最強の目を持つハンター   作:kurutoSP

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破れかぶれとはこのことか 
前半は説明です。


彼女は愛を知り、敗北を知る

 彼女は愛していた。ひたすらキング・ブラッドレイをただひたすら愛していた。

 

 彼女は生まれた直後己が体を乗っ取ろうとする魂の存在に気づきそれに抗い勝利した。この時、普通なら自我のはっきりとしてない少女の、いや幼女の存在では他の魂との争いに勝てる程のものではないため大抵は、と言うよりも0歳児なら確実に転生者の魂の存在の方が強いため、乗っ取れるはずだが、勝者は彼女であった。 

 

 ……このことは彼女の魂の存在が幼女ながら大きかったことをただ単純に褒めるべきなのか、それとも幼女に負ける彼の魂の脆弱性もしくは小ささにあきれるのが良いのか定かでない。ここで重要なのは彼女が勝利したのだが、同時に彼の魂を己が身にその存在の記憶とともに乗っ取ろうとしたことだ。もちろん、幼女でありながらそんなことをすれば普通は脳に多大な影響が出てまともな人間にはならないだろう。(すでに少女といえるまで成長した彼女の性格の異常性のことをここでは言っているわけではないと注釈をつけておく。)しかし彼女はその取り込みにほぼ完全に成功したといっても過言ではない。

 

 普通なら下手すると死んでしまうのだが、彼女はその人間が最も輝いていた物を取り込もうとしたのだ。ここで注意したいのがこの男はそれこそ前世では一流の魔法使いになるくらいに鋼の錬金術師の世界にはまっており、その中でもキング・ブラッドレイには感動を覚え、学校では意味もなく眼帯をしたり、彼に憧れ剣道部に入ったはいいものの二刀流や五刀流(笑)を目指し明らかに痛い人そのものと言ったしょうもなくも灰色な青春を送り、休日はひたすらかの軍服を着用し、家の扉の前では必ず「自分の城に入るのに裏口から入らねばならない理由があるのかね(ドヤ)」と言い、中学高校の卒業式では「用意されたレールの上の一生ではあったがお前たち人間のおかげで まぁ、多少やり応えのある良い人生であったよ…(ドヤ)」と言い、成績トップ顔もイケメンと言えるのにその奇行によりその中学校の新入生代表のあいさつ以来一度も重要な行事には立つことはなかった。ハイスペックの無駄遣いとはここに極まれりだろう。

 

 しかし、そんな彼だからこそ彼の一生はその物まねに費やされ、魂が薄っぺらくなったのだろう。(余談ではあるが、大学ではさすがに浮いていることに気づき言動と格好ともに気を付けるようになったが相変わらず自身の部屋の前では「自分の城に入るのに裏口から入らねばならない理由があるのかね(ドヤ)」をやり続け、社会人になり部下を持つと「敵に情けをかけるな、だからお前は出世できんのだ」と言い、上司・部下ともにとてもウザがられた。)

 

 だから彼女はその彼の輝けるものを手に入れようとした、しかしやはり彼女がそれを受け入れるにはまだ幼く、そして純粋で無垢すぎたのだろう。だから彼女はその薄っぺらくもその何十年にも及ぶ彼の一部とはいえ受け取ることができず、ただその中の純粋な気持ちを介して圧縮してうけいれたのだ。

 

 つまり、それはかの存在への愛という形でうけいれてしまったのだ。そこからははやかった、彼女はこの世界でかの存在と同じ存在となり、その生きざまを世界に残そうとしたのである。

 

 最初に彼女がしたのは怒りを覚え『ラース(憤怒)』を身に付けることにしたのである。……とってもクレイジーな幼女である。そして彼女はただひたすら身の回りの現象に怒りを向けた。

 

 しかしここで終わっていれば性格のおかしい子なだけだが、彼女は幸か不幸かこの世界がHUNTER×HUNTERの世界だと新聞に載るネテロ会長やハンター協会の文字をみて知ってしまったのだ。

 

 ここで一つ、彼女は生まれながらにして特質系と強化系の能力者であり、後者が彼女のそもそもの性質であるが問題は後者にあり、彼女は魂を二つ持ち偶然にもキング・ブラッドレイと同じように(その質の違いは置いとくとして)魂の戦いを経験している。そしていくら一つの思いの元、圧縮されたとはいえ膨大な量の記憶であり、普通は不可能なことだが、彼女は先天的な念の発現により解決したのだ。それは名前を付けるとすると『魂の書架(ソウルライブラリー)』とでも呼ぶものであり、彼の愛の産物もとい黒歴史とも言えるものだろう、しかしこれにより彼女はかれの記憶を一部とはいえ継承でき、さらに副産物として完全記憶能力と言えるものをかくとくした。

 

 ここで言いたいのはつまりは彼女にその夢を叶える機会ができてしまったことだろう。つまり、念の習得が漫画知識とは言え獲得してしまったのである。

 

 痛車からブレーキのないアクセルしかない車へと彼女はグレードアップしてしまったのだ。なんとはた迷惑なことであろう。

 

 ここから彼女がしたのは愛に裏打ちされた、そして自身に対する不甲斐無さへの怒りによる修行へと身を投じるのである。この時齢5歳のいまだ幼女な彼女である。

 

 

 

 

「私の愛は世界を変える、私の怒りはだれにも止められぬ、神はいない、だから人間である私の愛を受け入れぬ彼らには私が裁きを下す、その権利が私にはある。そのためにも私は剣を振り、全てをこの目におさえる。この私の愛のために」

 

 

 

 

 

 彼女は剣を振り、念の修行をした。彼女は一つのことを絶対に忘れない、ゆえに彼女は次の日には昨日の彼女を置き去りにするペースで成長し、狂気的考えのもとその自身の信じる思いを確固たるものにして強化系能力として最強の目を獲得したのである。その時、齢10歳の少女な彼女であった。

 

 ここから彼女は天空闘技場に赴き更なる改良を加え、心技体を揃えた最凶の愛もしくわ理不尽な怒りの体現者としての自身を確立させたのである。

 

 そして、今の彼女に至るわけである。

 

 

 

 

原作通りに1次試験の試験官サトツが現れ、地下空間のマラソンが開始されたその時、

 

「どうせこの一次、二次、三次試験は数減らしだし、ここで数を減らしたら試験官も楽だし、私も怒りを感じる要因を排除できるし、彼らは私の愛を感じとれるのだし、これは一石三鳥の名案じゃないかしら。」

 

 そもそもこの試験は数減らし以外にも、様々な適正を確かめる意味を持つ試験である。これは彼女の念である『魂の書架(ソウルライブラリー)』で分かることであるのだが、……………彼女がバカなのは前世の彼の影響ではない、信じたくはないが彼は言動こそあれであったがそれでも社会で生き抜いていけるだけの頭脳はもっていた。つまり、彼女は純粋無垢であるのだ。……10代の後半になってもまだ。彼女は天才的頭脳を持っていても純粋な強化系の脳筋なのだ。

 

 

 

 

 キルアとゴンが友達となった後、前を走っていた女性が見えた。その時、ゴンはトンパとの会話を思い出しどんな人間なのか確かめたくなっていた。

 

「ねえ、お姉さん、どうしてこの試験を受けに来たの?」

 

「え!(何でこの子は私のことを認識できるのだろか、まさか主人公だから私の絶に野生の感で気づけたというの、なんてチートスペック、念も習得してないのにここまでできるとは、理不尽な、ふざけんなよ、畜生が)」

 

 ………もしこの時彼女の絶が完璧ならいかにゴンといえようとも気づけなかったはずだが、彼女の怪しい考えとともに邪念を盛大に振りまいていたのである。……バカである。つまりは、不完全な絶の状態であったのだ。

 

 しかし、そんな怪しい奴に声をかけるゴンはまさしく主人公であろう。彼のおかげで結果としてはたくさんの命を救う結果になったのだから。

 

「おい、ゴン何話してんだ、さっさと前行こうぜ。(何やってんだあのバカ、どうみてもヒソカと同類じゃねか、というかさっきから冷や汗が止まんねし。)競争の途中だろ、先行くぞ」

 

 キルアに先をせかされたゴンは、慌ててキルアの後を追いかけていく前に、

 

「後できかせてね、じゃあ先行くね、またね」

 

 走りゆく彼の後ろ姿をみた彼女は先ほどまで考えていた名案のことを忘れただひたすら、主人公のスペックとコミュニケーション力に嫉妬していた。…当たり前のことであるが彼女に友、もしくは仲間はいないのである。そして、

 

「私は最強の目をもつ女、友達なんて必要ない」

 

 勇ましく言う彼女の右目からは暗闇の中では見えにくいが確かに光るものが流れその頬に存在した。それは前世の影響か、それとも主人公の眩さに自身が怒りを感じる暇もないほどに敗北と、言いようのない惨めさを口に出したせいで漏れ出したかのか、それは本人しか分からないが、ただ一つ、惨めになるくらいなら言わなければいいのに、やはり彼女はバカである。




書いたと思ってもたった3000字、小説って書くの大変です。

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