プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

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本作の登場人物

プリキュアサイド

・ポルン
うす緑の耳と王冠がトレードマークのうさぎに似た妖精。
『光の王子』を名乗り、『未来を光へ導く』事を使命とするらしいが、それがどの様な使命なのか、誰にも分からない。

・光のクイーン
宇宙にあまねく光の化身。以前は巨大な女性の姿だったが、『闇の化身』ドツクゾーンとの戦い以降、小さな妖精の姿に。

・ブラックホール
劇場版プリキュアオールスターズDX3に登場。
劇場版プリキュアシリーズの悪役達を復活させた『邪悪の神』。



仮面ライダーサイド

クウガ/小野寺ユウスケ
長野県九郎ケ丘遺跡から出土した『古代戦士の力』を用いる、平成最初の仮面ライダー。

アギト/津上翔一
光の神の力を宿す輝石、『オルタリング』の力で変身する仮面ライダー。

ディケイド/門矢士
異世界の仮面ライダーの力を借りたり、各異世界を行来出来る仮面ライダー。
備考、アマチュアカメラマン





光の王子、成長せり

・久しぶりの帰郷だと言うのに、光の王子ポルンは腹を立てていた。

光のクイーン直々の呼びだしだと言うから、急いで駆けてきたは良いが、王宮のバルコニーで待たされて間もなく30分。やることもなく、ただ時間だけが過ぎて行く。

 

「クイーン何やってるポポ?ヒマ過ぎて死にそうポポ。アニメが一本見れちゃうポポ~!」

 

そうこう駄々をこねているうちに、ふと頭上から声がした。

いや、厳密に言うと、王宮の最上階にいるクイーンが、ポルンの心に声を届けているのだが......。

 

『待たせてすみませんねポルン。』

 

「誰ポポ?もしかして界王さ......。」

 

『違います、ポルン。あなた何回この声を聞いてるの?いい加減覚えて下さい。それといくらなんでも界○様はダメ。ボケるにしても節度を持って......ね?』

 

「わかったポポ。」

 

『(うん絶対分かってないなこの子......まぁいいか)さぁポルン、『女王の間』へどうぞ。』

 

王宮はそれほど広くない。2階に上がり、中央の大扉を開くと、そこにクイーンがいた。

闇の下部達『ドツクゾーン』との戦いの後、全てを生み出す力によって自らの命の分身である『シャイニールミナス/九条ひかり』の存在を留めたことで、今ではクイーンの志の分身である『ハーティエル』に近い姿だ。

 

クイーンの変化もそうだが、それ以上にポルンの目にとまったのは、玉座の脇に控えていた見知らぬ男だった。

 

『元気そうですね、ポルン。なぎさ達はどうしていますか?』

 

「みんな元気ポポ。なぎさ、ほのか、ひかり、メップルもミップルもルルンも、みーんな元気ポポ。」

 

なるべく明るく答えたつもりだが、内心嫌な予感がしていた。クイーンがなぎさ達、プリキュアの安否を確認する時は、必ず何か、心配の種がある時だ。

 

「クイーン、なんで今日はポルンだけ呼んだポポ?もしかしてまた、悪いヤツらが......!?」

 

クイーンはコホンと一つ咳払いし、玉座の脇の男に手招きした。

男は快くポルンの前に出た。ポルンはまだキョトンとしている。

 

「この人誰ポポ?もしかしてクイーンの今の旦那さ......。」

 

「違います、話が飛躍しすぎ。それと『今の』とか言わない。読者のみなさんに私バツイチの印象持たれたらどうしてくれるんですか?」

 

男は苦笑いしながら、ポルンに自己紹介した。

 

「そう、残念ながらオレは、クイーンの旦那さんじゃない。今は『光の戦士』の一員としてココにいるんだ。」

 

「光の戦士?もしかしてプリキュアポポ?お兄さん(色んな意味で)勇気あるポポ~!」

 

「そうじゃなくてね?えー、クイーン、どう説明したら良いのかな?」

 

「悪と戦う戦士はプリキュアだけではないのです。プリキュアと同じチャンネルで30分早く戦って来たのです。“その世界”で彼は『仮面ライダーアギト』と呼ばれているそうです。」

 

「仮面ライダーはアギトだけじゃないだろ?」

 

背後から、またもや知らない声がした。

見れば、首に小型カメラを下げた青年が立っている。隣には、バイクのヘルメットを抱えた青年も立っている。

 

『これはすみません。アギトの彼はあなたに紹介していただいたのでしたね。門矢さん......。』

 

「妖精の坊や、オレたち『平成仮面ライダー』は初代プリキュアの三年前から戦って来た。常識だぞ。覚えておけ。」

 

「改めて、『仮面ライダークウガ』こと小野寺ユウスケです!よろしく。」

 

ヘルメットの男が名乗った。

 

「仮面ライダーアギトこと津上翔一です!よろしく。」

 

と、玉座の脇にいた男。

 

「世界の破壊者/仮面ライダーディケイドこと門矢士だ。」

 

と、カメラの男。

 

「中二病かポポ。」

 

「張り倒すぞ。このウサギもどき!」

 

ポルンの辛辣なコメントに、耳まで真っ赤になる士。

間に割って入ったのは、ユウスケと翔一だ。

 

「はいはいそこまで。クイーン、本題に入りましょう。」

 

「やっとですね、いつ突っ込んで良いか迷っていました。」

 

「そうだクイーン、オレたちをこんな遠方の園に呼びだしてまでの急用って、一体何なんだ?世界で今、何が起きている。」

 

士の質問に、クイーンは一瞬口を閉じた。

数秒経ってから、彼女はゆっくり口を開いた。

 

「ポルン、あなたは覚えていますか?『ブラックホール』の事を。そして門矢さん、覚えていますか?『月影ノブヒコ/シャドームーン』の事を......。」

 

その名を開くと、ポルンは固まった。

かつて、世界の暗黒化とプリキュア撲滅を企み暗躍した闇の権化『ブラックホール』。その圧倒的な力を前に、自らも、プリキュア諸とも一度は絶望せざるを得なかった。

結局は、プリズムフラワーの恩恵を受けたプリキュアオールスターズの奥義によって見事勝利したが、“ソイツ”の姿は、拭い去れない恐怖の象徴として焼き付いている。

 

忘れようにも、忘れられない。

 

士の脳裏には、銀色の体に、虚ろな緑の目をした戦士が浮かんだ。

『月影ノブヒコ/シャドームーン』だ。

記憶のないままで帰り着いた士の世界で、彼の留守中に彼の妹の小夜を世話した孝行人。

......かと思えば、ショッカー首領の座と全仮面ライダーの抹消を目論む悪党だった。

 

「でもブラックホールはプリキュア達がちゃんと倒したハズポポ?」

 

「プリキュアの敵についてはだいたいわかった。だがアイツは古株ライダー達と協力して確かに倒したハズだが?」

 

『まずはブラックホールについて説明します。彼はプリキュアに敗れた者達の“邪悪な思念”の集合体。

言い換えれば、そこに“邪悪な思念”が一定量あれば彼はいつでも復活することができる。

......考えて見てください。異世界から迷い込んだ魂は、どこの世界の誰であろうと、吸い込まれ、彼の一部となり、彼の暗黒の思想を全うする手足としてよみがえる。それが月影ノブヒコ/シャドームーンだったとしたら......。』

 

「なるほど、だいたいわかった。」

 

「ブラックホールが、また襲って来るポポ?」

 

『......恐らく。でも心配はありません。パルミエ王国のココ、ナッツ国王にゴッド・ブルー、フローラさんとスイーツ王国のタルト王子と長老、メイジャーランドのメフィスト王、トランプ王国のジョナサンに連絡が着きました。すぐにでもプリキュアオールスターズの協力を仰げるでしょう。』

 

「フィーリア王女は呼ばないポポ?」

 

『彼女を呼んでも一ミリの戦力にもなりません。むしろ妙な悪巧みでもされたら、戦いに支障が出ますから。

splash☆starのみなさんには妖精づたいに協力要請しましょう。』

 

どこかの泉から、バカデカイくしゃみの音がした。

 

「念のため、異世界のライダー達に情報を橋渡ししといて正解だったな。アイツらは頼れる。」

 

『感謝します。門矢さん......。』

 

「士、ユウスケ!オレはひと足先に?カブト、龍騎、ファイズ、キバと合流して、そこから『プリキュア5』と落ち合おう。」

 

「んじゃ、オレは引き続き、ライダー達の協力を煽ってみる。最も、すでに敵の手が回ってないとも限らないがな......。」

 

翔一が園の出口に走り出した。と同時に、士が世界を別つオーラに乗り、姿を消すと、室内はクイーンとポルン、そしてユウスケの三人だけになった。

静かになって冷静さを取り戻したからか、ポルンはつい忘れていた疑問を思い出した。

 

「ポルンは、どうすればいいポポ?」

 

この大変な時に、やることがない。

使命感の強いポルンにとって、それは一種の恐怖だった。

なぜ、クイーンは自分を今日ここへ呼んだのか?

なせ、自分にだけ仮面ライダー達を紹介したのか?

疑問符ばかりが並び、不安で涙が溢れて来る。

 

『......ポルン。あなたを今日ここへ呼んだ理由は他でもないです。あなた、戦士として目覚める気はありませんか?』

 

「......へ?」

 

今度はボケたわけではない。本当に分からなかったのだ。クイーンの言葉の意味が......。

 

『知っての通り、今回の戦いは、これまでにない程過酷なものになるでしょう。未来をひかりへ導く力をもつあなたが戦士として目覚めれば、少しでもなぎさ達の助けになるやも知れない......。』

 

「そんな事が出来るポポ?」

 

『やり方は簡単です。パルミエ王国とトランプ王国ですでに完成した秘術で、今や妖精が人になる事自体珍しくない......ただ、戦士としての力を得るとなると、話は別です。とてもリスクが高い。妖精に戻れなくなったり、体に不調が出たり、最悪の場合死にます。

ですから、よく考えて見て......。』

 

「やるポポ!」

 

あまりの即答に、クイーンは一瞬たじろいだ。

 

『ポルン、先程も言った通り、この秘術は死の危険が伴います。まだ敵はなぎさ達に尖兵を送っていません。

もう少しよく考えて......。』

 

「でも、ポルンはもう弱いのイヤポポ!なぎさ達を、ひかりを助けてあげたいポポ!」

 

涙ながらに、大声を挙げて訴えかけるポルン。

分かっていた。自分の言ってる事は、支離滅裂なワガママだ。

だが、ポルンはよく知っている。

 

未熟さ故に、誰かを守れないなぎさの悔し涙を......。

闇と光という壁に阻まれ、愛する者と永遠に別れ、夜通し泣いたあの日のほのかを......。

誰かと解り合う為に、時に迷い、時にすれ違ったひかりの苦悩の日々を......。

どんなに強くても、立ち止まってしまう日もある。

果てし無いその不安と、戦うプリキュア達が好きだから......。

 

『やり方は簡単です。これから私が放つ“伝授の光”を受け止めきれればいい。やりますか?』

 

強くなりたい。その気持ちに迷いはなかった。

そのポルンの瞳を見たクイーンは、どこか諦めた様にため息をつき、『分かりました』と一言言うと、手の中に光の珠を作り出した。女王が手をパーしポルンに見せると、それはやがて肥大化し、ポルンの耳と同じうす緑色に変わる。

それが今のクイーンの体程の大きさになった頃、光の珠から一筋の光線が出た。

 

『リンク・ロイヤルコンテンツ!!』

 

それはポルンの体を貫き、彼の全身をほとばしった。

瞬間襲う激痛。ユウスケは黙って見守る。

ポルンとかつての自分に、重なるモノを感じたからだ。

 

光夏海を守る為、なんの迷いもなく命を張る士。

彼の様になりたいと、何度思った事だろう。

彼は掴めない男ではあった。だが、イヤだからこそ、今なら思える。

士の様になるのではない。

士と共に戦える男になるのだ。今のポルンも、そうなりたいのだろう。

プリキュアとはまた立場も違うが、同じ男として、彼の覚悟を見届けたい。

 

 

「強く......強く......強くなるポポー!!」

 

 

数秒後、クイーンとユウスケの前に立っていたのは、王子の威厳と、勇気と覚悟に満ちた、うす緑色の髪をした青年だった。

 

to be continue

 




また二次創作に手を出してしまった......。それも今度はプリキュアと仮面ライダー、無茶全開のコラボだなー。

という事で、どうもこんにちはー、鈴木でございます。
今回はこれまた異色のコラボですね。
とは言うものの、書いちまったから仕方ない。
襲い来る月影、ブラックホール連合軍を前にプリキュアと仮面ライダー達 は如何にして立ち向かうのか、まだ誰にも分かりません。残念ですが作者にも......(泣)

という事で、どうかよろしくお願い致します。

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