プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~ 作:鈴木遥
・その日、仮面ライダーブレイドの世界を再びアンデッドが襲うなどと、誰が予想出来ただろうか。
いや、その街が『大貝町』である以上、そこは『ドキドキ!プリキュア』の
四葉財閥とトランプ王国からの通達を受け、
と四葉アリスが出動するが、慣れないアンデットを相手に完全にペースを呑まれている。
「何なのこいつら!どれだけ攻撃しても、倒れない!」
「この方々、ゾンビの様ですわ!」
「マナとまこぴーはまだ!?」
「マナちゃんは防衛省で対策会議、真琴さんはロンドンでライブ中ですわ!」
「要は私達だけで、食い止めるしかないって訳ね!」
諦めた様に皮肉笑いを浮かべる六花。だが、 その目には帰って先ほど以上の戦意が浮かび上がっていた。
死なない怪人。その対処法をしらない六花とアリスにとって、この戦闘はどう考えても不利に違いなかった。
背後から迫る二体のアンデッドから二人を守ったのは、
遅れて駆け付けたキュアエースとレジーナだった。
レジーナの背中には2人と同じく トランプ王国元王女アンの分離体、赤ちゃん妖精のアイちゃんがいた。
「ちょっとなあに!?マナがいないじゃない!」
「もう少し緊張感を持って下さい!あなたの背中には、アイちゃんがおりますのよ!」
「ぶぅ〜!」
ふてくされながらもエースに従い、背中のアイちゃんに配慮しながら『ミラクルドラゴングレイブ』を振り回すレジーナ。
エースもそれに続き、 アンデッドを次々となぎ倒す。
と、その時、立花の ラブリーコミューンに着信音が鳴った。
大貝町にある、トランプ王国大使館にいたはずのジョナサン・クロンダイクからだった。
『四人とも、大丈夫かい!?』
「そろそろキッツいですわ!」
「こらロゼッタ!弱音など、吐いてはいけませんわよ!
……ゼェゼェ……。」
「あんたも息上がってんじゃない!」
おそらく人生で初めてエースにツッコミを入れたレジーナ。そちらの微妙な漫才を放置し、ジョナサンは話を続けた。
『僕は今、『
「
「死なない……ということですの!?」
『……その様だね。だが案ずることはない。今「BOARD」の方で、追加の戦士を派遣してくれるらしい。彼が対処法を知っているそうだから、彼が到着するまで、持ちこたえてくれ!』
「持ちこたえろったって……!」
通信が切れたコミューンを睨みながら、立花は皮肉笑いを浮かべる。
「上等じゃない!やってやるわ!掛かって来なさいアンデッド!」
「六花。はしたないですわよ?」
エースの短い説教にテヘペロ、と返し、戦闘態勢を整える六花。
「果たして何分保つかな……?」
聞き覚えのある低音に、思わず身震いした六花。
振り返ると、そこには初老のグラサン男がいた。
とはいってもそいつは人間ではなく、かつて『ドキドキプリキュア』により倒された 強敵ジコチューの一人、『ベール』だった。
「ベール……!あんたが何故ここに!?」
「ブラックホール様の力で蘇った『パラドキサアンデッド』殿に勧誘されてな……他の連中は良いが、『イーラ』の奴は標的がプリキュアと知ると 血相変えて逃げ去った。 お前のせいだぞキュアダイヤモンド……!」
「 何の話!? どうして私が……!」
「 惚けてくれるなよ。あいつが貴様に惚れていたこと、 貴様は気づかなかったわけでもあるまい……!」
「……こへやったの!?」
立花はボソリと言った。
「よく聞こえんなぁ、もっとはっきり……」
「……イーラを、どこにやったの!!?」
鬼気迫る立花の怒号に、思わず後ずさりするベール。
「 我々も奴の行方は知らんが、どのみち見つけ次第、ブラックホール様の尖兵に仕立て上げるつもりさ。もう十分か?…… お前たちには 先に死んでもらう!行け 、アンデッドどもよ!!」
急襲する上級アンデッド達。避けるヒマなく身構える六花達だったが、その瞬間、彼らは突如、背後からの氷弾の嵐に倒れた。
背後には、クモを模した緑と黄色の仮面ライダーが立っていた。
「遅くなりました。プリキュアの皆さん。」
「BOARDの方ですの?」
「睦月といいます。派遣の者ですが、一応戦えます。」
安堵からか、会話を弾ませるエースと睦月/仮面ライダーレンゲル。ベールは、歯がゆそうに両者を睨んだ。
「チッ……また余計な横槍が……!!」
ベールが焦っている間に、睦月は倒れたアンデッド達を『ラウズカード』に封印、アンデッド達はカードに吸収され、跡形もなくなった。
さらに焦りを増すベールは空間に穴を開けた。
『イーラも、世界の行く末も、貴様らには何一つ守れはせん!』
邪悪な宣言を残し、空間の穴を通って、ベールは何処かへ姿を消した。
アンデットを全て封印し終えた睦月は、ドキドキプリキュアの三人に向き直り、深々と頭を下げた。
「幾らプリキュアと言えど、君達だけにアンデッドを戦わせてしまって、すみませんでした!」
「いえ……わたくし達も、助けて頂けましたし……。」
「今は、彼らをどう対処するか、そちらの方が先決ですわ。」
「そうですね、案内します。BOARDの現所長、橘のところへ……。」
睦月が手配したBOARDのワゴン車に乗り、彼とドキドキプリキュアの一同は、BOARDの事務所に向かった。
血に塗られた真っ赤な夕日を目の前に、彼女たちには、それに負けない程の熱き闘志が秘められていた……。