ハリーポッターと新聞記者   作:十凶星

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投稿遅れて本当にすみませんでした!

 いや、だってですね、あれなんですよ、学校の先生が一日六時間勉強しろとか言うから!六時間ですよ!?一日起きている時間の半分くらいを勉強に取られるんですよ!
 アハハはハはハははハハハははは(壊)

……では、どうぞ……


第七話 ドラゴンと新たな参加者

 はぁい。私よ、八雲紫よ。私は今、魔法の森の奥深く、暗い洋館の前に来ているわ。ホグワーツの脅威は見逃せないことだし、根回しはしておくに越したことはないでしょうしね。

 何?いつもはこの時期は冬眠しているんじゃないのか?ですって?流石に私も幻想郷の危機にもなって寝ているほど悠長な性格をしているつもりはないわ。まぁ、幻想郷に仇為す存在を幻想郷が受け入れようとも、幻想郷の住民、ひいては私が許す事はないでしょう。許されざる存在は許されざるままに受け入れられ、存在していかなければならない。幻想郷は全てを受け入れる。それはそれは残酷な話ですわ。魔法界という幻想郷を壊してしまうかもしれない世界が幻想郷に入り込もうとするのなら、幻想郷が受け入れようと、この私が許すことはない、という事ですわ。

 

 そんな些事は置いておいて、目の前のことに集中致しましょう。私が今からしなければならないことは、アリス・マーガトロイドの説得よ。マーガトロイドだけならば私も簡単に説得できるのだけど、何せあの子には『神綺』という神様(化物)がバックについているのだから少し難しくなってしまったわ。ただし、あのこが神綺をあまり好ましく思ってないことが幸いね、そうでなかったら幻想郷には来ないでしょうし

「それで、またホグワーツへのお誘いなのかしら、私は行かないといったはずなのだけどね」

「あら、貴女の住んでいる幻想郷の危機なのよ?動く理由としては十分と思うんだけど、どうなのかしら?ああ、そうでしたわね、貴女には魔界という拠り所があるのよね」

「はぁ、私は別に魔界に行くなどと入ってないわ。ホグワーツというあまり知らないところに行きたくないだけよ。イギリスは私の出身国とはいえ、そんなに思い入れがあるわけでもないし。ああ、紅茶がまだだったわね、上海、紅茶を持ってきてくれるかしら、いつものでいいわ」

 シャンハーイという可愛らしい声を上げて、アリスと同じ金髪をして、しかし大きさは私の掌ほどの大きさしかない小さな小さな人形が紅茶を持ってきてくれたわ。私は差し出された紅茶を出来るだけ優雅に見えるように受け取ると、一口だけ紅茶を飲む。

「そうね、貴女が行きたくないという気持ちがあるのは分かるわ。私も貴女の事はある程度知っているつもりですわ、あの場所での一件から本気を出すことがなくなったという事も、理解はできるし、心情だって慮れるわ。それでも幻想郷を愛する者としては、幻想郷が危機にさらされている時に動かないわけにはいかないのよ。どうかしら、ここまで言ってもダメというのならば諦めるけれど、受けてはくれないかしら?」

「……まぁ、私も幻想郷がなくなっては困るし、受けることは吝かではないのだけれど、幾つか報酬をもらえないかしら?具体的には外の世界の生地と、魂に関する本を幾つか見繕ってもらえると嬉しいわね」

「あら、その程度なら造作もありませんわ。それでは、契約成立ですわね、では、杖などはオリバンダーの店で買うとよいでしょうね、ホグワーツで杖なし魔法ばかり使う訳にもいきませんしね」

 

 私はにこりと微笑むとスキマから色々なものを取り出す。具体的には前報酬という奴だ。色とりどりの布を取り出していく私を見て、アリスの顔が綻ぶ。やはり好きなものを前にすると嬉しいのだろう、いつもの彼女からは考えられないような顔をしている。私が「そんなに嬉しかったのかしら?」というと彼女は顔を赤らめて誤魔化してきたわ。なんだろう、この可愛さ。

「いいですわ、では学校は九月から始まります、それまでは自由にしていただいて構いませんわ。人形の開発に励むもよし、ホグワーツの事を知りたいのならば本をお貸しいたしましょう。一か月前になったらイギリスへと旅立っていただきます。では、ごきげんよう」

 そう言って私は後ろに家へとつながるスキマを開き、そこへと潜り込む。家――マヨヒガの更に奥、冥界に近い所に位置している――につくとすぐに藍が出迎えてくれたわ。藍は真面目なのだけど、その分柔軟な発想がたまに出来ないことがあるのよね~。それさえできれば料理もできて優しい、完璧な従者なのd「ずっと家にいて寝ているだけの紫様にだけは言われたくありません、大事の時しか動かないし、その癖して場を引っ掻き回そうとするじゃないですか」

「あら、主の心を読もうとする従者にも言われたくないわね」

 軽口を叩きながら家の中へと入る私達。藍が食事をお持ちしますというので、私は居間へと入って座って待つ。少しすると、藍が土鍋をもって居間へと入って来た。中を見ると何も入っていなかったの。しゃぶしゃぶだというので大人しく待っていたけれど、肉の量は相当あったはずだし、人を呼んでも構わないだろう。

 

「アリス、ア~リ~ス~、貴女今暇かしら、どうせなら家でご飯食べてかないかしら?しゃぶしゃぶなんだけど、肉の量が多分余っちゃうのよね、幽々子は流石に呼べないし、いい?」

「……貴女、さっきまでと態度が変わりすぎじゃない?吃驚したわ、別にいいけれど、他に誰か呼ぶの?靈夢が来るのなら嫌よ、あの子とはあまり会いたくないわ。合わなければならないのなら別だけどね」

「私と藍とあなただけよ、安心しなさい、小規模な宴会みたいなものよ」

「ならいいわ、そのスキマで行くのでしょう?入りましょうか」

 そう言って私のスキマへと潜り込んでいくアリス。……なんか私のスキマって言うと誤解を生みそうね、スキマへと入ると、予想してたのか半分呆れ気味な藍が出迎えてくれた。私ってそこまで信頼されてないのかしら?

 

「紫様がそうなさるだろうという事は予想していましたので、ちゃんとお酒もご用意してありますよ」

「ありがとう、藍。さ、アリス、今日は酔って何をしようとも構わないわ、思いっきり楽しんでいってね!」

 

 

――――――――――――

 

「ふぁあ、あふ」

 大欠伸をしながらベッドから起き上がる私。最近はいつもこのくらいの時間に起きていて、もっぱら新聞製作にいそしんでいる。スキマから新聞製作用の道具などが届いたからだ。

「えっと、確か前回は魔法薬の作り方まとめとか、変身術の先生に取材をしたんだったわね、今日はどうしようかしら、どうせ今日はグリフィンドールとハッフルパフのクィディッチがあるし、それでいいわよね」

 今日は確かスネイプ先生が審判をするということで話題になっていたはずだ、それを記事にしようか。私が大広間へと降りていくともう何人かの人はテーブルに座って談笑していた。ダフネやパチュリーはまだ起きてきていないので、一人でテーブルに座る。今日は特に寮関係での用事は無かったはずなので、ゆっくりと食事をすることができる。クィディッチがあるとはいえ、外来である私にとって出る義理はないはずだ。

 

 もそもそとサラダを頬張りながら、日本食について考える。確かこの学校には屋敷しもべと呼ばれる妖精がいたはずだ。紅魔館にいるメイド妖精みたいなものだろう(仕事量に関してはこちらの方が断然やってくれそうだが)。ならば厨房があってもいいはずだ、厨房に行けば日本料理を作ってくれと頼むこともできるはず、そうすれば私の食べたい日本料理だって作ってもらえるだろう。久々に食べることを思うと今から楽しみだ。そうときまればすぐにでも厨房の位置を聞いてこなければいけないな。

 そう思い私はグリフィンドールのテーブルでパンを口いっぱいに詰め込んでいるウィーズリー兄弟の処へ向かう。城の色々な抜け道を知っている兄弟ならば厨房の入り方だって知っているだろう。

「フレッド、ジョージ。あなた方、厨房への入り方を知りませんか?日本料理が恋しいんですけど、食べることができなくて困っていたんですよ」

「ああ、知ってるぜ」

「地下廊下の外にある果物かごの絵の梨の部分をくすぐるんだ。すると絵が開いて厨房へと入れるようになる」

「ん、ありがとうございました。次の新聞も楽しみにしていてくださいね~」

 

 ご飯を食べ終わって、兄弟から聞いた地下廊下へと向かう。言われたとおりに梨の部分をくすぐると、絵が扉のように開いて大広間と同じ構造をした空間が姿を見せた。中では小さな小人がせっせと働いていて、時折カチャカチャというような音が聞こえてくる。何人かの屋敷しもべ妖精がこちらに気づいて近寄ってくる。近くで見るととても気持ち悪い。耳は不自然にとんがっていて、目は飛びだし、ひょろっとしたというかがりがりな腕を持っていた。話し声はキーキーと耳障りで聞いてると不快になる。

「どうしました?」

「えっとですね、私の席――スリザリンの一番端っこなのですが――にですね、日本料理を出していただくことはできないでしょうか。勿論、出来ないことをやらせているので何か欲しいものがあれば言ってください」

「いえいえ、そう言ってもらえるだけでも私共と致しましては光栄の至りでございます。日本料理でございますね、数日はかかるかもしれませんが、構いませんか?」

「大丈夫ですよ。ありがとうございます」

 そう言って私は厨房から出ていく。良し、これで明日か明後日からは日本料理が食べられるようになるはずだ。私はクリスマスに家に帰っていないので日本料理を食べられる機会があるのはとても嬉しいこと。フレッドとジョージには感謝しなきゃ。パチュリーはそういえばクリスマスは何をしていたのだろう、紅魔館に帰ったというのは知っているけれど、帰って来たのが授業が始まる一日前とかだったから何をしていたのか私も知らない。

 

 私がクィディッチの会場につくと、グリフィンドールの席は沸き立っていて、スリザリンは逆にブーイングの嵐だった。何故だろう、私がグリフィンドールが絶対に追いついけないくらいに点差をつけて勝っていたと思うのだが。先に座って待っていてくれたパチュリーによると、今のスリザリンとの点差は240点だそうだ。ここでハッフルパフに240点差以上をつけられればグリフィンドールの勝ち、そしてできなかったのならばスリザリンの勝ちとなる。

 私とパチュリー、そしてダフネが座ったのはたまたまハーマイオニー、ロンの隣だった。ロンがやはりすごい目で見てくる。

「何でスリザリンがここに座るんだよ」

「あやややや、寮で別れて座らなければならないとは言われていませんよ?それにここ以外に席が空いていなかったのですよ~。すみませんねぇ」

「文、ロンもよ。喧嘩はやめなさい、ここでしても意味ないでしょう?」

 試合が始まった。が、すぐに終わってしまった。ハリーがスニッチを取ったのだ。結果は200対30。スリザリンの優勝だ、ハリーはスニッチを反射的にとってしまったのか、びっくりした顔をしている。

 その後ハーマイオニーとロン、ハリーに「ニコラス・フラメル」について聞かれたので親切に答えてあげた。ダンブルドアと一緒に賢者の石を開発した人物で、六百年以上生きているという感じだ。それで何か思いついたのかハリーとハーマイオニーはしきりに礼をしてきた。

 

「文はすごいわよね、パチュリーも。私追いつける気がしないわ、何か呪文について教えてくれないかしら?私も強くなりたいのよ」

「あら、そんなこと考えてたの?最近物静かだと思っていたら。別にいいわよ、必要の部屋ならば誰かに見られることもないでしょうし。行きましょうか」

 パチュリーがいつもの地図を取り出し、必要の部屋の場所をぐっと押す。いつものように下に魔法陣が現れ、くるくると回りながら私達の体を飲み込むと、私達は必要の部屋の前の絵へと来ていた。パチュリーが壁の前をサンド往復する。壁が引っ込んでいき、必要の部屋が私達の前に姿を現した。

「ここよ、貴女にはこれから五段階に評価を分けて特訓を行ってもらうわ」

 そう言ってパチュリーがホワイトボードを取り出してくる。そういえば今日の部屋は紅魔館の図書館だ、懐かしい。本を手に取り、パラパラとめくってみる。本の中身のちゃんとコピーされているようで、しっかり読むことができた。

 ちなみにパチュリーの言う五段階とはこんな感じだ。

 

 第一段階 一、二年生の呪文が問題なく使える

 

 第二段階 三から五年生の呪文が問題なく使える 無言呪文でも可 O.W.Lレベル

 

 第三段階 六、七年生の呪文が問題なく使える N.E.W.Tレベル

 

 第四段階 闇払いになれるくらいのレベルの魔法がすべて使える

 

 第五段階 オリジナル魔法を作れるようになる 又は杖なし呪文が使えるようになる

 

「これに従って魔法の技術を高めていってもらうわ。文はそこに実験室を作っておいたから好きなことをしていなさい、魔法を作るのでも、触媒魔法を高めるのでもいいわ」

「あいあい、分かったわ。じゃあダフネ。逝ってらっしゃい」

「凄い邪悪なものを感じたんだけど、気のせいよね?」

 私は実験室へと入ると、これから先聞こえてくるであろう悲鳴が聞こえないように耳栓をして、自分のオリジナル呪文、そしてスペカの開発に着手し始めた。

 

 

 

 

 

 

 こんにちは、アリス・マーガトロイドよ。私は今、紫のスキマに連れられてダイアゴン横丁へと来ているわ。生まれ故郷とはいえ、私の故郷と呼べる場所なんて魔界くらいしかないのだから、特に感慨があるわけでもないのだけどね。それは置いといて、えっと、まずはお金だったかしら。錬金術もある程度は修めているから、金程度ならばいくらでも生み出せるし、宝石をマグルだったかしら、のところで売って、そのお金をこっちで換金すればいいのだけどね。

「上海、蓬莱、大丈夫?あまりはぐれないでよ、人混みがすごいからはぐれると見つけられなくなっちゃうわ」

 シャンハーイ、ホラーイといつも耳にしている返事が届く。半自立化に成功しているとはいえ、完全自立人形の政策は難航しているのよね、最近は付喪神化を早めることができないか考えているのだけど、それを果たして完全自立人形と呼べるのかしらね。妖怪になってしまったものは人形かというだけなのだけど。

 グリンゴッツでお金を預け、いくらかのお金を手元に入れて最初に向かったのはオリバンダーの店。紫が言っていたのだけど、あそこはイギリス一の杖専門店らしい。

 店内に入るとかび臭い匂いとともに木の臭いがこちらへと香ってくる。現れたのは何歳かもわからない程に年を取った老人。人間のはずなのに変な気を醸し出しているから、一瞬引いてしまったわ。なんなのでしょうね、この人。

「いらっしゃいませ」

「こんにちは、オリバンダーさん。私、アリス・マーガトロイドというわ。今日は杖を買うためにこちらに来たのだけど、大丈夫かしら」

「おお、大丈夫ですとも。マーガトロイドさんですね、では、拝見いたしましょうか。何方が杖腕ですかな?」

「杖腕?……ああ、利き手の事ね。右手よ」

 私がそう言って右腕を差し出すと、オリバンダーさんは肩から指先、手首から肘、肩から床、膝からわきの下、頭の周りと寸法を採った。……最後のは要らないと思うのだけれど、どうなのかしら?

 測りながら老人は話をつづけた。

「マーガトロイドさん。オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔力を持ったものを神に使っております。一角獣のたてがみ、不死鳥の尾の羽、ドラゴンの心臓の琴線。一角獣も、ドラゴンも、不死鳥も皆それぞれに違うのじゃから、オリバンダーの杖には一つとして同じ杖はない。もちろん、他の魔法使いの杖を使っても、決して自分の杖ほどの力は出せないわけじゃ」

「では、これをお試しください。樫の木に不死鳥の羽根。二十センチ、良質で折れにくい。手に取って、振って御覧なさい」

 私が杖に魔力を込めながら振り上げると、杖の先からレーザーのようなものが出て、壁を壊してしまった。謝るとオリバンダーさんは「よいよい、この程度のお客さんなど普通じゃよ」と言っていた。魔法界の魔法ってそこまで物騒なものだったのかしら?死の呪文とかあるから相当なのでしょうけれど。

「次ですな、あまりない組み合わせですが、椿にグリフォンの尾の毛、二十二センチ、しなやかで折れにくい。振ってみて下され」

 先ほどと同じように杖を振り上げると、杖の先から色とりどりの花が飛び出していった。花はオリバンダーさんの店の中をくるくると駆け回ると、私の杖の中へと戻っていった。

「おお、これですな。これは物体操作などの呪文に最適なのですぞ、良かった良かった」

「代金はいくらですか?」

「七ガリオンでございます、マーガトロイドさん、ありがとうございました」

「ええ、ありがとうございました」

 

 私はオリバンダーさんに見送られて店を出た。次は鍋を売っているお店へと向かうわ。鍋自体は持っているのだけど、材質が違うから買わないといけないらしいわ。鍋なんて材質はいつでも変えられるのだからどれを持っていようと同じなのだと思うのだけど、魔法学校ともなるとそういうのはしっかりしなければならないのかしらね。

 次に向かわなければならないのは教科書の処ね、確か来年から新しく入れなければならない教科書が増えたらしいからいろいろ買わなきゃならないらしいわ。中を見たけど半分以上が小説みたいなものでがっかりしたのよね、正直こんな本を買わせる先生ってどんな人なのかしら?何だか胡散臭い内容のものが多いし、本当にやったことなのかどうかも曖昧よね。

 ギルデロイ・ロックハートと言ったかしら。この本を本当にやったことならば凄いと思うけれど、嘘の可能性が高いでしょうね。犯罪の臭いがすごいするわ。

 確かホグワーツには二人幻想郷からの人が言っているのよね。誰だかは結局教えてくれなかったけれど、幻想郷の人たちと会えるのは楽しみだし、それより魔法を教える学校なんてわくわくするわね、楽しみだわ。

 

 

 

 

 

 

「それで、マルフォイ?どうしたのかしら、そんなに焦った顔をして。急に女子寮に大声を上げないで頂戴」

「あいつだ、あの三人だ!ドラゴンだ!ドラゴンをあいつら匿っているんだ!」

「ドラゴン?そんな事あるわけないじゃない……と言いたいのだけれど、ハグリッドが関わっているのでしょう?あの森番ならやってもおかしくないわ。証拠はもちろんあるのよね?」

「ああ、あるさ!この手紙だよ!」

 そう言ってマルフォイが突き出してきた手紙にはノルウェー・リッジバックを引き取るという旨が書かれていた。時刻は土曜日の真夜中らしい。罠の可能性もあるので、姿を消すことのできないマルフォイでなく、私とパチュリーが行くことになった。地獄の特訓のおかげでダフネもだいぶ魔法の扱いが上手くなっているのだが、まだ目くらまし呪文をしっかり使えるほどではないので今回はお留守番だ。不満を垂れていたがこれに関しては仕方がない。早く出来るようになればいいのだ。死ぬほど辛かったとしても。

 

 土曜日の零時、私とパチュリーは天文台の頂上に来ていた。ダンブルドアが来てもバレないよう、魔法界の魔法ではなく、触媒呪文と精霊呪文を組み合わせた魔法を使っているので、痕跡もほとんど見ることができないはずだ。少しするとマクゴナガル先生が来た。私達はばれないように魔法陣の中でうずくまって息をひそめていた。マクゴナガル先生はきょろきょろと天文台の中を見渡すと、すぐに帰っていった。ほぅ、と私達は安堵の息を漏らした。

 ピッタリ零時。何人かの人たちが箒に乗ってやって来た。その後すぐにハリー達もやってくる。リッジバックが入っているであろう箱を引き渡そうとした瞬間、私達は動き出した。合計六人いる人たちの全員に失神呪文と睡眠呪文を重ね掛けすると、その場に手紙を置いていった。「ノルウェー・リッジバックが中に入っています。気を付けてください by密告者」というものだ。私達は安心して談話室へと転移した。階段を上る音が聞こえてきたからだ。

 談話室へと戻ると、ダフネがぴょんという擬音が似合いそうな様子で抱き着いてきた。私は後ろに倒れ込みながらダフネを受け止めると、ソファーへと座り込んだ。

「どうしたのよ、そんなに慌てて」

「いやぁ~、ちゃんと帰ってきてくれてぇ嬉しいのよ~。あなた達の事だから大丈夫だと思っていたとはいえ、良かったわぁ」

「ダフネ、貴女酔ってるんじゃないの?口調も態度もいつもと違いすぎるんだけど」

 

 ダフネがすりよってくる。テーブルの上にお酒らしき瓶がおいてあるのできっとそれを飲んだのだろう。パチュリーが呆れたような目で見てくる。まぁ、傍から見たら危ない場面であろうことは否定しないが、助けてくれてもいいんじゃないだろうか。別にいやな思いをしているわけでもないのだが。私がダフネの肩の上からパチュリーに話しかける。

「結局ハリー達は捕まったのかしら?足音が聞こえてきたから多分掴まってるでしょうけど、それでも心配ね」

 

 次の日、グリフィンドールからは百五十点が差っ引かれていた。自業自得というべきか、それともドラゴンを見せたハグリッドを責めるべきなのか。可哀想ともいえるかもしれない。

 グリフィンドールの雰囲気は最悪だった。ギスギスしていて、その上ハリー達は責めの的だ。スリザリン以外は、だが。レイブンクローやハッフルパフもスリザリンから寮杯が奪われるのを楽しみにしていたからこそ、グリフィンドールが百五十点も失ったからこそ、あんなにも怒っているのだろう。

 スリザリンは、ハリーが通るたびに口笛を吹き、「ポッター、ありがとうよ。借りができたぜ!」と囃し立てていた。あぁ、何ヵ月もかけてハリーから拭おうとしていたスリザリンのイメージが駄目になってしまった。それまでは少しは見直してくれてたというのに。これでハリーを見守ることもあまりできないだろう。ハリーの自業自得だが。

 その日の夜、処罰があるらしい。禁じられた森に行くと言っていたが、どうすればいいだろうか。ダフネも次の時は行きたいと言っていたし、今度は連れて行ってあげなければ可哀想だろう。やっとダフネも第三段階まで進めたところだ。失神呪文と、武装解除呪文も使えるようになったし、自己防衛には十分だろう。

 ダフネに目くらまし呪文を掛けてハリー達を追う。フィルチに連れられてハリー達が禁じられた森の方へと歩いていく。禁じられた森の前へと着くと、石弓を持ったハグリッドが現れた。

「夜明けに戻ってくるよ。こいつらの体の残っている部分だけ引き取りに来るさ」

「ああ、今日はマクゴナガル先生が来て下さった。ハリーとハーマイオニーはマクゴナガル先生についていってもらえ、ネビルは俺とこい。ユニコーンの血を見つけるんだぞ、見つけたら緑の、危なくなったら赤い光を上げるんだ。じゃ、気をつけろよ――出発だ」

「ハリー、ハーマイオニー、私についてきなさい」

(「ん、行くみたいね、私達もいこうか」

 「そういえば何で文はハリーを見守ろうとするの?別に寮があれとかそういう訳じゃないんでしょ?」

 「校長に頼まれたからなのよね、そこまで忙しいわけでもないし、別にいいんだけれど」)

 私達もハリーの後ろにくっついて森の中へと入っていく。途中でケンタウロスにあったが、それ以外に特に危ないところはなく、ハリー達は森の奥へ奥へと向かっていた。私から見たらこんなに臭いが充満していたらどこに死骸があるかなど分かりそうなものだが、木の根元に大量の血が飛び散っていた。その奥には開けた場所があり、そこにユニコーンの死骸があった。 

 その瞬間、ずるずると布を引きずるような音が聞こえてきた。木々の端が揺れると、頭をフードで包んだ何かが地面を張って出てきた。マントを着たその影はユニコーンの傷に顔を当てると、傷口からその地を飲み始めた。マクゴナガル先生でさえ固まってしまっている。まぁ確かに衝撃的な光景だが、すぐに対応してほしかった。私達が出なきゃならないじゃないか。フードの人間がハリーの方へと近付こうとするから、私はダフネに合図をすると、パチュリーとともに暗がりから飛び出て、失神呪文を放った。私は竜巻のおまけつきで。

「「ステューピファイ(麻痺せよ)!」」

 私達が失神呪文を放つと、フードの人間は吃驚して闇夜に逃げていった。……やってしまった。マクゴナガル先生がこっちを見ている。怒っているのが分かるような見方だ。

「何をしているのですか?禁じられた森に立ち入ってはいけないといったでしょう!」

「ダンブルドア校長からのご命令なんですよ、『ハリーの事を見守ってやってはくれんかの?』だそうです。本当に危なくならなかったら出ていかないつもりだったのですが、ヴォル――んん、すみませんでした、『例のあの人』が出て来たようなので慌てて飛び出しました。こんな説明でよろしいでしょうか?」

「……取り敢えずダンブルドア校長に確認してから、あなた達への処罰は決めようと思います。助けてくれたことには感謝しますが、これはそれとは別問題です。では、寮に戻りなさい」

「分かりました。ユニコーンについてはハグリッドに知らせておいてもらってもよろしいでしょうか?」

「ええ、分かりましたよ」

 

 

 

 

「あ~!疲れた~、本当にあそこでマクゴナガル先生が動いてくれれば私だってやる必要なかったわよ!はぁ、失神呪文をあのタイミングで撃たれて躱すなんて、クィレルもやるわね」

「ちょっと待って。クィレル先生!?あの人なの?」

「ええ、クィレルよ。私も最初見たときは驚いたわ、クィレルの後頭部にヴォルデモートが取り憑いているなんてね。あれはもうほとんど人間としての機能を持っていないけど、分霊箱と言って、自分の魂をものに分けることによって分霊箱さえ残っていれば死なないという機能があるのよ。でもヴォルデモートは分霊箱を作りすぎているだろうから、最終的に残った魂の量が足りなくなって、誰かに寄生しないと生きながらえられないんでしょうね」

 ほんと、事実は小説よりも奇なり、よね。とパチュリーはしめた。ダフネはとても驚いた顔をしている。賢者の石の事も教えると、さらに驚いていた。

「え?じゃあハリー達があんなに違反をしていたのは賢者の石について調べたりしようとしてたからなの?」

「それもあるでしょうけど、注意が足りないわね。もっと校則違反をするのなら周りに気を付けて行動すべきだわ」

 多分クィレルはテストが終わった直後に動き始めるだろう。テストに関しては私とパチュリーの特訓でダフネも含め大丈夫だろうが、クィレルに関しては結構困る。ハリー達はスネイプを疑っているらしいが、私に言わせればあれはハリーをむしろ守ろうとしているはずだ。スネイプ先生の態度が悪いのも事実だが。

 私はため息をつきながら災難を振り払うためにどうすればいいのか、考え始めるのだった。




いかがでしたでしょうか。

もう勉強なんてしたくないです。宿題の量もおかしいし、ダレカタスケテ
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では、次回もお楽しみに~

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