最強の目を持つハンター   作:kurutoSP

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彼女は天空闘技場で神になる

「ねえヒソカ」

 

「何だい?君から僕に話しかけるなんて♠」

 

「私は私のためにあなたを利用したんだけど」

 

「そうだね♦」

 

 セリムは幻影旅団の仲間入りをした後ヒソカと共に近くにホテルを取って休憩していた。

 

 もちろんヒソカとは別室をとっている。

 

 だが、いま彼女は嫌いなヒソカと何故か同室におり、ヒソカは裸だった。

 

「今無性にあなたの利用価値について再度検討しているところなんだけど、どうかしらね」

 

 彼女の視線はヒソカの立派な息子に向かっており、彼女の目は腐りきった魚の目のようであり、その手には抜身のサーベルが握られている。

 

「立派だと僕は思うんだけどね♥やっぱ男の価値は大きさだよ♣」

 

 ヒソカはそんな縮み上がりそうな殺気の中、平然と弱点を彼女に晒し、濡れた髪をタオルで拭く。

 

 彼女は風呂上りのヒソカの隅々を見ながらもやはり最後にはある一点に視線が集中する。

 

「ちっ!確かにデカいな、けっ」

 

 そして彼女は自分の下半身を何となく見て、魂に染み付く男の記憶思い出す。

 

「そういう奴が何時の世の中もリア充ぶるんだ!やっぱ価値なし」

 

「……君に何があったかは知らないけど、流石にここは斬らないで欲しいかな♥やってみるととっても気持ちいから皆虜になるんだけど、やってみる?僕は大歓迎だけど♦」

 

 ヒソカは体を拭き終わったのに服を着ずにそのまま彼女に近づいていく。

 

 彼女は堂々と揺れるナニをみてキレる。

 

「一遍死んでコイやぁぁぁぁぁぁぁああ!」

 

 この日、ヒソカの貯金はごっそりと減った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く酷いなぁ♣」

 

「何が」

 

 ヒソカと彼女はホテルから追い出され外をぶらぶらしていた。

 

「君が壊したんだからお代は君が持ってくれてもよかったんじゃない♠」

 

 そう、彼は昨日の夜彼女と男のナニを掛けた大切な戦いをしたわけだが、彼と彼女がホテルの一室なんかで戦えば当然何もかもが壊れるわけで、彼等がハンターでなければ警察にお世話になっていたところだった。

 

 ハンターだったから警察のお世話にはならなかったが、ホテルの弁償はしなければならない。

 

 普通なら喧嘩両成敗と言う訳で折半するのだが、今回は殆ど彼女によって壊されていた。なので彼女がするべきなのだが、彼女はサッサととんずらをして逃げてしまったのだ。

 

 結局その場に残ったヒソカが彼女のホテル代も込みで修繕費を払うことになったのだから彼が文句を言うのも仕方ないどころか聞くくらいはしても罰は当たらないと思われることなのだが、それに対して彼女は舌打ちをする。

 

「ヤダよ。そもそもあなたが私の部屋で風呂を使わなかったらよかったじゃない」

 

「それは君がそもそも僕を部屋に呼んどいて長時間放置したせいだよ♥」

 

「女にはいろいろ準備が必要なのよ」

 

「オンナねぇ♦」

 

「何、文句でも」

 

 ヒソカはハンター試験の出来事を思い出しつつも彼女に意味ありげな視線を送るが帰ってきたのはサーベルのきらめきだったため、肩を竦めつつも避け、この話題をこれ以上突っ込むのはやめにする。

 

「いや、何も文句なんてないさ♣」

 

「じゃあいちいち突っ込むんじゃない。男のくせにみみっちい奴だ」

 

「酷い言われようだ♠代金を持った僕に少しくらい感謝してもいいんじゃない♥」

 

「代金は昨日の戦闘でいいでしょ。私とあれだけ闘いたがっていたんだから満足でしょ。満足したと言いなさい」

 

 彼女から仕掛けてきたのに余りの言い草だったが、ヒソカももともと昨日の件はそこまで気にしておらず、彼女から何かしらの譲歩が引き出せたらラッキー程度で言っていたので、彼女の無茶苦茶な理論にも、確かに昨日の戦いは楽しかったと思いあっさりと引き下がる。

 

「まあ、確かに満足したからいいけどね♠」

 

「ふん!それよりもこれからどうする?あんたのせいでここら一帯のホテルに泊まれそうにないんだけど」

 

 彼女は全ての責任をあっさりとヒソカになすりつける。

 

「うーん。それなら僕の次の目的地に行かないかい♦もともと僕はそこに行く予定だったのだし、君も一緒にどうだい♣」

 

「私はもともともう金は殆ど無いから金がかからない、もしくはあんたがおごれるところにしろ」

 

「それは僕と一緒にいたいということかい♥それなら大歓迎だよ♠今夜も一緒に寝るかい♦」

 

「いつ私があんたと一緒に寝たというのよ。ふざけたこと抜かすと殺すわよ」

 

 白昼堂々人通りの多い場所でサーベルを抜く彼女、そして人々が騒ぐなか暢気に口笛を吹き降参と両手を上げて意思表明をするヒソカ。

 

「降参降参、僕なりのジョークさ♠」

 

「それが遺言でいいなら続けなさい」

 

「冗談が通じないなぁ♥まあ、いいや。行き先は天空闘技場だよ♦」

 

「なるほどね。確かにあそこならば寝泊まりはタダになるどころか金が入るね」

 

 彼女は原作を思い出しながら、ひとまず納得してヒソカを軽くひと斬りしてから納刀する。

 

 もちろんヒソカも軽くかわすが、躱した彼女のサーベルは道を切り裂き通行人は悲鳴を上げて逃げるため、静かな空間が出来上がる。

 

 ヒソカは彼女の殺気のない攻撃を全く気にせず会話を続ける。

 

「そう言うこと♥まあ、君なら泊めてあげるよ♠なんて言っても僕はそこの二〇〇階クラスだからいい部屋持ってるよ♣」

 

 彼女は無言で硬をした拳を彼の懐目指して叩き込む。

 

 彼女の強烈な突っ込みをヒソカは同じように硬をした手で防ぐとその手をつないだまま空港に向かう。流石ヒソカであると言わざるをえない。

 

 もちろん彼女は直ぐに手を離そうとしたが、それよりも早くヒソカが手を打つ。

 

「冗談だよ♦でもちょっと騒ぎ過ぎたからここから離れるには僕のバンジーガムの方が便利だと思うんだけどね♥どう♣」

 

「ちっちっちっ!」

 

「ふふ、ありがとうと言っておくよ♠」

 

 ヒソカは睨みつけてくる彼女に微笑みを返すと宙を飛び民家の屋根を走り一直線に空港に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、ヒソカ」

 

「なんだい♣」

 

「やっぱあんたの価値についてもう一度考え直さざるを得ない」

 

「包容力のある男性は女性にとって魅力的って聞いたけど♦」

 

「あなたの包容力じゃあその息子は包み切れていないようだけど」

 

「男の価値は大きさだよ♥」

 

「やっぱ死ね」

 

 飛行船の中でも彼女の手をバンジーガムにより固定しているヒソカと彼女は狭い座席の中で周りに被害を出さないように器用に戦い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天空闘技場、通称野蛮人の聖地。

 

「お嬢ちゃんが相手か。はっこのバジム様も舐められたものだ。怪我したくなきゃさっさと帰りな。それともベットの上で俺の相手をしてくれるなら優しくしてやるぜ」

 

 天空闘技場に一人の大柄の男が対戦相手の綺麗な女性を見て舌なめずりをしていた。

 

 周りの観客もひやひやとした目で試合を見つめる。

 

 ある意味注目を集めている試合が始まろうとしていたが、そこで注目を浴びる彼女はというと、

 

「黙れゴミが!私が神だ」

 

「はっ?気のせいかな嬢ちゃん。俺様の耳がちょっと遠くなってたようだ」

 

「ゴミだから仕方がない。耳までゴミだとはな。はあ、私のサーベルが無いなんて本当にゴミ掃除が大変だ」

 

「このくそがぁぁぁぁぁぁぁああ!」

 

 大柄の男が怒鳴りと同時に試合が始まる。

「シネェェェェェ!」

 

 男はその声を聞きながらその拳を女に向けて放つ。誰もが女性の死を連想してしまい、客席から悲鳴が少しばかり上がる。

 

 だが、悲鳴と同時にどよめきが起こり、悲鳴もさらに強くなる。

 

 だが男には周りの音がどんどん遠のいて聞こえた。それは男の視界から女が消え、自分の体が傾いたと感じてからより一層顕著になった。

 

 男は全く動かない体に違和感を持ちつつも、何とか首を回し、何故だか知らないが後ろを振り返る。

 

 そこには血だらけのオンナがいた。

 

 男は自分の攻撃が避けられたのではなく、それにより吹き飛ばされたのだと思い込んだ。

 

 だからその拳をまた振り上げようとした。

 

「ああ、また汚れた。これだからゴミ掃除は嫌いなんだよ」

 

 彼の意識はこうして消え去り、天空闘技場は血の雨が降り注ぐ。

 

 後には、バラバラの彼だったモノが散らばっていた。

 

 彼女は勝手に控室に戻り、次の試合に備える。

 

 しかし、天空闘技場で行われた200階までの彼女の試合はたったの1試合だった。

 

 他にも試合があったのだが、控室で血まみれにいる女、そして情報が出回ったのか、その女がヒソカのオンナだと知れ渡ると、控室が空になり、彼女の闘う階層にいた対戦相手達は全員この天空闘技場のエントリーを取り消したのだった。

 

 こうして彼女は快適な空間を手に入れる。少しばかりその部屋に血の匂いが染みついたのは仕方ないことだろう。


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