「な、何だよ。アレ。アレも
「た、多分だけど。そうじゃないかな?」
「見た事の無い神器ね。是非とも眷属にしたいわ」
「召喚系の神器ですか、でも、召喚の仕方が個人的に嫌ですね」
「そうね、私も嫌よ。それにしても……心ちゃんにこんな力があったなんて……でも、何故かしら?私はこれを子供の時に見た記憶が……っ⁉︎」
突如、頭を抑えてふらつく姫島。
「大丈夫?朱乃」
「え、えぇ。平気よ、少し頭が痛いだけだから」
「へ!何だい!そんな力、所詮虚仮威しさ!」
はぐれ悪魔は宇佐美に突撃をしようとして気付く、宇佐美が頭を抑えて何かに耐えているのに。
「あぁぁぁぁぁ!!!!がぁぁぁぁぁ!!!」
宇佐美の叫びと同時に、オルフェウスの内部から黒いナニかが這い出て来る。
オルフェウスの内部から出て来たのは死神。黒の軍服に白の手袋。顔は何かの生物の骨。腰には軍刀らしき刀。そして背後に浮かぶ、鎖で繋がれた複数の棺桶。その、死神は濃密な死の気配を撒き散らしながらはぐれ悪魔に意識を向ける。
「ヒッ⁉︎」
それが、はぐれ悪魔の最後の言葉だった。
オルフェウスから出て来た死神は、はぐれ悪魔の顔を鷲掴みし、地面に叩きつける。何度も、何度も、何度も。漸く叩きつけるのをやめた時には元の顔が分からない程、ぐちゃぐちゃになっていた。
死神ははぐれ悪魔の口だった部分に両手を突っ込み、力を入れ始める。
肉の裂ける音、裂けた肉の落ちる音、血が噴き出す音。最後に大きく物の落ちる音が響く。
そこには有ったのは無理矢理縦に裂かれたはぐれ悪魔の成れの果てだった。
敵が居ないのを確認する様に叫び、気付いたら再びオルフェウスに戻っていた。
宇佐美は地面に倒れ、気絶していた。
「心!」
「心ちゃん!大丈夫⁉︎」
また、夢を見ている。今度は彼等の物語では無く、犯罪者のレッテルを貼られた青年が仲間達と怪盗として世直しする物語だ。僕も怪盗団の様に戦えるだろうか?やって見ないと分からないかな?あぁ、誰かに呼ばれてる。目を覚まさなきゃ。
「うぅ、眩しい」
「目を覚ましましたか?心ちゃん」
夢から覚めて目を開けると僕を膝枕しながら頭を撫ででくる姫島先輩が居た。
「何で膝枕してるんですか?」
「あら、嫌でした?」
「嫌とは言って無いです。ただ、疑問に思っただけですので」
「私がしたかったからですわ」
「そうですか。姫島先輩、僕は何時間程寝ていましたか?」
「一日半程ですわ。もう少ししたらリアス達も戻って来るから、その時に昨日の事を聞かせてちょうだいね?心ちゃん」
「出来る限りは、説明します」
姫島先輩は頷いてくれた。今の内にペルソナに付いて改めて考えてみよう。ペルソナ。それは心の力。死を体験する事でも、自分自身の影を認めてあげる事でも、世の中に対して叛逆の意志を示す事でも発現する力。ペルソナは基本的に一体しか召喚出来ない、だけど彼等や僕みたいに稀にワイルドの力を持つペルソナ使いが現れる。ワイルドのペルソナ使いは全員、何かしらの使命や役割を果たしている。僕にも何か使命や役割があるのかな?まだ分からない。これから探して行こう。自らの役割を。
「朱乃?彼は起きたかしら?」
「先程起きましたよ。今は私の膝の上で横になってますわ」
「あら?朱乃にしては珍しいじゃない。男の子を膝の上に乗せるなんて」
扉から入って来たのはリアス・グレモリーさんと木場悠斗と塔城小猫ちゃん。そして、
「宇佐美心くん、シンと呼ばせて貰っても良いかしら?」
「はい、そこの変態以外は良いですよ」
「何で俺はダメなんだよ!」
「警察に通報するよ?変態」
「まぁまぁ、宇佐美くん落ち着いて落ち着いて」
「自業自得ですね」
「落ち着きなさい!さて、シン。貴方の力は神器なの?」
「いいえ、神器ではありません」
「なら、どんな力なの?」
「この力はペルソナと言います。ペルソナは心の力。発現する方法は死を体験する事。自分の影を認める事。叛逆の意志を掲げる事で発現します。今回は死を体験する方法で発現させました」
「そう……ペルソナは私達でも発現するかしら?」
「分かりません。先程も言いましたがペルソナは心の力。予測出来ません」
「そう……ねぇシン?貴方、私の眷属にならない?」