「部長、本当にこんな所にはぐれ悪魔がいるんですか?」
「えぇ、大公からの依頼が間違ってなければだけどね」
「大丈夫だよ、兵藤くん。僕の使い魔で先に確認しといたから」
「流石、祐斗先輩です。何処かの変態とは大違いです」
「あらあら、小猫ちゃん。余りいじめてはいけませんよ?」
日の暮れた時間帯。工場跡地にて、リアス・グレモリー眷属がはぐれ悪魔を狩るために集まっていた。悪魔、この世界には悪魔、堕天使、天使、龍、神といった神話上の存在が確かに存在する。此処にいるリアス・グレモリーは
「さて、皆。気を引き締めて。此処にはぐれ悪魔がいるわ」
「は、はい!」
「落ち着いて兵藤くん。今回、君はまだ、戦わないんだから」
「そうよイッセー。貴方は私達の戦いを見学するのが今回の任務なんだから」
「わ、分かりました」
一誠が深呼吸をしている間、小猫は鼻を効かせていた。
「………ッ⁉︎部長、中に悪魔以外の匂いがあります。これは……宇佐美先輩?」
「ッ⁉︎小猫、それは本当?」
「は、はい。私が宇佐美先輩の匂いを間違える筈がありません」
「小猫ちゃん、この際何で心ちゃんと知り合ったかは問い質さないとして、本当に心ちゃんなの?」
「絶対です」
「リアス、直ぐに行きましょう。心ちゃんを助けに」
オカルト研究部のメンバー達は工場跡地に向け走り、入り口を蹴り飛ばし侵入。入り口からさらなる奥へ進み、広い空間に出る。そこで見たのは下半身が鰐の様な物になっている上半身裸の女性と自らの側頭部に銃口を当てている宇佐美の姿だった。
時は遡りオカルト研究部の面々が先程の場面を目撃する少し前。
う、うぅ。せ、背中が痛い。猛烈に痛い。何が起こったんだっけ?確か…………そうだ、桐生さんの話を信じて工場跡地に来たんだった。そこで何かを見て、いっ⁉︎これ、骨折れてるね。
「へぇ、まだ生きてたのかい?人間の癖に随分と頑丈だねぇ。ま、その方が食べ応えがあるってもんだよ」
「化け物?」
「違うね、アタシは悪魔だよ。ただし、はぐれだけどねぇ」
「悪魔、悪魔ね」
顔を起こし、声のする方に目を向けるとそこにいたのは化け物、いや、彼女の言葉道理ならはぐれ悪魔がいた。
「さて、もう少し楽しみたかったんだけどね。派手に暴れ過ぎたみたいだよ。後、10分後位に討伐隊が来る筈だから、その前にアンタを食べてズラかるとしますか」
「食べる?」
食べられる?僕が?この悪魔に?嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!まだ死にたくない。僕は
僕はその声を聞き、冷静になる。そして、先程までの痛みが嘘の様に立ち上がり、側頭部に召喚器の銃口を押し当てる。多分、今の僕の表情は嗤っている。不敵に、そして狂った様に嗤っている。大きな音が聞こえたので多分誰かがこの場所に入って来たみたい。それでも止まらない。僕はそのまま、あの、彼等が呟くある言葉を紡ぐ。
ーーーーーぺ
辞めろ!心!
一誠の声が聞こえる。
ーーーーール
止まりなさい!心!
グレモリー先輩の声が聞こえる。
ーーーーーソ
早まるな!宇佐美くん!
木場くんの声が聞こえる。
ーーーーーナ!
辞めて下さい宇佐美先輩!
小猫ちゃんの声が聞こえる。
最後の掛け声と共に引き金を引く。
辞めて、私を置いてかないで、心ちゃん!
姫島先輩の声が聞こえる。
甲高い音が鳴り響き、僕の周りに青いガラスの破片が舞い散る。そのガラス破片は徐々に舞い上がり、人の形を模る。