サチ編
”サチ。今日は時間ある?良かったら22層の散策に付き合ってくれない?”
”大丈夫だよ。でもどうしたの?いまさら22層の散策なんて・・・でもツナからのお誘いは嬉しいな。30分後に玄関で待ってるね。”
ツナはサチにメッセージで22層の散策を一緒にしてほしいと送る。するとすぐにサチから返事がきたので内容を確認し準備をしてから玄関へと向かう。
「おはよう!待たせてごめんね。今日はよろしく。」
「おはようツナ。私もいま来たところだから大丈夫。お誘いありがとう!(いまのやりとりってカップルみたい!)」
サチがすでに玄関に到着していてソワソワした感じでベンチに腰掛けていた。
それを見たツナは待たせてしまったことに謝罪をするが、サチは手をブンブンと振り答えるが顔を赤くしていた。
ツナとサチは二人で湖の周辺を歩き森へと入っていく。二人は手を繋いで歩いていた。時折立ち止まっては木ノ実や花を見ながら会話をしていた。
「お昼を作って来たんだけど・・・良かったら食べてほしいな。」
「え?急な話だったのに用意してくれたの?ありがとう。じゃあ休憩しよっか!」
丘の上にシートを広げて早めの昼食をとる二人。
「サンドイッチなんだけど・・・どうかな?」
「美味しいよ!料理スキルをとってたんだね。」
「アスナとカノンがメンバーに料理講座を開いてくれていて、みんなで勉強してるの。でも良かったー。またツナのために作るから食べてね。」
「そんなことしてたんだ!楽しみにしてる。」
サチが恐る恐るバスケットをツナに向けて中身を見せる。ツナは嬉しそうに一つ掴むと口に運んで食べ始めた。その最中もサチは不安そうな感じでツナを見ていたが、一口食べたツナが笑顔で感想を言ってくれたことから安堵して自身も食べ始める。
昼食を終えて、そのまま森の奥へと進んでいたが、
「ねぇツナ?22層を散策する理由を聞いてもいい?」
「確信があるわけではないんだけど・・・ある人から頼まれたんだ。救ってほしい子がいるとね。この辺りにいる予感がするんだ。サチを誘ったのは、この機会にサチとゆっくり話がしたいと思ったからだよ。」
サチはいまさらになって22層を散策する必要があるのかと疑問に感じていた。勿論ツナと二人で過ごせているこの時間は嬉しいのだが、ツナのことだから特別な意味があるのではと考えていた。
ツナから語られた真実に、やっぱりツナは自分のためではなく誰かのために行動を起こす人なんだね。と思いながら
「なら早く探し出してあげないと心配だね。私も手伝うよ。」
と笑顔で答える。