聖闘士ゼロ 蠍座のルイズ   作:赤バンブル

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ミスで削除してしまったので再投稿しました。


本編
ルイズからミロへ


「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

 

私は、何度も同じ呪文を唱えた。理由は単純だ。少しでもまともな使い魔を召喚すれば誰もが私を見直すと考えたからだ。

 

私の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。

 

ヴァリエール家三女として生まれ、上には優秀なメイジの姉が二人、母は「烈風カリン」と呼ばれたスクウェアメイジという優秀な家系だ。

 

しかし、私にはあの三人にはないものがある。

 

それは魔法がまるで使えないという事だ。

 

昔から呪文を唱えると爆発する。

 

フライを唱えても爆発。

 

コモンマジックすら使えない。

 

だから、みんなはそんな私を「ゼロのルイズ」と呼ぶようになった。

 

無論努力してでの結果だった。

 

そして、この春におけるサモン・サーヴァントでもやはり召喚出来ない。このままいけば留年は確定だ。

 

どうして、私はいつもこうなんだ?

 

どうして、魔法が使えない?貴族なのに。

 

魔法が使えない貴族なんて・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また爆発音がした。

 

どうやら、また失敗のようだ。爆発に巻き込まれて私の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ん?」

 

しばらくして私は意識を取り戻した。気がついたら見知らぬ天井、簡素なベッドに寝かされていたことに気がつく。

 

「・・・・・・ここどこ?」

 

私は、思わず周りを見回す。みる限りどこかの平民の小屋か何かのようだ。

 

「私は・・・・・・・・・そうよ!サモン・サーヴァントが!!」

 

私は急いでベッドから起き上がると杖を探す。魔法が使えないからと言ってもメイジには命の次に大事なものだ。私はまだ痛みが残っている身体を無理に動かして探してみるとテーブルの上に見事に焦げてボロボロになってしまった杖を見つける。

 

「そ、そんな・・・・・・・」

 

私はボロボロの杖を見てしゃがみ込む。これではサモン・サーヴァントが行えない。留年は確定だ。最早両親に会わせる顔がない。

 

「う、うぅ・・・・・・」

 

そんな落ち込んでいる私を他所に小屋に誰かが入ってきた音がした。おそらく、この小屋の主だろう。

 

「おや?もう、動けるようになったのかい?」

 

私は後ろを振り向く。そこには、茶髪でかなり簡素な服装をした女性がいた・・・・・・・何故か仮面を付けているけど。

 

「あ、あの・・・・・・痛。」

 

「まさか、空から人間が落ちて来るなんてね。聖衣を身に付けた聖闘士なら話は分かるけど。」

 

「聖闘士?」

 

聞き覚えのない言葉に私は首をかしげた。

 

「なんだい、聖域にいるのに聖闘士も知らないのかい?それでよく生きてたもんだね?」

 

「な、何よ!平民のくせに貴族を馬鹿にするような言い方して!」

 

「貴族?アンタ、何バカみたいなこと言っているんだい?中世じゃあるまいし。」

 

「誰が馬鹿よ!」

 

「はあぁ・・・・・・どうやら、頭を打ったショックかなんかで少しおかしくなっているかもしれないね。今日はとりあえず休みな。明日から厳しい稽古をつけてやるから。」

 

「けっ、稽古って何よ!?」

 

「アンタね・・・・・・・はあ、しょうがないから教えてあげるわ。ここから出るには聖闘士になるしか方法はないんだよ。万が一脱走してもここの聖闘士たちの追撃で命を落とす・・・・・まあ、アンタじゃすぐに捕まるだろうがね。」

 

「うぅ・・・・・・なんか本当に頭が痛くなってきた。」

 

私は頭が混乱して何が何だかさっぱり分からなかった。

 

魔法が使えない私でも座学に関してはそれなりに優秀のつもりだ。しかし、聖闘士なんて言葉は初めて聞いた。

 

ここはトリステインではないのだろうか?

 

いや、もしかしたらそれ以上のド田舎に来てしまったのかもしれない。そう思うとこれからどうすればいいのかわからなくなる。

 

「・・・・・・・」

 

「はあぁ・・・・・アンタね。どこのだれかは知らないけどここに来ちゃったからにはそれなりに覚悟を決めな!でないと明日死ぬよ!」

 

「う、うぅん。」

 

「そう言えばアンタの名前を聞いていなかったね。私は蛇遣い星座のナーガ。これでも歴とした聖闘士さ。」

 

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール・・・・・・・」

 

「ルイズフランスルブラシなんとか?ずいぶん長ったらしい変な名前だね?」

 

「誰が変な名前よ!もう!ルイズって呼んでくれればそれでいいわよ!!」

 

「ルイズね・・・・・まあ、根性だけは有りそうだ。あ、後訓練中も日常生活も問わずアンタも仮面を付けな。」

 

「えっ!?どうしてよ!?」

 

「聖闘士は本来男しかなれないのさ。女がなるときは女であることを捨てて常に仮面を被る必要があるのさ。」

 

「いやよ!なんで私がそんな拷問みたいなものをしなくちゃいけないのよ!?」

 

「これが女聖闘士の掟さ。どうしても仮面を付けたくなければ黄金聖闘士にでもならなきゃ無理だね!」

 

「黄金聖闘士?」

 

「聖闘士の中でも頂点に立つ黄金聖衣を纏った聖闘士のことさ。まあ、私は見たことがないんだけどね。」

 

ナーガと名乗る女性はそう言うともう一方あったベッドへと寝そべり寝ようとする。

 

「ちょっ、ちょっと!」

 

「ん?まだ聞きたいことがあるのかい?」

 

「黄金とか言ったけど他に何があるのよ?」

 

「あぁ~私はもう眠いんだよ~!詳しい話は明日から始める訓練で教えてやるよ!だからもいい加減に寝な!」

 

彼女はそう言うと仮面を付けたまま眠ってしまった。寝づらくないのだろうか?

 

「はあぁ・・・・・・」

 

私は窓から外を眺める。星が輝いてはいるが何か学院の自分の部屋で見た星と何か違うような気がする。

 

「始祖ブリミルよ・・・・・どうか私のことをお守りください。」

 

私はこっそりそう言うと眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが私の師である「白銀聖闘士 蛇遣い座のナーガ」と初めて出会った話だ。

 

私は彼女から小宇宙のことを教えられ、聖闘士のことについて様々なことを聞いた。

 

だが、今まで貴族として生きてきた私にとって聖闘士になるための修行はあまりにも過酷なものだった。

 

 

 

「33・・・・・・34・・・・・・・もう無理よ!!」

 

私は、崖に吊るされた状態で腹筋をさせられていた。本当は重りを付けてやるそうなのだがどう見てもド素人だから観念してやると言ってやらされたのだがすでに腹筋が痛い。

 

「何言ってんだい!後たった66回だろ!できなきゃここから落ちて死ぬかい?」

 

「何がたったよ!」

 

「ほら、文句言わない!」

 

「うぅ~!!35・・・・36・・・・・37・・・・」

 

 

 

 

・・・・・・はっきり言って❝地獄❞だった。その後も散々な特訓をやらされ、休むころには私は既に動く気力もなくベッドに眠りについた。

 

ちなみに師のナーガの命令で朝昼晩ずっと仮面を付けさせられたままである。

 

正直言ってあの当時、私は師を憎んでいた。

 

でも、二年も経ってしまえば流石になれたのか文句は言わなくなった。

 

仮面も気にならなくなったし、体も随分引き締まった。昔、エレオノール姉様に「ちびルイズ」と呼ばれていたがもはやチビではなくなっていた。というよりもその当時の私の姿はカトレア姉様とエレオノール姉様を足して割って二のような姿だった。

 

そして、私はついに聖闘士になる試練が与えられた。しかし、私は何故か青銅聖衣ではなく何故か教皇の間に呼ばれた。ナーガの話によれば教皇が私に目を付けていたという。私は、自分も知らない内に黄金聖闘士に必要な第七感「セブンセンシズ」に目覚めていた。

 

結果、私は蠍座(スコーピオン)の黄金聖衣の意思に選ばれ、いきなり黄金聖闘士へ選ばれた。

 

でも、いきなり選ばれたため私はさすがに困惑した。

 

基本青銅から始まるはずの聖闘士が私の場合は最初っから黄金なのだ。

 

ナーガに相談しようと思って聞こうとしたら怒られた。白銀である彼女より上になってしまったことを怒っているのだろうか?

 

 

しかし、その後本当の理由が分かった。

 

私が黄金聖闘士になって数カ月後、ナーガは忽然とこの世から去ってしまった。

 

原因は不治の病だった。

 

実は私を見つけた頃から既に発症していて試練を受けている時期に動いていたのが不思議だったと言われていた。

 

つまり、ナーガは病気の体で私に全てを教え込んでくれたのだ。自分の残り少なかった小宇宙を燃やし尽くして。

 

だから、迷っている私の姿を見たくなかったのだ。

 

私は泣きながらナーガの亡骸を丁寧に葬った。

 

最後に仮面を外したが綺麗な顔だった。生きているうちに見たかった。

 

「ごめんなさい・・・・・ごめんなさい!!」

 

私は彼女の墓の前で泣き叫んだ。

 

気が済むまで。

 

 

 

 

 

そして、墓の前で誓った。

 

もう、涙は流さないと。

 

あなたに教えられたアテナに忠誠を誓うと。

 

だから、昔の自分の名を捨てた。もう、「ゼロのルイズ」じゃなくなったから。

 

 

 

その後、聖域内で同じ黄金聖闘士である射手座のアイオロスが謀反を起こして追跡した山羊座のシュラによって成敗された。

 

話によると教皇に対する反逆罪だったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、16年後。

 

 

「では、師よ。私はこれで。」

 

私は師の墓に礼をして教皇の許へと向かう。

 

今日、裏切り者アイオロスが残した城戸沙織というアテナを偽る者が裏切りの青銅聖闘士たちがこの聖域に乗り込んでくるのだと言う。

 

ここは、私と師の記憶が刻まれた地だ。青銅の分際で好き勝手にはやらせん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと、天蝎宮か・・・・・沙織さん、待っててくれよ!!」

 

二人の青銅聖闘士が私の守護する天蝎宮を通過しようとする。何も警戒せずに突き進もうとは、昔の私を見ているようだ。だが、反逆者には消えてもらう。

 

「・・・・・・・!ネビュラチェーンッ!!」

 

二人の内の一人の大人しそうな顔つきの少年が私の攻撃を防ぐ。一瞬の殺気でも気づくか。

 

「挨拶もなく私の宮を抜けようとするとは・・・・・・最近の青銅は礼儀を知らない様だ。」

 

私は、容赦なく次の一撃を打ち込む。

 

アテナの前に立ちふさがる者は何者とて容赦しない。

 

この私、ルイズ・・・・・・・・いえ、❝蠍座のミロ❞が。

 

 

蠍座のミロ。

 

其れが今の私の名前だ。

 

 




再掲載なので書きますが当初は転移ネタではなく星矢か一輝を召喚する予定でした。

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