カルデアの召喚室に、重要人物達が集まっていた。
「いよいよだね、マシュ。」
「ハイ、先輩。」
「まったく、どうして貴重な資源をこんな実験に使わなきゃいけないのよ。」
「まぁまぁ、所長。失敗しても普通の召喚になるだけの筈ですから。」
「ふふん、それはどうかな?もしかしたらイレギュラーな召喚になるかもしれないよ?私としては成功すれば大変興味深いけとね。」
カルデア最後のマスター、藤丸立香。
デミサーヴァント、マシュ・キリエライト。
カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィア。(メディア(魂担当)とダ・ヴィンチ(肉体担当)の尽力により、奇跡的に蘇生)
医療部門トップ、ロマニ・アーキマン。(通称、ドクターロマン)
召喚成功例第三号、レオナルド・ダ・ヴィンチ。(本人希望、ダヴィンチちゃん)
実験内容は、ライトノベルと呼ばれるジャンルの小説を触媒として登場キャラクターを召喚できるか、というものだ。
使用するのは『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、藤丸立香の愛読書でもある。これを発売している全巻を揃えて中央に置き、召喚を始める。
廻る三本の光の輪、現れるはセイバーを示す金のカード、ワクワクと胸を高鳴らせる一同(オルガマリーを除く)の前にサーヴァントの姿を現れた。
「サーヴァントセイバー、ベル・クラネルです。よろしくお願いします。」
名乗った少年に、立香とマシュは近寄り挨拶をする。
「よろしくね、ベル、でいいかな?私は藤丸立香、好きに呼んでね。」
「よろしくお願いします、ベルさん。私はマシュ・キリエライトといいます。お好きにお呼びください。」
「はい、立香さん、マシュさん。」
「それでね、ベル。ちょっと頭を触ってもいいかな?」
「?はい、良いですよ。」
読んでいる小説の主人公が目の前にいる、その事実にウズウズしながらも冷静に挨拶はできた。だがそこまでが限界だったようで、頭をサワサワと触り始めた。
「わぁ、スゴいモフモフだぁ。マシュも触ってみなよ。」
「はい、失礼しますベルさん。これは………スゴくモフモフです。フォウさんに勝らずとも劣らずなモフモフです。」
「ほほぅ、そうなのかい?フォウ君は触らせてくれないからね。私も参加させてもらおう。」
「わぷっ。」
左右に美少女、正面に美女(偽)がほぼ密着という状態に、ロマンは羨ましそうに見つめている。隣ではオルガマリーがブツブツと考え事をしていた。
「もしもこれが他のにも使えるならもっと強いのも呼べる筈よね。神霊もランクダウンしてるとはいえサーヴァントとして呼べるんだし、マンガやゲームのキャラクターならかなりの戦力になるわね。うまくいけば私と契約してくれるサーヴァントも………。」
オルガマリーの傍からそっと離れるロマン。
いまだ囲まれているベルに挨拶をしようと近寄っていく。
ベルの人理修復の旅の始まりである。
「ちょっ!!僕の挨拶は!?」
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