天邪鬼が斬る!   作:黒鉛

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たくさんの方からの評価、お気に入り登録ありがとうございます!
正直、ここまでの高評価を貰えるとは思ってもいなくて感無量で……
まだまだ鬼人正邪の革命は続いていきますのでどうか暖かい目で見てください!

それでは、本編をどうぞ


新たな帝具

 セリュー戦を終えた正邪はガス欠の為にある程度魔力が回復しきるのを待つことにした。

 

「おそらくここからは帝具使いとの戦いが激化していくだろう。あの戦いの跡を見れば誰もが帝具使いとまともに戦えるのは同じ帝具使いのみだと理解するはずだ」

 

 そうなれば、次は全員無事で帰ってこれるとは限らなくなる。

 

 ナジェンダの言葉には重みがあった。

 

「なら未だに帝具を持たないタツミたちが不利になることもあるか」

 

 タツミ、サヨは一度も実際に帝具戦を見たことがない。

 だからこそ、帝具使いの恐ろしさを完全に理解出来ていなかった。

 

「でも、俺たちだって強くなってんだ! そこらの帝具使いなら……」

 

「タツミ、俺は見てるだけだったけど、あれはそんな簡単なものじゃねえよ」

 

 唯一ザンクとの戦いを見ていたイエヤスは少しだが帝具使い同士が戦うという恐ろしさを理解していた。

 

 とはいえ、正邪は何も対策を考えていない訳ではなかった。

 

「革命軍から貰うっていうのは出来ねぇんだろ?」

 

「あぁ。本部も帝具が揃ってきているわけではないからな」

 

「なら、三人の中から一人だけ帝具を譲ってやってもいいぜ?」

 

 全員が驚愕していた。

 それは正邪が持つ帝具=打ち出の小槌という認識しかなかったからだ。

 

「……いや、小槌は渡さんぞ」

 

 そう言って懐から出したのは八卦炉だった。

 それを見て全員はホッとしていた。

 

「……文献には載っていない帝具だが、それは?」

 

「恋色魔法「マスタースパーク」ってところかな」

 

 それはかつて正邪が戦った白黒の魔法使いが愛用していた道具だった。

 それを帝具風に小槌でアレンジして創り上げたのだ。

 正邪がガス欠気味なのはこれが原因でもある。

 

「パンプキンのような精密射撃なんかは出来ないが、連射可能な弾幕に冷却時間と精神力が必要だが、マスタースパークっていう一発で雑魚を一掃できるほどの高火力を出せる帝具だ」

 

「つまり遠距離型の帝具か。確かに高火力というのは魅力的だな」

 

 マインは少しムッとしていたが、お構い無しに正邪は続ける。

 

「奥の手はマスタースパークよりも更に冷却時間と精神力を必要とする代わりに放たれる無慈悲な一撃、ファイナルスパーク。それと……いや、これは実際に見せるか」

 

 正邪は窓から外に出る。

 空を飛べる為死ぬことはないのだが、その状況に慣れてしまったことを異常だなと一同は感じた。

 

「箒貸せ。いいもん魅せてやるよ」

 

 シェーレが持っていた箒を正邪に渡す。

 正邪もかなり緊張しているようだが、深呼吸をし、箒の穂先に八卦炉が設置される。

 

「……え、それくっついてんのか?」

 

「細かい原理は知らんが棒の先端ならなんでも出来るはずだ」

 

 箒にまたがりアジトから少し離れる。

 その姿は魔女のようだった。

 

「見てろ、これがもう一つの奥の手……ブレイジングスター!!」

 

 八卦炉の力は近くの木々を吹き飛ばし、正邪を連れて帝都まで飛んでいく。

 それは流れ星のように綺麗になり、上空で光は消える。

 

 全員が青ざめた。

 そもそも帝具は一人一つと決まっている。

 おそらく小槌の力で無理をしたのだろうと考え、急いで帝都に向かおうとする。

 

 

「……とまあ、所持者が星になる極めて危険な二つ目の奥の手だ」

 

 だというのに、なんともなかったように正邪は帰ってきた。

 無事と呼ぶには髪は乱れ、吐いたあともしっかり見られたが、それでも無事だった。

 

「……頼むから、無茶はしないでくれ」

 

「ん、私ももうしない。これ私には向いてない」

 

 その後、誰がマスタースパークを使うかという話し合いになったが、タツミとイエヤスは見た目で地味と思ってしまったらしく自分たちには使えないと判断。

 だが、サヨは第一印象も好印象でブレイジングスターの綺麗さに一目惚れした。

 それに加えて……

 

「マスター……スパーク!!」

 

 必殺技であるマスタースパークもしっかりと扱えたということで恋色魔法「マスタースパーク」はサヨが所持することになった。

 

「凄く綺麗……。それなのに力強い! 名前からしてまさに理想の乙女って感じよね!!」

 

 残る帝具未所持者は二人。

 だが、二人の帝具を創る間もなく敵の脅威は近付いてきていた。


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