オーバーロード~生まれ変わった至高の御方々~   作:ハルフウェイ

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るし★ふぁー①

俺は昔から人を驚かすのが好きだった。

 

これだけならいたずら好きというだけで済んだ。

 

だが、俺には一つだけ皆と違う点があった。

 

それは六大神の一人である死の神スルシャーナ様を信仰していたことだ。

 

俺が生まれ住む村では火神や水神などの四大神信仰が主であり、六大神信仰でも俺以外の全員が生の神アーラ・アラフを信仰していた。

 

だから俺は一人で別の神に祈りを捧げていた。

 

何故、スルシャーナ様を信仰しているのか?と聞かれてもよく分からない。

 

スルシャーナ様がどんな姿をしているのかを聞いたら、何故かこう・・・懐かしい気分になったからだ。

 

だから、自分で御神体代わりにスルシャーナ様の彫刻を彫る事を趣味にすることになるのは当然の帰結だった。

 

最初は不格好でスルシャーナ様には見えなかったが、回数を重ねるごとに徐々に上手く出来るようになっていき、俺は彫刻を作ることに喜びを感じていた。

 

そしてある日。

 

「これでよしっ・・・ぎっ!?」

 

会心の出来のスルシャーナ様の彫刻が出来た。

 

瞬間、体中に激痛が走った。

 

あまりの痛みに声も出ず、体も動かせずにただただ蹲るだけだった。

 

どれほどの時間、そうしていただろうか。

 

だんだん痛みがなくなり、気づくとふかふかとした白い翼に包まれていた。

 

「これは・・・」

 

どこかで見たことがある翼だった。

 

そう、これは・・・。

 

「ユグドラシルで使ってたアバターの・・・」

 

俺のアバターの堕天使の初期種族の天使の翼じゃねぇか!

 

「なんなんだこれ!いや待て、なんだこれ」

 

自分の中に自分のではない記憶がある。

 

その記憶を辿って疑問が生じる。

 

俺は何者だ?

 

俺はどっちなんだ?

 

どっちが本当の俺なんだ?

 

「・・・・・・まぁいっか!」

 

悩んでたって答えなんて出ないし、それよりも遊びに行こう!

 

「確か天使って飲食不要だったよなー。よし、とりあえずは食わなくても生きていける!」

 

ついでに寿命もなかったはずだし、遊び疲れるまで遊びまくるぜ!

 

「ひゃっほー!」

 

翼で力の限り空を飛び、そのまま気の向くまま旅をする事にした。

 

 

 

「ん?なんだこりゃ」

「上から落ちてきたな」

 

ドガーンッ!

 

「アッハハハハハハ!」

 

ある所では海に出ていた船に爆弾を放り込んだり。

 

「ゴハッ!」

「な、何よこいつ!」

「ゴ○の癖に!強い!」

「アハハハハハ!」

 

ある所ではG型のゴーレムをけしかけたり。

 

「六大神様、今日も我々を見守っていてください」

「お、ギルド武器だ」

「ん?な、なんだお前は!」

「堕天使になる予定の天使です!」

「はぁ!?」

「ヘーイ、ヘイヘイ!トス!」

「投げるなぁ!それは六大神様が一番大事にしていたギルド武器と呼ばれる最至宝」

「アタック!」

 

ガッシャーン!

 

「のわぁあああああああああああ!」

「壊したぁああああああああああ!?」

「アッハハハハハハハハハ!」

「ギィイイイイイイイイイイイイイイ!」

「ガァアアアアアアアアアアア!」

「グロオオオオオオオオオオオ!」

「従属神様たちが暴れだしましたぁ!」

「もう終わりだぁああああああ!」

「じゃっ!」

「逃げた!追え!逃がすなぁ!」

 

ある所では運動したり。

 

「世界を滅ぼせるバケモノなのに、封印が解けちゃったらどうしよう!」

「大変だなー。蘇ったらまた封印してやるよ」

「ほ、ほんと?」

「ほんとほんと」

 

ある所では約束したり。

 

「暴れろ暴れろー!」

「グオオオオオオ!」

「うわぁあああ!」

「ハハハ!わざとじゃない!信じてよ!」

「待て!こいつのノリ、どっかで見たぞ!」

 

ある所ではゴーレムを暴れさせたり。

 

時間も忘れて世界中で遊び倒した。

 

「はー。楽しかったー。よし、今度はゴーレム軍団を作って世界征服をしよう」

 

思い立ったが吉日だ!

 

木や石はもちろん、鉄などの金属のゴーレムを大量に作る。

 

形も様々なものを作る。

 

人型やGや思い出のナザリックのNPCたち。

 

ナザリックのNPCたちの姿を作ると、自分が思っていた以上に寂しかったのかそのまま思い出せる限りでどんどん作っていく。

 

同じNPCを作ったりもしたし、仲間も作ったりした。

 

そして気づけば数百体のゴーレムが出来ていた。

 

「もっといい素材があればなー」

 

低レベルの素材で作ったゴーレムは簡単な命令しかできない。

 

つまらないな。

 

そう思いながらゴーレムたちに命令をする。

 

「此処を出て、力の限り暴れろ」

 

数百体のゴーレムが行進して出て行くのは壮観だったが、今の俺には何の興味も抱かせない。

 

「・・・・これからどうすっかなー」

 

その場に横になって天井を見つめる。

 

あ、あの模様、たっちに似てる。

 

「・・・・おい」

「こっちはヘロヘロに似てるわ」

「おい」

「お?あれはスーラータンに似てる」

「私はあんな二重の影(ドッペルゲンガー)みたいな顔じゃない」

「あ?」

 

目を向けると、いつの間にか長い金髪に赤い瞳の美幼女がいた。

 

口の端には尖った犬歯。

 

吸血鬼か。

 

「お嬢ちゃん迷子か?俺は血を吸っても美味しくないぞー」

「お前、るし★ふぁーだろ」

「テメェ、なにもんだ」

 

低い声を出し、美幼女を睨み付ける。

 

美幼女は何ともないかのように鼻を鳴らして口を開いた。

 

「スーラータンだよ。この問題児」

「は?嘘つけ。スーラータンは男だし、背が高いし、もっとキリっとしてるんだよ」

「はぁ・・・私も転生したんだ。その時に何故かは分からないが、転性もしてしまってな」

「嘘つけ。お前がスーラータンっていう証拠見せろよ」

「・・・・聞いたぞ、ナザリックの第九階層の女湯の風呂場の湯を吐き出すライオンをこっそりゴーレムに改造して、マナーが悪い奴に襲いかかるようにしてたんだってな」

「・・・・もしかして、本物?」

「あぁ」

「因みに私もいまーす」

「何この緑色のドロドロ」

「ヘロヘロですよ。もー、ゴーレムが暴れてるって聞いたから来たんですよ?国を乱す奴は許さないって怒ってたんですよ?」

 

誰が?と聞こうとした時に、それは出現した。

 

黒い闇。

 

その中から、それは現れた。

 

闇を切り抜いたような漆黒のローブを身に纏った死の権化。

 

手には見覚えのある黄金の杖。

 

そして、それは俺が人間の時に信仰していた懐かしき姿。

 

「説教、ですよ。るし★ふぁーさん」

「モ、モモンガさん・・・」

 

俺は立ち上がって俯く。

 

「お久しぶりですね、るし★ふぁーさん」

「モモンガさん。俺、俺・・・」

 

スーラータン(仮)とヘロヘロ(仮)が、うんうんと頷く。

 

「説教嫌だから逃げるわ!」

「「「え?」」」

 

三人が驚いた隙に出口に走って空を飛んで逃げた。

 

「後!暴れさせたゴーレムは全部!倒したら爆発するからー!」

「「「る、るし★ふぁあこのやろぉおおお!」」」

「アッハハハハハハハハハ!」

 

こうして、俺ことるし★ふぁーは説教とお仕置きを喰らってナザリック地下大墳墓へと帰還した。

 

後、ゴーレムは全てちゃんと爆発したらしい。

 

・・・・・テヘッ★




というわけで、至高の問題児るし★ふぁー様を書かせていただきました。

本作品は完全なオリジナル設定となっています。

るし★ふぁー様の種族は捏造です。

堕天使がピッタリなイメージなので・・・。

六大神のギルド武器を壊したのもオリジナル設定です。

ピニスンと約束したのも、約束した七人に有翼人がいたので軽く絡めてみました。

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