大空のSAO   作:ばすけばすけ

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帰還③

ツナは夜の炎を使い並盛にある風紀財団本部に訪れていた。

 

「ツナ、これが現実世界なのか?面妖なものが沢山あるものだな。」

 

「パパ!はやくママにも会いたいです!」

 

「キズメルには常識の勉強もしてもらわらないといけないかな。ユイ、今日はもう遅いし、明日になったらあえるからちょっとだけ待って。」

 

ツナの横には人形(ヒトガタ)へと意識を移したキズメルとユイの姿もある。二人の似姿はゲーム内と同じではあるが、キズメルはスーツ姿で、ユイはゲーム内でも着ていた白いワンピースにハーフパンツにジャケットを羽織っていた。

 

「沢田さん。こちらです。」

 

「草壁さん。ありがとうございます。恭弥さんは?」

 

「恭さんは日本政府と警視庁との会談の為に霞ヶ関支部に移動しています。」

 

「わざわざ出向くのは、群れを並盛に入られたくないからって理由ですかね?相変わらずだ。」

 

ツナ達三人は草壁に案内されながら医療室へと案内される。雲雀の姿が見えないことを尋ねると、SAO事件絡みの件で霞ヶ関支部に行っていると聞いてツナはクスクスと笑いながら恭弥さんらしいと呟いた。その呟きをきいた草壁も苦笑いを浮かべながらドアを開く。

 

「お久しぶりです。茅場さん。」

 

「ツナヨシくん。・・・それに後ろの二人は・・・まさか!?」

 

「えぇそのまさかです。ダークエルフのキズメルと俺の娘のユイです。」

 

草壁が開けたドアから部屋に入ると中には茅場晶彦がベッドに寝かされており、ツナ達を見ると驚愕に目を開く。

 

「ツナヨシくん、君はいったい何者なんだい?資金援助や優秀な技術者を紹介してくれた時にも疑問には感じていたが。」

 

「ボンゴレファミリーはわかりますか?」

 

「世界最強のイタリアンマフィア、世界の秩序を裏から守っているときいたことはあるが、君がその関係者・・・なのか?ギルド名にしていたからもしやとは思ってはいたが。」

 

「関係者というか・・・改めて自己紹介を、俺はイタリアンマフィア ボンゴレファミリーの10代目ボス 沢田綱吉といいます。」

 

茅場はツナからの資金援助と人材の貸し出しがあった際に、ツナや技術者達の人柄を信じたということもあり身分を確認してはいなかった。

ツナの口から明かされた真実に開いた口が塞がらない表情を浮かべている茅場だが、少し時間が経つと突然笑い出し

 

「ハハハ!なるほど、実に君らしいよ。君はヒーローだったんだな。」

 

「違いますよ。俺はヒーローにはなれない。なっちゃいけないんです。俺もいままで何人もの命を手にかけてきました。守る為に仕方のなかったこととはいえ命を奪ったことには変わらないんです。俺は俺の身内が悲しむのを見たくない、楽しくバカやって日常をすごしていきたいんです。だからそれを壊そうとするやつは許さない。これは俺の自己満足であり我儘なんですよ。後ろの二人も俺の我儘でこうやってここにいます。」

 

「ツナよ。私達に黙って進めていたのは我儘なのかもしれないが、私はその想いを嬉しく思っている。」

 

「私もですよパパ!消えるだけだった私達に新しい人生をくれたんですから。」

 

「ありがとう二人共。・・・茅場さん、俺からしたら貴方はもう俺の身内なんです。茅場さんが望む夢を一緒に叶えていきませんか?」

 

茅場はツナから差し出された握手を求める手を握り返すことで返答を示した。

 

 

翌日

 

並盛総合病院横にある式典用のホールにはSAO生還者でギルド ボンゴレのメンバーとその家族が集まっていた。

明日奈が中に入ると

 

「アスナ!」

 

「ユウキ!久しぶり!」

 

明日奈の姿を見つけた木綿季が抱きついてきた。明日奈は軽すぎる衝撃に疑問を感じながら木綿季を抱きしめる。

 

「アスナさんが最後みたいですね。」

 

「アネット!最後って・・・ギルドメンバーがみんな揃ってるわね。」

 

抱き合っている二人の横からアネットが話しかけてきて、驚いて周りを見渡すとギルドメンバーがログハウスと同じように楽しそうに話している姿が目に入った。

違いといえばリーダーであるツナとキズメル、ユイの姿が見えないことだ。

 

「アスナ。ツナを見なかった?」

 

「ツナさんだけがどこを探してもいないんですよ。」

 

明日奈と同じことを考えていた沙知と珪子も近くに集まってきた。明日奈はアネットと木綿季にも目線を向けるが、二人も首を振って見ていないことを主張した。

 

すると会場の照明が落とされて壇上にスポットライトが当たりアナウンスが流れ始める。

 

「皆さん。お集まりいただきありがとうございます。この度は無事に帰還されましたことを嬉しく思っております。ささやかではありますが、御食事も用意しておりますのでご自由にお召し上がりください。」

 

すると壁際にもライトが当たり、給仕が料理を運んできた。見るからに高価な料理もあり歓声が上がる。

 

「皆さんすでにお気づきな方もいらっしゃると思いますが、ここにいるのはギルド ボンゴレのメンバーのみになり、並盛総合病院で保護をしていた方々になっております。」

 

「ここでチェーロカンパニーの総帥から一言お祝いの言葉がございます。」

 

するとスポットライトは消えて会場の照明がつき始める。会場が明るくなると入口のドアが開いて

 

「「「「ツナ(さん、くん)!!」」」」

 

「「「「キズメル!?」」」」

 

「「「「ユイちゃん!?」」」」

 

スーツを着たツナとキズメル、ユイが入ってきた。


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