EBA~エーバ~   作:雪宮春夏

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 最後に書いたの何時だろう?


 ……すいません。待っている人いないでしょうが、勿体ない精神で投稿します、雪宮です。

 グダグダなのは否定できません。

 ここまで音沙汰無しになってしまったのは申し訳ない気持ちがあります。

 それでもまだまだスローペースなんだろうなと、諦めて貰えれば嬉しいです。

 それではどうぞ。
 
 ご覧下さい。


♯8 勘違いによる?

 どれ位時間が経っていたのだろうか。

 

 机の上に置かれたまま、こちらを拒んだリングから目を離せなかった俺は、ドアの向こうに人の気配を感じて、思わず今し方まで横たわっていた寝具の上に潜り込み……直ぐさまその選択を後悔した。

(バカか俺はっ……!? 隠れるとか逃げるとか、もっととれる選択肢あったのに……! これだと狸寝入りがバレたら最後、逃げ場無いじゃんか……!!)

 バレなければ良いなどと、楽天的には間違ってもなれない。保護した彼が悪人とは思いたくないが、俺自身も訳の分からない体になってしまった俺自身を、どうするべきなのか決断できずにいるからだ。

 目撃者兼第一発見者で有り、その危険性さえ目の当たりにしているのかも知れない彼が、俺を好意的に見てくれている可能性は低いだろう。

(寧ろ……殺されていないだけマシ……だったりして)

 己の死に際……は具体的に想像したいとは思えない。

 たとえ嘗ての戦いで訪れた未来の世界で、己は死んでいます等と聞かされようとも、その内容にショックは受けるが、更に掘り下げて具体性を求めようとはできなかったし、普通はしようとも思わないだろう。

 

 頭の中では分かっているのに、不審が、不安が消えてくれない。

 カチャッと、俺の耳に扉のノブを回す音が届いたのは、そのようにグルグルと考え込んでいた最中であった。

 咄嗟に息を詰めて体を固くした様子に気づく事無い、二人分の男の話し声が部屋の中を満たしていく。

「やはりあれは成功品とは言い難いか……」

 はっきりと聞き取れた若い男の声は、俺には聞き覚えのあるものだった。

 忘れもしない。超直感が「俺を殺せる」と訴えていたピストンのついた銃のようなもの、それを持っていた青年のものである。

(なんだ……じゃあ俺、あの人に助けられて……?)

 ホッと、安心に胸を撫で下ろそうとした俺の耳に飛び込んできたのは、俄には信じられない内容だった。

「いっそのこと、高熱で溶かしてみるか?」

「それだとドロドロになるだけでしょう。液体窒素で急速冷凍してから切断してみては?」

(……え?)

 さも平然と言葉を交わす声の主達が話題にしているのは何だろうか。

 ここには、彼ら以外には俺しか人はいない。眠っている状態を装うため、目を開けて彼らの周囲を確認することは出来ないが、身動ぐ空気の動きや、足音から、それ位の判断は出来るように叩き込まれている。

 況してや彼ら自身は、俺と異なり……ここは声を大にして好きで異なった訳では無いと言いたいが、戦闘のせの字も体験したことのない、正真正銘の一般人であり、当然気配の消し方等々習得している訳では無い。

 だからこそ、余計にその話の内容は物騒すぎた。

 恐怖か、驚愕か分からない感情のまま、混乱する俺の思考に気づくことの無いまま、彼らの会話は続く。

「薄皮を剥ぐのはどうだ?」

「それよりは切り込みを入れた方が……」

 それが全て自分に行おうとしている内容だというのなら今すぐ立ち上がり、逃げ出したい所だが、生憎、ここがどこなのかも分からない時点で逃げる方向さえも定かでない。

 そうでなくても己は、何らかの薬を自ら投与して眠っていた身の上である。

 向こうの所持していた物なのだから、当然彼らはその成分なりを知っているだろうが、それを知らない己が下手に動けば後にどんな後遺症が出るかも分からないので、対処の仕様がなくなる。

 完全に打つ手が思いつかない俺に出来る事は、必死に狸寝入りを敢行する事だった。

(でも、この状況でいつまで持ち堪えられるんだろう……)

 まさに八方塞がりといえる現実に冷や汗をかく俺は、傍らにいるはずの彼らがやけに静かになっているという違和感に、最後まで気付かなかった。

「なんだ……起きてたのか?」

 覗き込まれた瞬間に、俺は悲鳴を上げていた。

 


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