最強の目を持つハンター   作:kurutoSP

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彼女は激怒した。かの邪知暴虐の王を……


彼女は正義を執行する

 第四次試験の終了を知らせるアナウンスがゼビル島に響き渡ると、合格条件を満たした受験生がスタート地点へと戻ってきたのをカラは確認次第、改めて点呼をとり、

 

「以上この十名が第四次試験の合格者となりま~す」

 

 長く険しかったハンター試験も残すは最終試験のみとなったのである。

 

 

 

 

 

 第四次試験を終えて受験生たちは最終試験会場に向かうため飛行船に乗り込みくつろいでいた。

 

 その頃飛行船のある一室で、ハンター協会会長ネテロ、一次試験官サトツ、二次試験官ブハラ、メンチ、三次試験の時にいた男と秘書のマーメン・ビーンズが集まり食事をしながら、ネテロは愉快そうに笑いながら、

 

「十人中七人が新人とは、豊作豊作」

 

「こんなことって前にもあったんですか?」

 

 初めてハンター試験の試験官になったブハラが、不思議に思い質問した。

 

「うむ、たいがい傾向があっての、十年くらいルーキーが出ないと思ったら、突然湧くように若者が集まりよる。儂が会長になってこれで四度目かの」

 

 会長が答えた後、サトツは聞きたかったことを質問した。

 

「ところで、最終試験はいったい何をするんでしょう」

 

「ああ、そうそう。まだ僕らも聞いてなかったですよ」

 

「うむ、それなんじゃが。一風変わった決闘してもらうつもりじゃ」

 

「一風変わった決闘?」

 

「まず十人それぞれと話がしたい」

 

 

 

 

 通路にて、ゴン、クラピカ、レオリオの三人は集まっていた。そこではレオリオが今まで二人に助けられたことについて恥ずかしそうに感謝の言葉を伝えていた。

 

 レオリオのいわゆるデレた発言を聞き、ゴンとクラピカはお互いに顔を見合わせて、同じ気持ちであることを確認していたところ、

 

「ハンター試験の受験者の皆様にお知らせします。これより会長が面談を行います。番号を呼ばれた方からお部屋にお越しください。では、受験番号44番ヒソカ様から」

 

 ゴンはヒソカという単語に反応し顔が固くなった。それを見たクラピカは彼がヒソカの番号札を第四次試験で所持していたのを思い出し、さらにその試験の際、彼の様子が合流してから一時おかしかったのを思い出し、彼の横顔をじっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 呼び出されたヒソカは部屋に向かい、何の躊躇もなく入った。そこにはネテロ会長が一人座り書類を眺めていた。

 

「まあ、座りなされ」

 

 ヒソカは座らずに疑問を投げかけた。

 

「まさか、これが最終試験?」

 

「全く関係ないとは言わんが、参考にするためにちょいと質問する程度のモノだよ」

 

 それを聞き、部屋に入ったときから開いてた瞳孔とは別に、その口が嬉しそうに一瞬ゆがむと元に戻り、ネテロ会長の前に机を挟んで片膝たてて座った。

 

「まず、なぜハンターになりたいのかな?」

 

「別になりたくもないけど♦」

 

「ほう?」

 

 ヒソカの正直な問いに、ネテロは顔を上げて、その顔を見た。

 

「資格があるととても便利だから♣」

 

「ほう、例えば」

 

「例えば、人を殺しても免責になる場合が多いし♠」

 

「成程。では次の質問じゃ」

 

 ヒソカの衝撃的なハンターライセンスの使用例にも動じず、そのままネテロは次の質問に移った。

 

「お主以外の九人の中で今一番注目しているのは?」

 

 その質問を受けヒソカは、その顔に笑みを浮かべ

 

「402番」

 

「ほぅ」

 

「99番と405番も捨てがたいけど、一番は彼女かな、いつか手合わせ願いたいね♥、フッ、フㇷㇷ♦」

 

 ヒソカはとても楽しそうに笑った。そんなヒソカにやはりネテロは動じず、

 

「では最後の質問じゃ。九人の中で今一番戦いたくないのは?」

 

「それは、405番だね♦99番もそうだけど♣」

 

「ああ」

 

「今はまだ戦いたくない、という意味では405番が一番かも♠」

 

「なるほどのぉ」

 

 そこまで言うと、ヒソカは今まで漏れででいた殺気を隠さずにだし、ネテロ会長にぶつけて、

 

「ちなみに、今一番戦ってみたいのは、あんたなんだけどね♠」

 

「ふむ、ご苦労じゃった、下がってよいぞ」

 

 ネテロはそんな一般人が死を幻視してぶったおれ、命の危険すらありうる殺気をものともせず、質問の内容を記入するためか下を向き、紙に筆を走らせ発言した。

 

 その後、部屋からでたヒソカは、彼にしては珍しく苦いといった感情を微かに表情に出し、食えない爺さんだと内心思いつつ、足を止め部屋を振り返りつつ、

 

『あまりに隙だらけ過ぎて毒気を抜かれちゃったよ♦』

 

 今度は笑みを浮かべ、去っていった。

 

 

 

 

 

 そこから、会長は同じような質問をしながら彼らのことを紙に記入していったが、402番のところで、

 

「なぜ、ハンターになりたいのかね?」

 

「証明するため、死ねクソ爺」

 

「ふむ、何を証明するためか聞いてもよいかの」

 

「私を…だ。変態爺」

 

「では、この九人の中で一番注目してるのは」

 

「いるわけないでしょ。でも、44番と301番の二人はかならず殺す。というか爺、いい加減にしろよ、本当に殺すわよ」

 

「では、一番戦いたくないのは」

 

「294番のハゲ。イラついて戦闘になれば確実に殺しちゃうからね。というか、あんた切ってもいい、いいんだよねぇ」

 

「ふーむ。なるほどのうう。最後なんじゃが」

 

「何、斬りたくなるから早くして」

 

「スリーサイズは」

 

 彼女の頭から何かが切れる音がした。

 

 そもそも、なぜネテロがこのようなことをしたかというと。彼女が上はサラシのみで、下は何かの布をスカートの様にして腰に巻いただけという扇情的な恰好であり、そして厚手の布であった軍服とサラシのおかげで隠れていた彼女の身長の割にある胸とキュッとしまったくびれ、形の良い尻、引き締まった足が曝け出されていたのだ。なぜその恰好なのかは、第四次試験で汚れた服を洗濯し、その間下着姿はさすがにまずいと思い適当にそこらにあった布を腰に巻き付けて、乾燥機に入れ、乾燥の終了を待ってる間に呼ばれたためであり、同時にネテロの隠すことのない視線にイラついていたのだ。

 

 そのため、ネテロの言葉を途中で遮るように、左側に置いていたサーベルを握り、瞬時に抜刀した。

 

「死ね。エロ爺」

 

「なんの」

 

 しかし彼女の斬撃はネテロに掠りもせず机を真っ二つにしただけであった。彼女がサーベルを握ると同時にネテロは膝立ちになり、そのまま体を半歩後ろにずらして彼女の間合いから逃れたのである。

 

「眼福眼福、やりおるのう」

 

「………」

 

「うひょっ」

 

 彼女は無言でサーベルをフェイントを交えながら数度振り、さらに座布団を同時に彼の顔に蹴り投げ、視界を封じつつ殆ど予備動作なく、サーベルを投げた。

 

 しかし、さすがと言えばよいのか。ネテロはその斬撃の全てを手の平に硬をすることにより弾き、受け流し、最後の一撃も、真剣白刃取りをして見せるなど茶目っ気を見せつつも、ふせぎぎった。

 

『クソ、変態爺とはいえ、さすがは人類最強ということか、しかしその称号を名乗っていいのはこの私のみ。ふざけんなよクソ爺。ここでやって、ヤッテ、殺りまくれば証明できる。…眼帯を外すか』

 

 彼女の思考が危険な領域に踏み込み、躊躇が無くなろうとしていた時、

 

「お主、これ以上すると失格になるぞ。儂は楽しいし目の保養になるからええが、お主は大丈夫かの」

 

「………」

 

 ネテロの言葉にギリギリ残っていた彼女の理性が反応し、ここまで来て落ちるのは馬鹿らしく、最強の自分がハンター試験ごときに落ちることを予想し、さっき以上に怒りの感情が沸いたため、彼女はギリギリ眼帯を外すのは踏みとどまった。

 

「死ね、エロ爺」

 

 それだけ言うと、彼女は部屋から出てった。

 

「あの若さで、あれほどの剣術と体術、それに念の練度、末恐ろしいの。じゃが」

 

 ネテロ会長は彼女の戦闘能力に戦慄を覚えながらも顔を締め、

 

「素晴らしい、体じゃったのう。うむ、眼福眼福」

 

「眼福じゃないですよ会長。どうするんですか、これ」

 

 ビーンズが隣の部屋から騒ぎを聞きつけやってきて会長がやらかしたことを、部屋を見て瞬時に理解して、何時ものように自由すぎる彼に小言を挟むのであった。

 

 

 

 

 余談だが、結局時間も代わりの部屋もなく、残りも3人なので、そのまま続行となり、クラピカとレオリオは部屋に入るなりその惨状を見てこれから何が起こるのか分からず、ネテロから質問されるまでの間、無意味な緊張を強いられることとなった。ちなみに、ゴンはさすがは主人公と言えばいいのか、気にせず面談をし、ネテロの中で地味に評価をさらに上げていた。

 

 




次の試験内容を入れると長くなるのでここでいったん区切らせてもらいました。

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