ハリーポッターと新聞記者   作:十凶星

3 / 7
何とか部活が始まる前に投稿できました。ああ、部活なんて消えてなくなれ

今回は実験的に文(取材モード)での一人称となっております。

では、どうぞ!


第三話 組分け帽子と二人目の友達

(あー、退屈だわ……マクゴナガル先生が生徒はここで待ってなさいっていうからここで待っているけれど、正直もう我慢がならないわ。マルフォイの自慢話ももう聞き飽きたのよね~)

 

 読者の皆さまこんにちは、私です、清く正しい新聞記者、射命丸文でございます。私は今ですね、ホグワーツ城の門をくぐりまして、新入生の待機室のようなところに閉じ込められています。それはマクゴナガル先生の一言から始まったのです

 

 

―――――

 

 ハグリッドが扉をたたくと、中からマクゴナガル先生が出てきました。マクゴナガル先生は私たちを一瞥すると。

 

「マクゴナガル教授、イッチ年生の皆さんです」とハグリッドが報告しまして。

「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」

 

 マクゴナガル先生は扉を大きく開くと、私たちを招き入れた。マクゴナガル先生に私たちはついていき、石畳のホールを横切り、ホールのわきにある小さな空き部屋へと一年生を案内したのです。

 

「ホグワーツ入学おめでとう。新入生の歓迎会が間もなく始まりますが、大広間の席に着く前に、皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。寮の組み分けはとても大事な儀式です。ホグワーツにいる間、寮生が学校での皆さんの家族のようなものです。教室でも寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごすことになります。

 寮は四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリンです。それぞれに輝かしい歴史があって、偉大な魔女や魔法使いが卒業しました。ホグワーツにいる間、皆さんの善い行いは、自分の属する量の得点になりますし、反対に規律に違反したときは寮の原点になります。学年末には、最高得点の寮に大変名誉ある寮杯が与えられます。どの寮に入るとしても、皆さん一人一人が寮にとって誇りとなるよう望みます。

 まもなく善行列席の前で皆さんの組分けの儀式が始まります。待っている間、出来るだけ身なりを整えておきなさい」

 

 マクゴナガル先生はそう言って部屋を出ていったのです。

 

―――――――

 

マクゴナガル先生にここに入れられてからすでにに10分ほどが経過しました。途中で幽霊などが来ましたが、今は去ってしまい、静か……ではなく、お得意のマルフォイの自慢話と、ハーマイオニーのぶつぶつと呪文を唱える声だけが耳に届いています。

 

(パチュリーはなぜか爆睡してるし、入学式の直前に寝てるんじゃないわよもう、組み分けなんてどうせそんなに時間がかかる者でもないだろうし、なんでここまで時間がかかってるのかしら。もういっそ壁でもぶっ壊してやろうかしらね。どうせ魔法で何とかなるのだし、本当にやってしまおうかしら)

 

 自分の思考が歪んだ方向へと向かっていますね、どうしましょう。これ以上いると妖力でも使ってしまいそうです。

 そう心配を始めてすぐにドアが開いて「さあ行きますよ」と厳しい声がした。

 

 おお、これでやっとこの退屈から逃れることができますね。組み分けは時間がかからないとはいえ興味は結構ありますので、パチュリーを起こしましょうk……起きてましたねもう。

 そういって私とパチュリー、新入生たちは部屋を出て、もう一度玄関ホールへと戻り、さらに二重扉を通って大広間へと入りました。

 

 するとそこには、幻想的な光景が広がっていたのです。何千何百という蠟燭が空中に浮かび、きらきらと輝く金色のお皿とゴブレットがおいてありました。天井を見上げるとさらにすごい、天井に空が浮かんでいるという表現が正しいのか、天井にはビロードのような黒い空に青や赤、そして白いきらきらと輝く星々が浮かんでは消えていきます。

 

「パチュリー、これ作れる?」

「さすがにすぐには無理よ。私も万能なわけじゃないし、しっかり魔法陣を書いて、術式を組めば行けるとは思うけれど」

 

 マクゴナガル先生は私達を先生方の座っている上座の方へと私達を案内して、目の前に四本足のスツールを置く。さらにその上にボロボロのとんがり帽子をのせました。

 すると帽子がぴくぴくと動き出しまして、つばのへりにある破れ目が口のように開いて、帽子が歌い出したのです。

 

「私はきれいじゃないけど

 人は見かけによらぬもの

 私しのぐ賢い帽子

 あるなら私は身を引こう

 

 山高帽子は真っ黒だ

 シルクハットはすらりと高い

 私はホグワーツの組分け帽子

 私は彼らの上を行く

 君の頭に隠れたものを

 組分け帽子はお見通し

 かぶれば君に教えよう

 君が行くべき寮の名を

 

 グリフィンドールに行くならば

 勇気ある者が住まう寮

 勇猛果敢な騎士道で

 他とは違うグリフィンドール

 

 ハッフルパフに行くならば

 君は正しく忠実で

 忍耐強く真実で

 苦労を苦労とは思わない

 

 古き賢きレイブンクロー

 君に意欲があるならば

 機知と学びの友人を

 ここで必ず得るだろう

 

 スリザリンではもしかして

 君はまことの友を得る

 どんな手段を使っても

 目的遂げる狡猾さ 

 

 かぶってごらん! 恐れずに!

 興奮せずに、お任せを!

 君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)

 だって私は考える帽子!

 

                      」

 

 要約するとこんな感じでしょうか、寮の紹介という事ですね。

 

 グリフィンドールは勇敢で、騎士道精神を持った者が集まる寮。

 ハッフルパフは誠実で、我慢強いものたちが集まる寮。

 レイブンクローは知識を追求し、賢いものが集まる寮。

 スリザリンは狡猾だが、真の友を得たいというもの達が集まる寮。

 

 と、こんな感じでしょうか。組み分けはABC順に名前を呼ばれたものからされるらしいですね。だからSの私は結構後ろの方になるのでしょうね。

 

「アボット・ハンナ!」

 

 そう言われると金髪の女の子が前に出てきて、帽子を目深にかぶりました。一瞬の沈黙の後……

 

「ハッフルパフ!」と帽子が叫んだ。

 

 その後も組み分けは順調に進み――グレンジャーはグリフィンドールだった――パチュリーの順番になった。

 

「パチュリー・ノーレッジ!」

 

 パチュリーはすたすたと帽子の方へ歩み寄っていくと、帽子をかぶった。何かを話しているようにも見えますが、何を話しているのでしょう?

 『風を操る程度の能力』を使ってパチュリーと組分け帽子との会話の内容を聞き出してみましょうか。

 

(できればグリフィンドールではない方がいいわ、でもグリフィンドールと接点が多い量がいいわね、だからスリザリンにしておいて頂戴)

(フーム、知識欲が高い、だがその知識欲を満たすためなら勇気も高いし、それを満たすために如何なる手段も問わないと……フム、スリザリンへの素質も十分あるな。それなら……)

 

「スリザリン!」

 

 帽子がそう叫ぶと一番右のスリザリンのテーブルから歓声が沸き起こりました。パチュリーは少し恥ずかしそうに小走りでスリザリンのテーブルへと進むと、テーブルの端に座ります。

 

「パーキンソン」、「パチル」姉妹、「パークス・サリー‐アン」、そして「ハリー・ポッター」が呼ばれまして、ハリーはグリフィンドールへと決まりました。グリフィンドールの席はもう大歓声です。他の寮は「ポッターを取られた!」と言って悔しがっていますが。

 

「シャメイマル・アヤ!」

 

 お、やっと私の順番ですね、そう思いながら背中の羽を見えないようにはばたかせ、空中に浮いているかのように歩いていきます。一つの演出ですね。名前が余程おかしかったのか、それとも初めてのアジアの名前だからか、少し席はざわざわしているようです。私が帽子をかぶると、頭の中に声が聞こえてきました

 

(フーム、難しい、非常に難しい。狡猾だから知識を求める。知識があるから勇気が出てくる。勇気があるから優しさもある。優しいから裏で助けようと狡猾に事を進める。難しい。お互いがお互いを助け合っている。君はどこに行きたいのかね?それによって決まることになるが)

「ん、じゃあスリザリンでお願いします。友達もいますし、私は裏で何かをする方が似合ってると思いますしね」

(君がそれを望むならばそうしよう。それなら……)

 

「スリザリン!」

 

 と帽子は声高に叫びました。耳をふさいでなかったら鼓膜が破れてたかもしれないというほどの音量です。

スリザリンから歓声と拍手が聞こえます、それを耳にしながら、私はパチュリーの隣へと座りました。

 

『組み分けと言っても何というか、生徒の意思を尊重する感じだったわね。スリザリンに行きたいと言ったら簡単に入れてくたわ。大丈夫なのかしらこの学校』

『先生が優秀なんでしょう。ダンブルドアなどは相当強いらしいわ。まあ、幻想郷の妖怪達と比べると見劣りしてしまうけど、中級妖怪位なら余裕で対処して見せると思うわよ、具体的には美鈴にはぎりぎり負けるくらいね』

『ええ……それって十分強いじゃないの、強さの質が違うのかしらね』

『そうね、私達はどちらかというと妖力を使って大量の弾幕を生み出すけど、こっちの方は一対一、主に決闘の方が得意だと思うわ、呪文も避けずにぶつけ合う方法を取るし、私達とは相性はいいんじゃない?』

『ふーん』

 

 と、それだけ言って、私たちは校長の方を見る、急に立ち上がったからですね。ダンブルドア校長は腕を大きく広げ、にっこりと笑いました。

 

「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

 

(あ、あの人絶体紫みたいなタイプね、表には何にも出さないくせに、裏で何やってるかわからない。狸爺ってよぼうかしら、似合うと思うのよね)

 

 紫ほど頭は良くないかもしれないが、それでも相当切れるタイプの人間でしょう。絶対に裏で陥れようとしたりしてると思いますね。目の前を見ると、皿の上が料理でいっぱいになっていた。ローストビーフやら、ソーセージやら、肉料理ばっかり。日本料理が恋しいです。イギリスの料理は正直朝食くらいしか美味しくないので、家で食べていた料理が本当に懐かしく思います。

 

「パチュリー、これって日本料理とかはないのかしら?」

「ないわね、多分。度地下にある屋敷しもべのところへ行ってみたらどう?屋敷しもべ妖精は働くの大好きだからきっと聞いてもらえると思うわよ」

「そうなのね~、イギリスの料理は正直あまり美味しくないから、今度自分で作ろうっと」

 

「あなた達、楽しんでる?」

 

 二つ隣くらいに座っていた女の子が声をかけてきmした。金髪に緑色の髪留めを付けた子だ。たしか、

 

「ダフネと言いましたね、よろしくお願いします。私は清く正しい新聞記者、射命丸文と申します」

「あら、組み分けの時に知ったのかしら?よろしくね、ダフネよ、ダフネ・グリーングラス」

「よろしく。パチュリー・ノーレッジよ」

「さっきアヤ日本料理って言ってなかった?もしかして日本人なの?」

「ええ、日本から来ましたよ(人かどうかは別として)」

「そうなのね、そちらのパチュリーとはどんな関係?」

「う~ん、友達ですかね、最近は魔法について教えてもらうことも増えてますよ、パチュリーは頭がいいですからね」

「そうなの!?私はあまり頭が良くないから、教えてもらえると嬉しいわ!」

「別にいいわよ、まあ、本を読む邪魔にさえならなければいつでもいいわ」

 

 パチュリーも含め三人で談笑をしていますと、身の毛のよだつようなゴーストが目の前でふよふよと浮かんでいました。皆さん、これがあのゴーストでしょうか!幽霊や人魂などとは取材生活でお会いしたことがありますが、西洋のゴーストというのに会うのは初めての経験でございます。

 私がカメラのシャッターを切ると、少し鬱陶しそうにしながらゴーストさんが話し始めました

 

「吾輩はスリザリンに住むゴーストの血みどろ男爵だ、スリザリンの新入生諸君、今年も寮対抗優勝カップを獲得できるよう頑張りたまえ。いまスリザリンは六年連続で両杯を獲得している。歴代で最高の連続獲得数はグリフィンドールの八年連続だ。それに追いつけるよう、皆も精進したまえ」

 

 そういって演説を終えると、まばらな拍手が届きました。近くにいるマルフォイだけはいやそうな顔をしていたのですがね。全員が食事を食べ終わると、今度はデザートが現れたのです。ありとあらゆる味のアイスクリーム、アップルパイ、糖蜜パイ、エクレア、ジャムドーナツ、トライフル、イチゴ、ゼリー、ライスプティングなどだ。

 私がイチゴをつまんでいると、ダフネがまた話しかけてきました。

 

「ねえアヤ、あなたって純血なの?」

「えっと、その質問ですか……うーんと、『どう答えればいいですかねパチュリー』」

『適当でいいでしょう、純血と言えば純血なんじゃない?どちらの親も天狗でしょう?天狗は神通力を扱えたというし、神通力は魔法みたいなものでしょう、少し原理は違うけれど』

「ふむ、それもそうですね……ダフネ、結論から言うと私の親はですね、どちらも魔法使いではありません」

「あれ、そうだったの?それにしては魔法について慣れているようにも見えるのだけど」

「ええ、私の親は陰陽師と言って、まあ日本の魔法使いのようなものです、でもどちらかというと妖怪……こちらの言葉で言うとモンスターですね、を退治するのが主な仕事で、こちらの人とは少し違う術を使います。ほら、こんな感じですよ」

 

 私がそう言って、『風を操る程度の能力』を使って掌の上に小さな竜巻を起こします。するとダフネは興奮した様子で私の手を握りました

 

「すごいわね!魔法とも違うみたいだし……私にもできるかしら?」

「いや、ちょっと難しいと思いますよ。原理がまず魔法とは違うので、習得するには相当な時間がかかりますし、私もそんなにうまく教えられないでしょう。それより純血主義に関して詳しくお聞かせできませんか?新聞にまとめたいんですよ、主にマグルと魔法使いの確執についてとか、なぜ純血が素晴らしいのかについてですね」

 

 そういうとダフネは純血主義について詳しく聞かせてくれました。要約するとこうです。

  

 その昔、あるマグルの二人の親から、最初の魔法使いが生まれた。その魔法使いはさらに結婚して、次の世代が生まれた。魔法界はどんどん発展していき、その頃の魔法界には純血しかいなかった。

 しかし、十七世紀ごろ、魔女狩りが行われるようになった。それは魔法族の人数を大きく減らし、魔法族はマグルに復讐として戦争を挑んだが、どちらも大きな痛手をこうむった。それにより魔法族とマグルは不可侵条約を結び、一応の締結を見せた。

 だが、近年魔法族の数がさらに急減したことによって、マグルと和解するべきだとの声が出てきて、マグル生まれと呼ばれる、マグル、もしくはマグルと魔法族の子供である魔法使いが多く出てきた。それらはみな優秀ではなく、本当の意味で純血と言われるのは二十八の苗字の魔法使いだけになってしまった。それが聖28一族だ。これにはグリーングラス家やマルフォイ家などが含まれる。

 これらはみな優秀だ。だから純血こそが良いのである。

 

「……と、こういう事ですね?」

「ええ、だからマグルに興味を持っているウィーズリー家と純血主義のマルフォイ家は仲が悪いのよ」

「あ、ちょっといいかしらダフネ、でもそうするといつか近親婚状態になって、むしろスクイブとかの劣等児が生まれてしまうんじゃないかしら。要するに聖28一族がみな親戚になってしまうという事ね」

「うーん、そこまでは分からないわ。でもまあ確かに純血の家からしかスクイブは出ていないしね。まあ、私はそこまで過激な純血主義っていう訳でもないからね、どちらかというと今の魔法族は数が減りすぎだから、むしろマグルを積極的に取り入れていくべきだと思うわ」

 

 ダフネは「もうそろそろダンブルドア先生の話が始まるから」としめると、前を向いた。

 

「エヘン――全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、構内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、何人かの生徒に特に注意しておきます」

 

――――それがむしろ入る人を増やしている原因だと思うんだけど、というかそんな事言われたら入るしかないじゃない。

 

「管理人のフィル治山から授業の合間に廊下で魔法を使わないようにという注意がありました」

 

――――使えってことよねそれ。

 

「今学期は二週目にクィディッチの予選があります。寮のチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡してください」

「最後ですが、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下に入らないことですな」

 

――――――――やっぱり入れってことですねわかります。いつ行こうかしら、夜にしようっと

 

「では、寝る前に校歌を歌いましょう!」

(「文、ダフネ、耳をふさぐのよ、今すぐ!」)

 

 パチュリーがそう切羽詰まった声で言うので、私も耳をふさいで、二人の周りに風の膜を作る。こうすれば外の音は膜の中へと入ってこれないので安心だ。

 

(「みんな自分の好きなメロディーで、さん、し、はい!」)

 

(「ホグワーツ ホグワーツ 

  

  ホグホグ ワツワツ ホグワーツ

 

  教えて どうぞ 僕たちに 老いても ハゲても 青二才でも

 

  頭にゃなんとか詰め込める おもしろいものを詰め込める

 

  今はからっぽ 空気詰め 死んだハエやら がらくた詰め

 

  教えて 価値のあるものを 教えて 忘れてしまったものを

 

  ベストをつくせば あとはお任せ 学べよ 脳みそ 腐るまで

                              」)

                                

……うん、率直に言おう、酷い歌だこれは。最後には葬送行進曲のリズムで歌っている人もいるし、やっぱりこの学校本当に大丈夫なのかしら、入学しといてなんだけど、心配になってきたわ。パチュリーが耳をふさいでといった理由も分かるわ

 

「ああ、音楽とは何にも勝る魔法じゃ。さあ、諸君、就寝時間。駆け足!」

 

 感激の涙をぬぐいながらダンブルドアがいる。魔法学校のしかも校長先生が言う言葉じゃないと思うのだが、ここはもしかして音楽学校だったのだろうか

 

「ね、耳をふさいでおいてよかったでしょう?」

 

 私は気になってほかの先生方の思考を読む。神通力は極めればある程度の思考は読むことができるのだ。

 

マクゴナガル先生の場合

(ダンブルドア校長は素晴らしい魔法使いのはずですよね、ええ、そうです。なのにどこか抜けているのですよね。いつも後片付けは私がさせられるのです。ああ、ストレスが溜まりますね)

 

スネイプ先生の場合

(あの校長はやるときはやれるお方なのだから、いつもそうして欲しいものだ。吾輩はあの校長のようにならないようにせねばな)

 

クィレル先生の場合

(ああ、早くこんな校長は死んでしまえばいいのに、ヴォルデモート様に賢者の石を届けないと、殺されてしまう。どうすればいいだろうか、四回の右側の廊下《おい、思考が誰かに読まれている!早く閉じるのだクィレルよ!馬鹿者が!》)

 

 その声が聞こえた瞬間、私は神通力を切っていた。呪い返しのようにされると困るためだ。

(……思ったよりも早く裏切り者(ユダ)が分かったわ。でもクィレルにばれると困るから、慎重にいかなきゃならないわね、ああ面倒くさい)

 

(『パチュリー、ユダよ、クィレルだわクィレル。神通力で少し心を読んだけれど、途中でヴォルデモートにばれたかもしれない。まあ、誰かまでは分からないだろうけど』

『……本当なの?そうね、あれに寄生してるとしたらターバンの下でしょうね。イメージとしては二口女が近いかしら』

『ああ、そういう感じね。分かったわ、よーく分かった。泳がせておいた方がいいわね、具体的には賢者の石を取りに来るあたりがいいかしら。四回の廊下にあるらしいから、使い魔でも送っておこうかしらね』

『ええ、それがいいと思うわ』)

 

「何をしているのだね?」

 

 そう言われて二人とも飛び上がります。気づくと他の人達はもうみんな帰ってしまっていました。 

 

「あ、ごめんなさい。少し話し込んでいたら移動するのを忘れていたみたいです」

「吾輩はスネイプ、スリザリンの寮監だ。着いてきたまえ、スリザリンの談話室へと案内する」

 

 そういってスネイプ先生は歩き出す。大広間を抜け、無機質な壁が立ち並ぶ地下牢へと進んでいく。

いくつか地下牢を通り抜けた壁の前で急にスネイプ先生は立ち止まった

 

「ここだ。諸君はこれからここで寮生と生活を共にする。部屋は二人とも同じで、グリーングラスがほかにいる。では、入りたまえ『魔法族に栄光あれ!』」

 

 スネイプ先生がそういうと壁が横にスライドして、中から淡い緑色の光が漏れ出てきた。

 

「吾輩とは明日の魔法薬学の授業で会うだろう。では」

 

 私たちは寮の談話室へと入る。談話室は少し細長い形をした地下室で、床には濃い緑と青のスリザリンカラーの絨毯が敷かれていて、天井からは鎖でつながれた淡い光を放つ丸い青緑のランプがあり、暗い談話室の中をぼんやりと照らしています。

 窓の外には途中ボートで横切ったであろう湖の中が広がっていて、奥の方が見えないくらいまでずっと続いています。

 そして壁は荒っぽい石や石のレンガで作られ、その壁一つ一つに彫刻がされ、荘厳な雰囲気を醸し出しています。

 私が談話室を撮ろうとカメラのシャッターを切りまくっていると、ダフネが近づいてきました。何やら怒っている模様です、後ろには…阿修羅が見えるような気がするのは気のせいですよねそうですか。

 ダフネはにっこりとこちらの背すじが凍るような笑顔を浮かべ、こちらへと歩み寄ってきました。

 

「ねぇ、文、なんで貴女私が何度呼び掛けても帰ってこなかったのかしら」

「あ~、ごめんなさいダフネ、大事な話をしてたから聞こえてなかったわ。悪かったわね」

「まぁ、別に私が関与する場面でもないからもういいけれど、あまりスリザリンの品位を落とすような行為は控えた方がいいと思うわ。ダンブルドア校長とかも見ていたしね、気を付けた方がいいと思うわよ」

「あなたたち、こんなに時間に何をしているのかしら。もう寝る時間だから早く寝室に行きなさい、この子は私が運んでおくから」

 

 そういって疲れて、もしくは呆れて壁に背をつけてこっくりこっくりしていたパチュリーを掴みながら監督生さんがそういいます。私ももうこの悪魔(ダフネ)から一刻も早く逃れたかったのですぐに了承します。

 

「はい!ありがとうございました!監督生の……」

「ファーレイ・ジャマよ。よろしくね」

 

 私はさっさと上へと上がることにします。ダフネが同じ部屋なのがもう気がかりになってきていますがそんな頭の中の声なんて聞こえません聞こえません。

 寝室も談話室と同じようなつくりでしたが、違うところもいくつかありました。まず天井から下がっていたのはランプではなく高級そうなシャンデリアです。ベッドにはスリザリンを現す緑色の分厚いカーテンが下げられていて、銀の刺繡で蛇のマークが縫い取られています。

 極めつけは少し高い位置だからか湖から打ち寄せる波の音が聞こえてくること!

とても寝やすそうなふかふかのベッドや緑色の布団を見てるとこっちまで眠くなってきますがまだ眠ることはできません。

 

「えっと、ダフネ?さっきはごめんなさい。謝るわ。まあ、本当に大事な話だったということは分かって欲しいのだけれど」

「ええ、こちらこそごめんなさいね……ん?アヤ、口調変わってない?」

「いや、もうわざわざ寝室に来てまで取り繕う必要性もないかなって思ってね。こっちが私の素のしゃべり方よ。改めてよろしくね、ダフネ」

「ええ、よろしくねっ!アヤ!」

 

 そういって二人とも同時にベッドへと飛び込んでいく。位置関係としては左からダフネ、私、パチュリーといった順番だ。

 ダフネとのことで疲れていたのもあって、ふかふかすぎるベッドと布団、そして打ち寄せてくる静かな波の音は、私をすぐに眠りの世界へといざなうのだった。




えー、いかがでしたでしょうか。

本当に実験なので、ふとした拍子に修正を加えるかもしれません。

もしよかったら感想や評価など、よろしくお願いいたします!

では、今回はここで、ありがとうございました!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。