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守矢神社での戦い。悟空は怨夢の本体との初の戦闘をするが、その力の差は、歴然であった。怨夢は、2年後、完全に幻想郷を滅ぼす、と予告し、その場から消えた。そして、さらに1ヶ月が経った…
第38話 非想非非想天の娘、比那名居天子!
香霖堂………
「すげー!亀のマークまでそっくりだ!」
悟空は霖之助に作ってもらった道着の完成度に驚いている。
「全部注文通りさ。亀のマークとか…しかも素晴らしく丈夫な布で出来てるからね。ちょっとやそっとじゃ傷つかないよ」
「あ、そういや霖之助。魔理沙にカネをもらおうとしたら、「つけ」ってので払えって言われてよ。「つけ」ってなんだ?」
「んー、まあ、悟空ならお代は結構だよ。まあ、信頼の証ってことで」
「………背中のマークが一番のオシャレポイントなんだけどね」
霖之助は悟空に聞こえない程度につぶやく。
悟空の着ている道着。正面の胸のマークはキチンと「亀」のマークが入っているが、背中には、「亀」………ではなく、「霖」の字が入っていた。
その後、人里………
悟空は、人里の復興の手伝いを続けていた。1ヶ月前、ターレスによってつけられた爪痕は、ようやく消えかかっていた。
その後、悟空は人里の復興の手伝いをした礼に、稗田の屋敷に呼ばれていた。
悟空は客間にて、茶菓子でもてなされていた。
すると、襖が開いて、1人の女性が入ってくる。
「貴方が、孫悟空さんですか?」
「あ、ああ。オラが孫悟空…です」
悟空はぎごちなく答える。
「この度は人里の防衛、及び復興に尽力していただき、ありがとうございます。人里を代表して、この稗田阿求がお礼を申し上げます」
「いや、オラべつに大したことしてねぇぞ……してねえです!」
悟空は、再びぎごちなく返事をする。
ーーー「悟空、私は別にいいけど、偉い人と話すときは礼儀も大事だぜ。今度は私が教えてやるから、覚えたほうがいいぜ…挨拶とかはできるみたいだけど界王神様にもタメだったろ?」
悟空は、魔理沙の言っていたことを思い出す。しかし、どうしてもぎごちない返事をしてしまう。
「そこで、貴方のことを幻想郷縁起に書かせて頂きたいのですが、大丈夫でしょうか?」
「なんだそれ?」
「幻想郷の、主に歴史や妖怪たちについて書かれた書物です。幻想郷で名を残した英雄たちも、記されています…」
稗田の屋敷、客間の隣の部屋。ここに、阿求と悟空の会話を盗み聞きする者達がいた。
彼女らは隣に聞こえないように筆談で会話している。
(あれが孫悟空さん?)
まずはじめに言い出したのは本居小鈴。彼女は阿求の友人で、今で言う本屋である、鈴奈庵を経営している。
(みたいね)
小鈴の言葉に、お面を携えた女性、秦こころが答える。
(一見強そうには見えないけど……)
そして今度は金髪の女性、メディスン・メランコリーが言う……というより書く。
(でもあの人から全然厄っぽさを感じないわ)
今度は緑髪の女性、鍵山雛が答える。彼女らは悟空が屋敷に入った後についてきたのだ。無論こっそりである。
("厄っぽさ"ってなに?)
雛を除く全員が尋ねる。
その時、地面から突き上げるような衝撃が走る。
コソコソと隠れていた4人はいきなりのことであたふたするが、悟空と阿求は冷静に、
「今すぐ机の下などに隠れて!」
と使用人たちに呼びかける。
それを聞くなり、隣の部屋に隠れていた4人が一斉に客間に入ってきて、机の下に入る。
「ちょっ、貴女たち、いつから……?」
いつからそこに、と言おうとしたが、
「こいつらずっとオラをつけてたけど、あんまし嫌な気じゃなかったからほっといてたんだ」
4人は、とっくに気づかれていたことに驚きを隠せなかった。
そして、地面の揺れが収まる…
部屋の中は、多少物が散乱しているだけで、大した被害は見受けられなかった。
「とりあえず余震に注意しましょう。……この地震はもしかして、神官「名居」の一族が……?」
「なあ阿求さん。「名居」ってなんだ?」
「名居というのは幻想郷の地震を担っている神官です。もしかしたら今のは彼等が……」
すると、突然ばんっ、と襖が開かれる。
「あ、あのもう少し丁寧に扱ってください」
阿求はそう言うが、入ってきた者は聞く耳を持たない。
「悟空!今の地震、今の地震のせいで!また、またしても神社がーーーっ!!」
霊夢は悟空に泣きつく。
「ちょ、ちょっと待て霊夢!一体どうしちまったんだ?」
「いや、それがね。私はいつも通りトレーニングしていたのよ。それで、地震が起こって、気づいたら、もう手遅れ……」
悟空の気の方が近かったからこっちに来たの、と霊夢は付け加える。
すると、いきなり魔理沙が現れる。おそらく瞬間移動を使ったのだろう。
「悟空!地震大丈夫だったか?って、霊夢もいたのか」
「あの、土足で上がり込まないで!」
阿求は軽いパニック状態に陥っていた。
「あ、そうだな。ごめん。靴置いてくる」
魔理沙はその場で靴を脱ぎ、玄関へ向かっていった。
「それで、さっきの続きなのですが、「名居」の神官、又はその「名居」の一族に仕えていた「比那名居」一族の誰かがやったのかもしれません」
そんな会話を交わしている悟空たちであったが、ついていけない者がいた。4人ほど。
「ねえ、私たち、邪魔みたいだから帰ろうか」
小鈴は他の3人に提案する。
3人は頭をブンブンと上下させる。
そして、気づかれないように、コソコソと部屋から抜け出した。
「そういえば、さっきのやつらって誰なんだ?」
悟空は思っていた疑問を阿求にぶつける。
「あれは私の友人の本居小鈴。そして、妖怪、秦こころ、厄神、鍵山雛、人形が変化した妖怪、メディスン・メランコリー。まあ所謂付喪神ですね」
「そっか…こころってやつが一番強そうだったな…こんど会ったら戦ってくれるか頼んでみるかな…」
悟空が一人でワクワクしているうちに、霊夢は阿求を問い詰める。
「それで、その「名居」だとか「比那名居」だとかは何処にいるのよ」
「おそらく妖怪の山の遥か上空、天界ですね」
「ん?霊夢、天界ってもしかして1ヶ月前見えたあれのことか?」
魔理沙はふと疑問に思い、霊夢に尋ねる。
「そういえば………」
霊夢も徐々に思い出してきたようだ。
あの日、守矢神社に殴り込みに行った霊夢たち。雲の上を飛んでいた霊夢たちの、その上に鎮座していた大陸のようなもの。おそらくそれが天界であろう。霊夢は頭に血が上っていたため、無視していた。
全て思い出し、霊夢はあれか、と目を覆い隠す。
「よし、じゃあとりあえず行ってみようぜ!」
魔理沙の一声で、霊夢と魔理沙は天界を目指し飛んで行った。
「阿求、悪いな。その幻想郷縁起ってのの取材、また今度になりそうだ」
いつのまにか悟空の口調は完全にタメ口に戻ってしまっていた。
「いいえ。いつでも大丈夫ですよ。お待ちしてますから」
阿求もそれほど気にしていなかったのが幸いだ…
それを聞くなり、悟空も霊夢の後を追って飛び立った。
3人は、妖怪の山上空へと飛んでいた。
「……見えた。あれが天界ね」
3人の眼前に広がるのは、無数の浮遊大陸群。空中に浮かぶそれらは、空島といっても過言ではないだろう。
その一際目立つ大陸が、霊夢たちの目的地だ。
「わぁ……!」
魔理沙は思わず感嘆の声を上げる。
それもそのはずだ。見下ろせば、幻想郷を一望できる。
その光景は、まさしく絶景だ。
「あら、もう来たの?まだ異常気象を出していないのに」
そのとき、魔理沙たちの背後から声をかけられる。
「私は、誇り高い天人、比那名居天子!ようこそ人間!」
天子はあからさまにドヤ顔をする。
「比那名居……」
霊夢はすぐに犯人を断定できた。
阿求の言っていた比那名居家の一人。こいつが犯人だ。…と。
「全く、暇で暇で仕方がなかったんだよ。食べ物は桃しか無いし。地上の人たちはいろんなもん食べてんのにさ」
ずるい。ふこーへーだ。などとブツブツ呟きながら、天子は地団駄を踏む。
その時、魔理沙たちの近くに巨大なエネルギー弾が飛んでくる。
魔理沙たちはなんとかこれを避ける。
「久しぶりだな、孫悟空」
「え?ちょっと、私が喋ってる途中なんだけど」
ツッコむ天子をよそに悟空たちは声の主の方を見る。
そこには、小柄な男、大柄な男、そして、一般的な体型の男の3人が並んでいた。
「おめえたちはあの時の人造人間どもだな!」
「そうだ。お前に再び復讐するため、戻って来たのだ」
「おっと待った。これから喧嘩するってときに水さされたらイラッとくるね。まずはお前たちから始末してやるよ」
無視されたのがよっぽど頭に来たのか、天子は準備運動をしながら言う。
それを見て、真ん中にいる一般的な体型の男、人造人間13号が叫ぶ。
「今度は手加減せんぞ………確実に…殺す!!」
いかがでしたか?第38話は以上です。
〜〜〜美少女ゆかりん(17)のクエスチョンコーナー〜〜〜
「皆様、ご機嫌よう!八雲紫よ!このコーナーは、「世界を救ったサイヤ人が幻想入り」に寄せられた質問、ご意見、ご感想に回答していくものです。別に見なくても大丈夫ですよ、お姉さん!という方は、次回予告までスクロールをお願いするわ!
はい。今回も回答していくわよ。紫霊さんからのコメントです。いつもありがとうございます!
「2年後かぁ。ワンチャンビルスさまと会った後かな?」
はい。これは怨夢のセリフに対してですね。これは、ノーコメントです。ごめんなさいね。結構なネタバレになっちゃうから……はい。それでは、今回はここまで!次回もお楽しみにー!」
〜〜〜次回予告〜〜〜
「おっす!オラ悟空!人造人間たちも蘇ってやがる………一体どうしちまったんだ?天子の持ってる「緋想の剣」ってなんなんだ?次回、世界を救ったサイヤ人が幻想入り、
「如意棒の真骨頂と緋想の剣の底力!」
ぜってえ読んでくれよな!」