プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

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すいません!!また4部作になります!!!
これと言うのもひとえに、両作品への思い入れが深すぎる鈴木の責任です!

どうか完結編まで、お付き合いください!


スマイル✕仮面ライダー電王〜俺、ようやく参上でウルトラハッピー!?〜(後編)

・『プリキュア・スマイルチャージ!』

 

七色が丘町に突如現れた赤鼻の怪物を相手に、イマジンと、イマジンが入った3人の女性戦士が敢闘していた。

 

そう。キンタロス、リュウタロスはプリキュア二人に憑依し、そのまま変身したのだ。

 

「お前、ボクに釣られてみる?」

 

「オレの熱血に、お前が泣いた!」

 

「直球、当てるけど良いよね?答えは聞いてない!」

 

 

 

 

 

「やっぱり、名乗りがいつもと違うクル。」

 

「仕方ないでござるよ。 全力で戦うには、憑依する体が必要だと言う事でござるからな……。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

2017年11月10日 メルヘンランド いこいの広場前

 

 

「これは、一体……!?」

 

デンライナーを下車したれいか達は、 かつてジョーカーに敗北したこの場所の変貌ぶりに驚いていた。

 

キャンディやポップと違い、やよいやれいかはメルヘンランドの土地勘はない。

だが、 明らかに以前来た時とは様変わりしていた。

 

地面からは角柱形のクリスタルが突き出ており、その全てが不気味に濁った水色をしており、 空を覆う暗雲が広場の不気味さを演出している。

 

「もうすぐ、ココにジョーカーとわたしたちが……。」

 

「来ませんよ?誰も……。」

 

背後から聞き覚えのある声がした。

 

振り返ると、道化師の様な男が立っていた。

 

背筋が寒くなるほど冷たい笑み。マスクから見え隠れした殺意と憎悪。忘れたくても忘れられない、ジョーカーが立っていた。

 

「ジョーカー!なぜあなたがココに!?」

 

「知っての通り、ココはキュアハッピーを依り代にピーターイマジンが飛んだ過去。それはもう既に改変されました。ココには誰も来ません。」

 

「そいつは違ぇな。ピエロ野郎……!」

 

モモタロスがジョーカーを睨んだ。

 

「この時間を生きてるテメェが、なぜこっちの事情を知ってんのか知らねぇが、例のイマジンをぶちのめせば時間の改変は止まる……俺たちは、まだ負けてねぇ!」

 

モモタロスに感化された様に、れいかもジョーカーに怒鳴った。

 

「答えなさい。イマジンは何処です!」

 

「あの丘の上ですが……どうする気ですか?」

 

「愚問だな……今からテメェも野郎も……!」

 

「お待ちください電王さん、ここは私が!」

 

 

戦闘態勢に入ろうとする電王を抑え、れいかはスマイルパクトを構えた。

 

「良いんだな?……任せちまって。」

 

「元よりこの男は、私が倒すと決めていたので。やよいさん、電王さんのサポートをたのみます!」

 

「分かった!」

 

丘に向かう二人を見送り、れいかもジョーカーに向き直る。

 

『プリキュア・スマイルチャージ!』

 

パフを身体にまぶすと、青い光が身体を包み、れいかはキュアビューティーに変身した。

 

「深々と降り積もる、清き心。キュアビューティー!」

 

 

 

 

 

 

 

メルヘンランド︙丘の上

 

 

「ようやく会えたな……エセピーターパンよぉ!」

 

ピーターイマジンは、丘の上から“何か”を見下ろしていた。 ここまで上り詰めた電王には目もくれることなく。

 

「少しは焦ったらどうだ?テメェの計画はもうすぐオジャンだぜ?」

 

「……『オレの』じゃない、あのお方(・・・・)の計画さ……見てみろよ、 面白いことになってるぜ?」

 

 

彼の横に立ち丘の下部分を見下ろすモモタロス。

 

この時間の(・・・・・)スマイルプリキュアが、この時間のジョーカーに苦戦していた。

 

「テメェ……!どう転んでもあのピエロ野郎とあいつらをぶつけるつもりで……!?」

 

「許せない……!!」

 

横にいたキュアピースも憤慨し、ピーターイマジンを睨んでいる。

 

「何怒ってる?作戦に万全を期すのは当然だろうが。っつー訳で……テメェら死ね!」

 

 

ビューティーとジョーカーは、何者にも甲乙付けがたい程の接戦だった。

満身創痍にも関わらず、ジョーカーは冷笑を、れいかは凛とした表情を崩さないまま、両者の剣は、美しく舞う。

 

先に折れたのは、れいかの氷の刃だった。

 

「もう、おしまいですか?」

 

「それは、こちらのセリフです!」

 

れいかの言葉に反応する様に、ジョーカーの鏡の盾は粉々に割れ、鉄のスピアは折れ曲がる。

 

「あなたの剣には、迷いを感じます……何故ですか、あなたは何を迷っているんです。」

 

ジョーカーは引きつった笑いを浮かべる。

 

「世迷い言を。私に迷いがあったとして、この戦いになんの関係が?」

 

「迷いある者には、剣ではなく言葉で諭すべし。」

 

「青木家の、家訓ですか?」

 

「いいえ……私の道です!」

 

ジョーカーはれいかの目を見た。数年前、一騎打ちした時と何も変わっていない。淀みは無く、空のように青く透き通り、何者も淘汰せず、受け止めようとする彼女の生き方を表す様だ。

 

(全く……彼女にはつくづく参りましたよ……。)

 

「良いでしょう。ならばお見せします!私の全力を!」

 

折れ曲がった鉄のスピアを、ジョーカーは一瞬のうちに修復、いや、“洗練”した。

 

 

鋭く尖った刃は、殺戮に満ちてはいるが、それはどこか寂しげで、その寂しさを紛らわす為に暴れる、若者の虚勢の様だ。

その虚勢の様な鋭利さに、れいかは憐れみさえ覚えた。

 

(可哀想。ジョーカーもあなたも、もっと美しくあるハズなのに……。)

 

そんなれいかの想いなど気付くハズも無く、ジョーカーは刃を思い切り振りかぶった……。

 

 

 

 

 

 

 

ピーターイマジンはドスの効いた声で叫び、頭部から無数の触手を発生させる。

 

すぐさまデンガッシャー触手でを捌きにかかるが、 本体の機動力は凄まじく、そう簡単にもいかない。

 

さらに、 接近戦に持ち込もうとすれば筋力と速度を兼ね備えたこいつに圧倒される。

 

『プリキュア・ピースサンダー!』

 

ピースが発生させた落雷は、邪魔な触手を除去するのに大いに役立った。

 

だがこれにより、ピーターイマジンはいきり立ち、標的を電王からピースに切り替えた。

 

「お前……小癪なマネをォ……!!」

 

ピーターイマジンの触手は容赦なくピースを締め付け、動きを封じた。

 

表情が苦悶に歪み、痛烈な呻き声を挙げる。

 

「待ってな!今助け……!」

 

「おぉっと!そうは行かねぇ!」

 

お留守になっているピーターイマジンの右手から青い波動が出た。それは、電王の体に電気ショックを引き起こす作用を持っており、彼の動きもまた封じてしまった。

 

「……クッソがぁぁぁあ!」

 

「死ね!プリキュア!」

 

薄れゆく意識の中、ピースが死を覚悟した時、真横から強烈な蹴りが飛んだ。見れば、 星空家に残してきたはずのみゆきが、キュアハッピーに変身した状態で立っていた。

 

背後には、デンライナーに合流したのか、ウラタロスと、あかね(INキンタロス)となお(INリュウタロス)もいた。

 

「やよいちゃんに、手を出さないで!」

 

「お前、なんで……!?」

 

「ハナさんに、イマジン皆に教えて貰った……心を強くする大事な言葉とか、私にとってかけがえない思い出を、心に集める。あと少し届かない、星空みたいな希望でも、諦めたらそこが終点。だから私は……未来を諦めない!」

 

「ほざけ小娘がァァァァァァァァァ!」

 

高らかに宣言するハッピーを嘲笑い、触手の猛攻を炸裂

する ピーターイマジン。 だが、イマジンへの望みを返上し、強く高き志を持つ今の彼女に、卑劣な連撃は届かない。

 

 

電王もハッピーに加勢、より強力な反撃に出る。

 

2つの思い 重なる時 誰も時止められない。

 

その平和を侵す者

 

「オレが!」

 

「私が!」

 

「「必ず倒して見せる!!」」

 

 

再びデンオウベルトにパスをセタッチ。但し、今度は『チャージ』も兼ねていた。

 

『フルチャージ』

 

と、同時に、ハッピーもスマイルパクトに力を込める。

 

「プリキュア……」

 

「必殺、オレの必殺技、スペシャルwith……。」

 

『ハッピー・シャワー!!』

 

ハッピーシャワーはピーターイマジンに直撃。闇の力の塊である彼に、この技は効果抜群だった。

 

動きを封じた好きに、電王は縦に一刀両断。ピーターイマジンは、苦悶の雄たけびを挙げ、爆発四散した。

 

電王とハッピーが握手を交わし、キンタロスとリュウタロスがあかねとなおから出る中、気付くべき疑問を最初に口にしたのはなお/マーチだった。

 

「ねぇ……ビューティーは?」

 

「そうだった!あいつに任せちまったんだ!下にいたピエロ野郎……。」

 

ドォン!

 

モモタロスの嘆きと間髪入れず、轟音が鳴り響き、丘の上にビューティーが転がってきた。

 

「ビューティー!!」

 

急いで彼女に駆け寄る電王とハッピー。

 

「野郎!散々痛めつけやがって!」

 

「女性に暴力振るうなんて……教育がなってないね。」

 

全員が、剣を持ったジョーカーに怒りの眼差しを向ける

 

だが、ハッピーは気付いていた。

ビューティーの身体に切り傷はほとんどない。

気を失ってはいる様だが、頭から足までボロボロのジョーカーに比べると随分軽症だ。

それに、なぜ下でとどめを刺さなかったのだろう?

 

ここへビューティーを引き上げれば、電王とプリキュアにまとめて出くわす事くらい、分かっているだろうに。

 

「ジョーカー、あなたの目的は何!?」

 

「キュアビューティーの動きを封じ、ピーターイマジンを勝たせる事。まぁ、たった今全てがパーになりましたが……。」

 

「違うでしょ!?いえ、最初こそはビューティーと戦うつもりだったかも知れない。でもじゃあ、なぜれいかちゃんの傷は深く無いの!??」

 

ジョーカーはやれやれ、とため息をつき、ハッピーに笑いかけた。

 

「あなたは一番頭が悪いと思ってたのに……仕方ありません。この場で決着を付けましょう!」

 

電王とプリキュア達は構え、ジョーカーは剣を持って突進するが、彼の狙いはプリキュアでも電王でもなかった。

 

プリキュアたちの背後にある、いこいの丘の下。

今まさに、“この時間の”プリキュア達とジョーカーが戦っている場所に全速力で向かった。

 

そして彼はそこで戦っていた人物に刃を突き立てた。

 

そう。 プリキュアたちを絶望の淵へを追い詰めている、自分自身に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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