35層主街区 ミーシェ
ツナ達四人は迷いの森を抜けて街へと戻ってきていた。大通りから転移門広場に入り宿屋を目指す。
すると道具屋から五人の集団が出てきた。
「シリカじゃないの。へぇーえ、森から脱出できたんだ。あら?あのトカゲは?もしかして?」
一人の女性プレイヤーがシリカに気づいて声をかけてくる。ピナがいないことに気がつくが、楽しそうに口元を歪ませて話す女に不快感を露わにする四人。
「ピナは死にました。ですが!絶対に生き返らせます!」
「なら思い出の丘に行く気なんだ。せいぜい頑張ってねー」
ロザリアが嘲笑いながら四人の横を通り抜けようとするが、
「笑うと小皺が目立ちますよおばさん。」
「いい歳して露出が多い。肌が汚すぎて見てるだけで気持ち悪くて吐きそう。」
「ちょ!二人とも!デリケートな年齢の女性にはっきり言うのは失礼だから!シリカも行くよ!」
「ナッ!!?」
サチとアヤから言われたことにカチンときて振り返り追いかけようとするが、すでにツナにより遠くに移動させられており、他のパーティメンバーから宥められたため、追うことはしなかった。
ツナ達三人はマイホームに戻らずにシリカが泊まっている宿屋に泊まることにした。ツナとシリカは一人部屋でサチとアヤが同じ部屋である。
シリカが部屋にてアイテムの整理やら明日の準備をしていると
コンコン
「シリカ。ちょっといいかな?」
とツナがドアをノックしてきた。
「はーい!ツナさんどうしたんですか?」
「思い出の丘について話をしておこうと思って。」
シリカは寝巻き姿で多少の恥ずかしさはあったが、そのままツナを部屋に招き入れる。
ツナはそのまま思い出の丘の説明を始めた。ミラージュスフィアを使用して説明をした為、すぐに説明は終わる。
するとサチとアヤから
”階段で見張っていたら不審な男達を確認できた。私達の存在に気づいてすぐに撤退したけど・・当たりかもしれない。”
というメッセージが届く。
「どうしたんですか?」
シリカはツナが眉間に皺を寄せながらメッセージを読んでいる姿を見て心配して声をかける。
「大丈夫だよ。ありがとう。」
「わわわ!?」
座っていたとしてもツナとシリカの身長差からどうしてもシリカはツナを見上げる形になってしまう。ツナから見たら美少女が上目遣いで心配そうに覗き込んでいるように見えてしまい、衝動的に腰を引き寄せて頬にキスを落としてしまった。
イタリアに住むツナからしたら日常的な行動だがシリカには刺激が強すぎたようで茹でタコのように身体を赤くし湯気が出ていた。