大空のSAO   作:ばすけばすけ

33 / 51
帰還①

アナウンスが流れると観客席にいたプレイヤー達がポリゴン状になり消滅していく。

 

「ツナ!!」

 

「アス・・・ナァァーッ」

 

ツナが名前を呼ばれた為に後ろを向くと、アスナがリザードマンにしたよりも鋭く突っ込んできていた。無意識かもしれないが、アスナが駆け抜ける姿にはエフェクトの光が纏わりついていた。

暴風を伴いながら抱きついてきたアスナを受け止めたが、2mほど地面を擦った後にツナはアスナを強く抱き締めたまま後ろに倒れてしまう。

 

「ツナったらそんなに強く抱き締めないでよ。初めてがこんな場所でなんて。ツナが望むなら・・」

 

「はいはい、アスナー離れようね。」

 

「パパ大丈夫ですか?」

 

「あーポーション飲むカ?あーちゃんは少し落ち着け。」

 

「ツナ!やったの!?私達やったのよね?」

 

「サチさんずるいです!私も抱きつきたいです!」

 

「眠いー。限界ー。こうなったら三人を布団に・・・」

 

「ロアちゃん待つですよ!ここでそんなことしたら収集がつかなくなります!」

 

「どうしてボンゴレのメンバーだけ残っているんでしょう。」

 

「まぁ別れの挨拶ができるからいいんじゃない。」

 

「すいません。なんか私も残っているのですが・・・」

 

「ヨルコお姉さん?」

 

「うむ。本来なら城に招待して祝杯をあげたいが・・・時間はなさそうだな。ツナ!!」

 

残ったメンバーがツナの周りに集まりだし、ユウキがアスナを引き剥がすと我先にサチが抱きつき、それに続いてシリカも抱きついたり、ロアが三人に覆いかぶさろうとするのをキャロが制止したり好き勝手なことをし始めるが、キズメルがツナを強く呼ぶことで混乱は収まった。

 

「私はここでお別れだ。この世界を救ってくれて感謝する。まぁ・・・なんだ、お前達といるのは楽しかった。またあおう!」

 

「キズメル。こちらこそ楽しかったよ。ありがとう。でも意外と早くあえるかもよ?」

 

「またお得意の勘か?期待しておくよ。」

 

ツナはキズメルと握手をしながら別れの挨拶を済ます。最後にニコリと笑いながらすぐにあえると伝えるが、キズメルは社交辞令ととり笑い返した。アスナ達もキズメルの周りに集まり別れの挨拶を始める。

 

「パパ、ママ。ありがとうございました。私は二人に出会えたことで救われました。本音を言うと別れたくありませんが・・・私のことを忘れないでください。」

 

「ユイ。絶対に忘れないよ。」

 

「ユイちゃんは私とツナの最高の娘だよ。」

 

ユイは泣きながらツナとサチに抱きつき別れを惜しむ。サチも泣きながらユイを抱き締め、ツナがそんな二人を抱擁する。泣き止んだユイはサチと他のメンバーにも別れを告げに行った。

 

ピナも最後を悟ったかのようにシリカに向かってお辞儀をしキズメルの肩に移動する。

 

「キズメル!三層から今までありがとう。貴女がいて良かったわ。」

 

「ピナ!いままでありがとう。一緒にいてくれて嬉しかったよ。」

 

キズメルとユイ、ピナを囲んで話している傍ら、ヨルコはツナに歩み寄り申し訳なさそうに話しかけてきた。

 

「ツナくん私は場違いなのにごめんね。」

 

「ヨルコさんさえ良かったらボンゴレに入りませんか?あれですよね。リアルの話はご法度ですけど並盛出身ですよね?」

 

「え!?なんで?」

 

「俺も並盛にいるんですよ。見たことがあるというのが答えです。恭弥・・雲雀さんが保護して同じ病院にいるはずです。」

 

「そうだったの!?(やだこれナンパ的な解釈をしていいのよね?お姉さん困っちゃう!)なら入れてもらおうかな。」

 

ツナは雲雀からヨルコさんが並盛での唯一のSAO被害者でボンゴレメンバーと同じ病院で保護していることを聞き、ヨルコさん自体を気に入っていたツナは身内に引き込むことを計画していた。

 

ヨルコとの話が終わり、周りを見渡すとだんだんと身体の輪郭がぼやけてきていることに気がつく。

 

「みんな!!そろそろ俺達もログアウトされるみたいなんだ。此処まで付いて来てくれてありがとう!現実世界でもあえるのを楽しみにしてる!」

 

「ツナ。必ず探し出すわ!」

 

「ボクもできることならみんなと・・・もっと話ができたらって思ってるよ。」

 

「現実世界であうのは無理でもどこかのゲームであえるはずだヨ。」

 

「ツナ!ありがとう。私だけだったらここまで来れなかったわ。ユイの為にも私も会いに行くね。」

 

「ツナさんとの約束忘れませんからね。」

 

各々が一言ずつ別れの挨拶をして行くと、少しずつメンバーが消えていった。ツナ、キズメル、ユイが最後に残り

 

「キズメル、ユイ。二人に黙っていたことがあるんだ。」

 

 

〇〇side

 

「私は死んだのでは・・・」

 

「クフフ 貴方はまだ生きていますよ。」

 

「君達は!?」

 

「僕は六道骸といいます。彼女はクローム。ツナヨシくんから頼まれて貴方を保護しに来ました。」

 

茅場晶彦は他のプレイヤー同様に脳が焼かれて死ぬはずだったが、ツナとの戦いの後に現実世界に帰還していた。目が覚めて辺りを見渡すとテーブルで寛いでいる青年から声をかけられる。男の横には眼帯をつけた女性もいて、呑気に自己紹介をし始めた。

 

「ちょっと待ってくれ!私はなぜ生きているんだ?」

 

「助けた方法は企業秘密。助けた理由はツナさんが貴方のことを死なせたくないと願ったから。」

 

「私は彼と手を取り合う資格など。」

 

「クフフ 諦めなさい。ツナヨシくんは意外と我儘なんですよ。貴方がしたことを理解し、それでも己の内に欲しがっているんです。後は直接話しなさい。」

 

六道骸と名乗った青年が指を鳴らすと茅場は唐突に強い睡魔に襲われて眠りについた。すると担架を持った男達が入ってきて、ヘリに乗せられてどこかへと運ばれて行く。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。