ツナはユイのことを詳しくは知りません。
ラフコフ討伐前のヒースクリフとの会談で、メンタルケア役の少女が、精神にダメージを負って行方不明になっているから助け出してあげてほしいと頼まれただけです。
ツナとサチが眠っているユイを連れて帰ると
「ツナさん?その子は?」
「可愛い子ですね〜」
「御主人様とりあえず客間に。それにしてもユーリンちゃんやロアちゃん、ロッタちゃんより年下に見えますわね。」
アネット、キャロ、カノンなどログハウスに残っていたメンバーが心配して駆け寄ってきた。
ユイをベットに寝かせ、目が覚めた時に一人だと不安だろうとサチが付き添いで残ることにし、ツナはみんなが待っているリビングに行くことにした。
リビングには残っていたメンバーから連絡があったのか外出していたメンバーが帰ってきていた。
メンバー全員に対して、ユイと出会った経緯やユイの状況を説明し、ギルドで面倒を見ることや明日は始まりの街に行くことを伝えた。
始まりの街にはボンゴレが管理している保護施設があり、そこではゲームに閉じ込められたことにより傷ついた子供達を保護していた。とりあえずはそちらに向かいユイを見たことはないか確認することにしたのだ。
元々はボンゴレの名前を出していなかったが、ラフコフ討伐の後からはボンゴレの紋章を掲げるようにしていた。
「始まりの街は軍のホームがある。手荒なことが起こるかもしれないから行くメンバーは選抜したい。」
始まりの街では軍が横暴な行動を起こしていおり、ボンゴレの保護施設周辺ではボンゴレメンバーが巡回を行なっているため治安は良いのだが、軍のホームに近づくにつれて治安が悪くなり女子供が一人では歩けない状況になっている。
暫くは誰が一緒に行くかでメンバーの話し合いが行われていたが、リビングのドアが開きユイを連れたサチが入ってきた。ツナを見つけたユイが
「パパ〜〜」
と言いながらツナに駆け寄り抱き抱えられると全員が話すのを辞めて固まった。
「ユイ。お腹は空いてない?」
「うん。大丈夫。」
「ねえツナ?その子がユイちゃんなのはわかるんだけど、パパって?」
「ボクも気になるな。」
「ツナさんがパパならママは誰になるんでしょう?」
「御主人様の御息女なら私からしたらお嬢様になるんですわね。まずはお洋服を・・・それから淑女教育・・・ブツブツ」
「魔王の娘に仕える騎士というのも悪くはないわね。」
ツナとユイの会話を聞いていたメンバーだが、アスナの言葉を皮切りに次々と言葉を発していく。若干名自らの世界に旅立って行ってしまってはいるが、一番の話題は誰がママ呼びをされているのかだ。
そんな雰囲気の中、ツナはユイを抱きかかえたままソファに腰をおろし、そんなツナとユイにサチが声をかけていた。
「ユイちゃん元気になって良かったね。」
「ママも一緒に座ろ。」
ユイがサチをママと呼びツナの横に座らせる。ユイは二人の間に座り直し二人の手を握り締めて満足したのかニコニコと笑っていた。
「ユイちゃん。私はアスナって言うんだけど、アスナママって呼んでみない?」
「あ!ボクはユウキ!ユウキママって呼んで欲しいな。」
「え?なら私はシリカママで・・・」
「んー・・・ママは一人。」
サチがママと呼ばれていることを知ったメンバーはユイに自己紹介をしながらママと呼んでとお願いをする。
しかしユイの中ではサチだけがママらしくサチに抱きついて首を横に振って拒否をした。アスナやユウキは肩を落とし膝を抱えて落ち込んでしまう。
他のメンバーはアスナとユウキを苦笑いで見ていたが、ツナがコホンと咳払いをすると真面目な表情に変わり、アスナとユウキも巫山戯るのをやめていた。
「始まりの街に行くメンバーなんだけど、俺とサチの他にアスナ、ユウキ、シリカ、キズメル、アネット、キャロにさせてもらうね。後のメンバーはボス戦に向けた最終確認をお願いしたい。」
「「「わかりました!」」」