蜂が、遠方で一気に湧き出す。

 

「うっ、『ディバインバスター』!」

 

 桃色の光線をまともに受けても、ぴんぴんしているフォーリナー。

きっとジュエルシードの影響だろう。

対魔力攻撃に耐性を持ってしまった以上、物理攻撃が最大の攻撃になりそうだ。

『OゴリアスD2―1』で遠距離射撃を敢行する。

 結構な爆発範囲と威力でもって、8匹位吹き飛ばした。

しかしたったそれだけしか撃破できなかった。

ほかにも撃破するべきフォーリナーがいる。

奴らがここ以外を攻撃し始めている以上、この町への移住を考えている人は躊躇するだろう。

 すでにマスコミやそのヘリコプター、警察部隊の出動が見えている。

これが肥大化すれば、ますます他人ごとではない事態へ移行してしまう。

 

 

「なのはさん、一旦退却し恭也さんと美由希さんに合流しよう。

このままでは私はともかく、なのはさんとユーノ君が危ない」

「でもっ、このままじゃっ!」

 

 眼下で繰り広げられるパンデミックも、非常に気になる。

蜂が人に近づき、針ではなく紫の液体を吹きかける。

そうすると吹きかけられた人間が、正常な人間を襲う。

きっとF因子で人間に敵対的になったんだろう。

 F因子はただONとOFFを促しているだけなので、気絶や痛覚が優先されるはずだ。

フォーリナーでさえ、ダメージに苦痛を受けるのだ。

それでも襲ってくるのは、F因子で痛覚を受けても本能でそれを覆す気力を発揮しているかららしい。

 

「ああ、餌が有能なうちに逃げよう。どうせ、戦闘区域外になれば蒸発するし」

「何言ってるの!?」

「とにかく逃げよう」

「いやだ!」

 

 なのはさんは『ディバインシュート』とかいう多弾頭魔力弾を放って、

複数数多のフォーリナーを撃破しようとしている。

だがFORKよりも威力が低そうなそれで、奴らを撃破できると思っているのか?

実際奴らは何とも思わず行動している。

 私は彼女の杖を握って、攻撃をやめるように物理的に阻害する。

そして彼女を抱えてここから飛び降りる。

重力による加速は発生せず、そのままの態勢で地面に降り立つ。

 

 私たちがいたビルの屋上は、多量の針が刺さっていた。

女王バチが長距離狙撃を行ったようである。

この世界だと奴らの認知距離が異常に上昇したように思える。

あの者らの願いは、他者に邪魔されない空間だとでもいうのだろうか。

 そうだとしてもフォーリナーはやりすぎだろう。

どこでこいつらを知ったんだ?

それともすでに細工されていたのか?

 今それを知る方法は全くない。よって、今は逃げに転じるとき!

 私は彼女を離さず、緊急回避で逃げていく。

本人は暴れているが、当たり判定がおかしくなるのでやめてほしい。

世界の常識を覆すことになるぞ?

 

「恭也さんへの通信手段を持っているんだろう?ならば、今すぐに連絡を」

「やだ!これは私が解決しなきゃいけない事案。だから、いやだ!」

「そうか。じゃあ、こいつら殺せるか?」

 

 私は緊急回避をやめて、彼女を下ろして振り向かせる。

その先にいるのは、パンデミックを受けた人間ども。

ゾンビのように手足をダラダラしているわけじゃない。

それぞれが最高の武器を持って、進行してきている。

 数はぼちぼちだが、これが将来的に軍隊もびっくりな数量になると思うと、

なかなか愉快な事態へ陥るだろう。

F因子へ対抗する武器の調達を早めなければならないかもしれない。

例えば意味不明なゾンビ行為をやめさせた人間として、協力体制を築く可能性をさらに上げるとか。

 ん?有情はないのかって?

私達はEDFだ。そんなことにわざわざ思考を割く余裕などない。

 

 私達を感知したのか走り寄ってくる人間、

なのはさんは逃さないように襟を掴んで、その場に拘束している。

そして一定の有効範囲に来れば、『OゴリアスD2―1』を射撃して退避する。

 パンデミックな人間、F人間はこちらの影響を強く受けているのか、全く骨折や四肢粉砕・血液の噴出を行わなかった。

そのかわり四肢があり得ない方向へ曲がるなど、ハヴォック神が輝いているのがわかる。

あ、ガクガクしてる。

 

「あ……あ……」

 

 なのはさんは愕然としながら、口元を抑えている。

そんなに吐き気を催すものか?

狙撃銃で複数の障害物となっている元餌を、邪魔という名目で排除する。

役割を失ったオブジェクトは、さっさと失せろ。

メモリを無駄に食って、世界をフリーズの波で襲うのはやめろ。

こっちの努力が無駄になるだろうが。

 

「おかしい、おかしいよ……」

「まあ、遠距離で撃破するだけの砲兵隊にとって、知らぬ世界だろうさ。

だがこんな風に、現場の空気を感じるだけで、どんなことになっているのか知るのは

非常に良い勉強になるはずだ」

 

 私は不調を訴えているなのはさんを連れて、後方へ撤退していく。

さて私は撤退する最中、彼女にとあることを聞いた。

それは市民の命と自分の命、どちらが大切なのかということだ。

 

「……」

「早くしろ。その間に、お前の自分勝手な妄想で命を失う、老若男女がいる」

「自分……」

「OK」

 

 

 私はマザーシップに、第二段階への武装転換を要請する。

 

<目標は蜂と女王バチ、およびインセクトヒルの殲滅を開始します>

 

 ここから先は、殺戮の世界だ。

ユーノ君はいつの間にか、なのはさんの頭の上に帰ってきていた。

長距離転移というものらしい。

 

 私はこの戦場に『蜘蛛型巨大生物25―1』を投入した。

宇宙転移で出現したキャリアーは、ゆらゆらと戦場に近いところに移動する。

そして下部のハッチを開放し、25匹の蜘蛛を投下。

上方から接近する蜂は、キャリアーの圧倒的防御で防ぎ蜘蛛が無防備なところを守る。

蜘蛛が敵を感知して移動し始めたとき、キャリアーは蜂の攻撃を受けながら宇宙転移して消えた。

 そしてそれと同時に、蜘蛛による蜂の大量殺戮が開始された。

いきなり町の一区画から、大量の糸とともに絡まれ落ちていく蜂を確認。

さらにマザーシップによる第二段階への移行により、レーザー砲とプラズマ砲・ジェノサイド砲が雨の様に降り注ぐ。

大量のビルの倒壊・インフラの破壊と引き換えに、F人間・蜂・女王バチ・インセクトヒルの殲滅を確認した。

 

 投下された蜘蛛はキャリアーに回収された。

これを確認した後、第二段階へ移行したマザーシップは周辺を警戒しながら、敵性勢力の壊滅を判断。

マザーシップは通常段階へ戻る。

 ちなみにマザーシップは、スクランブル発進した戦闘機の中で攻撃してきた奴だけ落としていた。

だがパイロットがベイルアウトできるくらい、システムを維持できるほどの損傷にさせたのは良い判断だと思う。

 

 この後は空中に浮かび続けるマザーシップへ、多くの関心が寄せられる中今回の被害についていろいろ話し合われていることがニュースで分かった。

幸い都市の中心部やなのはさんの住まう場所より遠くの山間部方面が、より多くの被害を受けたためそんなに甚大な被害と評価するには色々足りないらしい。

 インセクトヒル自体もジュエルシードによる産物なので、生まれたF人間や蜂たちは撃破されると通常の状態へ回帰したり消滅したり空間が空虚に戻っていった。

 

 

「さて、なのは。酌量は必要か?」

 

 インターネット回線を用いて、ビデオカメラによる通信で兄や姉・父親に囲まれるなのはさん。

 

 なのはさんが家に帰ってきてまず行ったのは、風呂に入ることだった。

まあこれは飛ばしていいか。

この間帰宅していた恭也さんや美由希さんに、いろいろ私が通達した。

これにより今現在、なのはさんは説法を受けている途中だ。

 

 私は任務が終わったので、さっさと帰還したいのだが桃子さんに引き留められている。

また私の装備を盗る気なんじゃないか。

そう思って拒否しようとしたが、なのはさんが悲しそうな表情をしたのでやめた。

現地民との交友はしなければならない。これはEDFの決定事項である。

 む、三人が帰還したのか三人分の足音が聞こえる。

私は縁側にて待機中だ。

 

 するとガラッと扉を横に開いて、なのはさんが縁側に出てくる。

そして私の隣に座る。

 

「どうだったんだ?」

「ちょっと叱られちゃった」

「まあ今回でちょっとは懲りろ」

「でも……うん、ごめん」

 

 鈴虫の音色がいいなぁ。

半月の月光に照らされながらそう思う。

で、なのはさんは、猛省中か?だといいがな。

 

「謝ることはない。だが、やりかたは誤りだな。今回は私が危惧していた通りのことが発生した。これからジュエルシードを持つ者には、容赦ない攻撃を敢行せよ。

そうしなければ、次はお前たち家族の番だ」

「うん、頑張るよ」

「ならばよし。まあ、なのはさんもそんなに気負わないことだ。気負うと大事な場面で、不調を来すことがある。

無駄な被害妄想はほどほどにしろよ?」

「わかってるよ。あ、そうだ。お母さんが結城さんを呼んでたよ?」

 

 私は彼女とともに、中へ戻る。

結局用はなんてことなくて、恭也さんや美由希さんからによる謝辞だった。

私はEDF隊員として、当然のことをやっただけと伝える。

恭也さんは私の仕事への従事っぷりを褒めるが、フォーリナーの脅威に少人数で対応している状況だ。当然である。

 

 すると特大の爆弾を落としてきた。

 

「なのはをEDF隊員として、あずかってくれないか?」

「不可能ではない。しかし、こちらの都合があるのではないか?」

 

 私は対象になっている本人へ目を向ける。

その本人はなんとも読めない表情をしている。

 

「今ジュエルシードを狙っているのは3つの組織だ。

すべてを集めるのならば、なのはも対象になる。

ならばなのはには、EDFで精神や肉体ともに成長してもらいたい。

そうでなければ、今後の戦闘で生き残る確率が下がってしまう。それは家族として非常に気に掛ける案件だ」

「ふむ……では、EDFに一時的に籍を置く。そういうことでいいか?」

「ああ、それで構わない」

 

 というわけで、なのはさんを私の名義でEDFの一員になることが決定した。

もちろん元の世界のことがあるので、戦闘スタイルはこのままで行ってもらうことが確定している。

まあ、入隊してくれるのならば、それに越したことはない。

だがもろもろの事情を無視し、同情で入るくらいならば元居た星へ帰れ!と相成る。

それくらい、ここは生存率が低い。

 

 どこかのバカだったか。

これらの惑星が割り当てられ、ハーレムを作るとかほざいてた愚か者。

そいつはきっかりとその世界の敵に瞬殺された。

埋伏の毒らしかったようだがな。

 そういうわけで世界は厳しい。

私が生き残れているのは、その担当世界がもろもろ優しいまたは自己解決できる能力を多分に持っているからだと思われる。

 

 実際魔法の世界であったり、花騎士という武力に秀でた機関がある世界だったり、三次元機動ができる世界だったり。

どれを見ても立派な戦闘集団が、育成されている惑星だ。

フォーリナーが出現しなければ、私達が介入しなくても勝手に世界が進んでいくようになっている。

面倒が少なくて、非常に楽な星たちだ。

 

 しかしその反面、助ける場所が少なくEDFに協力を取り付けるための隙がなかなか存在しないことがわかっている。

私の様に何かが起きる前に、その世界で既知の存在となっていればある程度融通が利くようだ。

強すぎるというのも考え物だな。

 

 

 

 さて、高町なのはのことを主任に伝えなければいけない。

私は外の海岸線にある防波堤の上で、ヘルメット機能にある無線で極東支部に連絡する。

 

<おお、レンジャー1結城殿!作戦終了したか!>

<はい。終了しましたが、EDFに仮入隊したい者が出ました>

<『仮』か……わかった。上に話しておく。

 そのものに大して、EDF支部にきて破壊活動をしないよう念入りに武装解除をしておくように。そして一応の相談役とビデオカメラにて、対面してもらう。

 対面は君ではなく、その仮入隊する者のみに限定される>

 

 会話にてわかると思うが、表情はよくても裏で考えているバカがEDFに牙をむいたことがある。

それにより欧州支部が、一時半壊状態になったと連絡が入っている。

この事件によって、技術員でも関係なくEDF内に入って来るときは、絶対に腕輪をしておく事と武装解除をしておくことだ。

さらに加わったのはその世界の大まかな情勢や秘密などを、包み隠さず話すこと。

そうしなければ、確実に消される。

 この事をなのはさんに伝える。

 最後の”消される”ところで、表情を強張らせた。

まあ正直に話せば何事もなく、すべてが滞りなく終わるから安心するようにと伝える。

変に離反されると、EDFの最高戦力に殲滅されることも留意しておくようにともいう。

 

 それと国民性によるのか、宇宙転移で成功している支部は少ない。

失敗したところはクレーターレベルで消滅している。

これ以上の失敗は許されないどころか、EDFは潜在的恐怖に対して防衛の名を付けた攻撃ができなくなる。

結果、予想以上のフォーリナーの技術や理解不能なほど多い物量に、やられてしまうかもしれない。

 なのはさんなら大丈夫だろうが、F因子がついていればどうなってしまうことやら。

 因子は遠隔操作ができる。体内に入っているが、体内じゃなくても可能ならば非常に大変なことになる。

だがEDF隊員の裏切りは、今までなかったのでこの線はないとおもわれる。

まあ、アーマーのおかげで、因子の効力が発揮されていない可能性もあるが。

 

 今まで伝えていなかったのは、EDFの信頼性につながるわけだ。

 そして、現在なのはさんを含めた宇宙の人類を、EDFの一員として利用しようという輩もいる。

私はEDF隊員として、一部の歪曲しきった思考を持つ者は許せない。

いや、実際に討伐指令すら出ている始末。

 

 結構内ゲバがあるんだな、これが。

 

 私はここらへんを伝えて、EDF内にいるEDF至上主義からの暴言は無視してほしいと伝える。

 

「わかりました」

「では行こう」

 

 腕輪に宇宙転移の座標をリンクさせて、EDF極東支部の宇宙転移広場に転移する。

 

 

 転移した後多数ある宇宙転移のゲートの中から、なのはさんを探し出す。

ちゃんと私立学校の制服姿なので、わかりやすかった。

EDF隊員なら、外見が同じで分からなかっただろう。

一応頭上にネームタグが出てくるから安心だ。

 ほかの隊員からの視線がある中、彼女を連れて主任のところへ行く。

途中技術技師さんと顔合わせをしておく。

 

「ただいま戻りました」

「帰ってきたか。いつもの場所で、主任が待っている」

 

 

 私はなのはさんを連れて、よく主任と話している多目的室に来る。

主任は上からの面接の承認を得たので、さっそくなのはさんを連れて行こうとする。

 

「お、そうだ。私はみんなから主任と呼ばれている者だ、よろしく頼む高町殿」

「高町なのはです。面接受かって見せます!」

「うむ、その息だ!」

 

 そういって、会議室へ行った。

私は廊下に出て、新発売のアシッドレモンを購入して飲んだ。

 

―――面接―――

 

「キミのお名前なんですか?」

「聖祥大付属小学校三年、たかまちなのはです」

「席にお座りください」

「失礼します」

「最初に一般人と違って、何か特別な力はありますか?」

「魔法です。魔力を集めて、砲撃したり拘束、障壁を作り上げたりできます」

「えー、EDFと接触した時を教えてください。また、どのように感じたか詳しくお願いします」

「約半年前にロストロギアという過去の遺物をめぐっての闘争の時、フォーリナーが出現しました。それを一瞬にして倒し、さらに私の家族を救ってくれました。

 フォーリナーだけを殺すのが仕事だと言いながら、私達の心の傷を埋めてくれる素敵な方に出会えたと思っています」

「何故EDFに仮でありながら、入隊しようと思ったのですか?」

「フォーリナーの数や質、共に異常性を持っており将来的に私達の次元世界を脅かす存在として認識しました。

そこでフォーリナーと長らく戦闘しており、十分なノウハウを培っているEDF様に入隊しその知識や技の恩恵を教授していただくため、結城さんに頼んでここに参りました」

「貴方はここでどんなことをしたいのですか?」

「先ほど申し上げたようにノウハウを知り得る事や既知となっているフォーリナーの存在などを知り、全力全壊で忌まわしいやつらをぶっ殺したいです。

もちろん得たものは母国へ帰り、周囲の者へ教え伝えます」

「ふむ……わかりました。これにて、面接を終了します」

「ありがとうございました……失礼します」

 

 お辞儀をして、扉を開けて出ていく。

 

―――

 

「結城さん!」

 

 私はTVでEDF極東支部が放送しているニュースチャンネルを見て、暇つぶしをしていた。

そんなとき、二つの足音が廊下から聞こえてきた。

別にここまでは普通。

この支部は人数が少ないとはいえ、宇宙世界から人を連れてくる人がいないこともないからだ。

 その連れてくる過程で、会議室での面接が随時行われている。

だからこの程度の音は別に何とも思わない。

 

 

 それでもその足音の一つを発する人が、自身への呼びかけをしたとなればそれに振り向かない者はいるか?

あまりいないだろう。

私は明るい顔で息を切らせて走ってくるなのはさんを、席に座りながらその方向へ首を動かし確認する。

その表情を見て、いい感じだったんだろうと思いながら席を立ち、彼女と連れて行った主任を迎える。

 

「首尾はどうなんだ?」

「うん、受かったよ!」

「そうか、共に行動できるな」

 

 私はなのはさんに、手を取られ握手している状態になっている。

彼女と視線を合わせ、その報告をちゃんと聞いてから前方へ目を向ける。

そこには主任がいるのだが、彼はなんだかニヤついている。

いや笑顔なのだろうか、非常に朗らかな感じだ。

 あまり私にとって不快感な感じは見受けられない。

いや、感じ取れないか。

 

「それで、主任。どうなんですか?」

「高町殿が言うように、面接に受かったのだ。

そしてこれより、レンジャー2としてレンジャー部隊の一員になる。

もちろん結城殿の下でね」

「ありがとうございます」

 

 私は主任にお礼をする。

 私はこの後なのはさんを連れて、支部内の案内をする。

そして私とともに飯を食い、明日のための宿泊場所と武装の準備を行うことにした。

 

 なのはさんはきっと今頃、EDFについての知識や装備について一部制限解除をされているためソレを学んでいるころあいだろう。

私はそれらの知識や実戦はここに入る前にすべて執り行ったので、いろいろ免除され三年程度で表に上がっている。

まあ、私の過去などだれも知りたくないだろう。

 

 

 今回使用した『OゴリアスD2―1』と『ライサンダー2―1』は、『OゴリアスD2―3』と『ライサンダー2―2』となる。

やはり倒した数の絶対数が、異常に少ないということだろう。

なにせ今回は、完全にマザーシップだよりとなってしまったからだ。

 

 功績は今まで通り入るだろう。

それでも武器の性能が上昇しなければ、全く意味がない。

もしもこのまま急激なパンデミックが発生すれば、私は躊躇なくそのF因子に侵された人間を殺すだろう。

 罪悪感がないというわけではない。

なにせその国の人的資源を根底から破壊することになるのだ。

これがなくなっていけば、確実にその国の基盤が崩壊する。

そしてその世界は戦争が発生するだろう。

 

 私はその戦争が発生すれば、絶対に逃げその世界をブラックリストに入れる。

 壊してしまったとはいえ、たったそれだけで壊れる国も国だな。

関係のない私にとって、役に立たない人形はただの物質でしかない。

よって、罪悪感があろうとも、EDFやこの地球に危害を及ば差ないため早急に、

その世界への扉を閉じるのだ。

 

 おっと、こんなくらい話はなしだ。

私は功績を自室にあるコントロールパネルから、情報を知る。

功績はなかなか溜まったようだ。

 今回私が選んだフォーリナーは、『甲殻巨大生物』だ。

 通称黒蟻。

そのままの意味で、酸をショットガンの様に散布する。

またEDFによる地獄の訓練のおかげで、噛みつきと酸布(酸+散布)が同時に行えるようになった。

さらにF因子のニオイを発する敵を、確実に殺すようになっている。

 ちなみにこの訓練された黒蟻は、標準の買い物ではないので若干高めになっている。

しかし殺されにくいので、非常にお買い得だ。

 

 

『甲殻巨大生物4.1・黒蟻111-1』といつもの『キャリアー』を随伴して、

私の指揮下となる。

それと『蜘蛛型巨大生物25―1』は、『蜘蛛型巨大生物25―13』となる。

 

 

 この後私は休暇だったことを思い出して、『制御温室』に向かっていると

後方からなのはさんがやってきた。

 

「結城さん、大変だよ!」

「どうかしたか?」

「ユーノ君がいないの!」

 

 そういえば、説教中もこっちに来てからもずっと肩の上に載っていたような気がする。

私はこの事を主任にいうと、フェレットだった彼は今技術的な意味で協力中らしい。

よくわからないがフォーリナーの危険性と人類の兵器に関して、図星となるような指摘を受けて技術技師さんとともに改良と開発を行っているとの事だ。

 しばらくの間会うことはできない、となのはさんに伝えるとなんか笑顔になった。

なんというか、憐れだな。

 

「ところで、どこいくの?」

「ああ。今、『制御温室』へ……つまり、人工的に管理されている田畑に向かっている」

「へー。あ、じゃあ、茶葉の大元とか育てられる?」

「今、温室はひどく草木で満載だ。一応EDF隊員だろう?自分の功績で購入してみな」

「うん!」

 

 そして購入方法とか、功績の一部譲渡を行って購入の仕方・配置や起動・停止・排除などの方法を教授する。

私はなのはさんが、いろんな項目を見ていろいろ購入しいじっているとき、この温室のところへくる。

例の色違い杏は、さらによくわからない色へ変化していた。

腐っているとは思っていない。きっと、大丈夫だろう。

 そうやって自身の温室内で、いろいろいじっていると温室前から声を掛けられる。

 

 

「Hey!お久ぶりDeathNe,YouKeySun!」

 

 私はエアレイダー田中を視認した。

 

「ひ、久しぶり……」

「Oh?元気KeineDeathNE」

 

 お前のおかげで単語一つ一つを解読しなきゃならんのだ!

しかも無いとか言っておきながら、それはドイツ語だ!

だからお前と会話するのは疲れるんだ!

 

「そんなことはないですよ。ところで、その筒はなんですか?」

「YorkぞKeyて呉真下ね!これぞ、AirRaiderの必需品!無限発煙筒です!

これがあれば、AirForcesによるBombsDropOutで、Ant'sDestroy!」

 

 なるほど爆撃できるのか。

しかし地球限定だろうな。なにせ宇宙転移先は、ある程度のことがなければレンジャー以外の派遣を許可されないからな。

 

 

「とYou訳で、Give you This weapon!」

「I'llはどこいった!?」

「I'm Japanese.英語なんて無理デスネ!」

「仕方ないな」

 

 というわけで、『無差別爆撃支援・効果範囲+10』をくれた。

ん?使う場面がないような?

 

「気にしないでください。MeからのPresentです」

「口調変わってるぞ?」

「Oh、ナンの事DeathCar?」

 

 悪意はないようだ。

しかしどうつかうかな……。

しかたがない、いつか使おうと思う。

 

 そうだ。原点種子から生まれた、杏・シャボン・キンギョはさらにもっさりとしていた。

生命力がみなぎっているようで、何よりといったところだ。

 

 

「あ、結城さん!やっと見つけられたよ……。緊急事態みたい!」

「わかった、今すぐ行こう」

 

 私に支援武器の譲渡をしただけで、そのままどこかへ去っていったエアレイダー田中。

入れ替わるようになのはさんが入ってきて、緊急の知らせを行う。

私は今の装備のままで、宇宙転移広場へ行く。

 

「なのはさんの初仕事だ。気を抜くなよ」

「もちろんです!」

 

 拳を握り、やる気に満ちている。

これならなんとかなりそうだ。

では、行こうか。

 

近況報告。U=装備中。AP:2736

ロケラン:

『スティングレイM1―100』

『ボルケーノ3A―64』

U『OゴリアスD2―3』

アサルトライフル:

『AF-14―100』

『AF-15―100』

スナイパーライフル:

U『ライサンダー2―2』

後方支援:

U『ルールオブゴッド―5』

『無差別爆撃支援・効果範囲+10』

フォーリナー:

『マザーシップ―6』(飛行ドローン5―1/飛行ビークル5―1/最大形態変化3)

『アルゴ―1』

『蜘蛛型巨大生物25―13』(『糸の最大射程+』)

『キャリアー・2』

『甲殻巨大生物4.1・黒蟻111-1』

全体改良:

『最大弾数強化―1』

『リロード速度強化―1』

他:

『制御温室』(アプリコット/キンギョソウ/シャボンソウ) 

 

―――

「飯食ってきたか?EDFの解放武器選んだか?行先詳細見たか?遺書用意したか?

功績と行先の貨幣の交換したか?仕事と意識してるか?EDFの宇宙転移基本装備一式へ換装してるか?うだぐだ」

「言われなくても、ちゃんとやってますよ結城さん」

「それならよかった」

「武器倉庫の拡張、やりました?」

「!?」

―――

 




恋愛要素がありますが、本編にいっさい関係しません。

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