神喰いの英雄譚の始まり
────◇─1─◇────
訓練場
────さて、ようこそ……人類最後の砦『フェンリル』へ
今から対アラガミ討伐部隊『ゴッドイーター』としての適合試験を始める
少し肩の力を抜きリラックスしたまえ
その方が良い結果が出やすい
では心の準備ができたら中央のケースの前に立ってくれたまえ────
俺は覚悟を決める。右手を握り締める握力が少しだけ上がった。
カツ、カツ、カツ、カツ……
金属製の床に足音がやけに大きく聞こえ、俺は『神機』の置かれた朱色のケースの前に立った。
「……ふぅ」
息を1度吐き、冷静を保とうと心を落ち着かせる。
俺は手を『腕輪』と『神機』の上に置いた。
カシュンッ
ケースが上から閉じ、腕に腕輪が装着され何かが注射された。
「ぐっ、があぁぁぁっ⁉︎あ⁉︎」
激痛が腕を中心に全身に走る。今まで感じた事の無い痛みに意識が飛び掛けた。
……当たり前か、何せ『人』を『偏食因子』で無理矢理『人』でない存在に造り替えてるんだから。
「ああっ⁉︎ぐぅっ、うう……はあ、はあ、はあ……」
パシュ───
ゆっくりとケースが開き俺は手にした神機をふらふらになりながら掲げる。腕にくっ付いた『腕輪』と神機は正常に接続された様だった。
────おめでとう、君がこの支部、『フェンリル極東支部』初の第2世代『新型』ゴッドイーターだ
適性試験はこれで終了だ
次は適合後のメディカルチェックが予定されている
始まるまで、その扉の向こうの部屋で待機してくれたまえ
また気分が悪いなどの症状がある場合は、すぐさま職員に申し出るように
期待しているよ────
そう言ってアナウンスは切れた、俺は片手で神機を持ち上げつつ考える。
……本当に『GOD EATER』の世界に転生したんだ、と
────◇─◆─◇────
???
知らない天井……天井かこれ?まぁ……知らない天井だ。
『……おーい、起きてる?』
「…………今起きたところだ」
『なら良かった、じゃあ少しお話しようか。ほらほら起きて』
「……おう」
俺は目の前にいるちんちくりんの少年(?)に言われた通り体を起こす。あれ?俺はどうしてここにいるんだっけ?
『あ、今『どうしてここにいるのか』って思った?良いタイミングだね、それについて話すつもりだったんだよ』
思考を読んだのか?この小ちゃいのは?
『酷いね〜、小ちゃいって一応コンプレックスなんだよ?』
「……読んだな、悪い、思っただけで言うつもりは無かったんだが思考を読まれたならしかないだろう?」
『まあ、そうなんだけどさ。もう、脱線したから話を戻すね!君は死んじゃいました』
「…………テンプレだな〜、死因は……通り魔から久しぶりに再会した幼馴染を助けて刺殺か。……こっちはテンプレでは無いな」
『……あっさりしてるね君、死んじゃったんだよ?もう生きられないんだよ?』
「まあそうだな。ショックは受けたよ、故年17、たった17年の人生だったけど後悔はしないようにって1日1日精一杯頑張ってやってきたからね。それに最後は誰かを守って逝けたんだ、悪くはない我ながら人生だったとは思うよ……でも」
変わらないものは無い、だからこそ日常が突然非日常にすり替わってしまう事があると理解し、決して幸せになれる訳ではないのだと知っていたからこそ俺はせめてほんの少しでも自分が『今』を生きた証を残したくてがむしゃらになって生きてきた。……そう、生きて『きた』のだ。
「でも……後悔はしている、それにまだ生きたかった、生きたかったさ。まだ生きて誰かと一緒に生きてそして満足して死にたかったよ……」
たった17年、されど17年、短くも長くも人によって異なるだろうが彼にとっては短かった。
『生きたい?』
「生きたい」
『例えどれだけ辛くとも?』
「ああ」
『後悔する事になっても?』
「いくらでもしてやる」
『もしかしたら今よりも酷い人生を歩む事になるかもしれない、それでも君は『生きたい』?』
「生きたい、俺は『明日』が欲しい」
俺の答えに少年は満足気に微笑む。
『「明日が欲しい」……か、良い答えだ。ようやく人らしい、年相応の君が見れたよ。だから君に『明日』をあげよう。君にはもう一度君の
俺は頷いた。
『君には
そう言って少年は指を鳴らす。何も無いところから俺が使っていたキャラそのままの容姿をした少年が現れた、もちろん服はフェンリルで支給される制服を着ている。
『『巫咲 ソラ』これが君の新しい姿だ、コードネームはゲームのままの『win』。思ったんだけどこの『win』って願掛け?』
「いや、それもあるが元々俺の名前は『翼』だろ?英訳すれば『wing』、コードネームを入力する時に入力ミスをして『win』になってそのままなんだ。確かに『win』の意味は『勝利』だからちょうど良かったっていうのもあるんだけどね」
『へえ〜、なるほどね』
少年は納得したかのように頷いた。
『特典の方はこちらで勝手に決めとくね、その方が君には良さそうだから』
「頼んだ」
『りょーかい、じゃあ今から『君』を『巫咲 ソラ』に定着させて世界に送るね』
暖かな光に包まれ、次の瞬間には『巫咲 ソラ』の中に入っていた。手を握ってみたり開いてみたりする。うん、問題無い。
『最後に忠告って言うか助言だけど、君の生きる世界は『ゴッドイーター』の世界であってそうでは無い世界だよ。だから君が知る通りの道筋を通る訳ではないし、間違いなくそこに生きてる人は間違いなく『生きてる』んだ』
少年は真面目な顔を見せる。
「…………」
何が言いたいのか、それはつまり世界を『ゲーム』としてではなく『現実』として見ろと言う事だろう。ゲームに出てこない、名前のないモブキャラであろうともそこでは彼らは彼ら自身の名を持って生きているのだから。
「……その忠告、しっかりと胸に刻ませて貰う」
『いってらっしゃい、『巫咲 ソラ』君。今一度始まった君の物語に祝福のあらんことを』
こうして、彼の物語は始まった。
────◇─◇─◇────
・
・
・性別 男性
・年齢 15
・身長 165㎝
・ヘアスタイル スタイル36
・アクセサリー
・共通アクセサリー ピアス1(左耳に銀)
・ヘアカラー 黒
・フェイス 13
・アイカラー ブラック
・スキンカラー 色白
・ボイス 自声
────◇─◇─◇────