プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

28 / 29
アラモード×エグゼイド&ビルド〜NOVEL大戦NEO〜3

・いちご坂の外れ、邪悪の神ブラックホールのひざ元に当たる平原で、クロノスと仮面ライダー・プリキュア組の攻防戦は激化の一途をたどっていた。

 

桐生戦兎は、遠方からその様子を見ていた。そこは、いちご坂商店街に通じる一本道だった。

 

「おやおや、お仲間たちが悪戦苦闘してるってのに、お前さんは高みの見物かィ?」

 

背後からなじられても、戦兎はまるで動じない。

 

「よく言うよ。クロノスとアイツらの戦いに乗じて、いちご坂を襲う腹づもりだろ?なァ……ブラッドスターク!」

 

戦兎に指摘され、ワインレッドのコブラの怪人、ブラッドスタークは深くため息をついた。

 

「なぁんだ、こっちの作戦筒抜けじゃねーか。」

 

「 キラパティが衛生省の検査に引っかからなかった理由は 、ウイルスがなかったからじゃない。

バグスターウイルスではなく、お前らのスマッシュ製造ウイルスが蔓延してたからだ。宇佐美さんの体から出てきたあの化け物は、バグスターじゃなくスマッシュだったんだろ?」

 

「ご明察、しかしあれだ。そこまでバレてるなら……お前さん、ここで始末しなくちゃなァ……。」

 

銃を構えるブラッドスタークに応答するように、戦兎は 背広のポケットから二本のボトルを出した。

 

『ラビット・タンク! Are you rady?』

 

効果音と同時にベルトのハンドルを2、3周回す。

 

「変身!」

 

『Best match!鋼のムーンサルト!』

 

仮面ライダービルドに変身完了し、準備を整える戦兎。

 

 

「そいじゃあ、実験を始めようか!」

 

「あ!それオレの!」

 

「堅ェ事言いなさんな!」

 

ビルドとブラッドスタークが激突してるところ 仮面ライダーおよびプリキュア組は、 クロノスを相手に苦戦を強いられていた。

 

いや、彼らの実力は充分過ぎるほどだった。

 

日曜朝の平和を守ってきた11人を相手に、たった一人で圧倒するクロノスの実力は、化け物という他にない。

 

ロッドから放たれるショコラのアロマーゼとマカロンのジュリエンヌを盾であっさりと受け切り、背後から蹴りかかるレーザーとゲンムに軌道を変えて当てる。

 

カスタードのさくらんぼ砲撃(イリュージョン)

ジェラートの氷嵐(シェイク)、さらにスナイプ(レベル50)のガトリングを今度は盾無しで受け切り、グレイブ(レベル100)の斬撃を刃で止め、そのまま弾き返した。

 

「無駄無駄無駄ァ!」

 

「化け物め……さっさとキメろ、研修医!」

 

上空からパルフェとホイップのロッド援護を受け、ライダーキックを当てようとするエグゼイド(ハイパームテキ)。

 

 

 

 

 

 

その時、クロノスは全身に力を込め、凄まじい咆哮を挙げた。 スイッチのプッシュなしでポーズが発動し、全員の動きは止まった。

闇の力でランクアップしたポーズは、唯一の対抗策であるハイパームテキエグゼイドの動きさえも止めた。

 

「図に乗り過ぎだァ!ガキ共ォォォォォォ!」

 

ベルトの『ノワールジェノサイド』ガシャットを刃に移し、エネルギーを込める。

 

『ガッチャーン!混沌の、一撃!』

 

効果音と共に、妖しく光る紫のエネルギーを帯びた刃を、クロノスは周囲360°と真上に振りかぶった。

 

 

 

ポーズが解けたとき、一同はわけの分からないまま、後ろへ吹き飛ばされた。

 

過度なダメージにより、一同の変身は強制解除された。

 

「ゆかり……!大丈夫かい……!?」

 

「何とかね……キラパティの時と同じ、時間を止めたんだわ……よくやるわよ」

 

「おのれ檀政宗ェ……私のクロニクルに、悪趣味な改悪を……。」

 

「言ってる場合か!あの男を何とかせねば、世界は……。」

 

「手立てはあんのかよ。今やレベル(インフィニティ)のアイツを倒す手段が……。」

 

 

 

 

「「まだです……!」」

 

立ち上がったのはいちかと永夢だった。

 

ここでも、主人公二名の驚異的なポテンシャルが、一同の戦意を支える柱となる。

 

「永夢……!自信は良いがどうする気だ!あの男は、もはや我々の手には……!」

 

 

「そいつはまだ分からんぞ?」

 

遠方で戦っていたはずのビルドがこちらへ吹き飛び、後ろからブラッドスタークが現れた。

 

「貴様……!」

 

「刃を向ける相手が違うな、仮面ライダーブレイブ。オレはコイツを渡しに来たのさ。」

 

彼は、ガシャットを5つと虹のフルボトルを2つ、各仮面ライダーに手渡した。

 

「これは……!?」

 

「まずはお前さんらが変身しな。力が出るハズさ。」

 

 

 

「ブラッドスターク貴様ァ!闇の同盟を裏切る気かァ!」

 

「クロノスよぉ……お前さんとこのボスは金払いが悪すぎだ。ありゃナイトローグが手ェ切りたがるのも分かる。

つーわけで、オレらはオレらのやり方で、日本を獲るんでよろしく。」

 

怒り狂うクロノスを気にも留めず、世界を駆ける橋(ディケイドが並行世界移動に用いるオーラ)を渡って何処かへ消えた。

 

「こうなったら……!この町の全てを消し去ってくれるゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

『ガシャット!キラキラプリキュア・アラモード!』

 

『ペガサス・パフェ!best much!』

 

仮面ライダーたちは、それぞれがショートケーキ(ビルドはパフェ)を模したスーツに変化し、体力と気力は完全に回復。

さらにプリキュア達は翼

 

「形勢逆転……とでも言いたいのか?その程度の強化変身で私に勝てるとでも……?」

 

「そうやって余裕ぶっこいてやがれ。」

 

「貴様のターンは、二度と来ないぞ。」

 

「わりィけど自分、今から本気(マジ)でいくんで。」

 

「見るがいい……お前と我々、どちらが格上か!」

 

「クロノス、今からお前を攻略する!」

 

「皆、皆で……!」

 

『レッツラ・クッキング!』

 

キラキラルクリーマーによって召喚されたスイーツアニマルに乗り、必殺技を放つ。

 

その間、ライダーたちは泡立て器型に変化したガシャコンブレイカーでクロノスの動きを封じ、スポンジとサングリアの中に閉じ込める。

その上にプリキュア組がパフェの素材を盛りつけ、出来上がったのは、聖なるキラキラるを生み出す究極のスイーツそのものだった。

 

必殺技は今、彼らが高められうる究極点に達したのだ。

 

『キュアライダーズ・ハイスコアゴーランド!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パフェの中で闇の力を浄化されながら、クロノスは苦悶していた。

 

(おのれ……おのれ若造ども!なぜだ、なぜ私からすべてを奪う!?なぜ私の前には何も残らない!?私は……私はただ、独りになりたくなかっただけなのに……!!)

 

浄化され、消えゆく身体を見つめながら、正宗は久々に、本当に久々に涙を流した。

 

(どうすれば良かった?どうすれば幸せになれた?私は一体、どこで間違えてしまった……?なぁ、黎斗、櫻子……勝手を承知で、願わくばもう一度、お前たちと……。)

 

身体が完全に消えかかったその時、どこからともなく声がした。

 

 

 

あなた……。

 

櫻子……来てくれたのか。君に合わせる顔など、無いというのに……。

 

そんな事ないわ。あなたは、私にも黎斗にも会えないまま、たった一人で戦っていたもの。

 

だが、そのせいで私は……黎斗を……!

 

父さん、もう泣かないで。

 

黎斗……!?聞こえるのか、私の声が……!

 

もう恨んでいませんよ。あなたも、あなたが犯した罪も、全ては『始まり』。ここまで色々あったから、私は永夢や皆と出会い、たくさんの事を教わった。

 

あなたが結んだのよ、黎斗と、仮面ライダー達を……。

 

二人とも、ありがとう……。

 

 

 

 

 

「ここまで来て、ようやく3人揃ったか……。」

 

「黎斗さん、何か言ったかしら?」

 

マカロンが問うと、黎斗は皮肉る様に笑った。

 

「感謝する、キュアパルフェ。君のおかげで、彼に声が届いた。」

 

「ノンノン、私は『繋げた』だけ。思いが届いたのは、あなたがクロノスに、思いを届かせようと言葉を紡いだからよ……。」

 

「クロノス……そんな父親はいないな。」

 

「……?」

 

「父の名は壇正宗。世界一の経営者だ。」

 

 

 

 

 

「とにかく、闇の同盟との攻防戦、ひとまずは、僕達の勝ちだ!」

「いえーい!」

 

 

「果たしてそうかな……!?」

 

地の底から響く様な声が、上空から聞こえた。

 

見れば、 黒いマントをまとった男白髪の老人が、空から一同を見下ろしていた。

 

「貴様は……!」

 

「我が名は死神博士! 闇の同盟最高幹部にして、ブラックホール様が忠実なるしもべ!」

 

「チッ……!ようやく本領発揮ッスか。」

 

「そうね桐矢さん。でも参ったわ……!あの博士、ものすごい気配……。今、あんなのと戦う力はもう……。」

 

「ヘトヘトですぅ〜!」

 

「クロノスめ、ハナから期待はしとらんが、やられおって……。既に命を終えたやつを、 闇の眷属として 肉体を複製して下さったブラックホール様のご恩がありながら、 あっさり敗北を期すとは……まぁいい、その為に シャドームーンのやつは 儂をここに遣わしたのだから。」

 

一同をあざ笑う様に、 死神博士は手に持つ杖を空中に掲げた。

 

瞬間 大地が割れるような地響きがなり、瞬間、地面に亀裂が入った。

 

大地がえぐれると同時に、そこに真っ黒な巨人が現れた。頭には双角が生え、目は鈍く赤色に光り、無機質な黒のボディは、ヤツの残酷さを演出するのに一役買っていた。

 

勝利を確信した死神博士は 傲慢な笑みを浮かべて巨人に命じた。

 

「さぁ行けキングダークよ!闇の同盟の行く手を阻む者共を、還付なきまでに叩き潰せェ!」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。