周りの反応が矛盾しているかもしれませんがご了承ください。
「師よ、この聖域に真のアテナが戻ってきて参りました。全てはサガの企みによるもので・・・・・」
私は、亡き師ナーガの墓の前でことを伝える。
数日前、アテナと偽る城戸沙織と青銅聖闘士たちの迎撃に向かった我々黄金聖闘士だったが、牡羊座のムウと乙女座のシャカの口から全ては双子座のサガによる陰謀だったことが発覚した。
サガは、私が黄金聖闘士になって間もない頃、亡き教皇・・・・私を黄金聖闘士に認めた方が亡くなったのを機にアイオロスと後継者争いをして惜しくも敗れ去った男だ。ちなみに彼はシュラのミスでアイオロス共々死んだと思われていたが追撃に出ていたサガは飽くまでも幻覚に過ぎず、既に教皇に成りすましていた。
そのことが分かった時はすでに遅くサガは本性を現し、同じ黄金聖闘士である魚座のアフロディーテを殺害し、アテナの小宇宙を利用して聖域を破壊尽くした。
そのサガに止めを刺したのは、天馬星座の星矢・・・・・私のマスクに傷を入れた青銅聖闘士がアイオロスの射手座の黄金聖衣を身に纏い、アテナの小宇宙と共に放った弓矢であった。
この戦いで聖域の被害も尋常ではないが何よりも十二宮も破壊され、黄金聖闘士がサガも含めて3人亡くなるという被害になった。
幸い、私とナーガが過ごした小屋の辺りは被害が少なく、墓も無事だった。
「・・・・・・・・思えば、もう十年以上になるのか。ここに来てから。」
私は思わずかつてナーガと共に過ごした小屋に入る。
ナーガが亡くなったことと私が普段から天蝎宮を守護するためいないこともあって中はかなり埃を被っていた。
私は懐かしそうに小屋の一角に置いてある箪笥を開ける。中には日記がしまってあり、ハルケギニア語とギリシャ語が混じったものが書かれている。この世界に飛ばされた私は言語は理解できたが文字を覚えるのにかなり苦労した。突然、ハルケギニア語ではない字を見たとき私は唖然としてここが本当に自分の世界ではないと痛感した。
中身を読む限り初めのころの物はナーガに対する文句が中心の内容だった。
幸い、日記についてはどの語でもいいと言われていたので私はナーガに読まれないように初めの頃はハルケギニア語で書いた。
X月Y日(ハルケギニアでの基準で)
初日からいきなり死にかけた。
何なのよ!あの拷問は!崖に吊るして腹筋100回やれとか格闘技を叩き込むとか!私は早く帰りたいだけで兵隊になりに来たんじゃないのよ!
あの仮面女!絶対に許さないんだから!元の世界に帰ったら使い魔にして一生こき使ってやるわ!!
「・・・・・・・こんな内容、当時ナーガが読んだら半殺しにされていかのかもしれんな(汗)」
私は少しページを飛ばして次のページを見る。
Y月A日
最近、訓練中にナーガが途中途中私の目を盗んでいなくなることが多くなった。
本人に聞くと「ちょっと風に当たりに行った」そうだ。
でも、どう見てもおかしい。
最近寝る時も咳き込んでいたし・・・・・・
聖闘士になるための試練まであと一カ月。絶対になってやるんだから!そしたらあの仮面を剥いでどんな顔か暴いてやるわ!
B月Y日
ついに聖闘士になるための試練・・・・・と思いきや青銅聖衣が置いてある広場ではなく何故か教皇の間に呼び出されて教皇に「天蝎宮に迎え」と言われた。
でも、あの場所確か黄金聖闘士が守護している場所よね?
様は「余所者にやる聖衣はない」という事なのだろうか?
ナーガが私を売ろうと・・・・・・・・しているわけないわよね?
I月W日
試練は無事に成功。蠍座の黄金聖衣が私を選んでくれた。これでこの仮面ともおさらば!
あっ、でもナーガになんて言えばいいんだろう?
取りあえず明日相談しよう。
D月D日
ナーガが突然倒れたと聞いて天蝎宮を飛び出してきたがナーガに怒られて喧嘩した後帰った。
何よ!恩人が心配だから見にきたのに!もう、絶対行かないんだから!
D月E日
ナーガの容態が心配になってきて部下の白銀聖闘士に見て来いと命令した。
・・・・・・・・・何もなければいいけど。
D月A日
部下が戻ってきた。
報告によるとかなり苦しんでいるようだ。
・・・・・・一度、戻ろうかな?
D月T日
こっそり天蝎宮から抜けようとした処女宮のシャカに止められかけたけど事情を話したら通してくれた。白羊宮以外は面倒くさいから飛び越えていった。
小屋に戻った時は、ナーガの顔色は異常に悪かった。
・・・・・・死んじゃったりしないわよね?(不安)
今夜が峠みたい。
D月H日
ナーガが息を引き取った。
箪笥とかを調べたら大量の痛み止めや薬が入っていた。
もしかして、私のせいで・・・・・・
「・・・・・・・」
私の日記はそこで途絶えていた。まあ、あの日以降はずっと天蝎宮で守護するようになったから書かなくなっただけど。
「・・・・・・ナーガ・・・・」
私は日記のしまってあるスペースに置いてある杖を手に取る。
私がルイズとして母や姉たちのようになりたいと目指して使っていた杖だ。
もうボロボロだからという理由で捨てたのだがナーガがあの後拾って焦げた表面を鑢で削って綺麗にしてくれたようだ。
「・・・・・・ふっ。ハルケギニアに帰れないとわかったから聖闘士になると決めたのに・・・・我が師ながら、本当に思い入れのあるお方だ。」
私は小屋を出る。アテナが戻られたとはいえ、今の聖域は極めて不安定だ。急いで戻らねば・・・・・・・
「ん?」
私はふと目の前の光景に警戒した。
「あれは・・・・・・・・」
それは、巨大な光だった。
「これは・・・・・・・もしや、サモン・サーヴァントの使い魔が通るためのゲート?何故この聖域に?」
私は、その直後光の中へと引っ張られて行ってしまった。
「・・・・・・・・・」
私は目を開けた。そこには懐かしいお人がいた。十年以上も見ていなかった顔だ。
アンリエッタ・ド・トリステイン。
我が祖国トリステインの王女であり、私の幼馴染。
どうやらサモン・サーヴァントを行ったのは彼女のようだ。
「な、何という事だ・・・・・・」
彼女のすぐ隣でマザリーニ枢機卿が残念そうな顔で私を見ている。
・・・・・・・しかし、妙だ?
何故、姫殿下は年をとっていない?
私が聖域に飛ばされたのは十年以上も昔の話だ。それなら姫殿下も相応の年をとっているはず。それにただでさえやつれてしまっているマザリーニ殿は過労で亡くなっていてもおかしくない。もしや、昔ナーガが教えてくれたパラレルワールドとかという別世界にでも来てしまったのか?とにかく周りの兵士たちは私を警戒している。何やら騒いでいる。
「お、おい・・・あれはエレオノール殿ではないか?」
「馬鹿言え、髪の色をよく見ろ。確かに顔つきは少し似ておられるが・・・・・」
「では、ラ・ヴァリエール公爵夫人では!?」
「いや、でもさっき言った二人って身体が貧相じゃん。あっちボインだぜ?」
「しかし、あの金色の鎧は一体・・・・・・」
どうやら周りの兵たちは私のことを姉様と母様と勘違いしているようだ。まあ、あの貧相な体つきの少女がこんなになるとはだれも思わないから仕方ないが(と言うよりも私の家で体型に恵まれているのはカトレア姉様のみだ)。対する姫殿下は・・・・
「まあ!私の使い魔はこの方なのですね!」
どうやら私を誰かまでは気づいてはいない様だ。まさか、このままコントラクト・サーヴァントをするつもりなのだろうか?正直言うが私はさっさと聖域に帰りたい。私はマスクを全開し、臨戦態勢に入る。一瞬の殺気を感じたのか兵士たちの警戒が強まる。
「ルイズ?」
そのとき、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。後ろを振り向くと懐かしい・・・・・・私の許婚のワルド子爵がいた。そう言えば彼は、グリフォン隊隊長だったような気がする。
「・・・・・・・・違う。私の名はそんな名前ではない。」
私は、このときはじめて言葉を発した。すると姫殿下まで反応する。
「あら?この声は・・・・・もしかしてルイズ?」
そこまで私の声って変わっていないのか?
「だから私はそんな名前ではない。私は蠍座のミ・・・・」
「その声、やっぱりルイズ・フランソワーズ、あなたなんですね!」
ダメだ、この人たち人の話を聞こうとしていない。
結局、姫殿下のサモン・サーヴァントは中止になり、私は一旦城に同行することになった。
「逞しくなったのですね!まさか、あなたを召喚してしまうなんて・・・・・・それにしてもその鎧、どこで仕入れたんですか?」
「・・・・・だから私は・・・・」
この後、私は蠍座の黄金聖闘士ミロだと言ったのだがどうしてかこの方には通じなかった。しかし、ワルド様も一目で私だと気づいたのは意外だった。
姫様に関しては・・・・・・・幼馴染の感なのだろうか?
次回はあれば家族との再会だろうか?
でも、想像しづらいな・・・・・