とある休日。インターホンが突然なった。注文した覚えがないぞ。
「小町ー!」
「はいはーい。おっ、来た来た!今開けます!」
まぁ小町が頼んだのなんて頭悪そうなものだろうな。
「どうぞどうぞ!上がってください!」
ん?誰かと話してるのか…?友達か何かか。
「おっにいちゃーん!愛しの彼女が来ましたよー!」
「は?何を言って…」
「……よ、ヨーソロー」
「……」
幻覚だろうか。目の前に渡辺がいる。目をこすってもいる。
頬をつねってもいるぞ。つまり夢ではないな。
あれか、そっくりさん。きっとそうだな。うん。もしくは姉妹とか。
「なに固まってんのお兄ちゃん」
「…なんでいるの?」
「それは小町が招待したからでーす!お兄ちゃん、いつまで経っても報告してくれないしさー。まぁ曜さんから聞いたから知ってたんだけどね」
「い、嫌だったかな?」
「別にそういう意味じゃない。…」
「お兄ちゃんは彼女さんが家に来るなんて初めて、というか女子を招き入れるの初めてだから緊張してるんですよ!お兄ちゃん、今のうちにエッチな本は隠しておいた方がいいよ!」
「ぶっ!?」
「…比企谷くん?」
「も、持ってない持ってないから。小町も適当言うな」
「てへぺろ☆」
ほんとに持ってないぞ。うん。…パソコンにはあるけど。
「曜さん、本はないけどパソコンにはありますから!」
「うぉい!」
なんでこの子知ってるの?俺のプライバシーはどこへ行った?
「…小町ちゃん、ちょっと比企谷くんと話したいことがあるから」
「ごゆっくり〜!」
「え、ちょ、待て渡辺。話を」
「話は比企谷くんの部屋で聞くから。ね?」
「あ、はい」
「水着の写真ばっかり…」
現在俺は彼女に自分の性癖を晒すという黒歴史まっしぐらな羞恥ぷれいにあっている。
「胸の大きいこばっかり…」
やめて!それ以上見ないで!
「…比企谷くん」
「なんでしょうか…」
「お、男の子だからそういうのに興味があるのは仕方ないと思うけど…やっぱり嫉妬するな」
「はぁ…」
「そ、その………わ、私じゃダメ?」
「……は?」
「だ、だからっ!彼女の私がいるんだから、私だけ見てってこと!」
渡辺は顔を真っ赤にしてヤケクソ気味にしゃべる。
「み、水着が見たいなら……わ、私が」
「お、落ち着け。さっきからいつものお前じゃなくなってるぞ」
「私の水着なんて見たくないよね……この写真の子たちの方が可愛いし…うぅ」
「え、待って泣くな。お願い泣かないで。消すから!ほら!写真全部消すから!」
今日の渡辺情緒不安定すぎる。
「渡辺の水着は…あ、あれだ。正直直視できないから……か、可愛すぎて」
「か、かわっ…!」
「まぁだからなんだ……とりあえず俺はお前のことが好きなことに変わりはない」
「そ、そっか…わ、私もだよ?」
「お、おう」
「…」
「…」
「お兄ちゃーん、飲み物持ってきたよー。……なにこの甘い雰囲気。小町砂糖吐きそうだよ」
「こ、小町さんきゅ。帰っていいぞ」
「イチャイチャするのはいいけど、聞こえないようにしてよー?小町隣の部屋にいるんだから」
「いきなりそんなことするか!」
「あ、あわわわ…!」
「ったく…どうする?今から」
「んー、実は何も決めずに来たんだよね」
「そりゃそうか……じゃあゲームでもするか?」
「あっ!いいね!やろ!」
「ス〇ブラでもやるか。俺は強いぞ?」
「私だって!あ!なら賭けしようよ!勝った方が相手に言うことを聞かせられる!」
「ほう…その勝負のった。後悔するなよ?」
「それはこっちのセリフだよっ!」
さて…どんなお願いをしてやろうか…
「わーい!」
結果、俺の惨敗。最初の方なんか秒殺レベル。
仕方ないじゃん!小町としかやったことないもん!
「はぁ…負けたものは仕方が無い。なにすればいいんだ?なるべく高いものとかやめてくれよ」
「うーん…………じゃ、じゃあ…き、キス、して?」
「……お前熱でもあるのか?」
「ないよ!……い、いいじゃん!恋人同士なんだし!」
「…渡辺ってムッツリだろ」
「ムッ!?ち、違うもん!比企谷くんの方がエッチなくせに!」
「男子高校生はみんなあんなもんだ。だから俺は普通」
「…い、嫌?」
「嫌というか…恥ずかしいだろ」
「ふ、2人だしいいじゃん!」
「…そんなにしたいの?」
「べ、べべ別にそんなことないもん!するの!?しないの!?」
なんで食い気味なんだよ…
「…じゃあ目つぶれ」
「う、うん……」
「…っ」
俺はゆっくり渡辺と唇を重ねる。
前の時より長い。
「……ぷはっ。…これでいいだろ…っ!?」
俺が離れると、渡辺は強引に俺の唇を奪ってきた。
「ンッ……チュッ…ンハァ…チュッ…」
「ンッ…っはぁ!ちょ、ちょっと渡辺タイム…っ!」
渡辺は俺の制止も聞かず、また唇を重ねてくる。
「ンッ…レロォ…チュッ…プハッ…はぁ…はぁ…」
「ハァッ…ハァッ…ま、待て渡辺これ以上はマジでまずい」
主に俺の理性が。もう今でも半分頭真っ白だ。
しかも舌まで入れてきたし。
「ご、ごめん……」
「…やっぱりムッツリだよな」
「ち、違うもん!……だ、だってやっと付き合えたから…欲求が爆発しかかったというか…」
「……まぁ俺も嫌じゃない、から。…こういうのはたまにな」
「…こ、今度は比企谷くんからしてよ?」
「…今度な」
今日はどうやら眠れそうもない。