大空のSAO   作:ばすけばすけ

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チェーロカンパニー総帥や幹部の顔写真は完全に非公開とされています。
9代目がボンゴレの敵対組織に対する牽制と目立ちたくないツナに配慮した形です。


帰還④

「ツ「すいませんが駆け寄るのはもうちょっとだけ待っていてください。」ナー。」

 

ツナの姿が見えると明日奈が走り出そうとするが、リーゼントの男達が間に立ち塞がり近寄れなくしてしまった。

 

「なに僕の前で群れてるの?」

 

「恭弥さん。こちらから集まってもらったんですから、少しだけ我慢してください。」

 

「フンッ 夜になったら地下に来なよ。」

 

「ええ、俺としても鈍った身体を戻したいんでいくらでも相手になりますよ。」

 

ツナの後ろから黒髪の青年が現れると会場の空気がピリッと引き締まる。会場を一瞥した青年は不愉快そうな雰囲気を出すが、ツナが話しかけるとそれまでの雰囲気が嘘のように穏やかなものに切り替わる。

 

「みんなも気になってると思うから自己紹介をするね。俺はチェーロカンパニー総帥の沢田綱吉です。いままで通りツナって呼んでくれたら嬉しいな。敬語もいらないよ。横にいるのは風紀財団代表の雲雀恭弥さん。俺の先輩でみんなを保護してくれた人なんだ。」

 

「ツナヨシからの頼みじゃなかったらやらないから礼はいらないよ。」

 

ツナが自己紹介をすると保護者組からはあのチェーロカンパニーの総帥が目の前にいることと、雲雀恭弥というビッグネームから会場にどよめきが走る。

SAOを一緒に乗り越えたメンバーからはあのカリスマ性の正体に納得したと頷いたり、そんな凄い人に甘えていたのかと衝撃を受けたりと一人一人違った反応をしていた。

 

ツナから語られたのは、チェーロカンパニーもSAO開発に協力していたこと、事件のことは知らずにテストプレイを総帥がしていたら巻き込まれてしまったこと、開発者のIDを使用して中から外の一方通行ではあるが連絡することができメンバーを一箇所に集めるように指示をしたこと、キズメルとユイの身体のこと等、真実と嘘を混ぜながら経緯を話す。

 

雲雀恭弥とリーゼントの集団はいつ間にかいなくなっていた。

 

「ママ!」

 

「ユイちゃん!本当にユイちゃんだ。」

 

ツナの話が終わるとユイが沙知に向かって走り出す。沙知もユイを抱き締めることで、その感触を確かめていた。

 

「沙知、その子は?ママってどういうことなの?」

 

「あっお母さん。えっと・・・あのね。」

 

「すいません。沙知さんのお母様ですか?ユイについては私から説明します。」

 

「パパ!」

 

「ツナ!」

 

沙知とユイとのやり取りに唖然とした感じで沙知の母親がフラフラと近づいてユイに付いて尋ねる。沙知はどうしようかと困惑していたが、ツナが沙知の母親に対してユイのことを説明し、母親も納得したのかそれ以上は何も言わなかった。

 

「ママはパパと一緒に暮らさないんですか?」

 

「え!?私まだ高校生だし、でも・・・ツナさえ良ければ一緒に住んでもいいんだけど。」

 

「私は一緒に住みたいです!」

 

「ユイちゃん!それはまたギルドメンバー全員でって意味よね?」

 

「ボクは住む場所がないからツナの家に置いてくれたら嬉しいな!」

 

「皆さんずるいです!なら私も一緒に住みます!」

 

「私はユウキさんがした発言が気になるのですが。」

 

「ツナ、仮眠室はどこ?お腹一杯になったら眠くなっちゃった。一緒に寝る?」

 

「ご主人様!専属メイドの募集はしていませんか?」

 

「ハーレムだなんてお姉さんは悲しいヨ。」

 

「大企業のトップともなればダンスの一つもできるんだろ?一曲踊らないか?」

 

「ユーリンも踊りたいです!」

 

「ツナお兄さん!ミーアが迷子にならないように側にいてくださいね。」

 

「まさかツナさんが偉い方だったなんて!アバババどうすればいいのですか〜。」

 

「キャロ落ち着いて。アヤも放心してないで。」

 

「だってフィリア!じゃなかった琴音!キャロみたいにびっくりするのが普通の反応よ!」

 

「ツナはお父様の取引相手でしたのね。」

 

「そっか!カーラもお嬢様だった!」

 

「あら〜〜皆さん楽しそうですね〜。」

 

「おっとりバーサーカーはリアルでもおっとりしてるのね。」

 

「ミリィがゲーム通りではなくて良かったよ。」

 

「フルールさん、私もですが、モンスターへの破壊衝動はゲームの中だけですよ。」

 

「ツナさんツナさんツナさん。私は屋根裏や軒下でもいいから!」

 

「椿姉ヤバイです!それはさすがに捕まりますって!」

 

「世界一の大企業のトップ・・・世界の支配者・・・つまり魔王。ツナさんさすがです。」

 

「どうしましょう。ナンパされた相手が王子様とか夢じゃないかしら。」

 

「ハウゥー あの中には入れないですよー。」

 

「ロッタ!我の翼に掴まり共に冥府へと誘おう!」

 

「雲雀恭弥さんの方にいた小鳥とハリネズミをモフモフしたかったです。」

 

「ツナも成人済みなら大人組で酒盛りだ!」

 

雲雀がいたことで騒げなかったメンバー達が、ツナから近寄ったことで騒ぎ始める。ユイが沙知とツナと一緒に住みたいと言う発言から明日奈が三人だけにはさせまいとギルド全員でと提案したり、喧騒の中で木綿季がカミングアウトしたりと各々好きなように騒いでいた。

 

保護者組は食事とお酒を楽しみつつ交流をしたり、娘はやらんとツナに睨みを利かせたりしていたが、楽しそうにしている子供達の邪魔をしたくないという想いが共通してあるのか静かに見守っていた。

 

「あれが沢田綱吉くんか。神の采配、世界の秩序か。」

 

「明日奈は大丈夫かしら?上手くやってはいるようだけれど、あのユイっていう子が鍵かしらね。」




明日奈の両親以外はチェーロカンパニーの依頼で風紀財団が動いたことは知りませんでした。

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