クリスマスから日にちは経ち、今日は元旦。
渡辺と高海で初詣に行くことになった。
「はちくーん!」
「うっす」
「あけおめ!」
「あけましておめでとう。…渡辺も」
「あ、あけましておめでとう…比企谷くん」
「ん?どうしたの二人共。喧嘩?」
「あー…高海、実はな俺達付き合うことになった」
「…です」
「……ええっ!?ほ、ほんと!?」
「あぁ。クリスマスの日にな。2人で直接言いたかったから遅くなったが」
「わぁー!おめでとう!曜ちゃん良かったね!」
「うんっ!」
「じゃあ私お邪魔だったんじゃない?」
「いや、気にしなくていい。ほら、さっさと行こうぜ」
「よーし!いっぱいお願いするぞ!」
「いやぁ、三つもお願いごとしちゃったよー!」
「お前も欲張りだな」
「えへへー!ねぇねぇ!次はおみくじしよ!」
「俺前もその前も凶だったんだよな…」
「大丈夫だよ!曜ちゃんとの恋人パワーがあるもん!」
「なんだそれ……おっ、吉だ。前よりはいいな」
「あー!私末吉!曜ちゃんは?」
「…じゃじゃーん!大吉!」
「わぁ!すごい曜ちゃん!」
「良かったな」
「うんっ!……こ、恋人パワーのおかげ、かな?」
「……さぁな」
待って何この気持ち。恥ずかしすぎるわ渡辺は可愛すぎるわよく分からなくなってきた。
「……うわぁぁぁ!2人ともイチャイチャしないでよ!千歌もいるんだから!」
「「し、してない(してねぇ)よ!!」」
「…そうだ、比企谷くん、私もう1人伝えたい人いるんだ」
「…親とかはちょっとまだ無理だぞ?」
「あはは、違うよ」
「あ!千歌分かった!そういえばまだはちくん紹介してなかったね!」
「今ならきっと家にいるから今から行かない?」
「誰のことだ?」
俺の知らないやつなら分かるわけないか。
「かーなーんーちゃーん!」
かなん?名前からして女性だろうか。渡辺のおばさんとか?
「はーい……あ、千歌に曜。あけましておめでとう」
「おめでとうでありますっ!」
「あけおめー!」
「えっとそちらの人は…?」
「えっとね、今日はそれが目的なんだけど。比企谷八幡くん。……私の恋人です」
「…ども」
「へぇ、恋人かぁ。……恋人!?」
「あはは!果南ちゃんやっぱりビックリしてる!」
「こ、恋人…曜にそんな仲のいい男の子いたんだ」
「えへへ……やっぱり果南ちゃんも家族みたいなものだから伝えたくて。比企谷くん、この人は松浦果南ちゃん。幼馴染みなんだ」
「よろしくね。比企谷くん」
「…よろしく」
…ひとつ言わせて欲しい。……この人めちゃスタイルいい。
ボッキュッボンって感じだ。…いかんいかん。俺は煩悩を消し去ったはず…って鐘鳴らして無いわ。
それにしても…素晴らしい。
「いって!……なんだよ」
「…今果南ちゃんのことエッチな目で見てたでしょ」
「…見てない」
「比企谷くん、女の子ってそういうの結構鋭いんだよ?ね、果南ちゃん」
「んー、まぁ男の子だしそういう気持ちがあるのは仕方ないけど…見すぎはちょっと、ね」
「はちくん!曜ちゃん怒ると怖いから気をつけた方がいいよ!」
「………申し訳ありませんでした」
その後も小1時間説教を受けた。
「そういえばさ」
「どうしたの?」
「比企谷くんと曜って苗字で呼びあってるんだね?恋人同士って名前で呼びあったりするんじゃないの?」
「…よし、帰るか」
「はちくんストぉっぷ!」
「ぐえっ」
いきなり首つかむな…
「い、今まで苗字だったし…変えるの恥ずかしいな」
「曜ちゃん!そんなことないよ!ほら!私なんて名前にさらに工夫を加えてるぐらいだもん!」
「千歌はそういう性格だからね…」
こいつのノーテンキさは少し取り入れたいものだ。
「じゃあ今呼びあってみたら?」
「ナイスアイデアだよ!曜ちゃん!はちくん!」
「うっ………よ、曜」
「っ!………は、ははち…はち…ま………ううっ!やっぱり恥ずかしいよー!」
「あ、曜ちゃん!?待ってよー!」
渡辺は恥ずかしさに耐えきれなくなったのか、その場を逃げ出した。
そして取り残された俺と松浦。
「……あ、私のことも果南って呼んでいいからね?」
「あんたSだろ」
今女子を名前で呼ぶのに苦労してたのに名前呼びを要求するとか絶対S。