そして、ついにやって来ました夏休み。
やっぱり家にいるのが一番。エアコン涼しい。
「お兄ちゃん、そんなダラダラしてないで運動してきたらー?」
「小町よ、そんなダラダラしながら言っても説得力ないぞ」
「えへへ〜」
「…ん?メール…」
どうせメーラーダイモンさんだな。うん。俺なんかこの人にメール送られまくってもう親友になっちゃったまである。
「…」
メーラーダイモンからのメールが鳴り止まない。
こんなの初めてだな。
「…電話?」
もしかしてメーラーダイモンさんじゃなかったのか。それは悪い事をした。誰だ?
「…もしもし」
「あ!やっと出た!」
「…渡辺か?」
「うんっ!比企谷くんヨーソロー!」
「…おう」
「ノリが悪いぞー?前は敬礼してくれたのにー」
「あれは忘れろ。ただの気まぐれだ。それより、用があったんだろ?」
「そうそう!この前いってた海の話!今週の日曜とかどうかな!?」
「まぁ俺は空いてるぞ」
「じゃあお友達さんにも空いてるか聞いといて!こっちは2人ともオーケーだから!」
「了解」
「それじゃあね!ヨーソロー!」
「あいつヨーソロー言いすぎじゃね?……さて」
俺はある人物に電話する。
「…もしもし」
「比企谷くーん!お待たせ!」
「おう」
「はちくんおっす!」
「高海、その挨拶は古い」
「えー?そうかな?」
「比企谷くんのお友達は?」
「もうすぐ来るらしいぞ」
「はちまーん!」
「おう、来たな」
「八幡おはよう!」
「うっす……戸塚」
「あ、もしかして、渡辺さん、と高海さん、だよね?僕戸塚彩加って言います!よろしくね!」
「………比企谷くん」
「どうした?」
「…女の子のお友達いたの!!?」
「し、しかもすごい可愛いよ曜ちゃん…」
「何言ってんだお前ら」
「え?」
「えっと…僕、男の子、です」
「「………え??」」
「まぁ初めはわからんのは無理ない。俺もわからなかったし。戸塚は正真正銘男の娘だ」
「は、八幡?なんか字が違うよ?」
「メタ発言だぞ。戸塚」
「お、男の子…」
「嘘…」
なんか渡辺達がうなだれている。まぁ仕方ないな。戸塚は天使だし。
「そ、それじゃあ気を取り直して!着替えてこよっか!行こっ千歌ちゃん!」
「うん!はちくん、楽しみにしててね!」
「はいはい」
「…八幡って女の子の友達いたんだね」
「まぁ一応はな」
「どっちかが彼女なの?」
「なわけないだろ」
「そうなの?2人とも可愛いよねー」
「戸塚も可愛いぞ」
「そ、それは喜んでいいの…かな?」
「とりあえず俺達も着替えるか」
「くっ…」
戸塚の着替えが見られると思ったのに…なせ男子、女子、戸塚に分かれてるんだ!くそぅ!
「八幡、大丈夫?」
「あぁ…」
「はちくーん!」
「わぁ!高海さんすっごく可愛いね!」
「えへへ、ありがとう!」
「スク水か?」
「んー、一応違うけどスク水でもあるかも」
「なんだそれ…」
「あれ?渡辺さんは?」
「え?…あれ?さっき後ろにいたのに…?曜ちゃーん!」
「ち、千歌ちゃん!」
「曜ちゃん何恥ずかしがってるのー?大丈夫だよ!すっごく可愛いから!」
「ほ、ほんとに…?」
「ほんとほんと!ほら早くっ!」
「わわっ!…あ…ひ、比企谷くん」
「お、おう」
渡辺は水色のフリルのついたビキニだった。
「ね!はちくんもそう思うよね!」
「あ、あぁ…いいんじゃないか」
「よ、ヨーソロー…」
だめだこの子。顔真っ赤にしてショートしてる。
「よーし!じゃあみんなで遊ぼう!」
「曜ちゃん早いよー!」
「えへへっ!一番っ!」
「さ、さすが水泳部だね…」
「お、俺もうギブ…」
「大丈夫?休む?」
「ちょっと休んでくる…」
「はちくんそのまま帰っちゃダメだよー?」
「んなことしねぇよ…」
なるほどその手があったか。
「ちょっと休憩…」
それにしても海に来たのいつぶりだろう。いつの間にか行かなくなってたからな。
体力も落ちてるし、さすがに運動した方がいいか…
「ひーきがやくんっ」
「冷っ!?……渡辺か」
「大丈夫?熱中症とか?」
「いや、ただ体力ないだけだ…」
「運動も大事だよ?」
「あぁ…」
「よいしょっと」
「…なんで隣座るの」
「え?私も休憩しようと思って」
「…」
「……なんで離れるの?」
「いや、近い」
「…むー…」
「お、おい、近づいてくるな」
「また離れた…えいっ!」
「お、おいやめっ…ろ!」
「ほれほれ〜!」
渡辺は俺が離れたことが気に食わなかったのか、俺の腹をくすぐってくる。
「ま、まじでっ…うおっ!」
「へ?わっ!」
俺達は耐性を崩し、倒れる。
渡辺は俺に覆いかぶさるように倒れてきた。
「あ…」
「………は、早くどけ」
「っ!ご、ごごめん!」
「あぁ…」
「…」
やばい、柔らかいのがダイレクトに当たってやばかった。あんなに柔らかいのか。女子のアレは。
「曜ちゃーん!…あれ?どしたの2人とも顔赤くして」
「な、なんでもないよ?ね?」
「お、おう何でもないぞ」
「ふーん?」
そしてその後、スイカ割りやら色々と定番を楽しんだ。
「いやー楽しかったね!」
「うんっ!僕久しぶりにあんなにはしゃいだよ!」
「…ねぇねぇ比企谷くん」
「なんだ?」
「比企谷くんは楽しかった?」
「まぁ、悪くはなかったぞ」
「そっか。良かった。…そ、それでね?その…きょ、今日ね?夜にお祭りがあるんだ」
「そういやなんかあったな。チラシそこらじゅうに貼ってあったし」
「それなんだけど……良かったら一緒に行かない?」
「……まぁいいぞ」
「や、やっぱり嫌だよね……ってえぇ!?い、いいの!?」
「なにそんな驚いてるんだ」
「ひ、比企谷くんのことだから「そんなメンドクサイの行くわけないだろ」とか言うと思ったのに」
「…なら行かない」
「あー!待って待って!嘘!嘘だから!一緒に行こ!」
「…そのままいくのか?」
「え?うんとね、準備とかしたいから…また7時に集まらない?ここで」
「わかった」
「…戸塚くん戸塚くん」
「どうしたの?高海さん」
「あれ、どう思います?」
「2人ともとっても仲良しだよね!」
「おぉ、なんだか戸塚くんが眩しいよ…!」