プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

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MAXheart×仮面ライダークウガ~紅い殺戮とルミナリオ~(後編)

・それから三日後の夕方、人々がタコカフェの店舗車が止まる公園に我先に逃げ惑う中、たった二人、なぎさとほのかは、ベローネ学園に向かった。

 

正門から屋上を見上げると、イルクーボとルバルが待ち構えている。

 

「よく来たわね、お嬢さん達。グロンギ語が分からないから来ないかって、ひやひやしたわよ。」

 

「戯言は無用だルバル。持ってきたろうな。キリヤの魂。」

 

ほのかは手を開き、オレンジの水晶を見せた。

 

「これでしょ?あなた達が欲しがったのは......。」

 

「よし、ではそれをこちらに......。」

 

「待ちなさい!」

 

いつもの穏やかな自分を捨て、敵を牽制するほのか。なぜか、今の自分は清清しい。

 

「......!?」

 

カオを硬直するイルクーボから、ほのかはルバルに視線を移した。

 

「一条警部から聞いたわ!あなた達グロンギは、地位やほしいものは、全て殺人ゲームの『ゲゲル』で手に入れる。私達と勝負しなさい。勝ったら、この水晶はあなた達のモノ。負けたら大人しく、この町から出ていって貰うわ!」

 

「貴様!何をふざけた事を......。」

 

「待ってイルクーボ。面白いじゃない?あの一条といいこの娘達といい、私達グロンギや、我らの長『ブラックホール』様を微塵も恐れていない。

生意気よねぇ。私見てみたいのよ。彼女達の威勢に満ちたカオが、絶望一色に染まるのを......。」

 

気味悪くニタリと笑うルバルにため息を付き、好きにしろ、と吐き捨てるイルクーボ。

 

「いいわ!来なさいお嬢さん達!今度はせいぜい楽しませてよ!?」

 

ルバルが人間態から怪人態に変形すると同時に、二人も手を繋ぎ、変身の言葉を唱える。

昨夜の雪辱を果たし、大切なものを守り、取り戻す決意を胸に......。

 

『デュアル・オーロラ・ウェーブ!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数時間前、県立『リリア病院』:一条&MAXheartサイド

 

「じゃあ、ひかり君が聞き出してくれた情報を整理しようか。」

 

ロビーのテーブルに、一条は大きな白紙を広げた。

面会時間も残り少なく、ロビーに居るのも、なぎさ達と一条だけだった。

 

「それによると、『究極の闇』の開戦は、三日後の夕方。それまでに、何とかこの近辺の住人を避難させたいんだけど......。」

 

「雲の園はどうですか?」

 

ひかりの提案に、一条は首をかしげた。

 

「雲の園って......?」

 

「あ、それ良いかも!虹の園の空には、そう言う小さな国があって、私達プリキュアなら、いつでもそこへの道を繋げるんです。ただ、周りの人に何て言うか......。」

 

「皆への対応は、俺達警察に任せてくれ。君たちに頼みたかったのは......。」

 

一条は何かを飲み込むかの様に、喉を鳴らすと、なぎさ達を見回して言った。

 

「打倒ルバルだ......。」

 

「え......?」

 

ほのかは絶句し、ひかりとなぎさは首をかしげた。

 

「だって私達、昨日は全く歯が立たなかったのに、なんで......?」

 

「無論、『打倒』ってのはあくまで理想論だ。実際、オレたちで『究極の闇』を実行する(・・・・)たった一人を抑える。その間、あの二人を止めておいて欲しい。とはいっても、かなり危険なやり方だ。決断は急がないでも......。」

 

「じゃあ、やろう!」

 

屈託ない決意の表情で、なぎさはあまりにもはっきりと言った。

 

「なぎささん!?」

 

「ちょっとなぎさ、一条さんの言う通り、もう少しよく考えて......。」

 

「うん。でも、いくら考えても同じだよ。許せないんだよね。ほのかの大切な誰かを、私の大好きな町を、下らない事に利用するあいつらが。たとえ勝てなくても、できるだけの事をしたい。ほのか、ひかり。一条さん、最後まで一緒に戦おう?」

 

「なぎさ......ありがとう。」

 

「もちろん、これからも一緒です!」

 

「右に同じだよ。」

 

「よーし、絶対勝つぞー!」

 

「「「「応!」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから数時間後、G4完装の一条率いる、『Gシリーズ機動隊』は、待機車両で来る指令を待っていた。

 

 

G4の呪いは本物だ。上限期間の三時間を過ぎると、それから一分ごとに、心臓に莫大な負担をかける、下手をすれば死ぬぞ。

 

グロンギ対策室の研究者からの警告だった。

一条は、別段死を恐れていない。

 

一日一日を悔いがないように、割りと意識していたからだ。

かつて在る探検家と共に、グロンギと戦っていたときもそうだった。

 

 

 

「先輩、俺達生きて帰れるんスかね。」

 

一条の隣の隊員が不安そうに尋ねた。

 

「なんで?」

 

「なんでって......相手は最強のグロンギなんでしょ?オレたち、ここで死ぬかも......。」

 

ガックリ肩を落とす若い隊員。一条はその肩を掴み、耳元に囁いた。

 

「今、何が食いたい?」

 

「何スか?突然......。」

 

「良いから!何が食いたい?」

 

「お袋の豚汁、あと、たこ焼きも......。」

 

「じゃあ、これ終わったら休みやるから、里帰りしな。

たこ焼きは、そうだな。近くに日本一のたこ焼き屋があるから、お前ら全員好きなだけ食わせてやるよ。」

 

タコカフェを思い浮かべながら、一条はニヤリと笑った。

 

「一条先輩......あなたって人は......!」

 

若い隊員が感嘆する中、無線が入った。

 

『本庁からGシリーズ機動隊へ。グロンギ検知器、たった今高エネルギー反応を捕捉。直ちに現場へ向かわれたし。現場は、三丁目西、アンクションビル跡......。』

 

「そら来た、行くぞお前ら!」

 

 

 

現場に到着した一条率いるGシリーズ機動隊は、それまで以上の意識を持って、周囲に警戒した。

やがて、一人の隊員が声をあげる。

 

「グロンギだ!」

 

みると、黒いボディのバッタのグロンギが数体、機動隊と対峙していた。

 

グロンギ達が襲い来ると、機動隊も負けじと射撃を開始した。

 

だが、一条は違和感を覚えた。

 

 

そいつらには、以前出くわした最強種、「ン」の名を持つ個体にしかない迫力の様なモノがない。どこにでもいるグロンギとの差を感じられないのだ。

 

(こいつら本当に「ン」のグロンギか?いや違う。「ン」の個体にバッタのグロンギがいたなんて、古文書やここ数年の捜査記録にはなかった筈だ。だが、今殺人ゲームを実行できるのは、「ン」だけのはず、そいつはどこだ?こいつら一体何者何だ?)

 

そこまで考えていると、ふと視界の隅に紫の大きな塊が見えた。それは、よくみるとダイアモンドの様な形をしていた。

 

(あれは、一体......?)

 

その時、ダイアモンドの形が歪み、肥大化すると、中から例のバッタのグロンギが現れた。

 

「......!?」

 

一条は驚愕し、同時に理解する。そう。あのダイアモンドこそが、今回の『究極の闇』の実行者、最後の「ン」だったのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「「はぁぁあ!」」

 

ブラック、ホワイト共に攻撃を仕掛けるも、やはりまるで怯まないルバル。

 

だが、彼女達にも考えが有った。

 

後ろへ吹き飛ぶと同時に、二人の手の甲に強化の腕輪、『レインボーブレス』が出現。

 

「何度やっても、ムダよ!」

 

体制を立て直し、ルバルにもう一撃を浴びせる。

 

「「たぁ!」」

 

ガゴォン!

 

「......何!?」

 

不敵なルバルの予想に反し、二人の拳を受け止めた 手の平は、次の瞬間弾かれた。

 

「だから何よ!」

 

ルバルは手を前に出し、あたり一面にバラの花ビラを出した。

 

「ほのか!あれって......!」

 

「ええ!爆発するわ、気を付けて!」

 

「ムダ!状況は関係ない。放出から10秒で爆発する!」

 

「だったら!」

 

と、二人は思いきり地面を踏み、今日一番の大ジャンプを見せた。

 

「残念、掛かったわね。」

 

花ビラは爆発せず、代わりにツタに変化して伸び上がった。

ツタは二人の全身を履い回り、磔状態になった。

 

「......汚いわよ!」

 

「ズルい!」

 

「なぁに甘っちょろい事言ってんのよ、最初から分かってた話じゃない。人間がグロンギに勝てる訳がない。

でも、そうね。せめて選ばせてあげる。

......ブラック、ホワイト。あなた達どちらから処刑してほしい?」

 

「......ふざけないで!ほのかには、大切な人がいるの!

もう一度会わなきゃいけないの!

私はどうなったって良いから、ほのかには手を出さないで!」

 

「ダメよなぎさ!藤村君とせっかく仲よくなれたのに、

こんな所で......。」

 

涙にまみれて互いを庇い合うブラックとホワイト。

ルバルはつまらなそうに肩を落とした。

 

「あーあ、つまらない。何で庇い合うワケ?あんた等そんなに命要らないの?」

 

「「大事だからに決まってるでしょ!?」」

 

全力の怒号を飛ばす二人。それでもルバルは余裕なままだ。

 

「ごう慢なあんたには、未来永劫分からないわよ!」

 

「守りたい誰かがいる。苦しくなる程大切な人がいる。

こんなにも苦しく、それでも愛しい。あなたには、そんな人がいないの?」

 

「下らない!生物皆死ぬ時は独りなんだよ。皆が勝手に生きて、勝手に死ねば良い!」

 

ルバルは拳にエネルギーを溜め始めた。どうやら二人一斉に止めを刺すつもりらしい。

二人が死を覚悟した時だった。

 

       ガゴォォォォォン!

 

突然、ルバルは真横にぶっ飛んだ。

 

「くっ!......何者!?」

 

そこには、巨大なクワガタのメカがいた。それは、生物と言うにはどこか機械的で、かといって純粋なロボットと言うには、どこか生き物らしかった。

 

よくみると、その上には二人の人影がいた。

 

一人は、ひかりと同じ位の水色の髪を持つ、見知らぬ美少年。

もう一人は、よく知っている金の髪を持つ美少女。九条ひかりの変身した姿、『シャイニールミナス』だ。

 

「お二人とも、お待たせしました。」

 

「これでも急いだんだ。ま、勘弁してくれ。」

 

「お帰りルミナス......って言うか、その人誰!?」

 

「おいおい、誰とはご挨拶だな。朝からクイーンに呼ばれて、ちと命懸けなパワーアップして帰ってきたってのに......。」

 

ぷくーっと膨れる青年に、ホワイトは恐る恐る尋ねた。

 

「もしかして......ポルン?」

 

「やっと気づいたか。」

 

「うっそぉぉぉお!?あのワガママポルンがこんな爽やかな美少年に!?第一、『ポポ』って言わないじゃない。」

 

小々田(ここだ)コージ(パルミエ王国の国王、妖精ココの人間態)だって語尾ねぇだろ?」

 

「そりゃそうだけど......。」

 

と同時に、クワガタのメカが変型し、黒凱に赤い瞳の戦士に変わった。

 

一同がポカンと開口しっぱなしになると、彼は控え目に自己紹介した。

 

「はじめまして、『仮面ライダークウガ』こと小野寺ユウスケです。クイーンに話は聞いてるけど、今更ながら一緒に戦ってもいいですか。」

 

「「......もちろん!」」

 

「貴様らァァァァァァァ!ご歓談はそこまでだァァ!」

 

そう叫んだのはイルクーボだった。全員の視線が、彼に注がれる。

 

「あらイルクーボ。大の男が大声出して、みっともないわよ?」

 

「黙れルバル!今や絶滅寸前の貴様らグロンギの為に、

私がどれだけ策を弄したと思っている!?お忘れの様だが、貴様はあの石ころ(・・・・・)の配下ではない。偉大なる『ブラックホール』様の眷属だ!」

 

「イルクーボ。今の発言はグロンギ(わたしたち)への冒涜に聞こえるのだけど?」

 

「どうとでも解釈しろ!ただし、使命は遂げてもらうぞ!」

 

「ハイハイ分かっ......。」

 

「!?」

 

ルバルはそこで言葉を切り、突如絶句した。

その顔色は、徐々に蒼くなっていく。

なぎさは、彼女から不敵な笑みが消えるのを、初めて見たかもしれない。

 

「どうした!?何が有ったルバル!」

 

ルバルはガタガタと震えだし、一筋の冷や汗を浮き上がらせた。

ようやく絞り出した一言は、形勢の逆転を告げた。

 

「......『究極の闇』の実行者、『ン・エルジュ・ギル』様が、死んだ......!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数分前、アンクションビル跡:Gシリーズ機動隊サイド

 

『ン・エルジュ・ギル』の生み出したバッタのグロンギは、先程と比べ物にならない程に増えていた。

 

「キリがないッス!なんスかこいつら!?」

 

部下達にバッタのグロンギを任せ、エルジュ本体を狙うG4/一条。

 

宝石は彼の上半身と同じ位のサイズだが、近くにさえあれば、物理的に破壊出来る。

腰から、青い刃の剣を取り出した。

 

「......!?」

 

何かが、一条の体を貫いた。それが何なのか、彼はすぐに理解した。

 

(毒ガスか......!)

 

シュウシュウと音をたて、紫の煙を発生させる。こうやって殺人ガスを撒き散らして、無差別殺人を実行するのだ。

 

(今までのグロンギには、なかったやり方だ......。)

 

徐々に体が重くなり、意識が遠退いていく。

 

鼓動が小さくなってきた。ガスが体を蝕んでいるのだろう。

 

(ここまでか......もう目ェ閉じて、死んじまおうかな......。)

 

ダメだ。

 

何かが、一条の判断を否定した。

 

(なに?)

 

まだ死んではならん。

 

(なんでだよ?オレはもう助からない。ここで楽んなっちまった方が......。)

 

バカ、忘れたのか。

 

(何を?)

 

“約束”......したんだろ?

 

(......!!)

 

生死の境に在った一条の脳裏に、手を降るアカネの姿が浮かぶ。

 

『約束だかんねーー!』

 

(悪ィアカネ......。一瞬忘れてた。そうだよな、約束だもんな......!!)

 

後ろの隊員達は、フラフラと立ち上がる一条を見た。だが、その背中は先程よりも気高く、何より誇らしく見える。

 

「最強のグロンギ?システムの呪い?んなもん知るかァァァァ!見とけ化け物共(テメェら)ァ!これが、人間の意地だぁ!こんな所で......死んでたまるか!」

 

高らかに咆哮をあげ、エルジュに刃を突き立てる一条。

 

エルジュ本体は、ぐにゃぐにゃと形を歪ませると、悲鳴の様な音をたて、爆発四散した。

 

と同時に、エルジュが生み出したバッタのグロンギ達も消滅。廃ビルはまた、かつての静けさを取り戻した。

 

(終わったよ......頼むぜ二人共、無事でいてくれ。)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「確かなのか、ルバル!」

 

「ええ......気配が消えた。間違いないわよ。まさか、最後の王が......。」

 

「まぁいい。キリヤの肉体だけでも手に入れば、上々よ......。」

 

「何の話!?」

 

食って掛かるホワイトに、イルクーボは不敵な笑みを見せた。

 

「教えてやろうか。キリヤの“肉体”は数日前、この『虹の園』で形を取り戻したんだよ。先程部下から連絡が入ってな。

 現在、奴の肉体は我々の管理下にある。分かるな?後は貴様が持つその宝石が在れば、もう一度キリヤを呼び戻せる。」

 

「そりゃあウソっぱちだろ?」

 

ポルンがイルクーボを睨んだ。

 

「テメェらの目的が何なのかしらねぇが、黒幕が『ブラックホール』である以上、待っているのは闇の眷属として利用される未来だろーが。」

 

「勘がいいな......『光の王子』。やはり......。」

 

イルクーボは目を見開き、ポルンに向かって突進してきた。

 

「貴様が一番目障りだァ!」

 

怒りに沸くイルクーボの一撃を、ポルンはモノともせず片手で受け止めた。

 

「残念、今や......。」

 

ニヤリと笑い、イルクーボに一撃叩き込むポルン。

 

「『光の貴公子』だァ!キリヤの魂は、絶対テメェらには渡さない!」

 

懐から水色のスマホらしきアイテムと、束になったカードを取りだした。

スマホの画面にカードをかざすと、高らかに叫んだ。

 

『レッツ・ロイヤルコンテンツ!』

 

イルクーボ(このハゲ)は任せて、三人はクウガと一緒に『バラの怪人』を仕留めろ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「終わったと言うの?グロンギ(わたしたち)の時代が......。」

 

嘆くルバルに、ユウスケ/クウガは釘を指した。

 

「終わったのは、お前自身(・・・・)が塗り固めた

殺戮の歴史だよ......。」

 

「何を......!」

 

「あの日、五代さんがダグバ(・・・)を、オレがガミオ(・・・)を、倒した時に終わってたんだよ。

グロンギ(おまえら)人間(オレたち)を虐げて来た歴史は......。」

 

「古代戦士クウガ......古のリントの遺物に過ぎん貴様が......知ったような口を聞くなァ!」

 

バラの種子をマシンガンの様に打ち出したルバルだが、クウガはたやすく弾き、ベルトにてをかざすと、足にエネルギーを溜め込み、ジャンプキックを放った。

 

「ぐぁあ......!」

 

「今だプリキュア!」

 

横にぶっ飛んだルバルだが、その表情にはまだ余裕がある。

 

「ムダよ!私にはブラックホール様から授かりし、もう一つの“力”がある。あなた達プリキュアの必殺伎は効果ゼロ!この『闇の結界』によってね!」

 

ルバルは得意気に、自身の体を覆う黒い幕を出現させた。

 が......。

 

バリィン!!

 

『闇の結界』は、粉々に砕け散った。

みれば、彼女の体には、古代戦士クウガの紋章がある。

 

「あなた......まさか!」

 

ルバルはクウガを睨んだ。

 

「そう、今のライダーキックは、ご自慢の結界を破壊する為のもの。もう、『闇』はお前を守らない......。」

 

クウガの言葉と供に、三人は並び、必殺技を発動した。

 

『みなぎる勇気!』

 

『あふれる希望!』

 

『ひかり輝く、絆と共に!!』

 

『エキストリーム・ルミナリオ!!!』

 

回避を図るルバルだが、時すでに遅く、温かく、強い光に包まれて、彼女はようやく、光になった。

 

 

それから、程なくしてポルンが戻ってきた。

イルクーボは、いずれの復讐を誓い、ブラックホールの元に戻ったらしい。

 

一条とも合流し、雲の園に避難していた人々を解放。

グロンギは全滅が確認された。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから三日後のタコカフェ:フルメンバーサイド

 

Gシリーズ機動隊、プリキュア、ユウスケとポルンとルルンは、隊長の一条のおごりでタコカフェで食事をとっていた。

 

 

「では、その『ブラックホール』が黒幕で間違いない様だね......。」

 

タコカフェのパラソルの下で、一条とユウスケ、それにポルンが話し込んでいた。

 

「ああ。イルクーボの野郎と、一緒にいたピーサードって奴が、キリヤの肉体とやらを誇らしげに持って帰ったよ。」

 

「それじゃあ、キリヤ君は奴等の元に......。」

 

ほのかも不安げに話を聞いていた。

 

「そう気を落とすなほのか。魂がここに有れば、肉体とやらを奪い返してまたきっとキリヤに会えるさ。

むしろ、ゴールが見え始めたんだよ。」

 

「そうそう。というかお前ら、せっかくオレのおごりなんだから、神妙なカオしてないで、食え食え!」

 

一条が囃し立てた。

 

なぎさもすっかり意気投合している様で、アカネとひかり考案の新メニュー『ソース焼きそば』と『豚汁』をもう三杯もお代わりしていた。

 

「そうそう。食べなきゃ損だってー!」

 

「もう、なぎさったら......。」

 

苦笑するほのかを他所に、アカネが店の中から話しかけた。

 

「にしても薫、もっかい来なさいとは言ったけど、まさかこんな早く来るなんてねー、びっくりよ!」

 

「なぁに言ってるんですか!アカネさんが一番嬉しいんでしょ?」

 

ひかりが何故かイタズラっ子の様な怪しい笑顔で言った。

 

「ばっ......バカ!何言ってんのひかり、んな訳ないでしょ!?」

 

真っ赤になって反論するアカネ。

 

「三十路前に貰い手見つかって、良かった良かった。」

 

「違うってば!怒るわよなぎさ!」

 

「え?何が......?」

 

キョトンとする一条。なぎさは彼に質問を飛ばした。

 

「一条さんで、奥さんいるんですか?」

 

「唐突だな......ま、いねぇけどさ。彼女も......。」

 

「「「「「ぉぉぉお!」」」」」

 

その場の全員が、奇妙な歓声を上げる。

 

「いやいやなに?何の話よ?」

 

「意外とニブイ......。」

 

「もー!ホンット男ってバカなんだから!」

 

頬を紅潮させ、テーブル掃除するアカネを他所に、一条は席を立った。

 

「ごちそーさん。」

 

「なに?また仕事......?」

 

アカネが少し心配そうに訪ねた。

 

「ポルン君。例の『ブラックホール』だっけ?あれ、今どこにいる?」

 

「ここから西に数十キロ、いちご坂って町。ほかの戦士達も、少しずつ集結している。」

 

「了解。じゃ、行くか。クウガにプリキュア。」

 

「「「「はーい!」」」」

 

「......また、来るんでしょうね?」

 

「おう。今度も約束だ。」

 

「じゃあ、戻ったら......。ーーーーーーー」

 

カオを真っ赤にしたアカネの発言に、その場の全員が黄色い声援を上げた。




・補足
『splash☆starの世界』は二年経っていましたが、こちらも二年経っています。
なぎさとほのかは『ベローネ学園:高等部』に、ひかりは中等部三年生になりました。

ルミナスの変身=ポルンが擬人化&戦士化しちまったので、ひかりを変身させる力は今、ルルンに宿っています。

一条について

士が前もって警察に連絡していました。何だか訳の分からなかった担当者は、その道っぽい一条にてきとーに話を繋ぎ、そのままクウガ/小野寺ユウスケの連絡先を受け取ったのですが、その後はご存じの通りです。
ユウスケに連絡を取り、共闘を持ちかけた時、ちょうど
ポルンの儀式が終わり、彼と共に町へ戻って来たのでした。

ルルンの台詞の少なさについて

作者の文章力の無さです。ルルンファンの皆さん、すいませんでした。

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