曜日和   作:リヨ

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41話

「みんな!ニュースニュース!」

「どうしたの?千歌ちゃん」

 

静かな部室内に、千歌の大きな声が響き渡る。

 

「実はね!沼津で今度ある祭りで私たちにライブをして欲しいって!」

「ほんとっ!?」

「うんっ!」

「出演するってことか?」

「もちろん!私たちはまだ走り始めたばかりだもん!」

「……そうか。まぁ無理すんなよ」

「へへ、ありがとはちくん」

「……別に」

 

あれ、なんか恥ずかしい。

 

「……いてぇな、曜」

「誰これ構わず鼻の下伸ばしてる八幡が悪いんでしょっ」

「曜ちゃん嫉妬してる〜!」

「し、してない!」

 

曜って頑なに嫉妬してること認めようとしないよな。

まぁ毎回頬染めて怒って可愛いからいいけどよ。

 

「とにかく、ライブに向けて頑張ろう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、意気込んだは言いものの、なにか問題が発生したようだ。

 

「で、曜、今この状況の説明を頼む」

 

部室に行くと、aqoursメンバーの他に松浦、生徒会長、鞠莉姉もいた。

 

「実は果南ちゃん達もスクールアイドルに勧誘してるんだけど頑なに断られていてね」

「別に無理にやらせる必要は無いんじゃないか?」

「本当に嫌なら、ね」

「鞠莉姉?」

「ルビィちゃん達の目撃情報では、神社で踊っていたそうです」

「ほう」

「曜!いちいち言わなくていいから!」

「また赤くなってるー!」

「なってない!とにかく、私はやらないから!」

「鞠莉さんも、千歌ちゃんもなにか理由があるんじゃないかって」

 

理由ねぇ……

というかヨハネのやつはいつまであのポーズとっているのだろうか。

静止したま動かないし。出番がないからそうしてるのか。

 

「…八幡、あんた今失礼なこと考えなかった?」

「素が出てるぞヨハネ」

「はっ!……ふふふ」

 

いや、そんな謎の笑みを浮かべられても。

 

「……ダイヤさん、何か知っているんじゃありませんか?」

 

松浦が話さない以上、残りの頼りは生徒会長だけ。

そしてこの顔。梨子の質問からかなり動揺を見せている。黒だな。黒澤だけに。

 

「八幡つまらないよそれ」

「曜さん、心を読まないで」

「……ちっ!」

 

直後、生徒会長は素早く部室を出て逃げ出す。しかしそれも虚しく……

 

「ヨハネちゃん!」

「ぴぎゃぁぁぁ!」

 

ヨハネの手によってあっけなく捕まった。

というか叫び声……姉妹だなやはり。

 

 

 

 

 

 

場所は変わって生徒会長の家。事情を聞くと、鞠莉姉のことを想っての行動だったようだ。

 

鞠莉姉も話を聞いて迷わず家を飛び出していった。

 

「まぁこれはあの二人に任せるしかないな。それで、生徒会長はどうするんすか?」

「わ、わたくしですか?」

「やりたいんでしょ?スクールアイドル」

「ダイヤさん!aqoursにはダイヤさんも必要なんです!」

「……わたくしは」

「……ルビィ、あとは任せた」

「八幡さん………お姉ちゃん!」

「ルビィ……」

「私、お姉ちゃんとやりたい!一緒に踊って、歌ってみたい!」

「……わ、わたくしが入ったら練習は厳しくしますわよ?」

 

おっとそれは勘弁。スクールアイドルでもないのに付き合わされるこちらの身にもなって欲しい。

 

「八幡水ささないで」

「悲報、彼女が辛辣」

 

「お姉ちゃん……ようこそ!aqoursへ!」

 

こうして、松浦、生徒会長、鞠莉姉を加えaqoursはさらなる進化を遂げた。

 

 

 

 

 

 

そしてライブ当日。

 

「はっちまーん!どう?似合ってる?」

「似合ってる似合ってる」

「あ、比企谷くん」

「…なんすか?」

「aqoursのみんなのこと、名前で呼んでるんだよね?なら私達も名前で呼んでね?八幡」

「……まぁ分かった。果南」

「あれ、前はあんなに恥ずかしがってたのに」

「慣れた」

「八幡!私も!」

「鞠莉姉はそのままでも」

「No!お姉ちゃんはもう卒業デース!」

「……鞠莉」

「はっちまーん!」

「だぁ!抱きつくな!」

「……八幡にはお仕置きが必要だね」

「曜ちゃん怖いよ……」

 

千歌、そう思うなら止めてくれ。

 

 

「ねぇ知ってる?私たち3人の時もaqoursって名前だったんだよ?」

「そうなの?」

「誰が考えたんだ?」

「ふふっ、秘密。まぁでも、今この状況は誰かさんにまんまとはめられたから、かもね」

「鞠莉か?」

「少なくとも、私じゃないわね」

「わ、わたくしでもありませんわよ」

 

3年生組を見れば1発だった。1人だけ口元にあるホクロを触りながら動揺を見せている彼女。

 

「……可愛いとこあるんですね、生徒会長」

「なっ!?は、八幡さんわたくしではないと」

「ほらもう始まるよ!」

 

この9人のaqoursなら、きっとどこまでも行ける気がする。

 

「八幡!」

「曜?」

「aqoursは9人だけじゃないよ!ね!千歌ちゃん!」

「うんっ!はちくんも、ファンの人みんながaqoursの一員!」

「…ふっ、そうだな」

 

なんだよ。こいつら立派にスクールアイドルやってるじゃねぇか。

 

「1!」

「2!」

「3!」

「4!」

「5!」

「6!」

「7!」

「8!」

「9!」

「……10」

 

「「aqours!サンシャイン!!」

 

 

 


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