Fate/Apocrypha 灰の陣営   作:ピークA

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のあらすじ

モーさんがアポ本編の記憶持ってるとかマジやばくね


三話 聖杯大戦 2日目

カウレスは夢を見ていた。それはヴィクター・フランケンシュタインの作り出した怪物の物語だ。

 

鋳造され、怪物と罵られ、怒りにかられ暴走し、伴侶の鋳造を求め、拒絶され、絶望し、自らを焼き払った。

 

その全てを見て、カウレスは彼女より博士に腹をたてた。

 

確かにバーサーカーのしたことは許される事ではない。しかし、仮にも彼はバーサーカーを作り出した張本人だ。ならば、彼は作った者として責任を果たすべきだった。なのに彼は全て放棄し、自身の周りの人間が殺されてなお逃げ続けた。もしも彼がバーサーカーの要求に答えていたら、バーサーカーは怪物等と呼ばれていなかったかもしれない。

 

しかし、そんな事を思っても生前の話だ。そんな思考に意味はないのかもしれない。

 

この夢は終わりか、とカウレスは思った。

 

しかし。

 

夢は終わらなかった。

 

場面は自身がバーサーカーを召喚した場所(・・・・・・・・・・・・・・・・)に移り変わる。

 

今度こそ、カウレスは理解が出来なかった。

 

(なんだよ、これ・・・)

 

彼女の目を通して自身が見えた。それだけでなくアーチャー、ライダーがいた。しかしセイバーとランサーは自分の知っている姿をしていなかった。セイバーは白銀の西洋甲冑を纏っていたはずだ。しかし夢のセイバーは胸元が大きく開いた鎧に銀色の髪をしていた。ランサーは王を思わせる気品と威圧的を持った男だった。

 

場面は更に移り変わる。

 

バーサーカーとカウレスは城塞の花畑で語り合っていた。

 

バーサーカーとセイバーで赤のライダーと戦っていた。

 

そしてセイバーは名も無きホムンクルスを助けるために自身の心臓を捧げた事。

 

赤の総攻撃の際、シロウ・コトミネと名乗る神父がバーサーカーの真名を呼んだこと。(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

敵のキャスターが博士を呼び出しバーサーカーを錯乱させた事。

 

その後赤のセイバーに特攻を仕掛けるも返り討ちにあった事。

 

そしてカウレス(マスター)の令呪のブーストを借りて自身の宝具のリミッターを外し、自爆攻撃を仕掛けた事。

 

その際、自身の一欠片を誰かが受け取ってくれるよう、という願いも込めていたことを。

 

その全てを見たカウレスは、

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

と叫び目を覚ました。

 

午前6時

 

(なんだよ、あれは・・・)

 

カウレスは混乱した。自分は聖杯戦争に参加した覚えはない。この聖杯大戦が初めてのはずだ。なのになんだ、あの記憶は。

 

夢に出てきたのは紛れもなくカウレス自身でありユグドミレニア一族そのものでありミレニア城塞でありトゥリファスだった。

 

確かにセイバー、ランサーは違っていた。でも他のサーヴァントは一緒だった。

 

何より異常だったのは、シロウ・コトミネという神父だ。あの男は一体なんだ。バーサーカーの攻撃をいなしただけでなく、バーサーカーと拮抗する?馬鹿な、あり得ない。

バーサーカーはステータスが低いとはいえサーヴァントだ。しかもその出自からして人間を越えているのだ。なのに・・・

 

(いや、待て、それよりはまずこっちのセイバーだ)

 

カウレスは夢で出てきたセイバーを思い出す。赤のライダーと戦っていた際、宝具を使おうとして止めらていた。

 

「確か、バルムン・・・て言っていたな。じゃあアイツがジークフリート?だったら今ここにいるセイバーは一体誰だ?つーかまさかと思うけど・・・バーサーカー」

 

彼はバーサーカー呼ぶ。すると虚空からバーサーカーが現れる。

 

カウレスは率直に聞いた。

 

「お前は別の世界で聖杯大戦に参加したことがあるのか?」

 

「うん・・・」

 

「そうか・・・。」

 

カウレスは迷う。これはダーニックに報告すべきか否か。

 

普通は報告すべきだ。だが、夢の情報が全て正しいとは、限らない。現に黒のランサー、セイバーは違っているのだ。赤のライダーも違っているとも限らない。

 

いや、そもそも。ダーニックは猜疑心が強い。自身のような三流魔術師の言葉など信じないだろう。

 

カウレスは自身の部屋の机の引き出しの奥からスマートフォンを取り出した後それを操作しメールを開く。そこにかかれた内容を把握し、返信した後バーサーカーに問いかける。

 

「なあ、お前現代の服とか興味ないか?」

 

 

午前8時 ゴルドの部屋

 

「こい、セイバー」

 

ゴルドがそう言うと、セイバーが出現する。

 

「お呼びですか?マスター」

 

「お前の真名は、ランスロット(・・・・・・)で相違ないな?」

 

「はい、私はランスロットです」

 

ランスロット

 

円卓最強の技量をもつ騎士であり、アーサー王の妻ギネヴィアと恋仲となり、ブリテン崩壊の一端となった裏切りの騎士。

 

「貴様の願いはなんだ?」

 

「私の願いは王に私という罪人を裁いて欲しい。ただそれだけです」

 

「聖杯に願えばアーサー王と婚約する前のギネヴィアと恋仲になる・・・という願いも叶えられるがそれではないのか?貴様はアーサー王の判断が間違っていたと思ったからこそ反逆したのではないのか」

 

「それは・・・駄目です。どのような形であれ私はあの王を裏切った不義の騎士です。ならば王によって断罪されるのが当然の定めです」

 

「そうか」

 

ゴルドはそう言うと、別の話を切り出した。

 

「貴様をジークフリートと名乗らせた訳、理解出来るか?」

 

「何か間違った真名を語る理由として上げるとすれば、赤の陣営を倒した後の戦いを有利に進めるためでしょうか?」

 

「それもある。だが一番はそこではない」

 

「と言いますと?」

 

「こちらのマスターの中に魔術協会のスパイがいるかもしれん、ということだ。」

 

「スパイ・・・ですか」

 

「ああ、こちらの城塞防衛担当主任が敵と内通していた。今は捕らえて地下に幽閉しておる。しかし、まだあちらの犬がいると仮定すると、マスターかマスターになり得そうな魔術師がスパイとなっている可能性がある」

 

「成る程、もし私の真名がジークフリートであると、赤の陣営に伝わっていれば・・・」

 

「ああ、こちらのマスターの中に内通者がいるということになる」

 

「して、スパイ候補は?」

 

「儂、ロシェ、ダーニックは除けばセレニケかフィオレだな。セレニケは黒魔術師だ。もしかしたら寝返るかもしれん。フィオレは時計塔に在籍していた」

 

「アサシンのマスターは?」

 

「あいつはよくわからん。名前も朧気でな」

 

「カウレス殿はどうなのですか?」

 

「あの出来損ないには何も出来んさ。姉のバックアップのために呼ばれただけにすぎん。令呪を宿したのもただの偶然だ」

 

ゴルドはそう言って話を終えた

 

 

午前9時 シギショアラ 教会

 

教会に獅子劫界離とセイバーは訪れていた。

 

教会に入り扉を閉めたあとセイバーが実体化した。

 

「初めまして。私が今回聖杯大戦の監督役を努める事になりました、シロウ・コトミネです」

 

「おう。宜しくなシロウ神父」

 

暫く話したあと獅子劫とセイバーは教会を後にする。

 

その前に獅子劫は、

 

「こっちのバーサーカーのマスターはまだか?」

 

「ええ。なんでも今日の夜に召喚するとか」

 

「そうかい。まあ気を付けろよ」

 

「・・・?」

 

そうして獅子劫は出ていった。

 

同じ頃、カウレスはバーサーカーの宝具の性能を試し後、姉とダーニックの許可をとり、ホムンクルスを一体護衛につける事を条件にシギショアラにバーサーカーの服を買いに出掛けた。もちろん変装して、自身が保有するバイクに乗って行った。

 

 

正午 シギショアラ 服屋

 

そこにはとてつもなくアンバランスな客がいた。サングラスに顔に傷がある強面の大男が、女性用の服を買っているのだ。霊体化している彼のサーヴァントが爆笑しているのは言うまでもなかった。

 

同じ頃カウレスはその服屋の前の喫茶店でコーヒーを飲んでいた。アルツィアとというホムンクルスにバーサーカーの服を買って来てくれ、と頼んだ、バーサーカーは霊体化してアルツィアに付いて行った。そしてある客が店の外に出たのを確認してから彼はトイレに行き鍵を閉めた。

 

獅子劫界離が店を出たあと携帯に電話がかかって来た。それは獅子劫自身が保有する携帯でなはなくロッコから渡された携帯だった。

 

「よう、ようやく話ができるな。スパイ君」

 

『変な言い方するなよ』

 

「ああ、じゃあなんて呼べばいい?」

 

『俺の事をユグドミレニアの誰かに告げ口するかもしれない』

 

「しねえよ、俺は以外と友達が少ないし口が硬いんだ」

 

『そうか?あんたなら100人友達作る位余裕だと思うし、それに雇われてここにいるような奴の口の固さなんて信用できないよ』

 

「こんな顔のおっさんと話す物好きなんて、ロッコのジジイかお前位だよ」

 

『そうかよ、だったらあんたから名乗ってくれ』

 

「獅子劫界離、死霊魔術師(ネクロマンサー)だ」

 

カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)二流魔術師だ』

 

「おいおい、自虐的だな。あのロード・エルメロイから魔術を習ったんだろ?」

 

『事実だよ。魔術回路も魔力量も二流がいいとこなんだよ。あんたと違って』

 

「そうかい」

 

『本題に入るぞ、そっちの陣営で俺の事知っているのはあんただけか?』

 

「あぁそのはずだ」

 

『あんたは二世とロッコ爺さんが俺と結んだ条件を知っているか?』

 

「いや、聞いてないが」

 

『やっぱりあの爺さん、ユグドミレニアごと俺を消すつもりか』

 

「なんだ?あの爺さんと魔術協会(こっち)に協力すれば助命してやるとか吹き込まれたか?」

 

『ああ。姉さんと一緒に助ける約束を二世とロッコ爺さんとしたよ。ユグドミレニアに何か動きがあれば伝えろ、と言われたけど時計塔に在籍しながらは無理だし、精鋭全滅の件だってホントに襲撃直前に召喚してたからな。つーかそっちにメール送ったはずなんだが・・・』

 

「ロッコのジジイが携帯使えると思ってたのか」

 

『携帯で連絡を取り合うようにするんじゃなかったよ、チクショウ』

 

「まあ、あれだ。そう言う約束してるならできるだけ果たせるようにするよ」

 

『そうか・・・ありがとう。ならこっちの召喚サーヴァントとマスターを言うよ。ランサーはクー・フーリン。ダーニックが召喚した。

ライダーはアストルフォ。召喚したのはセレニケ・アイスコル・ユグドミレニア。黒魔術師

キャスターはアヴィケブロン。召喚したのはロシェ・フレイン・ユグドミレニア。ゴーレム使い。

姉さんはケイローン。アーチャーだ。

でバーサーカーはフランケンシュタイン。召喚したのは俺。

あと日本の新宿で相良っていう魔術師がアサシンを召喚してるはずだ。真名はジャック・ザ・リッパー。』

 

「成る程、でセイバーは?」

 

『ジークフリートと名乗ったけど違うな。少なくともバーサーカーの夢に出てきた(・・・・・・・・・・・・・)あいつじゃない(・・・・・・・)。だから真名はわからん。召喚したのはゴルド・ムジーク・ユグドミレニア。錬金術師だ』

 

「バーサーカーの夢・・・どういう事だ?」

 

『どうも別の世界の聖杯大戦に参加したらしい。でもその記憶の中のセイバーと今召喚されているセイバーは別人だ』

 

「マジか?俺のセイバーも別の世界で聖杯大戦に参加したとか言ってたな」

 

『え?そっちも?じゃあ俺の情報要らなくないか?』

 

「いや、あいつの話だとランサーはヴラド三世だったはずがクー・フーリンに変わってるし、大丈夫だろ」

 

『そういやそっちのバーサーカーってどうなってる?そろそろ襲撃してくると思うんだが?』

 

「安心しろ、まだ召喚すらされてないよ」

 

『それ大丈夫か?外様の飛び入り参加のマスターが召喚するかもしれないだろ』

 

「大丈夫だろ、そんな事になって困るのは間違いなくメアリーだしな」

 

『メアリー・・・?あ、そういえばシロウ・コトミネって神父、あいつ何者だ?』

 

「あいつは、ルーラーのサーヴァントだよ。確か天草四郎って言ったかな?」

 

『・・・・・・はぁ?』

 

「アサシンを召喚してる」

 

『はぁ!?サーヴァントがサーヴァント召喚とかふざけんな!チートもいいとこだろうが!』

 

「俺に怒鳴んなよ!」

 

『あ・・・すまない。あんまりにもあんまりな情報だったから』

 

「安心しろ、初めて聞いたとき俺もそうなった」

 

『そっか。で、あんたのサーヴァントの真名は?』

 

「モードレッドだ」

 

『そうか。ありがとう。お互い死なないよう気を付けような』

 

「そうだな」

 

そう言って彼らは互いに通話を終了した。

 

(つー訳で、向こうのバーサーカーとアーチャーのマスターは出来るだけ生かす方向で頼むわ)

 

獅子劫は自身のサーヴァントに念話で伝える。

 

(了解。てかやっぱりフランも召喚されてたか)

 

(なんだ知ってんのか?)

 

(あぁ、第四特異点(ロンドン)の時にちょっとな。それに・・・)

 

(それに?)

 

(アイツの境遇が他人事とは思えなくてな)

 

(・・・・・・)

 

理想の人間で在ること目的に造られた怪物(フランケンシュタイン)

 

モルガンの盲執を達成するためアーサー王の遺伝子を元にに造られた反逆の騎士(モードレッド)

 

共に人造生命体で在ることを除けば共通点などないかもしれない。

 

しかし彼女達には共通点があった。それは創造主の期待に答えられなかった事。そして誰からも愛さなかった事。創造主にさえ拒絶された事。そしてその創造主を殺害した事。

 

(成る程ねぇ)

 

(なんだよマスター)

 

(いや、しかしフランケンシュタインつったら筋肉もりもりのマッチョマンだろ?)

 

(いや?アイツは女だぞ。花嫁衣装を着た)

 

(・・・もう、誰が女でも驚かねぇぞ)

 

獅子劫は遠い目をした。

 

午後4時頃

 

カウレス一行はミレニア城塞に戻っていた。

 

カウレスはバーサーカーの部屋の前に立っていた。なんでもバーサーカーはマスターに現代服を来た姿を見て欲しいらしい。

 

部屋からアルツィアが出てきた。

 

「入って良いそうです」

 

「お、おう・・・」

 

カウレスはバーサーカーの部屋に入る。

 

バーサーカーは、

 

「ウゥ」

 

と呟く。

 

バーサーカーは白いキャミソールの上にベージュ色のブラウスを着ていて、下は黒のロングスカートを履いていた。

 

「う・・・わ・・・」

 

カウレスはあまりの可憐さにたじろいた。

 

「カウレス様、いかがなさいました?」

 

アルツィアが問う。

 

「いや。結構似合ってると思って・・・」

 

「あり・・・がと・・・う。カウ・・・レス」

 

「お、おう。どういたしまして」

 

「よかったですねバーサーカー様」

 

「ところで気になったんだけと、バーサーカー。もしかしてその角はずせるの?」

 

「・・・?」

 

「いや、どうやって着たのかなって?」

 

「カウレス様、デリカシーがないと思います」

 

「ホムンクルスにデリカシーを問われるとか思ってなかった」

 

バーサーカーは角を霊体にした。

 

「あぁ。そうやったんだ」

 

するとバーサーカーはおもむろに頭を両手で掴み持ち上げた。

 

すると首と胴体が離れた(・・・・・・・・)

 

その光景を見たカウレスとアルツィアは、

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?と、とれたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

と絶叫したという。カウレスは棒立ちになり、アルツィアに至っては気絶した。

 

 

午後7時 シギショアラ

 

そこは地下室だった。そこにはメアリー・ベールという魔術師がいた。

 

銀色の肩まであるショートカットにスレンダーな体型の女性。無駄な贅肉はなく、スポーツ選手かアスリートのように引き締まった、活発という印象を与える女性だ。

 

彼女の得意とする魔術は身体強化の魔術と治癒と薬草学だった。もちろん他の魔術もできるがどれも二流がいいところだ。彼女は武術の達人でその腕前を強化の魔術で更に補強して戦う事に特化していた。彼女の格闘センスは聖堂教会の代行者にも匹敵していた。

 

そんな彼女は

 

「ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!!」

 

と、それはもう見事な土下座を自身の召喚したサーヴァントに行い、謝罪していた。

 

「ほう、何を謝っておるのだ?」

 

言葉こそ疑問形だが、明らかに怒りがにじみ出ていた。

 

「貴方のような大英雄をそのような姿で呼んでしまってまってずみまぜェェェェん」

 

泣いて謝り初めた。

 

「そうだな。で?そうなった原因は?」

 

「わだじのぜいでずぅぅぅぅ!わだじがぁ!ランサーの枠が空いでいるとぎいでぇ!他の参加者にも確認ぜずぅ!召喚じだがらでずぅぅぅぅ!」

 

「そうだな。貴様の罪はあまりにも重い」

 

「ひぃぃぃいいいい!!命だげば!い゛の゛ぢだげばぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

「・・・はぁ、もう良い。こんな在り方で召喚されたのは怒り以外感じぬが、マスターとはいえ女性にそのような醜態(・・・・・・・)を晒されてはな」

 

バーサーカーは諦めと呆れを含めた顔をした。

 

「え゛?ゆるじでもらえ゛る゛のでずが?」

 

「いや?許さんぞ。ただ聖杯をとるまでは保留にしてもかまわん、ということだ」

 

「やった!生き残った!」

 

彼女は喜びの声を挙げた。

 

するとバーサーカーは、

 

「これから教会に行くのなら、服を変えるのだ」

 

「へ?」

 

彼女が自身の着ているものをみる。

 

上半身の服は埃だらけで、ズボンに至っては股関を中心に濡れていた。

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

「全く呆れて物も言えん」

 

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

メアリー・ベール25歳、人生初めての失禁だった。

 

それから風呂に入り、服を変えてから教会に行った。

 

午後9時頃 教会

 

「夜分遅くに申し訳ないですね、シロウ・コトミネ神父」

 

「いえいえ、構いませんよ」

 

シロウはそう言って微笑む。

 

すると彼の傍らにサーヴァントが現れる。

 

「サーヴァント、アサシン。セミラミスだ」

 

「へぇ・・・シロウ神父はアサシンを呼んだんですか」

 

「ええ、私は一応赤の陣営に属してますが中立の立場としてこの聖杯大戦を監視します。ですので、キャスターかアサシンを引ければよかった訳です」

 

「まあ、監視にもってこいのクラスですからね」

 

「はい、でそちらのサーヴァントは・・・?」

 

「あー、実体化させなきゃダメですか?」

 

「ええ、できれば」

 

公王(・・)よ、姿をお見せください」

 

彼女はバーサーカーを実体化させた。

 

するとその男が現れた。

 

黒い貴族服に王のような威圧感を纏った長髪の男。

 

その姿を表した瞬間、シロウは黒鍵を構えた。なぜなら彼女のサーヴァントから死徒(・・)の気配を感じたからだ。

 

「この気配・・・まさか・・・!」

 

「そうだ神父よ。その警戒は正しい。しかし余とてこのような在り方で呼ばれたかった訳ではない。できれば武器を納めて欲しい」

 

バーサーカーはシロウに頼む。

 

「そしてマスターよ、余は貴様のサーヴァントだ。バーサーカーと呼ぶがよい。今の余は王としてではなく()として、余の領土に我が物顔で根を張っている黒の陣営を殺戮するのだからな」

 

「分かりました、バーサーカー」

 

「して、神父よ。もう感付いているのだろう?余の真名を」

 

「ええ、その王のような気風、ルーマニアを自身の領土という表現、凄まじいステータス、そしてその死徒の気配(・・・・・)・・・ここまでヒントを出されて、気付かないなんてあり得ません」

 

「ほう、では余の真名はなんだ」

 

バーサーカーは聞いた

 

ヴラド三世(・・・・・)。このルーマニアの領主にして、吸血鬼ドラキュラ公のモデルとなった悪名高き串刺し公」

 

「そうとも、余はヴラド・ツェペシュだ。此度の聖杯大戦においてバーサーカー・・・つまり吸血鬼ドラキュラ公として召喚された。遺憾極まりないがな」

 

「成る程。では、聖杯に掛ける願いは?」

 

シロウは殺気を放ちながら問う。

 

「ほう、願い次第では殺害すると、そう言うことか。まあ当然の警戒だな。贋作とはいえ聖杯と名の付くものを吸血鬼が、穢れた化け物が狙っているのだ。聖職者にとってはこれ以上にない侮辱だろう」

 

だが、と彼は言葉を切る。

 

「安心せよ神父よ。余の願いなど簡単な物だ。この穢れた忌み名。吸血鬼ドラキュラの汚名を雪ぐ事だ」

 

シロウはバーサーカーを見る。その目には並々ならぬ執念を感じた。

 

「分かりました。貴女方もお疲れでしょう。ではお茶でも飲んでリラックスされては?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

これまで黙っていたメアリーは断った。

 

「何故です?」

 

「セミラミス・・・人類最古の暗殺者を従えているような人の入れたお茶なんて何が入っているか判ったものじゃないですし。だからあなた達とは協力するけど、私達は自由にやらせてもらいます」

 

「そうですか、残念です」

 

そうやって彼女達は教会を後にする。

 

バーサーカーは念話で彼女に話しかける

 

(マスターよ。貴様は抜けていることが多いが、勘だけは鋭いらしいな)

 

(ありがとうございます。多分のあの場にもう少し留まってたら、もっとまずかったかもしれません)

 

(だろうな。何せ奴はセミラミス。人類最古の暗殺者だ。毒に関してはそれこそ現代の魔術師など相手にもならんだろう。そして毒とは飲食物に混ぜるだけではない。「リラックスできる香を焚く」などと嘯き毒素を孕んだ香を焚くやもしれんしな)

 

(まあ、一応は協力関係だから、連絡を取り合えるようにしますけど)

 

(そういえば他のマスターと連絡できぬのか?)

 

(一人を除いて全滅です)

 

(成る程、では他のマスターは・・・)

 

(ええ、おそらくやられてますね(・・・・・・・))

 

(そうか・・・。しかし一流の魔術師が揃いも揃って情けない、とは言い切れんなこの場合は)

 

(ええ。何せ相手は神代の暗殺者ですから、相手が悪すぎます)

 

(では、こちらの方針は?)

 

(とりあえず、獅子劫さんと合流します。それで一発殴ります)

 

(何故殴る必要がある?)

 

(多分、獅子劫さん知ってたはずなんですよね。空いてる枠がバーサーカーしかないって。だから腹いせにぶん殴ります)

 

(貴様は子供か・・・)

 

(例え子供と罵られようと!獅子劫さんが謝るまで!私は殴るのを止めません!)

 

(・・・もしそんな事になるなら余が貴様の息の根を止めるぞ、マスター)

 

(はい!殴りません!)

 

(よし・・・では先ずは獅子劫とやらの拠点にいくか)

 

彼らが方針を決めているとき、獅子劫とセイバーは既にトゥリファスに入り、ユグドミレニアの襲撃を受けていた。

 

午後11時頃 シギショアラ

 

「ふぅ・・・ようやく落ち着いて話せるな」

 

とある一軒家にテム・・・いやライダーは以前バーに集めたメンバーを召集していた。

 

「そうですね、ライダー。貴方はここ最近ずっと忙しかったですから」

 

アーチャー―――赤毛の少女は話す

 

「そうそう、ホントに大変だったよ。会社の経営権を副社長に譲るのに幹部役員共の説得とか身辺整理とか色々、二週間頑張ってたからな。ようやく昨日大手を振って社長の椅子を退く事ができた。俺の裏のコネクションも副社長に譲ることも出来たしな」

 

そう、ライダーは会社の社長を副社長に譲ると二週間ほど前に役員会で言ったのだ。当然幹部役員達は反発した。その役員達の説得を他の作業と平行しながらしていたら二週間もかかってしまったのだ。

 

クロはライダーに、

 

「彼に会社を任せてよかったのかい?」

 

「いいんだよ。あいつは頭もキレるし機転も回るし、俺の裏の事情も知ってる。だからあいつしかいない」

 

「そうか、ならいいんだ」

 

するとランサーが口を挟む

 

「で、いつ襲撃するんだ。連中を」

 

「まあ、奴等が全面戦争をし始めたらそこに乱入して派手に暴れ回ってもらうつもりだよ、多分あと2日位したら、全面戦争になると思うんだよなぁ」

 

「そうか、ならそれまで待とう」

 

するとセイバーが口を開く

 

「そういえばみんなには叶えたい願いはあるのかい?」

 

するとライダー、ランサーは同時に口を開き

 

別にないが?(・・・・・・)

 

と言った。

 

アーチャーは、

 

「私はあります、絶対に叶えたい願いが」

 

キャスターは、

 

『私も特にない。今の世界には特別不満があるわけではない』

 

と、パソコンから音声が響く。

 

すると虚空から黒服に髑髏の面を着けた男―――アサシンが現れた。

 

ライダーが口を開き、

 

「おっ、お帰りー。なんか収穫あった?」

 

「先ほど黒のセイバーがマスターと一緒に城を出た。なんでもルーラーを守りに行くらしい」

 

「ふーん、ルーラーねぇ。ま、どうせくそ真面目で面白味にかけた狂信者でも出てくんだろ。くたばったほうが面白そうだなぁ。ところで、アサシンは叶えたい願いってある?」

 

「特にない。前の聖杯戦争に参加したのも俺を召喚したマスターが俺を必要としたからだ。主の名を守り敵を屠る。それが俺の使命だ」

 

「そうか、でセイバーは?」

 

「俺も特にないよ。受肉だって気まぐれだし、強いて言うなら、外国の神代の英霊連中に日本英霊がどれ程強いか見せ付けてやりたい」

 

「そっかー。明確に願いがあるのはアーチャーだけか。じゃ方針は聖杯確保してアーチャーの願いを叶えるってところかな?」

 

「え?いいのですか?」

 

「だって、お前以外明確に大聖杯使って願い願い叶えたいやついねぇし。それに、大聖杯クラスじゃないと叶えられんだろ、お前の願いは」

 

「そう・・・ですか」

 

「礼なんて言うな。俺らは同盟者だ。同盟相手のことを尊重すんのは当たり前だ。でも少しぐらいは俺の自由にやらせて貰うぜ」

 

「分かりました」

 

そんなそんな会話のあと彼らは黒のセイバーと赤のランサーの戦いを遠見の魔術で観戦した

 

午後11半頃 ミレニア城塞

 

その頃ライダーは名もなきホムンクルスを助けていた。

 




ヴラド三世(狂)のステータス
筋力:A 耐久:A 敏捷:C 魔力:B 幸運:E 宝具:A

このステータスが知名度補正でこうじゃ
筋力:A+ 耐久:A+ 敏捷:B 魔力:B 幸運:C 宝具:A


これが霧やら蝙蝠やらに変身して襲いかかる恐怖
さらに戦闘続行までつく、なんだチートか
幸運が上がっているのはマスターの起源よるところが多いです
あと日光に関してですが霊体化していれば問題ない、という事で一つ。さすがに霊体化しても日光はダメってなると動かしづらいので。てか動けないので。

あと灰の陣営の中で明確に願いがあるのはアーチャー以外いません。他の奴は大体現代が面白そうだからとかそんな理由です。
アサシンは前のマスターがライダーのバックアップを受けて聖杯戦争に参加していて、マスターの命令で聖杯を勝ち取り受肉したという設定です

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