大空のSAO   作:ばすけばすけ

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ここまでツナが死ぬ気の炎を使用したのはアスナの前だけという状態です。

いままでの攻略では刀や投擲を使用しており、ファイターのスキルのことは誰にも教えていません。


月夜の黒猫団①

22層マイホームでの慰労会翌日

 

ボンゴレは他のプレイヤーの進行状況も考えて攻略を止めていた。あまりに進みすぎると誤って高層に来てしまったプレイヤーがいて危険だからである。

 

「私は一度城に戻って報告をして来る。」

 

キズメルがダークエルフの王に戦況報告をしに9層に行き

 

「俺っちは50層の情報を伝えて来るよ。ついでに他のギルドについても調べてくるネ。」

 

アルゴは情報屋としての職務を全うしに。

 

「私は雷光剣のスキルを上げたいわね。ユーフィアとアヤ、フィリア、キャロを連れて迷宮区に行ってくるわ。」

 

「ボクも二刀流のスキルを上げないと!フラムさん、ミリシオンさん、フルールさんを連れて行くね!」

 

アスナとユウキは新しく獲得したユニークスキルを鍛えるためにギルドメンバー数人を連れて迷宮区に行くことにした。二人ともツナと行きたかったが、ツナと一緒だとレベルが高すぎて技の練習にならない為、今回は我慢していた。

 

「俺は「ツナさん!」アネット?」

 

片手剣のアネットがロッタと一緒にツナに駆け寄ってきた。

 

「ロッタがバトルフィーリングスキルを上げたいらしいんです。二人で手伝いませんか?」

 

「いいよ。じゃあ20層辺りにしておこっか?」

 

「よろしくお願いします!」

 

ツナはギルドメンバーにバトルフィーリングスキルは必ず所得するように徹底していた。

 

ロッタのレベルがまだ30なため適正エリアの20層の迷宮区でスキル上げをすることにした。レベルは30だが、大空の加護の効果が現在30倍なため、実質はもっと高層でも対応は可能であった。

20層にした理由はツナの超直感が訴えてきたからである。

 

他のメンバーも迷宮区に潜ったりと各々のやりたいことをしはじめる。但し、迷宮区に潜るには最低でも四人(ツナがいる場合は三人)での行動が義務付けられていた。

 

ボンゴレメンバーのレベルだが、ギルド結成時のメンバーは100を超えており、ボス戦に参加したメンバーは平均80、留守番組とアシスト組は30〜60となっていた。

 

 

20層迷宮区

 

ロッタは三匹のモンスターに囲まれていた。

 

「ヤァッ!」 ッブン

 

斧を振り回すことにより二匹を撃破する。バトルフィーリングスキルを上げるには敵から攻撃を喰らわないといけないため一匹だけ残したのだ。

 

「ツナさん。20層にしたのには理由があるんですよね?」

 

「よくわかったね。今日20層に来なくちゃ行けない気がしたんだ。」

 

アネットはツナに近づいて耳元で囁くように話かける。ロッタに聞こえないようにという配慮ではあるのだが、ロッタは戦闘に集中しているため耳元まで寄る必要はなく、単純にアネットがツナに近づきたいだけであった。

 

「ロッタ。そろそろ休憩しよ。」

 

「はいです!」

 

迷宮区に篭ったのは二時間程度はあるが、お昼時ということもあり三人は街に戻り始める。

 

帰り道の途中にて、モンスター群に追われながら撤退している五人編成のパーティと遭遇した。

 

「ツナさん。あのパーティ助けないと危ないですね。」

 

「見るからにバランスが悪いですー。」

 

「そうだね。本当はいけないことだけど、生死に関わることだから助けに行こう。」

 

アネットはHPゲージが黄色くなっている事を確認し、救援した方がいいのではとツナを見る。ロッタはパーティの装備武器をみて盾役不足に眉を潜めていた。

 

ツナはリーダー格であろう棍使いに声をかける。

 

「力を貸しましょうか?」

 

「すいません。お願いします。」

 

棍使いは一瞬迷ったようだが仲間の体力を確認し、すぐに頷いた。

 

ツナ達三人は各々の武器を構えて、盾役をしていたメイス使いに背後からスイッチと叫ぶと、無理矢理モンスターの前に割り込んだ。

 

ツナ達三人が前に出ると、瞬く間にモンスター群を倒してしまう。

 

モンスター群を全て倒した途端、パーティ五人は驚くほどの歓声を上げた。男性陣は次々とハイタッチを交わしている。

 

五人パーティ唯一の女性である黒髪の槍使いは、目に涙を滲ませながら、こちらに駆け寄ってきて一番近くにいたツナの手を両手で掴み

 

「ありがとう・・ほんとに、ありがとう。凄い、怖かったから・・助けにきてくれた時、ほんとに嬉しかった。」

 

「もう大丈夫だよ。よく頑張ったね。」

 

ツナは槍使いの頭を撫でて落ち着かせて上げる。すると女の子は顔を赤くしながら再度お礼を言う。

 

「私達も街に戻る途中だったから一緒に戻りましょうか?」

 

「お腹が空いたー。」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

アネットとロッタは落ち着いた女の子に話しかけて一緒に街に行くことを提案する。女の子は嬉しそうに残りの四人の許可を取りに行った。

 

道中、互いに自己紹介をしながら歩いて行き、槍使いの女の子はサチというらしく、アネットとロッタと他愛もない話をしながら笑顔で話していた。このパーティは、月夜の黒猫団というギルドを結成しているらしい。

 

街に着いた後、酒場で一杯やりましょうと、ギルドリーダーである棍使いのケイタに誘われた。ツナ達はもともと食事が目的だったこともあり了承した。

 

酒場で祝杯を上げ料理も食べ終わった時に、ケイタが小声でツナにレベルの確認をしてきた。

 

「ケイタさん。レベルやスキルを聞くのはマナー違反ですよ。それと私達はギルドに入ることもできませんので。」

 

アネットはツナの雰囲気が変化したのを察知し、ツナより先にケイタの言動に苦言を示し、次に予想される行動に釘を刺した。アネットの膝の上でロッタが人形を抱いて寝ていなければ殺伐とした雰囲気になっていただろう。

 

「そうですよね。すいません。」

 

「だけど、今日みたいに一緒に探索をするくらいなら大丈夫だよ。」

 

「本当に!?」

 

ケイタ達はアネットの言葉に落ち込んでしまうが、ツナからの提案を聞くと、サチが身を乗り出しながらツナに確認をする。

 

「この子のレベルを上げたくてね。」

 

ツナは寝ているロッタの頭を微笑みを浮かべながら撫でる。ロッタは幸せそうな顔をして寝息を立てていた。

 

そんなロッタを羨ましそうにみるアネットとサチ。

 

「じゃあまた明日、ここに集合でいいかな?」

 

「「「「「はい!!よろしくお願いします!」」」」」

 

月夜の黒猫団の五人が元気よく答えた。


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