もし、フリーザ様が美女でその部下になれたなら幸せになれるのでは? 作:かなりあ
宜しくお願いします
始まりと終わりとサイヤ人
最後にあの漫画を読んだのは何時だろうか?
私が小学生の頃、かぶりつく様に読んでいた漫画があった。
その漫画の主人公は故郷の星からたった1人で地球に送られ、記憶まで消えて
それでも、多くの試練やたくさんの人間、魔人、神様、そしてライバル達と出会って強く逞しく、何者にも負けない、誰もが憧れる戦士へと成長する、という物語だ。
当時はよく主人公の技の真似をして遊んでいたものだ。
そして、その時私はとあるキャラがとても印象強く残っていた。
大人になってから、その漫画を思い出す事さえ無くなってきていたが何処かで私はその面影を追っていたのだ。
そんな私は今、死の瀬戸にいる。
単なる交通事故で病院に運ばれているのだ。
痛いと言う感覚はとっくに無くなっていた。
恐らく、さっきのも走馬灯と言うやつだろう。
折角の死に際だと言うのに思い出す事が出来たのはそれだけだ。
なんて、悲しい人生だったのだろうか。
父親は、大きな会社で毎日大忙し、私の事など見ておらず、確認するのは私の成績だけ。
母親でさえ、私を愛してはいなかった。そこにいるから、産んでしまったから、父に捨てられたくないから。それだけで私を育てていたに過ぎない。
周りにいた人間も皆、私という役職に興味があるだけで、私自身を見てくれるものなどただの1人さえいなかった。
もし
もし、彼の様な強くて誰にも負けたく無いという心があれば、そんな人が近くに居れば、私が思い出したのはこんな思い出では無かったのだろうか?
もし、彼...の部下になれたなら
私は
幸せに
なれただろうか?
「その願い、叶えてしんぜよう」
「爆音、爆音、悲鳴、そして爆音
戦いと言うのは何故これ程までに騒音を撒き散らすのでしょう?」
ふと、口から出てしまった言葉に周りの者は固まっている。
「それは、これが我々の美しさを際立ててくれるものだからではないでしょうか?これ程音は貴女様でないと出す事は出来ません。」
部下の1人がそう返答してきた。
別に、答えが欲しかったのではない。
唯、興味すら湧かないこの雑務の苦痛を誤魔化す為に聞いただけだ。
「そうですか。それではザーボンさん。貴方も参加してこの音を更に美しくして来てください。」
「は、了解致しました。」
こんな簡単な仕事でも、彼は文句を言わずにこなしに行く。
これがドドリアさんなら、散々悪態をついた後に暴れに行くのでしょう。
.....
「はぁ...早く終わらないものですかね....」
お父様からの命令で私は部下を連れ、惑星ベジータを破壊しに来た。
こんな雑魚しか居ない惑星、放っておいても問題ないと進言したにも関わらず
お父様は私と言う最高戦力を差し向けたのだ。
きっと、お父様は誰にも言わないでしょうが、恐らく怖いのだろう。
何時か、遠くない未来に、お父様が倒す者が現れるのが。
「スーパーサイヤ人なんて、夢物語信じられるなんて、お父様も軟弱になったものだ」
遠い昔に現れ、幾つもの惑星を支配したと言うスーパーサイヤ人。
だが、私が考えるにそんなものはただの妄想だ。
私達に支配されている屈辱を少しでも緩和するため、何時か復讐をするため時の為、そんな物語を作っておけば多少は楽になる。
所詮、その為に生み出された空想の産物だ。
「うおぁぉぉぉぉぉぉぉぁぁぉ!!!」
「?」
馬鹿な事を考えている内に、戦況が少し変わっていたようだった。
雑魚のサイヤ人の中に、ここまで来れる者が居たとは、驚きだ。
「馬鹿が、さっさと逃げれば良いものを、まぁ、逃がしはしませんがね。ザーボンさんやってしまいなさ...そう言えば、さっき行ってしまいましたね。」
なんて、面倒な事になったのだろう。
周りを見ればあのサイヤ人に勝てそうな部下が1人もいないではないですか。
少し、戦局を早めすぎましたね...
「うぉぉぉぉ!はぁ、はぁ、俺は来たぞぉぉぉぉ!」
「....うるさい猿め」
今からザーボンさんを呼び戻すぐらいなら、私がやった方が速いですね...
「フリーザァァァァァァアァア!貴様はここで!俺が殺す!」
「消えろ」
「なっ、」
さっさと殺せるように、私の最大の技を放ってしまった。
少し威力が出過ぎな気もしますが...このイラつきのせいですかね....
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!.....」
「うっとしい猿が消えてようやく静かになりましたか」
それにしても、最後に反撃が来ると思いましたが...気の所為でしょうか死んだと言うより、消えたの方がしっくりくるのは...
少し考えていたが、すぐに駆けつけたザーボンさんが「フリーザ様ぁぁぁぁぁ!お召し物に汚れはついていませんでしょうか!?大事なお顔に泥などは!?」と、うるさかったため、尻尾で叩きつけた。そして、どうでもいいでしょう、と言う結論に至った。
そして、この日一つの惑星が消滅した
惑星ベジータか消え去った数日後、その王子であるベジータが私の元へ飛び込んできた
「フリーザァ!惑星ベジータが消滅したって言うのはどういう事だ!」
「おやおや、ベジータさん。知りたくなる気持ちも分かりますがまずは落ち着きなさい。」
彼が生きていたのは承知の上だ。というよりも、私が辺境の惑星の制圧を命令したのですが。
その上で、私はこう説明するのだ。
惑星ベジータは「小惑星群の激突により破壊されたのです」と
生き残りはその辺境の惑星に居た、ベジータ、ナッパ、ラディッツ
その事が余程きいたのでしょう。ベジータは飛び込んできた時の覇気は既に無く、よろよろとした足で帰っていった。
しかし、ベジータにはこのままで居てもらっては困る。なにせ、わざわざ生き残らせたのだ。サイヤ人の中でもエリートのベジータならば少しは使える兵士になるだろう。
そう、どう足掻いても敵わない、この私を倒す為に、必ず彼は成長する。
もし、厄介な奴になりそうなら消してやればいい。それまでは精々働いてもらうとしましょう。
「けっ!こんな事するよりも俺は早く大暴れしたいぜ!」
「ドドリア、口を慎め。フリーザ様の前だぞ。それに美しくない。」
「なんだと!てめぇーの美しさなんざ俺のバワーに比べればこれっぽっちもねぇぜ!」
「聞き捨てならないな」
「2人とも止めないか!この私がどちらも倒してやろうか!」
「「あぁん!なんだって(ですって)!」」
「貴方達、毎回同じことを繰り返して飽きないのですか?」
また、あれから少したった後
我がフリーザ軍の会議の日が来た
会議と言っても、ほとんどは顔を合わせるだけで喧嘩を始めるので殆ど進まないのですが
「そう言えば、ギニューさん。特戦隊のメンバーは全員集まりましたか?」
「は、後もう1人という所まで集まっております。しかし、最後の1人がなかなか決まらず」
「そうなのですか?」
「はい、ファイティングポーズを決めるのに丁度いい体格の者が居らずっ!」
馬鹿ですねぇ
「あほくせぇ、そんな事より戦闘力で決めらぁいいじゃねぇか」
「そんな事とはなんだ!私は自分の美学に反する事はせん!」
「ファイティングポーズとやらはどうでもいいが、それはいい心がけだな」
「ザーボン..」
「私は入らんぞ」
そんなこんなでまた話がズレ、面倒になりかけたその時、1人の兵士がドアを叩いた
「会議中失礼致します!フリーザ様にご報告が!」
「はい?何でしょう?」
そしてその報告は
「先ほど、幼いサイヤ人を乗せたポッドが発着場に着いたということです!」
「幼いサイヤ人を」
「載せた」
「ポッドが」
「発着場に?」
これからフリーザ軍を...いえ、この私を大きく変えることになる始まりだったのです。