カタカタカタカタカタカタ
「正一。ボンゴレから連絡があった。」
ツナギの青年がキーボードを叩きながら後ろに座るメガネをかけた青年に話しかける。
「ツナくんから!?スパナ!なんだって?」
「いま50層の攻略が完了したらしい。うちが作ったシステムならもっとペースがはやくてもいいはずなんだけど。」
「やっと半分かー。胃が痛い。ツナくんのことだから、ゲームの中でも守りたい人ができたんじゃないかな?」
ツナギの青年はスパナ、メガネの青年は入江正一といいSAO開発に協力した二人でもある。
「えーっと、ギルドを作ったから、この名簿にある人達の保護と身辺確認をしてほしい・・・か。」
「正一に任せた。」
カタカタカタカタカタカタ
スパナは早々に興味がなくなったようで作業に戻る。入江はお腹を抑えながら、SAOのシステムコードを使用しプレイヤー情報から現在位置を割り出す。すでにSAOプレイヤーはツナを除いて病院に輸送されている。
「すごい偶然だね。みんな東京周辺にいるよ。日本にいる雲雀さんに頼んで、念の為ユニさん、白蘭さんには連絡を入れとかないと。」
と携帯電話を片手に画面を確認していく。
日本にて。
「ふーん。ツナヨシからのお願いね。いいよ。風紀財団が管理する病院に移動するように手配してあげる。でも貸しだからね。」
「恭さん。病室の確保と連絡は済んでおります。」
それからの雲雀の行動ははやく、名簿に載っているプレイヤーのほとんどを風紀財団管理の病院に移動し終えていた。入院代の無償化や解放された後、将来的に財団が便宜を図る等の交渉がありスムーズに行われた。
しかし二人ほど移動ができていないプレイヤーもいる。一人はアスナこと結城明日奈で家族からの抵抗がある為、もう一人はユウキこと紺野木綿季で、『後天性免疫不全症候群』で病院からの移動が困難であることと主治医が許可を出さなかった為である。
「恭さん。結城家についての資料です。」
「ワォッ 結城って苗字を聞いた事があると思ったら結城彰三の娘なんだね。なら話ははやいよ。僕が直々に話をつける。紺野木綿季についてはユニと白蘭に任せたし、チェッカーフェイスと復讐者にも根回しをしたからすぐに解決するはずだよ。」
結城家にて
結城家の客間では、結城彰三と妻の結城京子がいて雲雀と向かい合って話をしていた。
「久しぶりだね結城彰三。御宅の娘を僕が管理する病院に移動するから。異論は認めないよ。」
「雲雀くん!いくら君でもそんな横暴なことは許されない!」
「そうよ!あの娘は設備がしっかりしているあの病院にいるべきだわ。」
「僕に逆らうのかい?」ジャキッ!
雲雀がトンファーを構えると反論していた二人は身体をビクッと反応させて黙ってしまう。
「争いごとは避けるように言われたからしょうがないけど、今回はこの子からのお願いがあってね。」ッポイ
雲雀は持ってきた資料を二人に投げ渡す。
「!!チェーロカンパニー総帥 沢田綱吉・・・。なぜこの方が?」
「チェーロカンパニーってあの?」
「フンッ ツナヨシもSAOに囚われていてね。独自の技術力で連絡だけは取り合える状況だけど、御宅の娘はツナヨシと行動をしているみたいだから保護を頼まれただけだよ。じゃあ移動させとくから。」
雲雀はツナヨシの名前を出してからの二人の変わりように、鼻で笑いながら結城家を後にする。
「このまま明日奈が沢田綱吉に近づいてくれれば。」
「明日奈の将来、いいえ結城家は安泰ね。」
横浜港北総合病院にて
ユニ・白蘭・γ・桔梗が病院に訪れていた。
「君達がチェーロカンパニーからの遣いかい?」
「そうです。紺野木綿季さんにあわせていただけますね?」
「こちらに。」
四人をみた主治医は少し怪しんだが、わざわざ社印を押した証明書まで持参した四人が変なことをするはずがないと木綿季の元に案内する。
木綿季の病室に着くと、主治医や看護士が倒れる。
「私の方で記憶を書き換えとくからはやく終わられてくれたまえ。」
「わかったよ♪」
白蘭がマーレリングに炎を灯し、指輪を嵌めている方の手を木綿季の頭に載せる。すると炎が木綿季の身体を包み込む。
「終わったよー♪」
「私の未来視でも完治を確認することができました。」
「では移動を開始します。姫もこちらに。」
「ハハン 白蘭様お疲れ様です。」
チェッカーフェイスが現れて倒れた人達の頭を触り、病気は徐々に治ってきていた記憶に改変していく。
「フンフフーン ツナさんからご褒美をもらわなきゃ。」
「ユニちゃんがもらうなら僕もほしいなー」
ギルド ボンゴレのメンバーはSAOから解放された後もツナ達による支援が受けられることが決まった。