まあ、問題は……ありませんね。威力が強ければ、何かしらのダメージはあったと思いますし(オイ!?)
「彼」の超直感は「便利」ではありますが、「万能」ではないと言う良い事例とお考え下さい。
これで……大丈夫、か?(冷や汗)
すいません、作者は錯乱しているようです。(しかし訂正する気は今の所無し)
それではEBA~エーバ~ ♯4
こんなものですが、よろしくお願いします。
イタリア某所。深夜。
普段なら人の気配もほとんど感じない山奥の閑静なこの地で、現在。
けたたましいまでの爆発音が轟いていた。
『怯むな! 相手はたった一人だぞ!?』
身なりから、主力に近いだろう地位にいるだろう男が、イタリア語で周囲に鋭く檄を飛ばしている。しかし、周囲は格上である筈の相手の声に見向きもせずに我、先に逃げようと蜘蛛の子を散らすようにバラバラに散っていく。
その理由は簡単だ。
格上である筈の男よりも彼らが脅威を抱く相手が、彼らの方へ近付いてくるからである。脅威を感じる相手から逃げようとするのは自然の理である……が。
『めでてぇ奴らだぜ。……逃がすとでも思ってんのか?』
まるで地獄の底から響かせるかのように、地を這う蛇のように抑揚の消えた声が…彼らの鼓膜を揺らす。耳慣れている母国語、それ故に敵が話す言葉を正確に理解できている事を、今ばかりは彼らは恨めしく思うだろう。
地獄の閻魔でさえ威圧させるかのような憤怒の込められた声音は、聞いているだけで怖気を覚えさせる程のものだった。
『い……嫌だ! 助けてくれっ!!』
体に這い寄る恐怖に耐えきれず、最初に叫んだのは誰だったか。
予期せぬ襲撃で、ただでさえ混乱状態であった彼らは、こちらに語りかける声がどんどんと鮮明になる事で、近付いてくる相手を、明確な死の気配を意識させられた。
自陣と相手との圧倒的なまでの戦力差。それは元々十把一絡げの扱いをされていた戦闘員である彼らだからこそ、何よりも感じただろう。だからこそ逃げることに……離反する事に迷いは無かった。
強い者が弱い者に付く。
彼らの世界では「常識」とされている名文を実行に移すことが出来る程、その声はそこから発せられる死の気配は軽くない。ならば彼らに残されている生きるための道は「逃げる」以外にないのだ。
そこまでは頭の良い相手なら簡単に分かる。
そして分かった上で、この組織を現状襲撃している張本人。ボンゴレ十代目ファミリーの嵐の守護者にして、ボンゴレ十代目の右腕は、塵芥にも等しい力しか持たない雑魚であっても、わざわざ逃がしてやるつもりは無かった。
「果てやがれっ!」
獣の咆哮のように声を荒らげ、懐に忍ばせていたチビボム……獄寺がそう呼称する小型の爆弾を的確に敵が逃げ惑う足下に転がしていく。
直径数㎝の球型の爆弾だけあり、慌てている有象無象を更に混乱に陥れるには十分だった。
「全く……君も容赦ありませんね」
混乱に陥り、我武者羅に逃れようとする者達は次々と不自然にその体の動きを止めることとなった。
それは、当人達の意志によるものでは無かったのだろう。
忙しなく視線を動かす彼らは、次いで聞こえた聞き覚えのない声に、新手が出たことを悟った。
『貴様……ボンゴレの次代霧の守護者か!? これはどういう事だ!! 何故我々を襲う!!』
そこで声を上げたのは、先刻まで檄を飛ばしていた彼らのまとめ役の男だった。最も男も彼らと同じように、不自然な姿勢で動きを止め、動くことが出来なくなっているようだが。
『答えろ! 我々とボンゴレの間には同盟が結ばれている筈だ!! 一体どういう……ひっ!?』
しかし噛みつかんばかりに騒ぎ立てていた男は、一瞥と共に霧の守護者……六道骸が向けた殺気に、直ぐさま勢いを無くした。
その様子を鼻で笑いながら、六道骸か発した言葉は、怒り混じりの侮蔑だった。
『同盟? ……白々しい。始めにこちらに害をなそうとしたのはあなた方でしょう?』
『……今頃言い訳を聞く気もねぇけどな』
一見和やかな顔つきで、しかしその瞳はどこまでも冷徹な霧と、ここまでの所行から怒り心頭が目に見えて分かる嵐。しかもその内容を聞かせる為だけに、わざわざ男の理解できる彼の母国語、イタリア語で会話を進めるという鬼畜ぶりである。
たとえボンゴレの人間であっても、今の彼ら二人とさしで遣り合うのはごめんと言うものだろう。
そのような状況に置かれた哀れな男は、悲しかな、十分に伝わる実力差に怯えながら、彼らの決定を待つばかりである。
「凄いな。一人でこれほどとは……流石というべきか」
そんな彼らの会話に割って入ってきたのは彼らと同じ年頃だろう、若い男の声だった。
片手で折りたたんだパソコンを抱えながら、キョロキョロと瓦礫の山と化した男の所属するファミリーのアジトを観察する姿は、場所がここでなければ有名所を観光するお上りさんか、発掘中の遺跡を熱心に見つめる研究員のようにしか見えないだろう。
「興味深いな。通常よりも六割近く出力が上がっているようだ。怒りが死ぬ気の炎の威力を倍増させていると言うことか?」
「違ぇぞ。単に加減が聞かねぇだけだな。無駄なもんばっか壊しやがって……」
現れた人物は二人。
パソコンを抱える男の肩に乗るその姿に、男は悲鳴を上げていた。
『アルバレーノ……! 何故ここに……!!』
アルコバレーノ、と呼ばれた子供……その姿は二足歩行こそしているものの、背丈から考えれば赤ん坊である。
しかし彼は流暢な言葉で男の疑問を皮肉った。
『おかしな反応だな。俺がいることがそんなに意外か? ……それともおめぇ等、テメェらがしていた研究が
問いかけながらも、男の反応を見るに、その質問は正解と思えるだろう。
(……まぁ、想像はしていたけどな)
その事前に予測できていた事に変わった反応を示すことなく、今度は目の前にいる世話の焼ける監督中の守護者二名に苦言を呈する。
「獄寺、骸。テメェらも慌てすぎだ。ここが
呆れを隠しもせずに、見渡した周囲は、まるで大型動物が踏みつぶしたかのような有様となっている。
(実際の研究施設ではねぇから問題ねぇが。纏めてある筈のデータの類まで壊されでもしたらたまったもんじゃねぇぞ)
まぁ流石の守護者二人も、リボーンの抱いた懸念に気付く程度の余裕はまだあったらしい。
「大丈夫です。リボーンさん。俺は十分冷静です」
しかしその言動は微妙にあてにはならないが。
「慌てて等いませんよ。アルコバレーノ。ただ僕は
力強く言い切る骸の顔には、苦虫を幾つもかみ潰したような渋面が広がっている。彼の過去……己の所属していたファミリーにモルモットとして扱われ、六道眼を無理矢理移植された経緯を思えば、その言い分も理解できる、が。
「……喩えそうでもここにいる奴ら全員皆殺しにしようとすんじゃねぇ。色々聞きてぇ事も有るしな。分かったか。骸?」
暗に、拷問できる人数ぐらいは揃えておけと、示唆するアルコバレーノだが、その行いを残虐とは言わない。
それはまだ、一般人としての感覚が強い者には理解できないだろう。
だからこそ、一般人であった山本や笹川、女子のクロームや子供のランボは今回は同行させていない。
これからしようとしている事を体感するのは、まだ早すぎた。
(でも実際の所、瀕死や虫の息は多くいるけど、死者は今の時点ではゼロなんだよな。……単に殺して楽にさせるつもりが無いってだけなんだろうが)
スパナは一人心中で呟きながらも、それが彼らにとって幸運で無いと言うことは間違いなく確信していた。
『さて……ここからは流石に案内が必要か』
改めてイタリア語に直した言葉に、全員の視線がそこにいる唯一の敵対者……この場所では上位に位置していただろう男の元で止まる。
『では……案内して頂きましょうか?』
そう問いかけた骸ではあったが、その答には、了承以外を求めてはいなかった。
所変わって守護者視点。
間が開きましたが何とか書き上げました、♯4です。
ここからしばらくは彼らの視点になる予定です。
原作に入るのは当分先……かな?